歴史
ヨーロッパの東端に位置するバルカン、日本人にとってはあまり親しみのある地域ではなく、なんという国があるかということも知られているとは言えないでしょう。 しかし、「ヨーロッパの火薬庫」と言われるような紛争の多いというイメージはあるかもしれませ…
遊牧民といえば大草原で羊を追っている風景を思うと共に、かつてはユーラシア大陸を席巻したモンゴルの旋風が思い起こされます。 しかし遊牧という生活様式がいつ頃から起こったのか、そういった歴史については遺跡もほとんど無く、自らが記録した史料も無い…
黄土すなわち中国の平原です。 中国の歴史に題材をとった小説12編を選んだというものです。 その12人の著者は、宮城谷昌光、中島敦、伴野朗、桐谷正、安西篤子、井上靖、藤水名子、森福都、司馬遼太郎、田中芳樹、井上裕美子、陳舜臣という面々です。 その作…
数学に一分野に確率と統計というものがありますが、これらは社会学的にも多く利用されるという特性があります。 その発祥と発展も、歴史的に国家や社会の運営という面から見ていかなければならないようです。 国の政治を行なう指針として人口や生産と言った…
中国や韓国との関係悪化の際には日本の歴史認識について先方から非難を受けるということが続いており、どうしても「歴史問題とは何なのか」ということを考えさせられます。 この本はかつての日本人にとっては「大東亜戦争」であったあの時代の戦争というもの…
米離れなどと言われていても、おにぎりの販売数はかなりの数に上っています。 現代日本でも重要な食形態であるおにぎりですが、その歴史についても考えていくと色々とありそうです。 横浜市歴史博物館では2014年に企画展「大おにぎり展 出土資料からみた穀物…
宮城谷さんは中国古代を題材とした小説を次々と発表されてきましたが、満を持して三国志に取り掛かり、この本を出版した2014年にはほぼその最終まで行き着いたところでした。 宮城谷さんもやはり三国志演義を最初に読み、中国の歴史に興味を持つようになった…
半藤一利さんは昭和の歴史、特に戦争史を長く書き続けてきましたが昨年1月に亡くなりました。 この本はその前年、戦時中の軍人の言葉や流行したスローガンなど「戦時中の名言」とされる言葉についての随想を綴るという構想でまとめられたものですが、これが…
高校の日本史では必ず習ったはずの「歎異抄」ですが、短い文章とは言えその全文を読んだという人はほとんど居ないでしょう。 この本は原文とその解説、さらに現代語訳を付すというものですが、昭和29年に初版発行という本ですので、「現代語訳」といってもか…
歴史好きな人にどの時代が一番かと問うとかなりの比率で「戦国時代」と答える人がいるようです。 しかし、その頃の民衆の生活を長く研究してきた歴史学者の著者から見ると、多くの人々が殺されたりひどい目にあっていた時代を単に英雄が活躍したというだけで…
「古文書に見える中世の八代」という本を読みましたが、その著者の高野茂さんの講演会が開かれたので出席してきました。 古代から様々な歴史が繰り広げられた八代地方ですが、それに関連する文書資料を丹念に調査研究してきた高野さんの話は興味深いものでし…
著者の高野さんは熊本県の高校教諭を長く勤めましたが、そのかたわら古文書の調査研究を行ってきたそうです。 30年前に八代市立博物館が開設され、その友の会が結成されたのですが、その会報「松籟」にずっと「古文書に見える八代」と題した連載記事を書いて…
ちょうど今ドラマで源頼朝の時代を放映していますが、そのあまりにも若者向けを意識しすぎたような描写に少し辟易するものの、それでは自分はその時代の何を知っているのだろうかと自省しても、実際にはほとんど知らないということに驚きます。 だからという…
諡号(しごう)は「おくりな」とも呼ばれ、天皇の死後に付けられる呼び名です。 現在の天皇は「今上天皇」ですが、明治以降一世一元ということになり、その元号が諡号とされるのは間違いありませんので、死後には「令和天皇」と呼ばれるのでしょうが、現在は…
著者の杉山さんはモンゴル史・中央ユーラシア史が専門の歴史学者ですが、一般向けの本も書かれています。 この本はこれまでの経験で歴史にまつわる事について感じたことをエッセー風に書いてみるようで、シリーズで出版されるものと思います。 その第1巻で九…
「人物月旦」とは中国後漢の許劭が毎月1日(月旦)に当時の人物の評価を著したことで有名になった「月旦評」を指します。 曹操もその対象としたことで知られています。 この本は中国出身で現在は日本で大学で教鞭をとる傍ら様々な著作を著している楊逸さんが…
平安時代に大陸から刀伊という異民族が攻め込んできたということは、確か高校の歴史の教科書にも載っていた覚えがありますが、それについての詳しい説明も何もなかったようです。 同様に来襲してきた元寇は大きな扱いであったのですが、それほどまでの被害は…
王様の食事という印象は豪勢な料理が溢れるほど食卓に並べられているというものですが、これはフランス王室のルイ14世頃のイメージでしょうか。 イギリス王室も同様なのかどうか。 それは時代によってもかなり違うものでしょう。 そういったところまで、かな…
縄文時代と言えば人々は狩猟採集の生活を送っていたというイメージがあります。 しかしどうやらかなり早期から植物の栽培などは行っていたようです。 これまでは縄文遺跡からはなかなか植物自体の遺物は発見されず、よく分かっていなかったことが多かったの…
古代のメソポタミア文明では楔形文字が発明され、それを書いた粘土板が数多く発掘されました。 その多くは実用的な文書だったのですが、中には物語を描き残したものもありました。 この本はそういった物語をできるだけ復元し意味の通る形にしたものです。 書…
現在の八代城(松江城)が築城されたのが1622年ということで、今年が400年にあたるため、それを期に盛り上がろうという思いが市内ごく一部に出ているようです。 昨日も式典があったとか。 しかし市内であってもまったくその雰囲気は伝わってきませんでした。…
明治維新によりそれまでの支配階層であった武士はその職を失いわずかな手切れ金で放り出されたも同然でした。 特にこれは幕府の家臣であった人々では激しい変動であったようです。 この本は日本近代史の研究者である著者が、多くの元幕臣たちのその後をたど…
国宝と言われるものがあるということは知ってはいますが、実際に何が国宝なのかということはそれほどはっきり認識しているわけではありません。 観光などの折りに出会ったものの説明に「国宝」と書いてあると、そうなんだと驚くと言った程度のものです。 そ…
暴力はすべて国家権力に取り上げられた近代ですが、それでも時折爆発的に民衆が暴力をふるうということが起きます。 この本では日本の近代においてそういった民衆暴力というものがどのように起きたかということを振り返ります。 取り上げられている4つは、…
平安遷都から明治になり東京に都が遷るまで、京都は日本の政治の一つの中心でした。 そこで起きた歴史的事件も非常に多いものですが、さてそれが今の京都のどこで起きたのかと考えてみると、それほど判り易いものではありません。 京都の盆地の中にできた都…
歴史上の出来事を年表と名前だけで見ていくと地域的な広がりが分からず感覚的につかめないことがあります。 そのためにも地図上でそれを確かめておくということは重要な事かもしれません。 しかし、教科書や参考書ではスペースの関係ですべてを地図で示すこ…
太平洋戦争の経緯を中心に様々な証人と資料にあたってその真相を明らかにしてきた半藤一利さんは昨年亡くなられました。 半藤さんの語った言葉、そして数々の論客との対談の様子をまとめたもので、晩年の半藤さんの言い残したかったことが語り尽くされている…
現在の天皇や皇族は通常は洋服を着ていますが、即位式などの特別な時には伝統的な衣装を着ています。 そういった天皇や公卿などの衣装のことを「装束」と言ったのですが、この本では摂関時代からの中世に確立された天皇の装束について詳述しています。 当時…
多くの古代文明で独自の文字が使われていたと言うことが判っています。 「図説」シリーズでは多くの歴史的な事柄について数多くの絵画や写真、地図などで判り易く解説されていますが、これらの古代文字についても同様に図版で見せてくれます。 編著者は古代…
太平洋戦争終了まで続いていた国家からの皇国史観による日本歴史の強制という状況が敗戦によって終了したのですが、それに代わる史観というものも確立できないままであった時期に江上波夫氏により提唱された「騎馬民族征服王朝説」というものは日本歴史学界…