爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

読書記録

「結局、ウナギは食べていいのか問題」海部健三著

ウナギがどんどんと減少していき、「絶滅危惧種」に指定されるとかいった話題も出るようになりました。 それでも、価格高騰しているとはいえ夏の土用の丑の日あたりにはスーパーでは蒲焼が並んでいますが、「本当にこれ食べていいの」と感じる人も多いのでは…

「絶滅事典」造事務所編著

20世紀末という時代はすでにかなり昔の話になってしまったのでしょう。 その頃にあった「モノ・コト」というものは、多くが絶滅しかけているようです。 私から見ればまだ記憶に新しいそういった事物について、取り上げれば懐かしいと思ってくれる読者もいる…

「機能獲得の進化史」土屋健著

生物というものは「機能」の獲得によって大きく変化していきました。 新たに獲得した機能によって、その生活自体が大きく変わるということも起きました。 そのような「機能獲得」について、化石などに見られる進化の歩みからその最初の頃の様子を語る本です…

「モンゴルの残光」豊田有恒著

現在の講談社文庫は1999年が初版発行ということですが、それに収められているハヤカワ文庫版出版の際に書かれた著者あとがきが昭和48年、そしてこの作品を著者が最初の長編小説として書いたのがその6年前と言うことですので、昭和42年でしょうか。 かなり早…

「左遷論」楠木新著

日本の会社員にとっては常に意識にあるかのような「左遷」という言葉です。 これは日本独特の風習とも言えるようですが、それを作り出してきた日本における会社組織というものと強く結びついているようです。 著者の楠木さんは生命保険会社に長年勤務し、営…

「戦国『おんな家長』の群像」黒田基樹著

「家長」とはその家で一番偉くて決定権を持つ人のことです。 家制度が強固で、家全体として外敵に立ち向かわなければならなかった戦国時代ですが、そのような時代だからこそ、女性が家長を務めなければならないということがよくあったようです。 数年前にNHK…

「漢字とは何か 日本とモンゴルから見る」岡田英弘著、宮脇淳子編・序

中国を中心としたアジアの歴史から、世界史までを見据える歴史観を持ち、これまでの概念を覆すような著書を数多く著した岡田英弘さんですが、2017年にお亡くなりになりました。 岡田さんの著作の中には、特に「漢字」というものに着目しそこから様々なことを…

「人を襲うクマ」羽根田治著

山に食物が少なくなったためか、クマが人里にまで出没することが多くなり、人的な被害も出て死者も発生しています。 そのようなクマとの遭遇事例を詳述し、さらにクマの生態学者である山崎晃司さんの解説も加え、被害を少しでも小さく止めようと書かれた本で…

「池上彰の メディア・リテラシー入門」池上彰著

「リテラシー」とは「読み書きの能力」ということです。 したがって、メディアリテラシーと言うとテレビや新聞、インターネットまで含む「メディア」というものを理解する能力ということになります。 新聞やテレビだけでも読みこなす能力がなければ無批判に…

「12人の浮かれる男」筒井康隆著

SF小説家として有名な筒井さんですが、若い頃から俳優になりたかったということはよく知られていることだと思います。 巻末の解説に、演出家の川和孝さんが書かれていますが「筒井康隆氏は喜劇役者になりたいと思い出したのが小学校4,5年の頃」だったという…

「もの忘れの達人たち」トム・フリードマン著

年を取るともの忘れがひどくなると言いますが、忘れること自体は若い人たちでもしばしば起きることです。 大事なことがすっと出てこないという経験をすると、がっかりして自己嫌悪に陥るかもしれませんが、そういう時にこの本を読むと、天才、偉人といった人…

「民族とネイション ナショナリズムという難問」塩川信明著

グローバリズムがますます進行していますが、その一方で民族やナショナリズムというものが強力になっているようにも見える世界です。 しかしそもそも「民族」「エスニシティ」「ネイション」「ナショナリズム」という言葉の意味自体、きっちりと決まっている…

「焼酎一酔千楽」鮫島吉廣著

鹿児島大学は農学部に「焼酎・発酵学教育研究センター」と「焼酎」を看板に掲げる組織を持つ国内唯一の大学ですが、それは平成18年度に発足した寄付講座、「焼酎学講座」に始まります。 これは当時の鹿児島大学理事・副学長の竹田靖史氏が薩摩酒造常務であっ…

「SFが読みたい! 発表!ベストSF 2006年版、2011年版」SFマガジン編集部編

若い頃は盛んに読んだSFですが、このところまったく手に取れなくなりました。 久しぶりに最近の(といっても少し前)ベストSFの評を集めたSFマガジン誌の本を読みました。 驚いたことに、と言うか、当然ながら、と言った方が良いのか、取り上げられている小…

「サル化する世界」内田樹著

内田樹さんは常日頃「内田樹の研究室」というブログでその鋭い社会観察を見せて頂いていますが、思想家とも言われるその的確な話しぶりから、雑誌や新聞などのメディアに求められて文章を書くことや、講演会などの場で意見発表の場が多くなっています。 それ…

「悪魔の辞典」アンブローズ・ビアス著

19世紀のアメリカの小説家、ジャーナリストであったビアスが、長年書き続けてきた警句をまとめたものがこの「悪魔の辞典」です。 社会の様々なものに対する風刺の精神が詰まっているものですが、そこから長い時間が経ってしまった今では、何に対する風刺かす…

「宛字百景」杉本つとむ著

「宛字」とは「あてじ」であり、通常の表記では「当て字」の方が普通ですが、そこはこういった本を書く著者ですので、理由があってのことでしょう。 漢字とはもちろん中国で生まれて日本に伝わってきたものであり、元はそれぞれの字に意味があり読み方も(時…

「日本の街道 ハンドブック」竹内誠監修

道というものは古代から存在していたのでしょうが、「街道」となると特に江戸時代になって大きく発展しました。 古代ローマのようにすべてを石畳にしてしまうということはなかったものの、各地に宿場町を作るなど整備されました。 そのような街道について、…

「三国志名臣列伝 魏篇」宮城谷昌光著

後漢末からの乱世から魏呉蜀の三国が並び立ち抗争を続けた三国時代については、正史三国志、そしてそれを通俗化した三国志演義、さらにそれらを基に書かれた多くの小説などが親しまれています。 中国古代を舞台とした歴史小説で多くの著作がある宮城谷さんも…

「代議制民主主義」待鳥聡史著

日本の政治の現状は民主主義などとは程遠く、抜本的改革が必要ではとかねてから感じていましたが、それではどうすれば良いのかと言われても何も分かりませんでした。 それを本書の内容を読んだうえで考えてみると、確かにおかしいのは事実ですが、それをどう…

「超一極集中社会アメリカの暴走」小林由美著

アメリカでは「1%対99%」ということが言われてきました。 つまり1%の富裕層が富のほとんどを独占し、99%のその他大勢はどんどん貧困化していくということで、格差の拡大を表しています。 しかし、実際には1%どころか0.1%、いや0.01%のほんの少…

「体育会系 日本を蝕む病」サンドラ・ヘフェリン著

「体育会系」という、書名の言葉を見るだけで著者が何を言いたいのか分かるようなきがします。 もちろん、言わずと知れたあの大学などでの「本格的」運動部や応援部などに見られるような体質のことを表しています。 著者のサンドラさんは日独ハーフで学校教…

「地球科学者と巡る ジオパーク日本列島」神沼克伊著

ジオパークは世界遺産と同様にユネスコによって推進されている運動ですが、世界遺産ほどの知名度は無いようです。 しかし、日本列島というのは地学的な眼から見るとその様々な現象が集まっているかのような場所であり、2021年の時点で世界遺産認定が23である…

「『失われた名画』の展覧会」池上英洋著

「失われた名画」というものがあります。 歴史上これまでに描かれた絵画(彫刻、壁画も含む)は無数にありますが、実際にはそのほとんどは失われています。 しかし、中には他の文献などに紹介されていたり、その複製(模写や写真など)が残っているために実…

「世界の『住所』の物語」ディアドラ・マスク著

本の題名から、この本は世界の「地名」を民俗学的に扱ったものかと思いましたが、ちょっと違っていたようです。 まず、「住所」ということから日本的な「地名」かと思ったのですが、他国の描写ではほとんどが「通り」の名前でした。 これは欧米ではほとんど…

「言語学バーリ・トゥード」川添愛著

「バーリ・トゥード」とはポルトガル語で「なんでもあり」を意味するそうで、ブラジルで流行していた格闘技の名前だそうです。 この本は言語学者の著者が、言語学についてユーモアたっぷりのエッセーを書くというもので、東大出版会の月刊冊子「UP」に連載さ…

「英仏百年戦争」佐藤賢一著

フランス中世などを題材とした小説を多数発表されている佐藤さんですが、もともとはヨーロッパ中世史を専攻して学位を取られたということです。 この本ではその知識をそのまま本として、いわゆる「英仏百年戦争」を描いていきます。 英仏の百年戦争といえば…

「日本語と外国語」鈴木孝夫著

言語学者の鈴木孝夫さんは今年お亡くなりになりました。 日本語と外国語との関わりなど多くの本を出版され、私もかなり以前から拝読していたものです。 この本は岩波新書ですが、1990年に初版発行でこれまで知らなかったというのは意外なほどです。 盲点に入…

「わが集外集」陳舜臣著

魯迅に「集外集」というものがあり、その作品は新聞・雑誌に掲載されてもすぐに集められて出版されるのですが、中には漏れていたものがあり、それを集めて一巻とした書物が「集外集」だったそうです。 それにならい、陳舜臣さんも短篇で雑誌に発表したものの…

「いまはそれアウトです!」菊間千乃著

最近は法律を厳守しなければならなくなったという風潮が強まったように感じます。 その割に労基法や選挙資金規正法、道交法などはあまり順守されていないようですが。 また、新たに法律が制定されているということがあまり知られていないということもあるよ…