爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

歴史

「呉漢 下」宮城谷昌光著

中国漢王朝の時代、王莽に簒奪された皇位を取り戻した劉秀(後漢光武帝)に従って全国を統一した呉漢の物語、その下巻です。 上巻の時にも書きましたが、「呉漢」という人名についてまったく聞いたことも無く、いつの時代の人かも分からないまま読み始め、劉…

「ロシアの歴史を知るための50章」下斗米伸夫編著

北方の大国として存在感だけは大きいロシアですが、かつては共産圏を率いて世界を二分したものでした。 今はかなりその勢力を落としているとはいえ、やはり有数の大国と言えるでしょう。 そんなロシアの古代から現在まで、歴史をたどりますが、あまり知らな…

「君主論」マキアヴェッリ著

「マキャベリズム」という言葉の元にもなった15世紀イタリアのニッコロ・マキアヴェッリの有名な著作です。 権謀術数の限りを尽くし反道徳的であっても国の利益を守るという、確固たる意志で行なっていくという、崇高な姿勢のようでもあり、そうでないようで…

「逆転の大戦争史」オーナ・ハサウェイ、スコット・シャビーロ著

1928年に多くの国々が署名した不戦条約、いわゆるパリ不戦条約はその後の第二次世界大戦を防ぐことができなかったために、ほとんど評価されていません。 しかし、この条約以降は「戦争を起こすこと」が「違法」とされたのであり、その意味は大きなものです。…

「三国志名臣列伝 後漢編」宮城谷昌光著

中国古代を舞台とする宮城谷昌光さんの歴史小説は、最初は春秋戦国時代を題材としたものが多かったのですが、徐々に漢や三国時代へと幅を広げてきました。 中でも三国時代は三国志を始めとして多くのものが読まれており、宮城谷さんも三国志を直接扱ったもの…

「近現代日本を史料で読む」御厨貴編著

史料と言っても、ここで取り上げているのは政治家や軍人、官僚などの個人の日記や書簡といったものです。 期間は明治時代から昭和まで、大久保利通から楠田實(佐藤栄作秘書官)までの範囲です。 明治期から現代まで見ても、多くの人々が日記を書いており、…

「リンゴの歴史」エリカ・ジャニク著

リンゴは人類が最初に栽培した果樹とも言われています。 そのためか、古代の神話から現代にいたるまで頻繁に登場し、その重要性も確かなものです。 そのリンゴの歴史から現在の栽培状況まで、さまざまな視点から書かれています。 リンゴの原産地はカザフスタ…

「孔丘」宮城谷昌光著

孔丘とは儒教の始祖孔子の本名です。 通常は「孔先生」という意味の孔子としか呼ばれることはありませんが、それをあえて本名の丘を使ったところに宮城谷さんの意図もあると感じます。 漢の時代以降、儒教は多くの帝国の国教となり、その始祖である孔子は尊…

「戦国時代は何を残したか」笹本正治著

歴史好きという人にはかなりの比率で戦国時代が好きという人がいるようです。 有名な大名や武将のファンという人も多く、その合戦なども興味を集めます。 テレビでも戦国時代を題材としたドラマは繰り返し流されています。 しかし、武田信玄や上杉謙信が人気…

「反穀物の人類史」ジェームス・C・スコット著

人類が狩猟採集の時代から農業を始め定住し、やがて国を作って文明化していくという歴史のイメージというのは、やはり「文明という光が広がっていく」というものでしょう。 しかし、著者のスコット教授は人類の文明化初期の「国家」というものは人々を家畜の…

「『宗教』で読み解く世界史」宇山卓栄著

現在でも世界で起きる戦争や紛争の多くに宗教というものが関わっています。 歴史的にはさらに多くの例が見られるでしょう。 本書は「宗教学」について書かれているわけではなく、いわば「宗教地政学」とでも言うべき内容になっています。 本書序文には「宗教…

「ヴィクトリア朝の子どもたち」奥田実紀、ちばかおり著

イギリスのヴィクトリア朝といえば、ヴィクトリア女王が即位した1837年から亡くなる1901年までの64年間を指します。 日本でいえば江戸時代末期から明治時代前半にあたります。 イギリスでは産業革命による社会の変化がかなり進み、農村から都会へ…

「古代日中関係史」河上麻由子著

古代の歴史を振り返れば多くの人、文化、その他のものが中国から日本に渡ってきたのは間違いないことです。 その最初は大国にヘリ下り貴重な文物を下賜してもらったのでしょうが、いつの頃からか日本の国が隆盛に向かうとその関係も対等であることを目指した…

「敗北を抱きしめて 下」ジョン・ダワー著

太平洋戦争での日本の敗戦から、占領時代に何が起きたのか、豊富な資料と洞察力で明らかにしたダワーさんの「敗北を抱きしめて」上巻に続いて下巻も読みました。 上巻では、敗戦当時の人々の心情や生活などをまとめていましたが、この下巻では占領軍と天皇が…

「シルクロードをつなぐ昔話 中国のグリム童話」百田弥栄子著

ドイツのグリム兄弟が古代ゲルマンの民話や伝説をもとに童話集を刊行してから約200年経つそうです。 しかし、その中の有名な話とそっくりのものが中国各地の民話として残っているということはあまり知られていないようです。 本書著者の百田さんは長年にわた…

「再読:戦国時代の大誤解」鈴木眞哉著

戦国時代について多くの人々が持っている印象の多くは誤解だというこの本は、かなり以前に読んでいましたが、まだこのブログで書評を書き出した初期の頃で素っ気ないものでしたので、書き直してみます。 歴史好きという人は多く、その興味の向かう先は戦国時…

「敗北を抱きしめて 上」ジョン・ダワー著

先日読んだ「新現代歴史学の名著」という本の中で紹介されていたものです。 それに惹かれていつもの市立図書館の蔵書を調べたらあったので、借りてみました。 著者のダワー氏は1938年生まれのアメリカの歴史学者で、終戦時にはまだ7歳、終戦後の日本と…

「発掘! 歴史に埋もれたテレビCM」高野光平著

民間テレビが放送を始めたのは1953年8月、テレビCMというものも始まりました。 しかし残された映像がほとんど無かったためにその初期の姿というものはほとんど知られていませんでした。 ところが、映像制作会社のTCJという会社が製作したフィルムが同社の倉…

「新・現代歴史学の名著」樺山紘一編著

本書の前篇、「現代歴史学の名著」が刊行されたのは1989年でした。 そこには、津田左右吉、ホイジンガ、ブローデル、フーコーなど、素人の私でも知っているような名著が並べられていたのですが、それから20年が経ち(本書刊行は2010年です)さすがに「現代」…

「ポスト西洋世界はどこに向かうのか」チャールズ・カプチャン著

近代から現在に至るまで、西洋(欧米)が世界中を支配してきました。 しかし、どうやらその体制はいつまでも続くわけではなく、近いうちに大きく変動しそうな様相となっています。 西洋モデル、すなわち「自由民主主義」「資本主義」「世俗ナショナリズム」…

「世界史を変えた13の病」ジェニファー・ライト著

今正に「病気が世界を変えようとしている」時ですが、この本は2017年に原著が出版されたということで、当然ながら新型コロナウイルスには触れていません。 エイズすら章立てしての記述はなく、最後はポリオで終わっています。 人類が文明化し密集して住…

「日本中世への招待」呉座勇一著

日本において中世とは源平合戦の平安末期から戦国時代までを指します。 その前後の時代と比べはるかに物騒な、戦乱相次ぐ時代だったのですが、そのために歴史小説や映画として取り上げられることも多いため、「自分は中世に詳しい」と考える歴史ファンも多い…

「使ってみたい 武士の日本語」野火迅著

つい150年ほど前まで、日本には「武士」と呼ばれる人々がたくさんいました。 しかしあっという間に彼らは消え去ってしまったかのようです。 それとともに、彼らの使っていた言葉も多くは消えました。 ただし、消えて誰も使わなくなった言葉のようで、何か聞…

「おみやげと鉄道 名物で語る日本近代史」鈴木勇一郎著

「おみやげ」というのは日本では身近なものですが、世界的に見るとかなり変わった風習のようです。 英語に訳そうとすると「souvenir」(スーヴェニア)とするのでしょうが、実は欧米でのスーヴェニアというものは、旅の思い出として自分自身のために買うもの…

「中世騎士物語」ブルフィンチ著

トマス・ブルフィンチはアメリカの19世紀の作家ですが、ヨーロッパの神話や伝承に詳しく様々な著作があります。 この本は、The Age of Chivalry (1858)の訳で、訳者は野上弥生子さん、1942年に初版発行、この本は改版で1980年に出版されたものです。 内…

「皇族 天皇家の近現代史」小田部雄次著

「皇族」というと、天皇の兄弟や従兄弟、そしてその子や孫といったイメージを持っていましたが、一方では「元皇族」という人々が現れたりして、あれはいったい何なんだと思ったり、ほとんど知識を持っていませんでした。 この本の著者の小田部さんは近現代史…

「図説 歴代アメリカ大統領百科」DK社編、大間知知子訳

今回のアメリカ大統領選挙は特に興味を集めたのですが、そういえばこれまでの歴代大統領で名前だけでも知っているのはわずかなものだなと感じます。 そういった人向け?の、歴代アメリカ大統領一人一人についての略歴やエピソード、有名なファーストレディー…

「古代ローマ帝国 1万5000キロの旅」アルベルト・アンジェラ著

著者は古代ローマの日常を描いた前著「古代ローマ人の24時間」が好評となったのに気を良くし?、さらに範囲をローマ帝国全域に広げてこの本を書きました。 時は紀元115年、トラヤヌス帝の治世のもと繁栄していたローマ帝国のほぼ全域を、ローマで鍛造さ…

「中国の歴史認識はどう作られたのか」ワン・ジョン著

日中間の軋轢が高まると、中国側からよく「歴史認識」が問題であると指摘されます。 確かに日本側の中国侵略についての認識はあまりにも甘すぎるところがあるとは感じられますが、しかし中国側の主張も厳しすぎるという感がするのも多くの日本人が共有する感…

「世界遺産でわかる世界の歴史」宮崎正勝監修

ユネスコが登録する世界遺産の中でも、「世界文化遺産」と言われるものは人類の歴史を今に伝えているものです。 そのような世界遺産は観光で見に行くという人も多いのでしょうが、その奥にある歴史を知ると知らないとでは、見る価値も大きく違うでしょう。 …