爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

読書記録

「桂東雑記Ⅰ」白川静著

漢文学者にして古代の漢字の権威ともいえる白川静さんですが、この本のあとがきによるとこの本をまとめる20年程前、おそらく白川さんが70歳の頃に京都の桂川の東側に居を構え、引退後のやすらかな生活を送ろうとしたということです。 しかし、その頃から…

「恋愛の日本史」本郷和人著

結婚は家同士で決められ、当人たちは結婚式まで顔も合わせなかったなどと言われますが、どうやらこういった習俗は江戸時代に特に高まったようです。 それも武家などの上流社会が主で、庶民たちは結構おおらかな民俗だったとも言われます。 そういった日本の…

「地中海世界の歴史4 辺境の王朝と英雄 ヘレニズム文明」本村凌二著

本村さんの地中海世界の歴史も第4巻となり、マケドニアとヘレニズム文明です。 時代ごとに区切って各地方を語るのではなく、そのテーマに沿って進めていきますので、前巻と重なる部分もありますが、この巻ではマケドニアを中心とした話になります。 第3巻で…

「北朝鮮 拉致問題」有田芳生著

政権が代わるたびに拉致問題解決に全力を尽くすと言われますが、まったく進展が見られないようです。 著者の有田さんは国会議員として政府の姿勢を追及し続けてきました。 この本は2022年までの経緯をまとめたものです。 政府には拉致問題に関して「極秘…

「地中海世界の歴史3 白熱する人間たちの都市 エーゲ海とギリシア文明」本村凌二著

地中海の古代文明をまとめて記す本村さんのシリーズ3回目、ギリシア文明です。 すでにメソポタミア、エジプトで文明が栄えている時に辺境のエーゲ海周辺にも人々が集まり国を作り出します。 前2000年頃にはエーゲ海文明が始まりますが、その前半はクレ…

「著作権ハンドブック 先生、勝手にコピーしちゃダメ」宮武久佳、大塚大著

著作権は特に現代では何かするたびに抵触してしまうようになってしまったかのように感じます。 特に頻繁に問題が発生しそうなのが学校などの教育現場でしょう。 本書はそういった著作権に関わる現場の教師などを対象に細かい事例を判定し参考にできるように…

「14歳から考えたい 優生学」フィリッパ・レヴィン著

優生学といえばナチスドイツの残虐な実施が有名すぎてそればかりに意識が向いてしまいますが、それは優生学のごく一面であり、他の多くの国で様々なことが行われました。 そして現在でも決してその要素がなくなったとは言えません。 胎児出生前診断というの…

「皇位継承」春名宏昭、高橋典幸、林和明、西川誠著

平成上皇から現在の天皇への譲位は天皇としてはしばらくぶりの事態となりました。 生前の譲位ということはそれまでの皇室典範では禁止されていたためにそれを覆してのものとなりました。 この本はそれがまさに話題になっていた2019年に各時代の天皇家の…

「日本語を、取り戻す。」小田嶋隆著

小田嶋隆さんはコラムニストとしてあちこちで非常に鋭いコラムを書いてきましたが、惜しくも2022年にお亡くなりになりました。 この本は2014年頃から2020年まで、ちょうど安倍政権が数々の問題を引き起こしていた頃に、発表されたコラムをまとめ…

「大名廃業 お取りつぶし・お家断絶の裏側」安藤優一郎著

江戸時代には幕府の命令により大名家が廃絶するという、改易ということが起こりました。 大名家が取りつぶされるとその家臣たちも浪人となりますが、それが改易の多かった江戸時代初期には社会不安を起こすほどの事態となります。 それではそういったお取り…

「深掘り! 日本の地名 知って驚く由来と歴史」宇田川勝司著

地名というものは変わらないようで徐々に変わるものかもしれません。 しかし市町村合併などで全くゆかりのない名前にするなどの事例も頻発すると、そうとばかりも言ってられないかもしれません。 本書は中学高校の地理教育に長年携わり現在は地理教育コンサ…

「宗教と過激思想」藤原聖子著

過激な宗教というと現在ではイスラム教が思い起こされるようです。 しかし過激はイスラムだけに結びつくものではなく、多くの宗教に過激主義というものがあります。 そういった宗教全体に対して解説されています。 ただし、やはりどうしてもイスラムと結び付…

「主権者のいない国」白井聡著

国民主権と言われているこの国で主権者がいないとはどういうことか。 それは自分たちが主権者であるということを忘れ去り、国を食い物にする連中に国の権力を預けたままにしている状態を示します。 この本ではだいたい2018年から2021年の間に、白井…

「地中海世界の歴史2 沈黙する神々の帝国 アッシリアとペルシア」本村凌二著

地中海世界の古代史を描く本村さんのシリーズ第2回、紀元前1000年頃から500年頃までの中東の大帝国を描きます。 表題となっている「沈黙する神々」というのは第1巻「神々のささやく世界」に続いて神と人間の関係を表現しているもので、文明の始まっ…

「万引き 犯人像からみえる社会の陰」伊東ゆう著

万引きは至るところで蔓延しており、商店の経営を揺るがすほどの影響が出ているということです。 この本は万引きを摘発するのが専門の警備会社の保安員である著者が、その実例を多数紹介しているというものです。 保安員は各店舗の職員ということもあるのか…

「男女共学の成立」小山静子、石岡学編著

高等学校の男女共学というものは、今でもすべて行き渡っているということはなく、別学の学校もありますし、男女比が大きいという学校もあるようです。 しかし、戦前までは旧制の中学校、女学校は完全に別学でした。 それが敗戦し占領軍の軍政が始まると学制…

「若者が去っていく職場」上田晶美著

求人難が厳しくなった現在、ちょっとしたことで退職していく若者が多いと言われます。 そこにはどのような要因が隠れているのか。 それを職場で日々悩まされている経営者、管理職に向けて、コンサルタントを長くやってきた上田さんが解説しています。 せっか…

「人はなぜ記憶するのか」チャラン・ランガナス著

記憶というとどうしても高齢になってからの記憶力の後退、認知症といったことに目が向きますが、そもそも人間の脳の働きとして非常に根源的なものと言えます。 この本は記憶と脳との関係について長年研究を重ねてきた神経科学者のランガナスさんが色々な方向…

「地中海世界の歴史1 神々のささやく世界 オリエントの文明」本村凌二著

人類の歴史を5000年と見た場合にそのうちの4000年は古代と言えるものです。 そして西洋文明ではそれは地中海世界と重なります。 その歴史を概観するということはなかなか難しいもので、特に学者の専門分野が細分化されている現代では一人が書くということは…

「東京10大学の150年史」小林和幸編著

明治初年に産声を上げた東京の10の大学が揃って創立150周年を迎えようとしています。 それらの大学ではどこも「150年史編纂事業」というものをやっているようです。 この本ではその担当者たちを集め、その学校の歴史と年史編纂事業について書いても…

「時刻表ひとり旅」宮脇俊三著

鉄道ファンとして様々な著作を発表した宮脇さんの、かなり初期の頃の作品です。 出版は昭和56年(1981年)、まだ国鉄の時代であり、新幹線も東海道山陽新幹線のみで、東北上越新幹線の開業寸前という状況でした。 宮脇さんは鉄道に関して相当な知識を…

「音楽ライターになろう!」妹尾みえ著

音楽に関する文章を書く人、音楽ライターという職業はかつては色々なところに文章を掲載することができました。 数多くの音楽雑誌、そしてライナーノーツ。 著者の妹尾さんは1961年生まれ、若い頃から現在の名称ではルーツミュージック、かつてはブルー…

「ジオ・ヒストリア」茂木誠著

人類社会の変動要因には気象や火山噴火地震などが大きく関わるのは当然だと思いますが、これまでの主流派の歴史学ではそれをあまり重要視することはなかったようです。 本書著者の茂木さんは専門の歴史家ではなく予備校の歴史講師ということですので、そうい…

「不思議3D地形図鑑」今尾恵介著

地形学や地質学というものに興味をひかれ色々な本を読んできましたが、その中に収められている写真や図といったものの出来がどうも今一つといったもののように感じていました。 現場の写真そのままでは、地形の面白さがよく分かりません。 写真はあまりにも…

「口笛のはなし」最相葉月、武田裕煕著

口笛は吹けるという人も多いでしょうが、時々テレビなどでそれを使った音楽が流れることもあると、その演奏の見事さに驚くことがあります。 そんな口笛に関して、作家の最相さんがプロの口笛奏者の武田さんと対談、その色々を聞いていきます。 まず第一章は…

「スローフードな日本!」島村菜津著

ファストフードの蔓延に心痛めて起こったのがスローフードを大切にする活動です。 本書記述によればスローフードという言葉が生まれたのが1986年イタリアでのことだとか。 ローマの街角に世界最大手のファストフードチェーン店マクドナルドが進出したこ…

「淮南子の思想 老荘的世界」金谷治著

「淮南子」とは中国前漢の時代の初期に淮南国の王であった劉安が自らのもとに集まった学者食客たちの論説をまとめた書物です。 自らが著すのではなく食客たちに書かせたという意味では前代の呂氏春秋と似た性格のものかもしれません。 漢帝国は初期の混乱か…

「養老先生、再び病院へ行く」養老孟司、中川恵一著

養老孟司さんは医者でありながら病院には近づきたくないと思っており、診断を受けることもなく検査すら受けずに何十年も経ちました。 しかし急激な体重減少を起こしたため東大病院で診察を受けたところ重度の糖尿病から心筋梗塞を発症したことが分かり治療を…

「なぜ、あなたの料理はちょっとマズイのか?」小田真規子著

著者の小田さんは料理研究家としてこれまでにも料理初心者の指導といったことをしてきたそうなのですが、どうもそういった人たちは共通して何か抜けているところがあるようです。 基本中の基本といったところで、これまでの指導書などにはそこまでは触れない…

「あねのねちゃん」梶尾真治著

梶尾さんの小説はいくつか読んでいますが、様々なネタを使いそれを人々の細やかな生活に混ぜ込みながら独特の世界を作り上げていくように思います。 この小説ではそれが「イマジナリーコンパニオン」というものでした。 イマジナリーコンパニオンとは、特に…