爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

読書記録

「江戸・明治 百姓たちの山争い裁判」渡辺尚志著

かつては農村の周辺の山と言うものは、非常に重要なものでした。 そこで取れる枯れ枝などは薪として燃料とし、下草は田畑にすき込んで肥料とし、間伐した木は炭に焼いて換金しと、農村の生活を支えるためには無くてはならないものでした。 研究によれば、田…

「難解言葉にクイズで挑戦」青木雨彦編

クイズ形式で漢字や言葉の問題を出して、知識を身に着けさせるという本はいくらでも出ていますが、これはコラムニストで有名だった青木雨彦さんの編ということで、少し趣も違うものになっています。 なお、本書発売は1989年ですが、そのすぐ後の1991…

「感染症と文明 共生への道」山本太郎著

今まさにウイルス感染症が世界を覆っているかのような時ですが、この本はそれを扱っているわけではありません。 出版は2011年、SARSまでは内容に含まれています。 著者の山本太郎さんは感染症学が専門のお医者さんですが、実際に感染症対策でアフリカな…

「美しい言葉づかい フランス人の表現の技術」井村順一著

フランス人は会話好きだそうです。 そして、自らの言語のフランス語の美しさというものも誇りに思っているようです。 そのような、フランス語というものは自然にできてきたばかりではありません。 かなり意識的に磨き上げようとした人々がいました。 17世…

「日本の古墳はなぜ巨大なのか」松木武彦、福永伸哉、佐々木憲一編

日本の古墳は世界的に見ても巨大なモニュメントであるということは言われていますが、実際にはどのようなものか。 2018年に国立歴史民俗博物館が主催した「日本の古墳はなぜ巨大なのか」と題した国際シンポジウムの内容をもとにして本にしたものです。 …

「かぎの話と窃盗リスク」田村祐一郎著

著者は1970年代という、かなり早い時期から大学でリスクマネジメントの講義を始めました。 その当時はまだ「リスクマネジメント」どころか「リスク」自体に対する認識も乏しく、学生の興味をひくためには苦労したそうです。 その中で、外国と日本の違い…

「日米〈核〉同盟」太田昌克著

現在、日米関係は強固な「日米同盟」であると言われます。 しかし、その実態は〈核〉を中心とした「日米核同盟」であるとも考えられます。 太平洋戦争の終わりに人類史上初めての核爆弾を落としたアメリカと、落とされた日本が戦後は一転して同盟関係となり…

「精進料理考」吉村昇洋著

「精進料理考」といっても、寺や専門店で作られているあの料理のレシピを集めた本ではありません。 寺院で僧が食べている料理が精進料理と言って間違いはないのですが、その宗教的な背景、歴史、そして寺院での現実など、精進料理をめぐる広い話題を扱ってい…

「『モナリザ』の微笑み 顔を美術解剖する」布施英利著

「美術解剖学」という学問があります。 特に人間について、筋肉や骨格といった人体の内部の構造を、実際に解剖して知ることで美術表現をより正確にしようというものです。 それがいつから始まっていたのかは分かりませんが、かのレオナルド・ダ・ヴィンチが…

「よくわかるクリスマス」嶺重淑、波部雄一郎編

クリスマスといえばキリスト教の行事ですが、日本ではそれとは関係なく商業的なものとして多くの人を熱狂させています。 そのようなクリスマスというものは、歴史的にどういう経緯でできてきたのか、そして世界各地ではどのようなものとなっているのか。 さ…

「医学の近代史 苦闘の道のりをたどる」森岡恭彦著

まだまだ治療の難しい病気はいくらでもありますが、ほんの少し前の状況を考えても多くの病気が治療できるようになっており、寿命も延びています。 特に近代になってからの医学の進歩というものは、非常に大きなものがあったのでしょう。 そのような医学の近…

「家庭のフランス料理」辻静雄著

辻静雄さんは、調理師養成機関として大きな存在となっている辻調理師専門学校を設立し発展させてきた方です。 もとは新聞記者であったそうですが、その後料理の世界に転進しました。 この本は辻さんの著書の中でも非常に早い時期のもののようで、昭和42年(1…

「流言のメディア史」佐藤卓己著

「フェイクニュース」や「ポスト真実」といった言葉がクローズアップされています。 しかし、そういった事態は今になって始まったものかどうか。 実は80年前の状況をみてもそういったものがいくらでも見られます。 第二次世界大戦が始まった1939年、ドイツの…

「ニシンの歴史」キャシー・ハント著

ヨーロッパの魚食といえばタラといったイメージを持っていたのですが、どうやらそれに負けず劣らず、いや歴史的にははるかに大きい意味を持っていたのがニシンだったようです。 現在でも北欧には多くのニシン料理がありますが、かつてはその範囲はイギリスや…

「東大のディープな古文・漢文」田中照彦著

大学入試の問題とは高校での学習内容の範囲内ではありますが、各大学の入学生選抜の意図がはっきりと出ていて、受験する当人にとっては何とか高得点を取るというのが目標でしょうが、すでにすべてが終了してしまった年寄りにとっては、非常に面白いというも…

「12モンキーズ」エリザべス・ハンド著

「エリザベス・ハンド著」といっても、これは最初にテリー・ギリアム(モンティ・パイソンの)が1995年にブルース・ウィルス主演で撮った映画があり、それをSF作家のハンドがノヴェライゼーションしたものです。 そのため、本のカバーにはウィルスの映画での…

「怖くて眠れなくなる植物学」稲垣栄洋著

植物と言うものは「怖くて眠れなくなる」ものでしょうか。 植物学者である著者は、以前に同じ出版社から「面白くて眠れなくなる植物学」という本を出したのですが、その続編として「怖くて眠れなくなる」を書いてくれと頼まれました。 本人も植物はそんなに…

「事大主義 日本・朝鮮・沖縄の『自虐と侮蔑』」室井康成著

「事大主義」という言葉は、最近では韓国の政情に関わるものであるような感覚を持っていましたが、実は色々な場面で使われてきたもののようです。 「事大」つまり、「大」に「事える」(つかえる)という言葉自体は中国の古典にあるもので、孟子の一節にあり…

「農家が教える どぶろくのつくり方」農文協編

かつては農家がそれぞれ作ったと言われる「どぶろく」ですが、明治時代に酒税を取るようになりそれが重要な国家収入となったために、自家醸造を厳しく取り締まるようになってしまいました。 世界的にも販売する目的以外の自家醸造をこれほど厳しく制限してい…

「論語知らずの論語読み」阿川弘之著

「論語読みの論語知らず」というのは普通に使われる言い回しですが、それを逆転させて「俺は論語なんて知らないよ」と言いながらそれについて色々と書いてしまおうという手法を使ったエッセイです。 小説家の阿川弘之さんが、1977年に出版したもので、著者57…

「笑いのモツ煮こみ」東海林さだお著

漫画家ですが非常に多数のエッセイも書いている東海林さんのエッセイの中の一冊、1993年に出版された本です。 題名には「モツ煮込み」とありますが、内容はそれほど料理や食品に関係したものではないようです。 冒頭は「バアチャンたちの原宿」 今では知らな…

「必ず役立つ 合唱の本 ボイストレーニングと身体の使い方編」北條加奈著、相澤直人監修

歌を歌う時に気になるのは「良い声」というものです。 ただし、どんな声が「良い声」かと言われるとすぐに答えることができません。 せいぜい、誰それのような声といったことしか言えないようです。 この本では「良い声」とは「柔軟な声」だということです。…

「婦国論 消費の国の女たち」小原直花著

著者の小原さんは、伊藤忠ファッションシステムという企業戦略や商品企画といった分野でのコンサルティングを行う会社で、女性の消費行動を分析するという活動を行ないその成果をまとめたということです。 いくつかの視点から分析をしているのですが、やはり…

「シンクタンクとは何か」船橋洋一著

シンクタンクとは「政策起業家」が集まるところだそうです。 著者の船橋さんはアメリカのシンクタンクにも参加した経験を活かし東日本大震災と福島原発についての民間での事故調査を行う組織を運営するシンクタンクを立ち上げたということです。 シンクタン…

「民法改正を考える」大村敦志著

2020年4月に改正民法が施行されましたが、この本はそれが法制審議会で検討されていた2011年に民法学者の東京大学法学部教授の大村さんが、改正についてだけでなく民法というものの歴史や世界的な傾向など広く解説をしたものです。 民法とは法律の体系のなか…

「さらば、裁判員制度」西野喜一著

一般人が選ばれて裁判に参加するという裁判員制度、導入の際には様々な報道がなされましたが、このところほとんど耳にすることもなくなりました。 それなりに定着しているのかと思ったら、どうやらそうでもないようです。 著者の西野さんは、裁判官を経験し…

「鉄道快適化物語」小島英俊著

今の鉄道の旅はかなり楽になっており、ほんの数時間で東京から大阪まで、しかも苦痛もほとんどなく(まあ心理的には苦しい人もいるようですが)旅することができるようになりました。 また、何十万円もの費用で旅行をできる高級クルーズトレインなるものも出…

「アベノミクスの終焉」服部茂幸著

福井県立大学教授と言う服部さんの本は以前にも読みましたが、その鋭い見方には感心させられました。(現在は同志社大学教授になられているようです) sohujojo.hatenablog.com 本書はその本出版の直後、やはり岩波新書に書かれたもので、アベノミクスという…

「首相になれなかった男たち」村瀬信一著

政治家を志す者は誰しも夢見るのが「首相」総理大臣になることでしょう。 しかしほとんどその夢がかなうことはありません。 ところが、有力ポストを歴任し実力は認められながらもあと一歩が足らずに首相に届かなかった人たちがいます。 この本ではそういった…

「錆と人間 ビール缶から戦艦まで」ジョナサン・ウィルドマン著

人類は鉄を始めとする金属類を使いこなすことで文明を築いてきました。 しかし、その金属はすぐ「錆びる」 これをどうにかしないことには、不経済ということもありますが、直接に生命に関わることにもなります。 この本では、そういった錆をめぐる話をいくつ…