爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

読書記録

「敗北を抱きしめて 下」ジョン・ダワー著

太平洋戦争での日本の敗戦から、占領時代に何が起きたのか、豊富な資料と洞察力で明らかにしたダワーさんの「敗北を抱きしめて」上巻に続いて下巻も読みました。 上巻では、敗戦当時の人々の心情や生活などをまとめていましたが、この下巻では占領軍と天皇が…

「シルクロードをつなぐ昔話 中国のグリム童話」百田弥栄子著

ドイツのグリム兄弟が古代ゲルマンの民話や伝説をもとに童話集を刊行してから約200年経つそうです。 しかし、その中の有名な話とそっくりのものが中国各地の民話として残っているということはあまり知られていないようです。 本書著者の百田さんは長年にわた…

「嗅覚はどう進化してきたか」新村芳人著

「匂い」を感じるとはどういうことなのか。 その機能を研究していくと不思議な生物の働きが分ってきます。 香料というものは、人類の文化が生まれた当初から重要な働きをしていました。 イエスが産まれた時に東方からやってきた三賢人は黄金・乳香・没薬の贈…

「やっぱり、このゴミは収集できません」滝沢秀一著

著者の滝沢さんは漫才師として活動しているものの、結婚し子供もできたために定収がなければと考えてゴミ収集会社に就職したそうです。 ゴミを収集していると色々な社会の姿が見えてくるということで、その体験をツイッターで公表すると人気を集めました。 …

「再読:戦国時代の大誤解」鈴木眞哉著

戦国時代について多くの人々が持っている印象の多くは誤解だというこの本は、かなり以前に読んでいましたが、まだこのブログで書評を書き出した初期の頃で素っ気ないものでしたので、書き直してみます。 歴史好きという人は多く、その興味の向かう先は戦国時…

「指揮者の役割 ヨーロッパ三大オーケストラ物語」中野雄著

「指揮者の役割」と題していますが、内容はヨーロッパ三大オーケストラ、すなわちウィーン・フィル、ベルリン・フィル、アムステルダム・ロイヤル・コンセルトヘボウとその指揮者との物語といったところでしょうか。 著者の中野さんは現在は音楽プロデューサ…

「敗北を抱きしめて 上」ジョン・ダワー著

先日読んだ「新現代歴史学の名著」という本の中で紹介されていたものです。 それに惹かれていつもの市立図書館の蔵書を調べたらあったので、借りてみました。 著者のダワー氏は1938年生まれのアメリカの歴史学者で、終戦時にはまだ7歳、終戦後の日本と…

「感染症、AI新時代を生き抜く 科学知識の身につけ方」竹内薫著

サイエンスライター、(本書の著者肩書には「科学作家」とあります)で数多くの著書を書いている竹内薫さんが、感染症やAIの脅威(この2つを並べるのもなんですが)に立ち向かうために読んでおくべき本をあげているという本です。 前書きには「私は”本を読…

「発掘! 歴史に埋もれたテレビCM」高野光平著

民間テレビが放送を始めたのは1953年8月、テレビCMというものも始まりました。 しかし残された映像がほとんど無かったためにその初期の姿というものはほとんど知られていませんでした。 ところが、映像制作会社のTCJという会社が製作したフィルムが同社の倉…

「かけひきの科学」唐津一著

「かけひき」というとポーカーなどのゲームで様々な手を使って勝ちを収めるというイメージがありますが、実は国と国との外交、戦争、会社の間の競争などあらゆる交渉には付き物です。 それが分かっていない日本の国家外交は上手く行かないというのも明らかで…

「憎しみに未来はない 中日関係新思考」馬立誠著

著者の馬さんは中国の人民日報の論説委員であった2002年に「対日関係の新思考」という意見を発表し、中国国民から激しい非難を浴びました。 その中では、硬直した反日意識を改めて中国と日本とで新たなアジアの体制を作るべきだとしたのですが、それが反日感…

「新・現代歴史学の名著」樺山紘一編著

本書の前篇、「現代歴史学の名著」が刊行されたのは1989年でした。 そこには、津田左右吉、ホイジンガ、ブローデル、フーコーなど、素人の私でも知っているような名著が並べられていたのですが、それから20年が経ち(本書刊行は2010年です)さすがに「現代」…

「ニッポンの個人情報」鈴木正朝、高木浩光、山本一郎著

個人情報の保護ということがよく聞かれるようになり、また情報漏洩という事件もしばしば起きています。 また、「ビッグデータの利用」ということも言われていますが、それも個人情報かもしれません。 こういったことに詳しいお三方が、「プライバシーフリー…

「歩行者事故はなぜ起きるのか」松浦常夫著

自動車の性能が向上し事故があっても自動車乗員の被害は少なくなりましたが、歩行者の被害はなかなか減ることはありません。 そこには歩行者の心理、道路などの構造、運転者の死角など多くの要素がからんでいますが、これまでは中々そこを詳しく掘り下げた研…

「人類を変えた素晴らしき10の材料」マーク・ミーオドヴニク著

材料といえば何かを作るための元になる物質という意味で使われる言葉ですが、「材料科学」と言えば科学の一分野で様々な用途のために使われる物質、およびその新材料を作り出すという機能を持つものです。 著者のミーオドヴニクさんはその材料科学の研究者で…

「車掌の仕事」田中和夫著

鉄道の列車の車掌と言えば、列車の一番後ろの車掌室に乗っていて、ドアの開け閉めをして車内放送をするというのがイメージでしょうが、実はその他にも多くの仕事をこなしているようです。 著者の田中さんは昭和27年に当時の国鉄に入り、その後車掌となって昭…

「ポスト西洋世界はどこに向かうのか」チャールズ・カプチャン著

近代から現在に至るまで、西洋(欧米)が世界中を支配してきました。 しかし、どうやらその体制はいつまでも続くわけではなく、近いうちに大きく変動しそうな様相となっています。 西洋モデル、すなわち「自由民主主義」「資本主義」「世俗ナショナリズム」…

「世界史を変えた13の病」ジェニファー・ライト著

今正に「病気が世界を変えようとしている」時ですが、この本は2017年に原著が出版されたということで、当然ながら新型コロナウイルスには触れていません。 エイズすら章立てしての記述はなく、最後はポリオで終わっています。 人類が文明化し密集して住…

「日本中世への招待」呉座勇一著

日本において中世とは源平合戦の平安末期から戦国時代までを指します。 その前後の時代と比べはるかに物騒な、戦乱相次ぐ時代だったのですが、そのために歴史小説や映画として取り上げられることも多いため、「自分は中世に詳しい」と考える歴史ファンも多い…

「使ってみたい 武士の日本語」野火迅著

つい150年ほど前まで、日本には「武士」と呼ばれる人々がたくさんいました。 しかしあっという間に彼らは消え去ってしまったかのようです。 それとともに、彼らの使っていた言葉も多くは消えました。 ただし、消えて誰も使わなくなった言葉のようで、何か聞…

「おみやげと鉄道 名物で語る日本近代史」鈴木勇一郎著

「おみやげ」というのは日本では身近なものですが、世界的に見るとかなり変わった風習のようです。 英語に訳そうとすると「souvenir」(スーヴェニア)とするのでしょうが、実は欧米でのスーヴェニアというものは、旅の思い出として自分自身のために買うもの…

「経済学者に聞いたら、ニュースの本当のところが見えてきた」日本経済新聞社編

経済というものはどうも分かりにくいものですが、金の動きというものは誰にでも関係があり、政治の動きも経済に左右されます。 知らないでは済まされないのですが、簡単には分からないものでしょう。 それをできるだけ分かるように、日本経済新聞社が11人の…

「中世騎士物語」ブルフィンチ著

トマス・ブルフィンチはアメリカの19世紀の作家ですが、ヨーロッパの神話や伝承に詳しく様々な著作があります。 この本は、The Age of Chivalry (1858)の訳で、訳者は野上弥生子さん、1942年に初版発行、この本は改版で1980年に出版されたものです。 内…

「皇族 天皇家の近現代史」小田部雄次著

「皇族」というと、天皇の兄弟や従兄弟、そしてその子や孫といったイメージを持っていましたが、一方では「元皇族」という人々が現れたりして、あれはいったい何なんだと思ったり、ほとんど知識を持っていませんでした。 この本の著者の小田部さんは近現代史…

「『先送り』は生物学的に正しい」宮竹貴久著

著者の宮竹さんは進化生物学者ですが、大学院終了後沖縄県庁に入りそこで10年以上働いた後に大学に戻り研究生活に入ったということで、俗世間のことにも通じているのでしょうか。 進化生物学とは、色々な生物の行動や生態などが進化の必然性で説明がつくと…

「逆立ち日本論」養老孟司、内田樹著

本書は養老さん、内田さんという、様々なところで色々な意見を発表されているお二方が日本についてということで対談し、その内容をまとめたというものです。 2006年に季刊誌「考える人」という本の企画で行われたものを2007年に出版されました。 したがって…

「図説 歴代アメリカ大統領百科」DK社編、大間知知子訳

今回のアメリカ大統領選挙は特に興味を集めたのですが、そういえばこれまでの歴代大統領で名前だけでも知っているのはわずかなものだなと感じます。 そういった人向け?の、歴代アメリカ大統領一人一人についての略歴やエピソード、有名なファーストレディー…

「クラシック音楽とは何か」岡田暁生著

クラシック音楽という芸術の分野があります。 時々それが大好きという人に出会いますが、たいていちょっと付き合いづらいという雰囲気のように感じます。 それを聞くのはコンサートホールとかいう、普段はほとんど行かないような場所で、結構気張った格好を…

「憲法改正とは何だろうか」高見勝利著

著者の高見さんは、憲法が専門の法学者です。 そんな高見さんが、安倍内閣が進める憲法改正について、そのあまりにも粗雑な進め方に危機感を持ち、「憲法改正とは何だろうか」という基本を世に問うたものです。 憲法とは何か、そして憲法を変えるということ…

「古代ローマ帝国 1万5000キロの旅」アルベルト・アンジェラ著

著者は古代ローマの日常を描いた前著「古代ローマ人の24時間」が好評となったのに気を良くし?、さらに範囲をローマ帝国全域に広げてこの本を書きました。 時は紀元115年、トラヤヌス帝の治世のもと繁栄していたローマ帝国のほぼ全域を、ローマで鍛造さ…