爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

歴史

「気候変動と『日本人』20万年史」川幡穂高著

かつての歴史学界では気候変動のことを持ち出すと批判されていたということですが、最近の研究では明らかに気候変動により大きな社会変動が同調して起きていたことが分かってきています。 当然の話で、気候変動は食料生産に密接に関係するはずであり影響がな…

「宗教改革の真実」永田諒一著

キリスト教の宗教改革は1517年にドイツの修道士マルティン・ルターが、当時蔓延していたローマ・カトリック教会の贖宥状(免罪符)販売を糾弾する「論題」という書状をヴィッテンベルクの教会の扉に張り出したことで始まったと言われています。 そこから多く…

「粋を食す 江戸の蕎麦文化」花房孝典著

食べ物で江戸(東京)の名物とされてきたものには鮨、天婦羅、うなぎ蒲焼、そして蕎麦が挙げられます。 しかし先の3つはどれも江戸湾で上がった魚などが食材となっており、だからこそ「江戸前」と言われていました。 それに対し蕎麦は江戸時代であっても江戸…

ちょっと心に残る話「嬬恋村の恩返し」

熊本日日新聞のコラム欄に掲載された話です。 (有料会員のみの記事ですので、コピーを載せます、悪しからず) 江戸時代の天明の浅間山大噴火では多量の溶岩が流れ大きな被害が出ました。 特に鎌原村(現嬬恋村)では溶岩に埋まり壊滅的な被害を出しました。…

「『人望』の研究」小和田哲男著

小和田さんは戦国時代が専門の歴史学者ですが、一般向けの本も多数書かれており、また歴史ドラマの時代考証を担当していることでも有名です。 この本では歴史上の人物の生き方を参考に、「人望」ということについてあれこれと記しています。 「あの人には人…

「地図でたどる世界交易史」フィリップ・パーカー著

交易というものは人類が定住し文明を開いてきたかなり早くから行われてきたようです。 それはグローバル世界と言われるようになった最近ではさらに重要度を増しています。 そういった交易というものの歴史を目で見たらどう感じるか。 歴史上の人々もそれを思…

「信長政権 本能寺の変にその正体を見る」渡邊大門著

渡邊さんの本は何冊か読んでいますが、室町時代から戦国時代を専門とし、あくまでも信頼のおける一次史料の記述を中心に考えるという原則を守っているようです。 この本では本能寺の変を起こした明智光秀について確実な情報のみを選び出し、一般に信じられて…

「酒池肉林 中国の贅沢三昧」井波律子著

酒池肉林といえば、中国古代の殷王朝の最後の王、紂王が池を掘って酒を満たし、木に肉を掛けて宴会をしたという、贅沢を表した言葉です。 そういった、王や皇帝の贅沢の他にも、貴族の贅沢、商人の贅沢など様々なものがあります。 ただし、中国の場合はその…

8月15日に思う

このところ8月15日になると一応戦争というものに対する意識などについて書いていますので今年もやってみましょう。 8月15日を何と呼ぶか。 実はこの日に連合国側に敗戦を伝えたとか、降伏文書に調印したということはなく、あくまでも国民向けに天皇の玉音放…

「イワシとニシンの江戸時代」武井弘一編

イワシとニシンは今ではかなり貴重な海産物として食べられていますが、江戸時代には食べるよりはるかに重要な役割がありました。 それは農業用の肥料として使われたというものです。 それ以前には田畑の肥料には周辺の森林や草地から採取した木の葉や草に人…

「危機の世界史」ダン・カーリン著

現在も人類全体に関わるような様々な危機に見舞われていますが、これまでの歴史の中でも一つの文明が壊滅するような危機がいくつもやってきました。 そのような危機の歴史を知っておけば、これからのそれに対処できるのかどうか。 文明が滅んだという歴史は…

「物語 日本の治水史」竹林征三著

川は急流であり降水量は極めて多い日本列島では、治水というものは古代から現代まで非常に大事なものでした。 その治水というものの歴史を神話の時代から説き起こして現代までを説明するのは、建設省勤務から始まり治水の現場に関わり続けてきた著者の竹林さ…

「ヨーロッパ中世ものづくし」キアーラ・フルゴーニ著

ヨーロッパの中世というと、教会の支配のもと沈滞した社会といったイメージがありますが、実際には今に続く多くのものがその頃に生まれ、発達していました。 そのような中世の姿を、眼鏡やボタン、フォークといった物品だけにとどまらず、アラビア数字の0の…

「悲劇の好字 金印『漢委奴国王』の読みと意味」黄當時著

副題にもある「漢委奴国王」の読みという一章の他、三章の文章をまとめたものです。 ただし、あとの三章はいずれも古代に活躍していた海洋民族の言語というものを主題としており、取り上げる対象は少し違っていても多くの論拠は共通で、紹介される他の研究者…

「ギリシア文明とはなにか」手嶋兼輔著

西洋文明の古典としての地位は確固たるもののような古代ギリシア文明ですが、その姿は意外なものかもしれません。 エーゲ海沿岸の地域にインドヨーロッパ語族の集団が北方から流入してきたのは紀元前2000年頃のことでした。 その頃の地中海世界はどうであっ…

歴史の分岐点「歴史の”もしも”」を考える

「歴史に”もしも”はない」などと言われますが、しかしこれをあれこれ考えるというのは非常に楽しいことです。 それをネタに小説に仕立てたという作品も数多くあります。 フィリップ・K・ディックの「高い城の男」、豊田有恒の「モンゴルの残光」は私も読みま…

「北条義時」岩田慎平著

折りからNHK大河ドラマでは、北条義時を主人公としたものが放送されており、タイムリーな新書が出たものと思いましたら、あとがきには正直に書かれていました。 NHKで大河ドラマ放映が決まったということで、中公新書は急遽その時代の専門家の歴史家に執筆を…

「昭和史の10大事件」半藤一利、宮部みゆき著

半藤さんは昭和史を追い続けてきた方、そして宮部さんは作家ですが2・26事件を題材とした小説を書くといったことで、昭和史については色々と調査をされたようです。 そのようなお二人が「昭和史10大事件」を選び、それについて様々な方向から対談をするとい…

「バルカン 〈ヨーロッパの火薬庫〉の歴史」マーク・マゾワー著

ヨーロッパの東端に位置するバルカン、日本人にとってはあまり親しみのある地域ではなく、なんという国があるかということも知られているとは言えないでしょう。 しかし、「ヨーロッパの火薬庫」と言われるような紛争の多いというイメージはあるかもしれませ…

「遊牧の人類史」松原正毅著

遊牧民といえば大草原で羊を追っている風景を思うと共に、かつてはユーラシア大陸を席巻したモンゴルの旋風が思い起こされます。 しかし遊牧という生活様式がいつ頃から起こったのか、そういった歴史については遺跡もほとんど無く、自らが記録した史料も無い…

「黄土の群星」日本ペンクラブ編、陳舜臣選

黄土すなわち中国の平原です。 中国の歴史に題材をとった小説12編を選んだというものです。 その12人の著者は、宮城谷昌光、中島敦、伴野朗、桐谷正、安西篤子、井上靖、藤水名子、森福都、司馬遼太郎、田中芳樹、井上裕美子、陳舜臣という面々です。 その作…

「歴史と統計学」竹内啓著

数学に一分野に確率と統計というものがありますが、これらは社会学的にも多く利用されるという特性があります。 その発祥と発展も、歴史的に国家や社会の運営という面から見ていかなければならないようです。 国の政治を行なう指針として人口や生産と言った…

「国家と歴史 戦後日本の歴史問題」波多野澄雄著

中国や韓国との関係悪化の際には日本の歴史認識について先方から非難を受けるということが続いており、どうしても「歴史問題とは何なのか」ということを考えさせられます。 この本はかつての日本人にとっては「大東亜戦争」であったあの時代の戦争というもの…

「おにぎりの文化史」横浜市歴史博物館監修

米離れなどと言われていても、おにぎりの販売数はかなりの数に上っています。 現代日本でも重要な食形態であるおにぎりですが、その歴史についても考えていくと色々とありそうです。 横浜市歴史博物館では2014年に企画展「大おにぎり展 出土資料からみた穀物…

「三国志読本」宮城谷昌光著

宮城谷さんは中国古代を題材とした小説を次々と発表されてきましたが、満を持して三国志に取り掛かり、この本を出版した2014年にはほぼその最終まで行き着いたところでした。 宮城谷さんもやはり三国志演義を最初に読み、中国の歴史に興味を持つようになった…

「戦争というもの」半藤一利著

半藤一利さんは昭和の歴史、特に戦争史を長く書き続けてきましたが昨年1月に亡くなりました。 この本はその前年、戦時中の軍人の言葉や流行したスローガンなど「戦時中の名言」とされる言葉についての随想を綴るという構想でまとめられたものですが、これが…

「歎異抄」梅原真隆訳注

高校の日本史では必ず習ったはずの「歎異抄」ですが、短い文章とは言えその全文を読んだという人はほとんど居ないでしょう。 この本は原文とその解説、さらに現代語訳を付すというものですが、昭和29年に初版発行という本ですので、「現代語訳」といってもか…

「戦国時代は何を残したか」笹本正治著

歴史好きな人にどの時代が一番かと問うとかなりの比率で「戦国時代」と答える人がいるようです。 しかし、その頃の民衆の生活を長く研究してきた歴史学者の著者から見ると、多くの人々が殺されたりひどい目にあっていた時代を単に英雄が活躍したというだけで…

高野茂さんの講演会、聞いてきました。

「古文書に見える中世の八代」という本を読みましたが、その著者の高野茂さんの講演会が開かれたので出席してきました。 古代から様々な歴史が繰り広げられた八代地方ですが、それに関連する文書資料を丹念に調査研究してきた高野さんの話は興味深いものでし…

「古文書に見える 中世の八代」高野茂著

著者の高野さんは熊本県の高校教諭を長く勤めましたが、そのかたわら古文書の調査研究を行ってきたそうです。 30年前に八代市立博物館が開設され、その友の会が結成されたのですが、その会報「松籟」にずっと「古文書に見える八代」と題した連載記事を書いて…