爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

読書記録

「メイド・イン・ジャパンの食文化史」畑中三応子著

このところ、日本食(和食)を礼賛する風潮になっています。 和食がユネスコの無形文化遺産に登録されたということもそれを強めているようです。 しかし、実際の日本の食というものはその「和食の特徴」とはまったく逆とも言える状況です。 「多様で新鮮な食…

「ことばの地理学」大西拓一郎著

著者の大西さんは方言学を専門とする研究者で、とくに実際の方言が使われている現場を調査するフィールドワークを長くやってきたということです。 現役の方言研究者の中では方言分布図をもっとも数多く書いたうちだと豪語していますので、かなりの研究成果を…

「ペテン師と天才 佐村河内事件の全貌」神山典士著

全聾の作曲家として大いに持ち上げられていた佐村河内守が、実はそのすべての作曲をゴーストライターの新垣隆に書かせていたというスキャンダルが世を騒がせたのは2014年のことでした。 その発端となった週刊文春の記事を書いた本人である、神山さんがそ…

「天下人の一級史料 秀吉文書の真実」山本博文著

豊臣秀吉が発布したと言われる「刀狩令」、小学校の歴史でも習うはずですが、あまりにも有名すぎるためかその原本に戻って検討するということはほとんどされていないようです。 しかし、現在残っている刀狩令の原本は約20通、それらを見ていくとその内容が…

「超約 ヨーロッパの歴史」ジョン・ハースト著

歴史と言うものは、正確に詳しく語っていくとあまりにも長くなりすぎ、頭に入らなくなります。 もしも一地域の歴史だけであっても、その起源から現在までの流れを説明するのは簡単ではありません。 これは特に学生などに歴史学を教える教育者にとっては大問…

「朝鮮半島と日本の未来」姜尚中著

日韓関係は非常に悪い状況となりますが、こういう時だからこそ日韓双方の事情に詳しい姜さんの声に耳を傾ける必要があるのかもしれません。 本書は私には珍しく出版(2020.5)直後のもので、コロナ禍についても触れてあります。 古い本にも利用価値は…

「実践 日本人の英語」マーク・ピーターセン著

著者はアメリカより来日し長らく文学の研究をするかたわら、大学で学生の英語指導を行ったり、日本人科学者の書く英語論文の添削をしたりという活動をしてきました。 最近は日本語を使う外国人も増えていますが、時々おやっと思うような変な日本語表現に出会…

「『日本の伝統』の正体」藤井青銅著

歴史だけは古い日本だけあって、「古くからそうです」と言われるとなんとなくありがたく思ってしまうところがあるようです。 しかし、「日本の伝統」と言われるものでも、本当に「古くからあるもの」なのか。 そこに疑問を持った著者が、本当のところいつ頃…

「インターネット」村井純著

インターネットは爆発的に広がり、今ではほとんどの人が接続しているような状況になっているように見えます。 しかし、その進展はそれほど昔から進んでいたわけではありません。 この本は、日本においてインターネットの広がりが徐々に進んでいた頃、それを…

「困ったクレーマーを5分で黙らせる技術」援川聡著

お客様からのクレームは貴重な企業運営のための資料とも言えますが、「クレーマー」となるとそうも言っていられません。 ある大手食品メーカーによれば、年間の消費者からの電話が2万件あったそうですが、そのうち80%は問い合わせ、ご意見というのが10…

「その〈脳科学〉にご用心」サリー・サテル、スコット・リリエンフェルド著

脳科学という分野が脚光を浴びています。 平常な状態でも脳の活動状況が測定できるという、fMRI(機能的磁気共鳴画像法)が開発され、それで画像化された脳の映像は誰でも見たことがあるかもしれません。 何らかの刺激とそれに対応する脳の画像を解析するこ…

「モラルの起源 実験社会科学からの問い」亀田達也著

直接本書の内容とつながるものではないのですが、冒頭に2015年に文科省から出された大学の組織改革についての通知について書かれています。 そこには人文社会科学系の学部は再編、削減すべしという趣旨が書かれていました。 理系の学部に比べて社会のために…

「『殺しあう』世界の読み方」田原総一朗、佐藤優、宮崎学

ジャーナリストというよりその他の活動がありそうな田原さんが、「日本を代表する論客」とする佐藤優さん、宮崎学さんを招いて鼎談した記録です。 出版は2015年6月ですので、ピケティの「21世紀の資本」が話題となっており、またIS(イスラム国)のテロも頻…

「クラシック名画のトリビア的楽しみ方」北島明弘著

映画の人気もかなり高いようで、新作も次々と作られていますが、「クラシック名画」とでも言うべきかつての映画もまだまだ人気があるようです。 そう言った名画についての、トリビア。 ちょっと前の言葉で言えば「こぼれ話」「逸話」というべきでしょうが、…

「病院で受ける検査がわかる本」高木康、田口進著

健康診断やどこか調子が悪い時に病院受診の際に受ける「検査」 それはどういうものか、何を調べるのか、その際の注意点は、その結果はどう見るか そういったことをまとめた、実用書です。 まあ正座して全部を読み通すといった本ではありません。 しかし、今…

「歴史の証人 ホテル・リッツ」ティラー・J・マッツェオ著

パリのヴァンドーム広場にあるホテル・リッツは最高級ホテルの一つとして最上級の宿泊客たちが次々と名を残してきました。 この本は、その中でも特に第2次大戦前後のナチスドイツのパリ占領時の周辺での、ホテル・リッツで起きた数々の出来事を記しています…

「東京大学のアルバート・アイラ― 東大ジャズ講義録・キーワード編」菊地成孔・大谷能生著

菊地成孔さんが大谷能生さんとともに東京大学教養学部で1年間の講義を行いました。 その前期の記録が「東大ジャズ講義録・歴史編」だったのですが、その後期の記録、2004年10月から2005年2月まで行われたものです。 後期ではジャズに関する「キーワード」を…

「最後の晩餐の真実」コリン・J・ハンフリーズ著

およそ2000年前のある春の日、ナザレのイエスと言うユダヤ人が十字架にかけられて磔にされました。 「イエスが死に至るまでの最後の週は世界史上、特筆すべき一週間だと言ってよいだろう」 と本書冒頭に書かれています。 しかし、それが現在の暦を使って表記…

「楽器学入門」守重信郎著

現代のオーケストラを見ていると、その起源も発達段階もまったく異なる楽器が一堂に会して一つの曲を作り上げていくということに感動を覚えます。 しかし、楽器それぞれを細かく見ていくと、現代の形にたどり着いたのがかなり前のものもあり、ごく最近のもの…

「戦国武将の実力 111人の通信簿」小和田哲男著

戦国時代の歴史が専門の小和田さんですが、世間の歴史好きの人々の戦国武将の評判を見ても映画やドラマ、小説などの印象で言われるだけで、真実の姿は知られていないように感じていました。 そこで、「戦国武将の実力」というものをできるだけ客観的に判定し…

「昭和の尋ね人 アウトサイダー列伝」西日本新聞社文化部編

ほんの一瞬、社会の脚光を浴びたもののその後どこでどうしているのか、消えてしまったような人はたくさんいます。 福岡の新聞社、西日本新聞では1995年当時に昭和の時代に一瞬光輝に満ちたがその後埋もれてしまったという人の中で九州を中心に西日本に縁があ…

「太宰府・宝満・沖ノ島 古代祭祀線と式内社配置の謎」伊藤まさこ著

著者の伊藤さんは、小学校の教員を退職した後に歴史を再度勉強しなおそうと思い立ち、様々な方向から歴史の謎を解明しようと工夫されているということです。 古代には人々の住む平地を囲む山には神秘的なものを感じ、祭りの対象とされていました。 そして、…

「16歳のデモクラシー」佐藤優著

なかなか骨のある文を書く方とお見受けする佐藤さんですが、高校生などに講演をするという活動もされているようです。 そこから発展し、現役高校生に「光の子と闇の子」というラインホールド・ニーバーの書いた本を読ませるという集中講義をやったという記録…

「行動経済学の使い方」大竹文雄著

伝統的経済学では、ホモエコノミカス(合理的経済人)という存在を前提に経済学を構築してきました。 合理的経済人は、利己的で高い計算能力を持ち、すべての情報に通じて合理的意思決定を行うというものです。 しかし、どうも現実の人間はそういった行動を…

「三國志逍遥」中村愿著、安野光雅画

安野光雅さんが2005年から四度の三国志の旅に出かけ、そこで93枚の絵を描いたということは有名かもしれません。 しかし、その一度に本書の本文を書いた中村さんが同行し、三国志について深く考えていたということは知られていないことでしょう。 その紀行に…

「世界の魚をおいしく食べる」野村祐三著

現在では食卓にのぼる魚のほとんどは輸入したものだということはよく知られていることでしょう。 その魚種は日本で知られていたものと少し違うということも以前から問題になることもあり、分類上は少し違うものを日本名に合わせて表示してしまったということ…

「選挙の基礎的研究」宮野勝編著

選挙というもので政治体制が決まるという、民主主義の大本とも言えるのですが、その実効性、公正さなどなど、はっきりしているとは言えないと感じています。 そういった点を描いている本かと思いましたが、この本は中央大学の政治学の教授である宮野さんとお…

「『戦争体験』の戦後史」福間良明著

「戦争体験」といっても現在では高齢者でも戦争時にはせいぜい子供だったということで、戦争の全体像を掴むことは難しくなりました。 しかし、戦後すぐから戦争体験を語る人は居たものの、やはり様々な要因でそこには人により大きな違いがあり、また周囲の想…

「ビジュアル パンデミック・マップ」サンドラ・ヘンペル著

今回のコロナウイルス感染の広がりも世界に大きな影響を与えていますが、人類の歴史ではこれまでにも何度も社会を揺るがすような感染症の広がり、パンデミックというものが起きていました。 そのパンデミックを記した書物は数多いのですが、本書の目新しいと…

「富士山の光と影」渡辺豊博著

富士山などが世界文化遺産に登録されたのが2013年、しかしその時にはクリアすべき条件が付けられていたということはあまり知られていないでしょう。 そして、その条件が守られなければ「危機遺産」入り、そして登録抹消ということも言われていました。 この…