爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

歴史

「江戸・明治 百姓たちの山争い裁判」渡辺尚志著

かつては農村の周辺の山と言うものは、非常に重要なものでした。 そこで取れる枯れ枝などは薪として燃料とし、下草は田畑にすき込んで肥料とし、間伐した木は炭に焼いて換金しと、農村の生活を支えるためには無くてはならないものでした。 研究によれば、田…

「感染症と文明 共生への道」山本太郎著

今まさにウイルス感染症が世界を覆っているかのような時ですが、この本はそれを扱っているわけではありません。 出版は2011年、SARSまでは内容に含まれています。 著者の山本太郎さんは感染症学が専門のお医者さんですが、実際に感染症対策でアフリカな…

「美しい言葉づかい フランス人の表現の技術」井村順一著

フランス人は会話好きだそうです。 そして、自らの言語のフランス語の美しさというものも誇りに思っているようです。 そのような、フランス語というものは自然にできてきたばかりではありません。 かなり意識的に磨き上げようとした人々がいました。 17世…

「日本の古墳はなぜ巨大なのか」松木武彦、福永伸哉、佐々木憲一編

日本の古墳は世界的に見ても巨大なモニュメントであるということは言われていますが、実際にはどのようなものか。 2018年に国立歴史民俗博物館が主催した「日本の古墳はなぜ巨大なのか」と題した国際シンポジウムの内容をもとにして本にしたものです。 …

「日米〈核〉同盟」太田昌克著

現在、日米関係は強固な「日米同盟」であると言われます。 しかし、その実態は〈核〉を中心とした「日米核同盟」であるとも考えられます。 太平洋戦争の終わりに人類史上初めての核爆弾を落としたアメリカと、落とされた日本が戦後は一転して同盟関係となり…

「精進料理考」吉村昇洋著

「精進料理考」といっても、寺や専門店で作られているあの料理のレシピを集めた本ではありません。 寺院で僧が食べている料理が精進料理と言って間違いはないのですが、その宗教的な背景、歴史、そして寺院での現実など、精進料理をめぐる広い話題を扱ってい…

「よくわかるクリスマス」嶺重淑、波部雄一郎編

クリスマスといえばキリスト教の行事ですが、日本ではそれとは関係なく商業的なものとして多くの人を熱狂させています。 そのようなクリスマスというものは、歴史的にどういう経緯でできてきたのか、そして世界各地ではどのようなものとなっているのか。 さ…

「医学の近代史 苦闘の道のりをたどる」森岡恭彦著

まだまだ治療の難しい病気はいくらでもありますが、ほんの少し前の状況を考えても多くの病気が治療できるようになっており、寿命も延びています。 特に近代になってからの医学の進歩というものは、非常に大きなものがあったのでしょう。 そのような医学の近…

「流言のメディア史」佐藤卓己著

「フェイクニュース」や「ポスト真実」といった言葉がクローズアップされています。 しかし、そういった事態は今になって始まったものかどうか。 実は80年前の状況をみてもそういったものがいくらでも見られます。 第二次世界大戦が始まった1939年、ドイツの…

「事大主義 日本・朝鮮・沖縄の『自虐と侮蔑』」室井康成著

「事大主義」という言葉は、最近では韓国の政情に関わるものであるような感覚を持っていましたが、実は色々な場面で使われてきたもののようです。 「事大」つまり、「大」に「事える」(つかえる)という言葉自体は中国の古典にあるもので、孟子の一節にあり…

人種差別に反対する運動が広がる。歴史上の人物は誰もアウトでは。

アメリカで警察官に殺された黒人男性の事件に対する抗議活動が広がる中、世界中でかつて奴隷制度に加担したりした人物の銅像などが倒されるといったことが相次いでいます。 www.yomiuri.co.jp形だけは平等となった社会でも実質的差別が残っているのは明らか…

「鉄道快適化物語」小島英俊著

今の鉄道の旅はかなり楽になっており、ほんの数時間で東京から大阪まで、しかも苦痛もほとんどなく(まあ心理的には苦しい人もいるようですが)旅することができるようになりました。 また、何十万円もの費用で旅行をできる高級クルーズトレインなるものも出…

「首相になれなかった男たち」村瀬信一著

政治家を志す者は誰しも夢見るのが「首相」総理大臣になることでしょう。 しかしほとんどその夢がかなうことはありません。 ところが、有力ポストを歴任し実力は認められながらもあと一歩が足らずに首相に届かなかった人たちがいます。 この本ではそういった…

「錆と人間 ビール缶から戦艦まで」ジョナサン・ウィルドマン著

人類は鉄を始めとする金属類を使いこなすことで文明を築いてきました。 しかし、その金属はすぐ「錆びる」 これをどうにかしないことには、不経済ということもありますが、直接に生命に関わることにもなります。 この本では、そういった錆をめぐる話をいくつ…

「ヒトラー演説 熱狂の真実」高田博行著

昔の資料映像などを見ると、ヒトラーが熱弁をふるいそれに聴衆が熱狂的な反応をするといった場面がしばしば出てくるようで、ナチスがドイツ国民の支持を取り付けるには重要な要素だったのかと思わせるものがあります。 著者の高田さんはドイツ語史が専門と言…

「ラグビー伝説 ひた走る闘魂の物語」スポーツグラフィック ナンバー編

昨年のラグビーワールドカップ日本大会は大会としても大成功と言えるでしょうが、それ以上に日本代表チームの躍進が素晴らしく、多くの人を魅了し「にわかラグビーファン」が続出しました。 しかし、これまでの日本のラグビーもマイナーではあるものの熱心な…

「征夷大将軍になり損ねた男たち」二木謙一著

征夷大将軍という役職は律令体制の始めからあり、奈良時代や平安時代にも蝦夷征伐のために任命されていましたが、日本の歴史で「将軍」といえばやはり鎌倉幕府に始まる武家政権の最高位として存在感がありました。 その後、室町幕府、江戸幕府と征夷大将軍を…

「本能寺の変に謎はあるのか?」渡邊大門著

ちょうど大河ドラマでは明智光秀を主人公とした物語が放映されていますが、その本能寺の変の描き方はどうなるのでしょうか。 絶大な権力を手にした織田信長を一瞬の隙をつき打ち取った本能寺の変は、その裏に何があるのかということは多くの人々の興味をひい…

「江戸時代の数学最前線」小川東、森本光生著

江戸時代に発達した「和算」という日本独自の数学は非常に高いレベルであったという話だけは有名ですが、その内容まではなかなか知られていないのではないでしょうか。 江戸時代も初期の関孝和は、和算における高等数学研究の先駆けとなった人ですが、高次連…

「鷲頭氏はどこから来た 轡が証す下松の渡来人」斎藤順著

この本はいつも通っている市立図書館で、「ご自由にお持ちください」というコーナーに置いてあったものを貰ってきました。 定期的に蔵書を見直し、廃棄するものを希望者に無料配布するということのようです。 まあ、ただなら良いかと思って持ってきました。 …

「150年前の科学誌『NATURE』には何が書かれていたのか」瀧澤美奈子著

「NATURE」といえば科学論文の発表舞台としては「SCIENCE」と並んで世界最高峰と言えるものでしょう。 そのNATUREがイギリスで創刊されたのが1869年、ほぼ150年前でした。 それは日本では幕府が倒れ明治政府ができて直後のことです。 その当時のNATUREには何…

「東アジア仏教史」石井公成著

日本から見て仏教が伝わった歴史と言えば、鎌倉時代の東大寺の学僧、凝然(ぎょうねん)がまとめた「三国仏法伝通縁起」などの見られる、天竺(インド)→震旦(中国)→本朝(日本)という図式がもととなり、それにせいぜい百済を加えた仏法伝来の道筋を示す…

「武器が語る日本史」兵頭二十八著

日本刀の切れ味は世界でも有数のものという話もありますが、一方では戦場ではほとんど役に立たなかったという話も聞きます。 乏しい知識ですが、世界各国、そして歴史の古今を映画の描写など見ても、戦争の光景というものは似ているようで違うところが多いよ…

「歴史を考えるヒント」網野善彦著

網野さんは中世日本史が専門の歴史家でしたが、ほとんどが農民であったという従来の中世史観に異議を唱え、様々な職業、卑賎なものとされた人々など多くの人が形作ってきたのが日本であるという見方を提唱しました。 この本に書かれているのは、「波」という…

「世界をまどわせた地図」エドワード・ブルック=ヒッチング著

昔の地図を見ると、結構細部までびっしりと書き込まれているようですが、その中には実際の地形とはまったく関係のない想像で書かれた部分がありました。 どうせそんなところまで行く人間はいないからいいやとでもいった風に描かれていたようです。 この本は…

「仰げば尊し 幻の原曲発見と『小学唱歌集』全軌跡」櫻井雅人、ヘルマン・ゴチェフスキ、安田寛著

学校の卒業式の定番曲ともいえる「仰げば尊し」、明治時代に選定された「小学唱歌集」に掲載されているものの、その原曲は何かということはまったく知られていませんでした。 しかし、本書著者の一人櫻井雅人が、2011年に発見しました。 それは、H・S・パー…

「歴史の愉しみ方 忍者・合戦・幕末史に学ぶ」磯田道史著

著者の磯田さんは映画にもなった「武士の家計簿」の原作者ですが、古文書を発掘し解読するのが専門と言う歴史学者です。 歴史好きという人も多いのですが、多くは歴史小説で作家の作り出した像を楽しむばかりですが、磯田さんは各地に埋もれた古文書を読み解…

「恋する武士 闘う貴族」関幸彦著

武士というと闘う者、貴族はそうではなく優雅に恋など語らう人というのが普通のイメージでしょうが、その逆であった人々も数多くいました。 そのような「恋する武士」「闘う貴族」というものを取り上げています。 「恋する武士」では時代別に3つに別けてい…

「秀吉の対外戦争 変容する語りとイメージ」井上泰至、金時徳著

豊臣秀吉の命で朝鮮半島に攻め入り、明軍や朝鮮半島の人々との戦いを繰り広げた、16世紀後半の戦役は日本では「文禄慶長の役」(さすがに最近は朝鮮征伐とは言わないでしょう)、韓国では「壬申倭乱」、中国では「抗倭援朝」と呼び方も様々です。 戦争をど…

「三国志 演義から正史、そして史実へ」渡邉義浩著

著者の渡邉さんは少年の頃に吉川英治の三国志に魅せられ、そのまま学生になってからは三国時代の歴史研究へ進み今でも三国志演義や正史三国志などの研究をされているという、三国好きの方です。 中国の漢王朝の末期、西暦2世紀から3世紀にかけて、魏呉蜀の…