爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

読書記録

「ことばでたどる日本の歴史 幕末・明治・大正篇」今野真二著

今野さんは日本語学が専門ということですが、歴史にも深い造詣がおありということで、歴史を「ことば」すなわち文献や史料で詳細にたどるということをされています。 歴史を簡潔に記載するなら不要なのですが、やはり原資料を基に示すとまた新たな発見ができ…

「アリストテレス 生物学の創造 上」アルマン・マリー・ルロワ著

アリストテレスは古代ギリシャの哲学者ですが、自然の観察も行い、生物の特徴を記載した「動物誌」などの著作もあり、生物学や博物学の始祖ともみなされています。 その後、紀元1世紀にはローマで大プリニウスが「博物誌」を著しましたがその内容は色々なと…

「大人の道徳 西洋近代思想を問い直す」古川雄嗣著

「道徳」を学校教育での「教科」とするということになり、多くの人は国が国家主義的な価値観を子供に押し付けようとしていると感じたのではないでしょうか。 しかし、教育大学で道徳教育ということを研究し学生に講義している著者から見ると、本当は道徳とい…

「となりの心理学」星薫著

放送大学で心理学を教える著者は、放送大学で学ぼうとする社会人たちには非常に強い「心理学への興味」があることを感じています。 一方、授業で心理学を習う学生たちにとっては、あまり人気の無いのも心理学だということです。 やはり、ある程度人間関係や…

「英語の教養」大井光隆著

英語を理解し話すと言っても、文法だけを覚えているだけでは正確な意味を伝えられません。 その言葉の奥に隠れているものは何か。 そこまで理解して初めて英語を理解できたということになるのかもしれません。 著者の大井さんは、長く出版社で英語の辞書や参…

「傑物が変えた世界史 上」アラン・ドゥコー著

歴史と言うものは大きな流れというものはあるものの、変革の時には並はずれた個人の働きが作用することもあります。 その意味では「傑物が変えた」ということもあるのかもしれません。 この本は歴史家でテレビプロデュ―サーでもあるという、フランス人のドゥ…

「偽書が揺るがせた日本史」原田実著

現在進行の事実でもいくらでもフェイクがあるということが明らかになっていますが、歴史を文字で記録するということが始まってすぐに「偽物の歴史」を書いた「偽書」というものが現れました。 何らかの思惑や個人的な目的で偽書を作るという行為は数限りなく…

「MIT 音楽の授業」菅野恵理子著

MIT すなわちマサチューセッツ工科大学です。 科学や工学の大学としては最高峰とも言えるところで、ノーベル賞受賞者も多数輩出しているところです。 そこには「音楽学科」というものも設置され、専門の学生も在学しているのですが、それ以外に全学を対象と…

「日本植民地探訪」大江志乃夫著

歴史学者で日本近代史が専門の大江志乃夫は、1995年日本敗戦から50年が経過したころにその機会にかつての日本の植民地を回って見ることを思い立ちます。 その時大江は60代後半でした。 1945年の敗戦時にはまだ学生でしたので、戦前の植民地時代には訪れたこ…

「ドリーム・ハラスメント」高部大問著

「ドリーム」は「夢」そして「ハラスメント」は最近ではセクハラ、パワハラなどでおなじみになった言葉です。 しかし、ドリームとハラスメントとが結びつくとはどういうことでしょうか。 著者のの高部さんは、大学で事務職員として学生のキャリア創造つまり…

「『バカ』の研究」ジャン=フランソワ・マルミオン編

「バカ」といっても色々あるのでしょうが、フランス語で「Connerie」、辞書で調べると「愚行」などという訳があります。 つまり知識の量やIQなどには関係なしに、愚かなことをしてしまうという「バカ」なのでしょう。 フランスの心理学者で心理学専門誌(そ…

「消滅絶景」ナショナルジオグラフィック編、吉田正人監修

「はじめに」に記されているように、本書では「世界から失われてしまった、あるいは消失の瀬戸際にある自然や生物の姿を写真でめぐる」ということを行っています。 それを見ていると、今では見ることのできなくなってしまった、風景や動物、植物の姿を目にし…

「だから拙者は負けました」本郷和人監修

図書館の本の借り出しがネット予約になり、実物を見ないで借りるようになりましたので、手に取っていれば読むはずのないような本を読む事態になっています。 この本も子供から若者向きで、マンガも取り入れており若者言葉満載のものです。 しかし、一応歴史…

「日本語の奥深さを日々痛感しています」朝日新聞校閲センター

朝日新聞校閲センターとは、新聞発足時には「校正係」であったものが「校閲部」となりさらに「校閲センター」として現在は東京本社で53人の陣容で活動しているということです。 一般人よりはおそらく少しは言語や文章に詳しいかもしれない新聞記者諸君ですが…

「日本全国特急大百科」旅と鉄道編集部編

図書館休館の影響で、読む本が少なくなりました。 この本は市立図書館の電子図書館という、ネットから読めるものから選んだのですが、中身を見ると漢字にはフリガナがふってあり、どうも子供用の本のようです。 電車好きの幼稚園の孫が喜びそうな本でした。 …

「時代と共に消えゆく遊び」内田元明著

著者の内田さんは1943年八代市の生まれ、少年期を郊外の海山で過ごしました。 副題にもあるように、1955年(昭和30年)の故郷の様子を細かく描いた挿絵を添えて描写しました。 内田さんが小学校高学年のころのことでしょうか。 今では許されないこ…

「話を聞かない男、地図が読めない女」アラン・ビーズ、バーバラ・ビーズ著

もうかなり前の本ですが、出版当時には世界的に話題になったものです。 取っつきやすい、一般受けの書名のように見えますが、実はこの内容を極めて学術的に、しかし語り口は易しく書いています。 今ではさらに激しくなっていますが、欧米ではこの本の出版の2…

「再読:㈱貧困大国アメリカ」堤未果著

2013年出版のこの本をその後かなり早い時期に読んだのですが、その時の読書記録を見るとかなり興味の対象も変わっているようですので、もう一度書いておきます。 「㈱貧困大国アメリカ」堤未果著 - 爽風上々のブログ 今回一番印象が深かったのは冒頭の部分で…

「新幹線不思議読本」梅原淳著

1964年、前の東京オリンピック開業の直前に開業して以来、全国に路線を伸ばし走り回っている新幹線ですが、その詳細はあまり知られていないことかもしれません。 子どもの頃から鉄道ファンの私ですが、この本の知識はかなり細部にまで及んでおり、知らないこ…

「ときめく微生物図鑑」鏡味麻衣子監修、塩野正道・塩野暁子写真

生物界の圧倒的多数は微生物なのですが、それについての認識は少ないようです。 微生物と言っても古細菌、細菌からカビやキノコといった真菌類、そして藻類と様々ですが、その広い範囲の微生物を非常にきれいな写真と共に紹介しています。 特に、藻類の写真…

「世界を変えた10冊の本」池上彰著

本には人を動かす力があります。 池上彰さんが、その中でも特に強く世界を動かした本を10冊選び、その概要を解説しました。 選んだ10冊とは、 「アンネの日記」「聖書」「コーラン」「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」(マックス・ウェーバー)…

「その物言い、バカ丸出しです」梶原しげる著

著者の梶原さんはアナウンサーとして活躍されていましたが、その後大学院に入りなおして心理学を学んだということです。 梶原さんにとっては、特に若い人(ばかりではありませんが)が使う言葉に気になることが多く、それも単に言葉づかいが悪いというだけで…

「『ニセ医学』に騙されないために」NATROM著

「ニセ医学と闘う内科医」NATROMさんは、その「NATROMのブログ」を以前から読ませていただいていましたが、書籍も何冊か出版されています。 そのうちの最初に刊行したものがこの本です。 なお、この本のみ著者名を「NATROM」としていますが、その後の本は「…

「無敵の雑学」なるほど倶楽部編

またまた、「出張帰りの電車車内で読み飛ばす」タイプの本で、おそらくかつて会社勤めの折りにその用途で買った本でしょう。 「なるほど倶楽部」という匿名のライターの編ということで、様々な項目の雑学を次々と羅列しているというもので、他愛ないと言えま…

「グローバル・タックス 国境を超える課税権力」諸富徹著

グローバル企業と言う、国境を越えて活動する超大企業がさらにその権力を強めているにも関わらず、それを統制し課税すべき国家と言うものはいまだに一国の国境の中だけに留まっていては、企業のやり放題は止めようもありません。 しかし、「トービン税」とい…

「フィッシュ・アンド・チップスの歴史」バニコス・バナイ―著

魚とジャガイモのフライ、フィッシュ・アンド・チップスはイギリスの国民食とも言われますが、他の国のそういった料理とは違って「家庭料理」という性格はないようです。 そこにはイギリスが他の諸国とはかなり違った歴史をたどっているということも関係して…

「目的に合わない進化 上」アダム・ハート著

人も動物としての進化を重ね現在の状況になっているのですが、ここ1万年あまりの急激な社会の変化でせっかく進化で取得した形質が役に立たなくなっているようです。 こういった趣旨の本はこれまでにも読みましたが、この本も昆虫学者にして一般向けの生物に…

「ハヤカワ文庫SF総解説2000」早川書房編集部・編

「ハヤカワ文庫SF」は1970年、早川書房より娯楽SF路線の叢書として創設され、多くの人気シリーズを次々と発行してきましたが、2015年に2000冊に達しました。 それを機に、これまでの2000冊を振り返り100人以上のSF作家や評論家がレビューするという企画を「S…

「『世界史』で読み解けば日本史がわかる」神野正史著

著者の神野さんの本は前に一冊読みました。 sohujojo.hatenablog.comそこでは「語り口は分かりやすくポイントを強調する」という感想を書いていますが、この本でもその印象は同様です。 ただし、ここでは「日本史だけを見ていては分からないことが世界全体を…

「なぜ必敗の戦争を始めたのか 陸軍エリート将校反省会議」半藤一利編・解説

偕行社(かいこうしゃ)と呼ばれる陸軍将校の集会所がありました。 終戦とともに解散したのですが、その後陸軍OB有志により再開され旧陸軍軍人そして現在では陸上自衛隊の元幹部の懇親や通信連絡の活動を続けています。 そこで発行され会員に配布されている…