爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

科学全般

「分類思考の世界 なぜヒトは万物を『種』に分けるのか」三中信宏著

生物を「種」というものに分類するということはだいたい誰でも知っていることでしょう。 動物園に行けばおそらく和名とともにアルファベットで学名も書かれているのを見ることができます。 しかし、その「種」とはいったい何だろうと考えると、それほど簡単…

「二酸化炭素排出”実質ゼロ”」の疑問。

脱炭素化の大合唱の元、企業だけでなく自治体なども目標を置いて「何年までの二酸化炭素排出の実質ゼロ」と言っています。 「正味のゼロ」と言うところは決してありません。 すべて「実質ゼロ」という言葉を使っています。 この「実質ゼロ」とは何か。 エネ…

「NATROMのブログ」より、「抗がん剤療法を否定する医師のツイート」

NATROMさんのブログで抗がん剤療法否定のツイートについて書かれていました。 natrom.hatenablog.com 抗がん剤治療否定のツイートはしばしば出てくるようですが、今回のものは「自称医師」の人が書いたということで、リツイート、「いいね」もたくさんついて…

リスク学者永井孝志さんのブログより、「熱中症と塩分摂取の関係」

毎日の猛暑で熱中症になる人も多数出ています。 熱中症の対策として水分をとるだけでなく塩分もと言われていますが、日本人は塩分摂取量が多く高血圧患者もかなり多数居るはずで、発汗で多少塩分が減ったくらいでは関係ないんじゃないのと永井さんも長く疑問…

「物語 日本の治水史」竹林征三著

川は急流であり降水量は極めて多い日本列島では、治水というものは古代から現代まで非常に大事なものでした。 その治水というものの歴史を神話の時代から説き起こして現代までを説明するのは、建設省勤務から始まり治水の現場に関わり続けてきた著者の竹林さ…

「面白くて眠れなくなる進化論」長谷川英祐著

「面白くて眠れなくなる」というシリーズの本は科学の色々な分野について一般向けに分かりやすく専門家が説明するというものですが、この回の「進化論」については他にも「面白くて眠れなくなる生物学」なども書いている進化生物学者の長谷川さんが執筆しま…

「滅亡へのカウントダウン 人口大爆発とわれわれの未来 下」アラン・ワイズマン著

欧米の科学関係の本は非常に細かく描写され、エピソードが多すぎるほど連続するために、この本のように上下巻やそれ以上の複数巻の場合は最初の上巻だけでもう十分と言う感覚になることが多いのですが、この本の場合は下巻に「日本」の部が含まれていたため…

新型コロナウイルス感染者急増、変異株オミクロンBA5のせいか。

あっちの話題はもう少しはっきりしないと分からないようなのでおいておいて。 新型コロナウイルス感染者がまたも急増、その要因はいつものように「感染対策がおざなり」という指摘もありますが、やはり変異株の中でもオミクロンBA5というタイプへの移行でし…

「解決志向リスク評価を阻害する要因は何か」、リスク学者永井孝志さんのブログより

「解決志向リスク評価」とは何か。 まあ当然の話なんですが、「リスク評価」というものを問題解決に利用していこうという、極めてまともな方向のものです。 それと正反対のものが、よく週刊誌などに見られる「これも危ない、あれも危ない」という、警笛だけ…

「歴史と統計学」竹内啓著

数学に一分野に確率と統計というものがありますが、これらは社会学的にも多く利用されるという特性があります。 その発祥と発展も、歴史的に国家や社会の運営という面から見ていかなければならないようです。 国の政治を行なう指針として人口や生産と言った…

「脱炭素化」を無理やり進めるとどういう事態になるのか。

脱炭素化という掛け声ばかりが高くなり、一見すると世界中がそちらに向かって走り出すかのように感じるかもしれません。 脱炭素化、すなわち石油や石炭などの化石燃料の使用を抑えるということ自体は積極的に進めることが必要なのですが、現在使われているこ…

緑茶で高血圧薬の効果が下がる?ちょっと気になる記事。

緑茶を飲むと高血圧薬の効果が下がるという研究結果が報告されたというニュースがありました。 高血圧で薬を2種類飲んでいる身としてはちょっと気になりました。 www.minyu-net.com 福島医大の三坂さんという方の研究報告で、降圧剤「ナドロール」を緑茶を日…

「そもそも植物とは何か」フロランス・ビュルガ著

植物には知性があるとか、木々は会話しているといった主張をする人も居ます。 しかし実際は植物には感覚も知性もなく、動物とは全く異なる存在なのだということを強烈に主張している本です。 その前提となる社会現象がよく分からないので、何か不思議な主張…

「地下水・湧水の疑問50」日本地下水学会編

日本地下水学会が成立60年を迎えられたそうですが、それを記念して会員の方たちが共同で一般の人々の地下水などに持つ疑問に答えるという形の本書をまとめたということです。 日本では降水量が非常に多いということもあり、河川などの表面水が豊富ですが、だ…

「発酵文化人類学」小倉ヒラク著

発酵文化人類学とは著者の造語ですが、人間の生活には発酵というものが深く関わっており、民族によりそして地域により様々な形で発酵というものを利用しているのですから、文化人類学的に発酵を考えていくというのも面白いアプローチかもしれません。 著者の…

サル痘について分かっていること、忽那賢志さんの解説

日本ではまだ感染者が確認されていないものの、欧米では次々と検出され話題になっている「サル痘」について、忽那さんの解説です。 news.yahoo.co.jp サル痘は天然痘と似た症状のウイルス感染症ですが、天然痘より感染力が低く重症化も少ないということです…

除草剤グリホサートの発がん性について、松永和紀さんの解説

除草剤グリホサートは発がん性があるという報告がされており、一般的にも関心が高いものです。 これは日本ばかりではなく欧米でも同様(あるいはそれ以上?)で専門家もさかんに研究をしているようです。 ただし、その情報には誤ったものの多く含まれており…

「4パーミル・イニシアティブ」とは何か

またまた変な言葉を聞きました。 「4パーミル・イニシアティブ」というものです。 もちろん「4パーミル」というのは0.4パーセントのことですが、その比率が表すものが問題です。 聞いたのは「山梨県でのブドウ剪定の枝の処理」というものについてのニュース…

リスク学者永井孝志さんのブログで「知床観光船事故から考える、事故が起こってからの規制強化と事前のリスク評価」

リスク学者永井孝志さんが、知床半島での遊覧船沈没事故から見える「事故後の対策」についてブログで書いていました。 nagaitakashi.netd 多数の死者・行方不明者を出し、さらに運営業者の実態があまりにも杜撰であることが報道され、多くの人々が興味を寄せ…

「ウソの科学 騙しの技術」日垣隆

ウソや騙しというと悪いことのようですが、動物が生き残るための技術であるとも言えます。 この本は科学ジャーナリストの日垣隆さんが、このテーマについて様々な方面の専門家たちと対談した記録をまとめたものです。 この対談はTBSラジオのサイエンス・サイ…

ヨーロッパで急性肝炎にかかる小児が急増、日本でも発生。今判っていることについて忽那賢志さんの解説。

ヨーロッパ特にイギリスで小児の急性肝炎患者が急増しているというニュースが流れましたが、それについて忽那さんが「今判っていること」と題した記事を書いていました。 news.yahoo.co.jp ヨーロッパで多いようで、特にイギリスでは111人の患者が出ています…

「私たちはいつまで危険な場所に住み続けるのか」木村駿、真鍋政彦、荒川尚美著

近年自然災害が頻発し、多大な被害が出ていますが、それは気候変動により降雨量が多くなったという理由ばかりでなく、どうやら人口が増え産業が活発になったために「昔は使われていなかった場所」に住宅や工場などを建てるようになったということも大きな要…

「性格はどのようにして決まるのか 遺伝子、環境、エピジェネティックス」土屋廣幸著

著者は心理学研究者ではなく、産科の病院のお医者さんです。 大きな病院ですので毎日何人もの赤ちゃんが生まれますが、見ているといつも泣いている子もいる一方、スヤスヤと眠っている子もいます。 そういった様子を観察して、また多くの医学論文を読みなが…

「日本に栄養疫学を学べる場はない」児林聡美さんの指摘より。

「栄養疫学」という学問について興味があり、その研究者である児林聡美さんの書く文章を拝見したりしていましたが、それについてこのようなちょっとがっかりする現状が書かれていました。 hers-ms.com 「疫学」とは医学の研究分野の一つですが、臨床医学や基…

熊本地震から6年、それにしても地震の震度って7までしかないの?

熊本地震から6年が経ちました。 全国ニュースでも流れていましたが、当然ながら熊本ローカル放送では繰り返し色々な報道がされています。 震源に近い益城町では「震度7が2回」2日間に起きるというこれまでにない揺れ方で大きな被害が出ました。 我が家は震源…

「生物に学ぶ ガラパゴス・イノベーション」稲垣栄洋著

日本独自の商品傾向というものは確かにあるようですが、それを「ガラパゴス化」などと言うことがあります。 その言葉はあのガラパゴス諸島の変わった生物たちを意識して作られたものでしょうが、それを単に「辺境の島の変な現象」とだけ考え、グローバル化の…

「LIFE CHANGING ヒトが生命進化を加速する」ヘレン・ピルチャー著

ほんの1万年前までは圧倒的に野生の生物が多かったのですが、わずかの間にヒトによって影響を受けた生物が急激に増加しています。 家畜や栽培植物、そして近年は遺伝子操作などと言うことも行なうようになりました。 それだけでなく、人類が改変している環境…

「本当にあった医学論文」倉原優著

医学論文といえば難しそうなイメージですが、中には驚くほどのものがあるようです。 著者は内科のお医者さんですが、常にさまざまな最新論文には目を通しているそうです。 しかし、その中には傍から見れば思わず笑ってしまうようなものや、普通では見ること…

「『役に立たない』研究の未来」ナビゲーター柴藤亮介、対談・初田哲男、大隅良典、隠岐さや香

科学や技術研究の財源について「選択と集中」ということが言われ、「役に立つ」研究にのみ金を出そうという傾向が強まり、多くの研究者が危機感を募らせています。 理化学研究所の初田さんはこういったテーマについて「役に立たない科学が役に立つ」という書…

「進化は種の保存のためではない」そうです。河田雅圭さんの記事より。

ツイッターを見ていたら面白そうな記事を見つけました。 「種の保存のための進化」はどこが間違いか。というもので、東北大学教授の河田雅圭さんという方が公開されたものです。 note.com 多くの人が信じているのが「生物の進化は種の保存のためである」とい…