爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

歴史

「敗北を抱きしめて 下」ジョン・ダワー著

太平洋戦争での日本の敗戦から、占領時代に何が起きたのか、豊富な資料と洞察力で明らかにしたダワーさんの「敗北を抱きしめて」上巻に続いて下巻も読みました。 上巻では、敗戦当時の人々の心情や生活などをまとめていましたが、この下巻では占領軍と天皇が…

「シルクロードをつなぐ昔話 中国のグリム童話」百田弥栄子著

ドイツのグリム兄弟が古代ゲルマンの民話や伝説をもとに童話集を刊行してから約200年経つそうです。 しかし、その中の有名な話とそっくりのものが中国各地の民話として残っているということはあまり知られていないようです。 本書著者の百田さんは長年にわた…

「再読:戦国時代の大誤解」鈴木眞哉著

戦国時代について多くの人々が持っている印象の多くは誤解だというこの本は、かなり以前に読んでいましたが、まだこのブログで書評を書き出した初期の頃で素っ気ないものでしたので、書き直してみます。 歴史好きという人は多く、その興味の向かう先は戦国時…

「敗北を抱きしめて 上」ジョン・ダワー著

先日読んだ「新現代歴史学の名著」という本の中で紹介されていたものです。 それに惹かれていつもの市立図書館の蔵書を調べたらあったので、借りてみました。 著者のダワー氏は1938年生まれのアメリカの歴史学者で、終戦時にはまだ7歳、終戦後の日本と…

「発掘! 歴史に埋もれたテレビCM」高野光平著

民間テレビが放送を始めたのは1953年8月、テレビCMというものも始まりました。 しかし残された映像がほとんど無かったためにその初期の姿というものはほとんど知られていませんでした。 ところが、映像制作会社のTCJという会社が製作したフィルムが同社の倉…

「新・現代歴史学の名著」樺山紘一編著

本書の前篇、「現代歴史学の名著」が刊行されたのは1989年でした。 そこには、津田左右吉、ホイジンガ、ブローデル、フーコーなど、素人の私でも知っているような名著が並べられていたのですが、それから20年が経ち(本書刊行は2010年です)さすがに「現代」…

「ポスト西洋世界はどこに向かうのか」チャールズ・カプチャン著

近代から現在に至るまで、西洋(欧米)が世界中を支配してきました。 しかし、どうやらその体制はいつまでも続くわけではなく、近いうちに大きく変動しそうな様相となっています。 西洋モデル、すなわち「自由民主主義」「資本主義」「世俗ナショナリズム」…

「世界史を変えた13の病」ジェニファー・ライト著

今正に「病気が世界を変えようとしている」時ですが、この本は2017年に原著が出版されたということで、当然ながら新型コロナウイルスには触れていません。 エイズすら章立てしての記述はなく、最後はポリオで終わっています。 人類が文明化し密集して住…

「日本中世への招待」呉座勇一著

日本において中世とは源平合戦の平安末期から戦国時代までを指します。 その前後の時代と比べはるかに物騒な、戦乱相次ぐ時代だったのですが、そのために歴史小説や映画として取り上げられることも多いため、「自分は中世に詳しい」と考える歴史ファンも多い…

「使ってみたい 武士の日本語」野火迅著

つい150年ほど前まで、日本には「武士」と呼ばれる人々がたくさんいました。 しかしあっという間に彼らは消え去ってしまったかのようです。 それとともに、彼らの使っていた言葉も多くは消えました。 ただし、消えて誰も使わなくなった言葉のようで、何か聞…

「おみやげと鉄道 名物で語る日本近代史」鈴木勇一郎著

「おみやげ」というのは日本では身近なものですが、世界的に見るとかなり変わった風習のようです。 英語に訳そうとすると「souvenir」(スーヴェニア)とするのでしょうが、実は欧米でのスーヴェニアというものは、旅の思い出として自分自身のために買うもの…

「中世騎士物語」ブルフィンチ著

トマス・ブルフィンチはアメリカの19世紀の作家ですが、ヨーロッパの神話や伝承に詳しく様々な著作があります。 この本は、The Age of Chivalry (1858)の訳で、訳者は野上弥生子さん、1942年に初版発行、この本は改版で1980年に出版されたものです。 内…

「皇族 天皇家の近現代史」小田部雄次著

「皇族」というと、天皇の兄弟や従兄弟、そしてその子や孫といったイメージを持っていましたが、一方では「元皇族」という人々が現れたりして、あれはいったい何なんだと思ったり、ほとんど知識を持っていませんでした。 この本の著者の小田部さんは近現代史…

「図説 歴代アメリカ大統領百科」DK社編、大間知知子訳

今回のアメリカ大統領選挙は特に興味を集めたのですが、そういえばこれまでの歴代大統領で名前だけでも知っているのはわずかなものだなと感じます。 そういった人向け?の、歴代アメリカ大統領一人一人についての略歴やエピソード、有名なファーストレディー…

「古代ローマ帝国 1万5000キロの旅」アルベルト・アンジェラ著

著者は古代ローマの日常を描いた前著「古代ローマ人の24時間」が好評となったのに気を良くし?、さらに範囲をローマ帝国全域に広げてこの本を書きました。 時は紀元115年、トラヤヌス帝の治世のもと繁栄していたローマ帝国のほぼ全域を、ローマで鍛造さ…

「中国の歴史認識はどう作られたのか」ワン・ジョン著

日中間の軋轢が高まると、中国側からよく「歴史認識」が問題であると指摘されます。 確かに日本側の中国侵略についての認識はあまりにも甘すぎるところがあるとは感じられますが、しかし中国側の主張も厳しすぎるという感がするのも多くの日本人が共有する感…

「世界遺産でわかる世界の歴史」宮崎正勝監修

ユネスコが登録する世界遺産の中でも、「世界文化遺産」と言われるものは人類の歴史を今に伝えているものです。 そのような世界遺産は観光で見に行くという人も多いのでしょうが、その奥にある歴史を知ると知らないとでは、見る価値も大きく違うでしょう。 …

「世界〈経済〉全史」宮崎正勝著

世界史というものを「経済」から見ればどうなるか。 それをたどっていくと、51個の転換点というものが見つかるそうです。 言われてみれば、確かにそうだなと納得です。 これは覚えておくとためになりそうです。 「貨幣」というものが経済の血液とも言うべき…

「卑弥呼の陵墓 江田船山古墳の真実」荒木信道著

荒木さんは熊本県出身で詳しい経歴は書かれていませんが、おそらく在野の歴史研究者であろうと思います。 江田船山古墳は熊本県玉名郡和水町にある古墳で、そこから出土した七支刀は75文字の漢字が刻み込まれており、他の出土副葬品と共に国宝に指定されてい…

「世界の辺境とハードボイルド室町時代」高野秀行、清水克行著

高野さんはアジアからアフリカまで世界の「辺境」と言われるところにあちこち出かけていくのが好きという人ですが、特にアフリカ北東部のソマリアやソマリランドに行きその社会を探ってきました。 しかし、世界の中でも特に危険な地域ということで、他にそこ…

「四字熟語で読む日本史」河合敦著

「四字熟語」と言うと、故事成語に基づくもので教訓などを含むものといったイメージですが、この本で言うものはそこまで慣用句として使われているということではなく、あくまでも「4文字でなる言葉」と言った程度のものです。 それを導入部にして歴史を分か…

「天下人の一級史料 秀吉文書の真実」山本博文著

豊臣秀吉が発布したと言われる「刀狩令」、小学校の歴史でも習うはずですが、あまりにも有名すぎるためかその原本に戻って検討するということはほとんどされていないようです。 しかし、現在残っている刀狩令の原本は約20通、それらを見ていくとその内容が…

「超約 ヨーロッパの歴史」ジョン・ハースト著

歴史と言うものは、正確に詳しく語っていくとあまりにも長くなりすぎ、頭に入らなくなります。 もしも一地域の歴史だけであっても、その起源から現在までの流れを説明するのは簡単ではありません。 これは特に学生などに歴史学を教える教育者にとっては大問…

「朝鮮半島と日本の未来」姜尚中著

日韓関係は非常に悪い状況となりますが、こういう時だからこそ日韓双方の事情に詳しい姜さんの声に耳を傾ける必要があるのかもしれません。 本書は私には珍しく出版(2020.5)直後のもので、コロナ禍についても触れてあります。 古い本にも利用価値は…

「インターネット」村井純著

インターネットは爆発的に広がり、今ではほとんどの人が接続しているような状況になっているように見えます。 しかし、その進展はそれほど昔から進んでいたわけではありません。 この本は、日本においてインターネットの広がりが徐々に進んでいた頃、それを…

「歴史の証人 ホテル・リッツ」ティラー・J・マッツェオ著

パリのヴァンドーム広場にあるホテル・リッツは最高級ホテルの一つとして最上級の宿泊客たちが次々と名を残してきました。 この本は、その中でも特に第2次大戦前後のナチスドイツのパリ占領時の周辺での、ホテル・リッツで起きた数々の出来事を記しています…

「最後の晩餐の真実」コリン・J・ハンフリーズ著

およそ2000年前のある春の日、ナザレのイエスと言うユダヤ人が十字架にかけられて磔にされました。 「イエスが死に至るまでの最後の週は世界史上、特筆すべき一週間だと言ってよいだろう」 と本書冒頭に書かれています。 しかし、それが現在の暦を使って表記…

「戦国武将の実力 111人の通信簿」小和田哲男著

戦国時代の歴史が専門の小和田さんですが、世間の歴史好きの人々の戦国武将の評判を見ても映画やドラマ、小説などの印象で言われるだけで、真実の姿は知られていないように感じていました。 そこで、「戦国武将の実力」というものをできるだけ客観的に判定し…

「太宰府・宝満・沖ノ島 古代祭祀線と式内社配置の謎」伊藤まさこ著

著者の伊藤さんは、小学校の教員を退職した後に歴史を再度勉強しなおそうと思い立ち、様々な方向から歴史の謎を解明しようと工夫されているということです。 古代には人々の住む平地を囲む山には神秘的なものを感じ、祭りの対象とされていました。 そして、…

「三國志逍遥」中村愿著、安野光雅画

安野光雅さんが2005年から四度の三国志の旅に出かけ、そこで93枚の絵を描いたということは有名かもしれません。 しかし、その一度に本書の本文を書いた中村さんが同行し、三国志について深く考えていたということは知られていないことでしょう。 その紀行に…