爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

科学全般

「有意差が出た」ということは「絶対に効果がある」ということではない。NATROMのブログより

医学界における怪しげな言説を取り上げて解説しているNATROMさんですが、今回は「有意差」について。 最近は健康食品(機能性表示食品)のCMにまで、「人に対しての試験で有意差が出ました」なんていう文句が飛び交っていますので、聞いたことがある人も多い…

「トラウマとレジリエンス」ジョージ・A・ボナーノ著

戦争や事故、事件など厳しい経験をするとそれから時間がたっても心理的なショック状態が続くようなトラウマ、そしてPTSDという症状に陥ると言われています。 しかし、そのような激烈な経験をした人が多数出ると思われた場合でも意外に患者が少ないということ…

「日本の地形図鑑」高橋典嗣監修

日本列島は3つのプレートが重なり合っているという地球上でも稀な構造の上にあり、そのために地形も複雑です。 そういった地形のあれこれを、わかりやすく紹介している本です。 同様の趣旨の書籍は数多くありますが、この本の特徴は、国土地理院の詳細な地…

「鏡の国の生き物をつくる」藤原慶監修・著

有機化合物には化学構造式は同一でも鏡で映したような異性体を作るものがあります。 光学異性体と言っていたと思いますが、現在ではこの呼び方は曖昧であるとして鏡像異性体とされるようです。 実は地球上の生物はすべてL体のアミノ酸で構成されているL型の…

「遺伝子組換え食品 どこが心配なのですか?」アラン・マキュガン著

最近は新しい遺伝子操作の技術も出てきていますが、遺伝子組み換え(GM)という手法での特に農作物の改変ということは既にかなりの歴史を持っています。 ただし、それに対する人々の意識は様々で、特にアメリカなどは広く認めているものの、ヨーロッパそして…

「残留農薬が検出された」は分析技術の進歩の成果に過ぎないのか。

少し前にポテトチップスから禁止されている農薬が検出されたということを国会で質問されたということがありました。 www.jcp.or.jp ただし、この検出された濃度というものがはっきりしていませんが、かなり低いだろうことは想像できます。 このような低濃度…

「AIは人間を憎まない」トム・チヴァース著

冒頭の言葉が「あなたの子どもたちが老化で死ぬことはない」という、ポール・クローリーという人物のものです。 その意味はAIが進歩し人間の知能を超えるシンギュラリティを通過しさらに進歩するが中には暴走するものも出現しその結果人間を殺すようになる危…

畝山智香子さんの「野良猫通信より」マイクロプラスチック、ナノプラスチックの標準測定法はまだない。

マイクロプラスチック、ナノプラスチックは環境中に大量に放出され、人体にも蓄積し悪影響を与えていると言われています。 (マイクロプラスチックは5㎜以下、ナノプラスチックは1μm以下) しかし、どのようにその実験を行っているのか、実はまだ標準試験法…

大量絶滅は超大規模火山噴火のためか。

これまでに起きた生物の大量絶滅についてはその原因が何かという多くの学説が出ていますが、これらは考えられないほどの超巨大火山噴火のせいではないかということです。 natgeo.nikkeibp.co.jpこの記事の中で紹介されている「ビッグファイブ」という5つの…

NATROMさんが「権威が有望な科学をつぶす」ことについて議論しています。

「ニセ医学と戦う」内科医NATROMさんはあれこれと活躍されています。 この前のテレビドラマでやなせたかしさんが扱われた際、やなせさんの奥様がガンに罹患し通常の医療では間に合わない事態となったのですが、そこで丸山ワクチンを使用して余命を伸ばしたと…

「なぜヒトだけが老いるのか」小林武彦著

もう人生の残りも少なくなり、老化の真っ只中の私ですが、この本の題名「なぜヒトだけが老いるのか」を見て驚きました。 老いるというのは人間だけのことなのか。 そして読んでいくうちにそうだったのかと大きく納得できました。 そもそも生物はなぜ死ぬのか…

ノセボ効果、野良猫通信で畝山智香子さんが解説。

プラセボ効果(偽薬効果)というのは有名でしょうが、それと対する概念の「ノセボ効果」について、FOOCOM.NETの野良猫通信で畝山智香子さんが解説していました。 foocom.net プラセボ効果とは、何も有効成分の入っていないものでも体に良いと医師などに処方…

「サイエンス異人伝」荒俣宏著

科学や技術の発展には多くの人々の力が関与しています。 それを見るのに好適なのが各地にある博物館でしょうか。 この本では近代の科学を物語として語っていこうというものですが、特に19世紀から世界をリードしてきたドイツ、そしてその後科学をビッグビジ…

「今 地球は?人類は?科学は?」中村桂子著

中村桂子さんは生命科学研究者として有名な方ですが、このところご自分の研究分野を「生命誌」として、地球全体の生命を考える活動を続けられています。 そのような中村さんが、これまで半世紀にわたって読んできた本の書評を集めたのが本書です。 おおまか…

バイオエタノールの分離精製法に新たな装置、それでも現実化は遥か先か。

バイオエタノールは植物から発酵で作り出してもそこから先の高濃度に精製する工程に非常にエネルギーが使われることが問題でした。 その新技術を三菱重工が開発しているということです。 www.mhi.comこの装置の原理が「分子ふるい膜分離方式」ということで、…

大気中からCO2を直接回収する、ただし吸収剤とそこからのCO2離脱が問題。

万博会場で大気中のCO2を直接回収する装置の運転が公開されているそうです。 newswitch.jp ダイレクト・エア・キャプチャーと称する装置だそうですが、地球環境産業技術研究機構が開発したもののようです。 空気を吸収剤を固定した網に通すとCO2を吸着、その…

蘭奢待の精密科学分析実施

正倉院に収められている香木「蘭奢待」は足利義政や織田信長が求めて切り取ったなどと伝えられている宝物ですが、これまでその正確な分析はされていませんでした。 このたび、専門家に依頼して詳しい成分分析が行われたということです。 scienceportal.jst.g…

「大陸はどのように動くのか」吉田昌樹著

現代ではプレートテクトニクス学説がほぼ受け入れられ、その運動により大陸も移動しているということが理解されますが、1912年にウェゲナーが大陸移動説を発表した時には大きな批判を受けました。 大陸の形、動植物の分布などからそれを構成したのですが…

「地質年代」に触れたがための年代感覚

いつの頃からか地質学や地球科学というものに興味をひかれ、いろいろと本を読んだりしていますが、それで変わったものが「年代感覚」でしょう。 通常の時間感覚では人間の寿命が最大の時間軸で、せいぜい100年。 10年というとかなり長い時間で、5年が…

現代の錬金術、核融合炉で水銀から金を作り出す

核融合炉で発生する中性子を使って水銀から金を作り出すという夢のような話を、アメリカのスタートアップ企業が示したということです。 nazology.kusuguru.co.jp かつての錬金術師たちは水銀などの卑金属から金を作り出すということを夢見ていろいろと努力を…

「自閉症は津軽弁を話さない」松本敏治著

副題を見た方が内容を想像しやすいかもしれません。 「自閉スペクトラム症のことばの謎を読み解く」というものです。 著者は発達障害を専門に研究し、長年障害児の相談・支援を続けているということです。 現在は弘前大学にいらっしゃるということです。 著…

「民間療法は本当に『効く』のか」大野智著

民間療法、正式には補完代替療法と呼ぶのですが、健康食品やサプリメントの他、マッサージやヨガ、鍼灸まで含まれます。 玉石混交というか、石ばかりというような気もしますが。 しかし世の中にはそういったものがあふれており、コマーシャルも延々と流れ続…

「日本の国石『ひすい』」日本鉱物科学会監修、圡山明編著

国の鳥、国鳥としてキジ、国の蝶、国蝶としてオオムラサキがそれぞれ日本鳥学会、日本昆虫学会によって定められています。 同様に、国の石、国石を決めようということが日本鉱物科学会で図られ、会員による選定により「ひすい」が選ばれました。 そこでこの…

生成AIに「乳酸菌の過大評価」について聞いてみました。

日本では乳酸菌というものが多くの健康課題を解決してくれるかのような評価をされていると感じます。 それをさらに過熱させているのが企業での商品化とそのマーケティングでの過剰ともいえる宣伝だとも。 これについて生成AIに尋ねてみました。 ChatGPTに「…

「波のはなし 科学の眼で見る日常の疑問」稲場秀明著

「波」という物理現象は様々な面から私たちの周囲で影響を及ぼします。 振動するものが電子か、空気か、水か、大地かといった違いはありますが、それぞれ光、音、海の波、津波、地震といったものとなります。 そういった波ですが、その実体というものはさほ…

「土と生命の46億年史」藤井一至著

副題にあるように「”生命”と”土”だけは、人類には作れません」は意外に思えることではないでしょうか。 生命はまだしも、土は何となく作れるような気もします。 しかし「土」すなわち土壌というものがどういうものか、それを本書で読んでいくうちにそれも納…

「零の発見」吉田洋一著

数学分野では古典的名著ともいえる本で、初版はなんと1939年に発行。 その後1956年、1979年、2015年に改版されています。 著者の吉田さんは1923年に東大理学部卒業、その後数学者として活躍していたのですが、はしがきによれば病気療養…

「進化論の進化史」ジョン・グリビン、メアリー・グリビン著

進化論というものについて一般的な印象は、本書末尾に訳者の水谷淳さんが書いているように「古来生物のことを何一つ知らなかった人類の中でただダーウィンだけが真理を見抜きひそかに壮大な思索を巡らせ、そして突如として世界中の人々に生物は進化するとい…

「脳と音楽」伊藤浩介著

音というのは空気の振動であり物理現象です。 しかし人間が聞く「音」というのは決してそれだけに止まるものではなく、人間の脳が深く関与して受け取っているもので、物理現象の音波そのものとは異なります。 そうして、その音を使って組み立てる音楽という…

「学力喪失 認知科学による回復への道筋」今井むつみ著

今井さんの本は以前に他の共同研究者たちとの共著の「算数文章題が解けない子どもたち」というものを読み、かなり衝撃を受けました。 算数の文章題を解くにあたり、そもそもその問題の意味が分かっていないようだということでした。 sohujojo.hatenablog.com…