爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

科学全般

畝山智香子さんの「野良猫通信より」マイクロプラスチック、ナノプラスチックの標準測定法はまだない。

マイクロプラスチック、ナノプラスチックは環境中に大量に放出され、人体にも蓄積し悪影響を与えていると言われています。 (マイクロプラスチックは5㎜以下、ナノプラスチックは1μm以下) しかし、どのようにその実験を行っているのか、実はまだ標準試験法…

大量絶滅は超大規模火山噴火のためか。

これまでに起きた生物の大量絶滅についてはその原因が何かという多くの学説が出ていますが、これらは考えられないほどの超巨大火山噴火のせいではないかということです。 natgeo.nikkeibp.co.jpこの記事の中で紹介されている「ビッグファイブ」という5つの…

NATROMさんが「権威が有望な科学をつぶす」ことについて議論しています。

「ニセ医学と戦う」内科医NATROMさんはあれこれと活躍されています。 この前のテレビドラマでやなせたかしさんが扱われた際、やなせさんの奥様がガンに罹患し通常の医療では間に合わない事態となったのですが、そこで丸山ワクチンを使用して余命を伸ばしたと…

「なぜヒトだけが老いるのか」小林武彦著

もう人生の残りも少なくなり、老化の真っ只中の私ですが、この本の題名「なぜヒトだけが老いるのか」を見て驚きました。 老いるというのは人間だけのことなのか。 そして読んでいくうちにそうだったのかと大きく納得できました。 そもそも生物はなぜ死ぬのか…

ノセボ効果、野良猫通信で畝山智香子さんが解説。

プラセボ効果(偽薬効果)というのは有名でしょうが、それと対する概念の「ノセボ効果」について、FOOCOM.NETの野良猫通信で畝山智香子さんが解説していました。 foocom.net プラセボ効果とは、何も有効成分の入っていないものでも体に良いと医師などに処方…

「サイエンス異人伝」荒俣宏著

科学や技術の発展には多くの人々の力が関与しています。 それを見るのに好適なのが各地にある博物館でしょうか。 この本では近代の科学を物語として語っていこうというものですが、特に19世紀から世界をリードしてきたドイツ、そしてその後科学をビッグビジ…

「今 地球は?人類は?科学は?」中村桂子著

中村桂子さんは生命科学研究者として有名な方ですが、このところご自分の研究分野を「生命誌」として、地球全体の生命を考える活動を続けられています。 そのような中村さんが、これまで半世紀にわたって読んできた本の書評を集めたのが本書です。 おおまか…

バイオエタノールの分離精製法に新たな装置、それでも現実化は遥か先か。

バイオエタノールは植物から発酵で作り出してもそこから先の高濃度に精製する工程に非常にエネルギーが使われることが問題でした。 その新技術を三菱重工が開発しているということです。 www.mhi.comこの装置の原理が「分子ふるい膜分離方式」ということで、…

大気中からCO2を直接回収する、ただし吸収剤とそこからのCO2離脱が問題。

万博会場で大気中のCO2を直接回収する装置の運転が公開されているそうです。 newswitch.jp ダイレクト・エア・キャプチャーと称する装置だそうですが、地球環境産業技術研究機構が開発したもののようです。 空気を吸収剤を固定した網に通すとCO2を吸着、その…

蘭奢待の精密科学分析実施

正倉院に収められている香木「蘭奢待」は足利義政や織田信長が求めて切り取ったなどと伝えられている宝物ですが、これまでその正確な分析はされていませんでした。 このたび、専門家に依頼して詳しい成分分析が行われたということです。 scienceportal.jst.g…

「大陸はどのように動くのか」吉田昌樹著

現代ではプレートテクトニクス学説がほぼ受け入れられ、その運動により大陸も移動しているということが理解されますが、1912年にウェゲナーが大陸移動説を発表した時には大きな批判を受けました。 大陸の形、動植物の分布などからそれを構成したのですが…

「地質年代」に触れたがための年代感覚

いつの頃からか地質学や地球科学というものに興味をひかれ、いろいろと本を読んだりしていますが、それで変わったものが「年代感覚」でしょう。 通常の時間感覚では人間の寿命が最大の時間軸で、せいぜい100年。 10年というとかなり長い時間で、5年が…

現代の錬金術、核融合炉で水銀から金を作り出す

核融合炉で発生する中性子を使って水銀から金を作り出すという夢のような話を、アメリカのスタートアップ企業が示したということです。 nazology.kusuguru.co.jp かつての錬金術師たちは水銀などの卑金属から金を作り出すということを夢見ていろいろと努力を…

「自閉症は津軽弁を話さない」松本敏治著

副題を見た方が内容を想像しやすいかもしれません。 「自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く」というものです。 著者は発達障害を専門に研究し、長年障害児の相談・支援を続けているということです。 現在は弘前大学にいらっしゃるということです。 著…

「民間療法は本当に『効く』のか」大野智著

民間療法、正式には補完代替療法と呼ぶのですが、健康食品やサプリメントの他、マッサージやヨガ、鍼灸まで含まれます。 玉石混交というか、石ばかりというような気もしますが。 しかし世の中にはそういったものがあふれており、コマーシャルも延々と流れ続…

「日本の国石『ひすい』」日本鉱物科学会監修、圡山明編著

国の鳥、国鳥としてキジ、国の蝶、国蝶としてオオムラサキがそれぞれ日本鳥学会、日本昆虫学会によって定められています。 同様に、国の石、国石を決めようということが日本鉱物科学会で図られ、会員による選定により「ひすい」が選ばれました。 そこでこの…

生成AIに「乳酸菌の過大評価」について聞いてみました。

日本では乳酸菌というものが多くの健康課題を解決してくれるかのような評価をされていると感じます。 それをさらに過熱させているのが企業での商品化とそのマーケティングでの過剰ともいえる宣伝だとも。 これについて生成AIに尋ねてみました。 ChatGPTに「…

「波のはなし 科学の眼で見る日常の疑問」稲場秀明著

「波」という物理現象は様々な面から私たちの周囲で影響を及ぼします。 振動するものが電子か、空気か、水か、大地かといった違いはありますが、それぞれ光、音、海の波、津波、地震といったものとなります。 そういった波ですが、その実体というものはさほ…

「土と生命の46億年史」藤井一至著

副題にあるように「”生命”と”土”だけは、人類には作れません」は意外に思えることではないでしょうか。 生命はまだしも、土は何となく作れるような気もします。 しかし「土」すなわち土壌というものがどういうものか、それを本書で読んでいくうちにそれも納…

「零の発見」吉田洋一著

数学分野では古典的名著ともいえる本で、初版はなんと1939年に発行。 その後1956年、1979年、2015年に改版されています。 著者の吉田さんは1923年に東大理学部卒業、その後数学者として活躍していたのですが、はしがきによれば病気療養…

「進化論の進化史」ジョン・グリビン、メアリー・グリビン著

進化論というものについて一般的な印象は、本書末尾に訳者の水谷淳さんが書いているように「古来生物のことを何一つ知らなかった人類の中でただダーウィンだけが真理を見抜きひそかに壮大な思索を巡らせ、そして突如として世界中の人々に生物は進化するとい…

「脳と音楽」伊藤浩介著

音というのは空気の振動であり物理現象です。 しかし人間が聞く「音」というのは決してそれだけに止まるものではなく、人間の脳が深く関与して受け取っているもので、物理現象の音波そのものとは異なります。 そうして、その音を使って組み立てる音楽という…

「学力喪失 認知科学による回復への道筋」今井むつみ著

今井さんの本は以前に他の共同研究者たちとの共著の「算数文章題が解けない子どもたち」というものを読み、かなり衝撃を受けました。 算数の文章題を解くにあたり、そもそもその問題の意味が分かっていないようだということでした。 sohujojo.hatenablog.com…

アメリカ政府がMAHA委員会報告書公表、こんなものが公式文書かと畝山智香子さんが嘆く。

アメリカ政府がMAHA(Make America Health Again)委員会というところで検討してきた結果を公表しました。 これについて畝山智香子さんがFOOCOM.NETで嘆いていました。 foocom.netその気持ちを表した文章が次の通りです。 私はこの手のあまり学ぶところのな…

「シャーロック・ホームズの科学捜査を読む」E.J.ワグナー著

シャーロック・ホームズの活躍はイギリスのヴィクトリア女王の時代にあたりますが、その頃は科学が社会のあちこちに広まりだした時期でもありました。 それを受けてホームズの捜査も当時最新の科学が応用されていたとも言えます。 そのような科学捜査とはど…

「地図とデータで見る 生物多様性の世界ハンドブック」サラ・ボルトラミオル、エルヴェ・プレディフ、ローラン・シモン著

生物多様性が失われていると言われていますが、その実情はというとなかなかイメージしにくいものでしょう。 それを豊富な実例のデータと世界全体の地図で示そうという本で、見ると分かりやすいと感じさせられます。 本書の著者はフランスの研究者ですが、世…

「肥料争奪戦の時代 希少資源リンの枯渇に脅える世界」ダン・イーガン著

元素番号15番のリン(P)は空気中で発火しやすい性質から焼夷弾に使われたこともあり、それが現在でも残っていて誤って触れた人々に火傷を負わせることがあります。 そのために悪魔の元素などと言われることもあります。 しかしリンはそれ以上に重要な役割…

「身のまわりのあんなことこんなことを地質学的に考えてみた」渡邉克晃著

地質学とは岩石や地層など地面の下のことを考える学問です。 その成果として鉱物や土壌など私たちの生活に多くのことが役立っています。 しかし学校で習うこともあまりないためか、それについて知らない人が多いようです。 そこで、「身のまわりのあんなこと…

グリホサート多使用地域で出生時体重が減少?という論文について、リスク学者永井孝志さんのブログより

永井孝志さんのブログで、「グリホサート多使用地域では乳児の出生時体重が減少している」という論文が掲載されたということが紹介されていました。 nagaitakashi.net PNAS誌という論文誌がどのようなものかは知りませんが、あまり程度の高いものではないよ…

永井孝志さんのブログ「リスクと共により良く生きるための基礎知識」が始められて5年になったそうです。

頻繁に参照させていただいているリスク学者永井孝志さんのブログが開設以来5年経ったそうで、閲覧の傾向や経過などを振り返っていました。 nagaitakashi.net 2020年の4月から書き始めたということですが、私が最初にそれを発見?し自分のブログに書い…