爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

歴史

「天下人の一級史料 秀吉文書の真実」山本博文著

豊臣秀吉が発布したと言われる「刀狩令」、小学校の歴史でも習うはずですが、あまりにも有名すぎるためかその原本に戻って検討するということはほとんどされていないようです。 しかし、現在残っている刀狩令の原本は約20通、それらを見ていくとその内容が…

「超約 ヨーロッパの歴史」ジョン・ハースト著

歴史と言うものは、正確に詳しく語っていくとあまりにも長くなりすぎ、頭に入らなくなります。 もしも一地域の歴史だけであっても、その起源から現在までの流れを説明するのは簡単ではありません。 これは特に学生などに歴史学を教える教育者にとっては大問…

「朝鮮半島と日本の未来」姜尚中著

日韓関係は非常に悪い状況となりますが、こういう時だからこそ日韓双方の事情に詳しい姜さんの声に耳を傾ける必要があるのかもしれません。 本書は私には珍しく出版(2020.5)直後のもので、コロナ禍についても触れてあります。 古い本にも利用価値は…

「インターネット」村井純著

インターネットは爆発的に広がり、今ではほとんどの人が接続しているような状況になっているように見えます。 しかし、その進展はそれほど昔から進んでいたわけではありません。 この本は、日本においてインターネットの広がりが徐々に進んでいた頃、それを…

「歴史の証人 ホテル・リッツ」ティラー・J・マッツェオ著

パリのヴァンドーム広場にあるホテル・リッツは最高級ホテルの一つとして最上級の宿泊客たちが次々と名を残してきました。 この本は、その中でも特に第2次大戦前後のナチスドイツのパリ占領時の周辺での、ホテル・リッツで起きた数々の出来事を記しています…

「最後の晩餐の真実」コリン・J・ハンフリーズ著

およそ2000年前のある春の日、ナザレのイエスと言うユダヤ人が十字架にかけられて磔にされました。 「イエスが死に至るまでの最後の週は世界史上、特筆すべき一週間だと言ってよいだろう」 と本書冒頭に書かれています。 しかし、それが現在の暦を使って表記…

「戦国武将の実力 111人の通信簿」小和田哲男著

戦国時代の歴史が専門の小和田さんですが、世間の歴史好きの人々の戦国武将の評判を見ても映画やドラマ、小説などの印象で言われるだけで、真実の姿は知られていないように感じていました。 そこで、「戦国武将の実力」というものをできるだけ客観的に判定し…

「太宰府・宝満・沖ノ島 古代祭祀線と式内社配置の謎」伊藤まさこ著

著者の伊藤さんは、小学校の教員を退職した後に歴史を再度勉強しなおそうと思い立ち、様々な方向から歴史の謎を解明しようと工夫されているということです。 古代には人々の住む平地を囲む山には神秘的なものを感じ、祭りの対象とされていました。 そして、…

「三國志逍遥」中村愿著、安野光雅画

安野光雅さんが2005年から四度の三国志の旅に出かけ、そこで93枚の絵を描いたということは有名かもしれません。 しかし、その一度に本書の本文を書いた中村さんが同行し、三国志について深く考えていたということは知られていないことでしょう。 その紀行に…

「『戦争体験』の戦後史」福間良明著

「戦争体験」といっても現在では高齢者でも戦争時にはせいぜい子供だったということで、戦争の全体像を掴むことは難しくなりました。 しかし、戦後すぐから戦争体験を語る人は居たものの、やはり様々な要因でそこには人により大きな違いがあり、また周囲の想…

「ビジュアル パンデミック・マップ」サンドラ・ヘンペル著

今回のコロナウイルス感染の広がりも世界に大きな影響を与えていますが、人類の歴史ではこれまでにも何度も社会を揺るがすような感染症の広がり、パンデミックというものが起きていました。 そのパンデミックを記した書物は数多いのですが、本書の目新しいと…

「男が女を盗む話 紫の上は『幸せ』だったのか」立石和弘著

結婚の形態は、平安時代までは妻問い婚、それが徐々に嫁取婚に変化していったと言われています。 しかし、それ以外に「嫁盗み婚」というものがあり、これが結構重要であったということは間違いないことでしょう。 この様子は源氏物語や伊勢物語などにも描写…

「白川静読本」平凡社編

漢字の起源、甲骨文字の研究を通して中国古代の社会を描き出し、2006年に亡くなった白川静さんについて、身近な方々の追悼文や思い出、さらに多くの世間に衝撃を与えた著書発表時の感想など、いろいろな文章をまとめて白川静に関する社会の姿勢といったもの…

「十字軍全史」新人物往来社編

十字軍については学校での世界史には必ず出てくるもので、誰も少しは記憶にあるものでしょう。 しかし、その細かいところまでは知らないことが多いのでは。 まあ、普通にはそれほど知る必要もないのかもしれませんが。 この本では、十字軍の始めから終わりま…

「韓国の自己批判」崔青林著

昔から買って読んだ本はほとんど捨てないということをしており、時々かつて読んだ本を再読するということをします。 この本も1986年出版ということで、そのころに買ったものでしょう。 ただし、文芸書や歴史書などはそれほど価値が変わることはないでしょう…

「中世災害・戦乱の社会史」峰岸純夫著

著者は1932年生まれの中世日本史を専門とする歴史家です。 自然災害などの影響を重く見る史観で歴史を研究してきましたが、かつての日本の歴史学界ではそのような史観は「自然決定論」と決めつけられ、一段低いものかのように言われてきたそうです。 しかし…

「図説 メソポタミア文明」前川和也編著

メソポタミア文明は古代文明の中でも最も古いと言われていますが、その割に様々な遺跡や遺物に恵まれているのでしょう。 そういった文明の概観を豊富な写真と図版によって分かり易く見せている本です。 特に、メソポタミア文明では植物が乏しかったためか、…

「コンサートという文化装置 交響曲とオペラのヨーロッパ近代」宮本直美著

クラシック音楽のコンサートといえば、フルメンバーのオーケストラが交響曲を奏でる場面を想像する人が多いでしょう。 現代の演奏会では「交響曲」がメインとなることが多いようです。 しかし、こういったパターンはずっとこうであったわけではありません。 …

「人類の祖先はヨーロッパで進化した」デイヴィッド・R・ビガン著

類人猿の祖先はアフリカでサルの仲間から分離して進化し、3000万年ほど前には独立しました。 その後さまざまな種が出現しましたが、その多くはアフリカで発見されています。 ただし、1300万年から1000万年前の間の類人猿の化石はアフリカから見つかっていま…

「電鉄は聖地をめざす」鈴木勇一郎著

東京や大阪の「電鉄」、阪急や阪神、東急、西武といった鉄道会社は、いわゆる「田園都市」を作り出して郊外住宅地を展開し、ターミナルにデパート、沿線に遊園地などを建設して一体となって街を作り出していったといわれています。 特にこのモデルを作り出し…

「日韓メモリー・ウォーズ 私たちは何を忘れてきたか」朴裕河、上野千鶴子、金成文、水野俊平著(金さんの名の字は正しくは王ヘンに文)

日本と韓国の間の争いはますます激しく、もはや解決策はないかのようにも見えます。 この本は、2016年3月に福岡市で開かれた「福岡ユネスコ国際文化セミナー」でのシンポジウムの内容をそのまま本にしたものです。 上野千鶴子さんがコーディネーターとなり、…

「日本史の内幕」磯田道史著

「武士の家計簿」の原作者、磯田さんのエッセイ集です。 これまでも何冊か読んでいますが、磯田さんが古文書を探し出しそれを読んで知られていなかった歴史の真相を明らかにしていくという過程が鮮やかに描かれています。 子どもの頃から古文書に触れ、早く…

「古墳のはじまりを考える」金関恕、森岡秀人、森下章司、山尾幸久、吉井秀夫著

この本は2003年に大阪府文化財センターが開催した「古墳のはじまりを考える」という市民向けの講座の内容をもとに作られました。 本書著者として挙げられている5人の方々が一回ごとに講師を務めるという形で開かれました。 講座開催時には活字化を考えていな…

「白村江 古代東アジア大戦の謎」遠山美都男著

「白村江」、昔の歴史授業では「はくすきのえ」と読みましたが、今は読み方が不明とあって「はくそんこう」と読んでいるそうです。 中大兄皇子が皇位に就く頃、朝鮮半島では長く続いていた並立体制が崩れ、百済が滅亡に瀕していました。 一旦は敗れて王や王…

「十二支になった動物たちの考古学」設楽博己編著

年のめぐりと動物とを組み合わせた「十二支」は、中国古代に出来上がりました。 その起源は殷の時代にまでさかのぼるようですが、動物を当てはめるという現代まで続く形になってきたのは秦の時代だったようです。 そこで使われていた動物は、当時の中国で身…

「昭和『娯楽の殿堂』の時代」三浦展著

もうかなり昔のような気がする「昭和」の時代には、「娯楽の殿堂」という言葉がありました。 そしてそれは都会、とくに東京という場所と結びついていたように思えます。 今でも確かにリゾートホテルを中心とした観光施設などが地方にある場合もありますが、…

「世界史で読み解く現代ニュース 宗教編」池上彰、増田ユリヤ著

現代の世界でいろいろな問題の原点となっているのが宗教ということがよくあるようです。 戦争や国際紛争を知るためにも宗教について知らなければ理解しにくいところがあります。 そのために、世界の宗教の中でも大きな位置を占めているイスラム教、キリスト…

「女ことばと日本語」中村桃子著

日本語には「女ことば」というものがある。 誰もがそれは事実だと感じているでしょう。 それが好ましいものか忌まわしいものかという捉え方は人により違いはあるでしょうが、その存在自体はあまり疑われていないはずです。 また諸国の言語にもこれほど明確な…

「武士の起源を解きあかす」桃崎有一郎著

武士という人々は実に日本の歴史時代の半分を支配していたのですが、それではその「武士の起源」は何かということは、あまりはっきりとしてはいません。 かつての教科書では「地方の富裕な農民が成長し、土地を守るために一族で武装し武士となった」と書かれ…

「暗殺が変えた世界史 上」ジャン=クリストフ・ビュイッソン著

政治がどうしても指導者によって大きく動かされている以上、その指導者を暴力で消し去り状況を変えようという欲望にかられる人が出るのは仕方のないことなのでしょう。 歴史をみても多くの政治指導者が暗殺によって葬られました。 それは決して過去だけのも…