爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

2016-12-01から1ヶ月間の記事一覧

「軍人皇帝のローマ 変貌する元老院と帝国の衰亡」井上文則著

歴史学者で早稲田大学教授の著者ですが、ご専門が古代ローマ帝国衰亡時ということで、まさに専門の中心のところを一般向けの書物として刊行されています。 ローマの初代皇帝アウグストゥスから、西ローマ帝国滅亡までの約500年間の間に、ローマ皇帝となった…

「道元と曹洞宗がわかる本」大法輪閣編集部

大法輪閣とは仏教関連の本を出版している出版社で、宗派には関係ないということです。 その発行している月刊誌「大法輪」で2002年から2012年までに掲載された「道元の生涯と教え」「曹洞宗とは」というシリーズの連載をまとめ、さらに執筆者が加筆して単行本…

2016年を振り返る 10月~12月

10月 ★阿蘇山で36年ぶりに爆発的噴火 「爆発的噴火」が久しぶりだったのに驚きです。もっと頻繁に噴火しているような印象ですが。 風向きが南からだったので北方の阿蘇市一宮方面に火山灰が大量に降りました。 もしも北東からの風であったら我が家の方ま…

「食品廃棄の裏側」石渡正佳著

2016年1月に発覚した、愛知県の産廃業者ダイコーによる廃棄冷凍カツの横流し事件は大きなニュースになり、連日の報道の量も凄まじいものでした。 しかし、元産廃Gメン(千葉県産廃行政担当職員)であった著者の石渡さんはこれは氷山の一角に過ぎないと感じた…

2016年を振り返る 7月~9月

7月 ★バングラデシュのダッカでテロ事件、日本人7人殺害 イスラム国の関係者という過激派イスラム教徒によりテロ事件が起き、ダッカに居た日本人など外国人が多数殺害されるという事件が起きました。 日本人はJICA(国際協力機構)の関係者ということで、…

「ドライブ上達読本」小沢コージ著

この本は、若い頃に運転免許は取ったもののその後はさっぱりドライブすることもなく、ペーパードライバーとなってしまった、特に都会周辺の奥様方を対象として書かれています。 したがって、私の住む九州のど田舎で毎日運転するしか無い状況で何十年も運転し…

2016年を振り返る 5月~6月

5月 ★完全に私事で申し訳ないのですが、2日に娘に子どもが産まれました。私たちにとって初孫です。 兵庫県に住んでおり、そちらで出産しましたので退院に合わせて向いました。 九州新幹線は前月の地震で2週間ほど止まっており、ようやく運転再開した列車…

「天災から日本史を読みなおす 先人に学ぶ防災」磯田道史著

著者の磯田さんは歴史学者ですが、一般向けの教養書として書かれた「武士の家計簿」が脚色されて映画となっています。 他にも歴史関係の著書は多数あるようです。 しかし、この本は歴史的な文書を調査して書いたことには間違いないのですが、それ以上に「防…

2016年を振り返る 4月

4月 ★何と言っても熊本地震の発生です。 最大震度7が同じところで2回連続して起きたということや、余震の回数が飛び抜けて多いといった特徴がありますが、何より自分自身で経験のある中でも最大の揺れでした。 熊本市や益城町、西原村、南阿蘇村といった…

2016年を振り返る 1月~3月

毎年年末の恒例にしてしまいます。1年を振り返る記事。 国内外のニュースと私的なことなど記憶に残ったものを書いていきます。 1月 ★熊本市の製薬メーカー 化血研(化学及び血清療法研究所)に対し、国の承認を受けない方法で製造を続けていた件で110日…

「誤解学」西成活裕著

西成さんは非線形動力学がご専門という物理学者ですが、社会現象にも興味を強く持ち、「渋滞学」や「無駄学」といった分野の研究もされているそうです。 その一環として?、「誤解学」というものも取り上げて本にしてしまいました。 この経緯は本書中にも書…

微生物の話 第6回 微生物の学名など

群馬の研究所へ派遣されての、抗生物質作用機構研究は予想通りなんの成果も上げられずに終了し、以前居た会社の研究所に戻りました。 仕事は以前の保存菌株の維持管理や新規株の分類同定に加え、さらに新規物質の探索のための微生物分離作業も加わりました。…

「幕末明治 不平士族ものがたり」野口武彦著

著者の野口さんは評論が主の著述家です。 したがって、幕末明治の歴史的なことがらを書いていますが、あくまでも物語として扱われていると感じます。 ただし、個人の感覚や言葉などは創作でしょうが、大きく歴史事実と異なるものではないと思います。 明治維…

”賀茂川耕助のブログ”を読んで No.1171 平和外交で発展目指す時

賀茂川さんのブログ、今回は国連での核兵器禁止条約に向けた動きに日本も反対した件、そしてトランプ政権への安倍内閣の姿勢について触れています。 kamogawakosuke.info 国連での決議での日本の態度は、もはや世界のどの国も明確に認識しているように、被爆…

「”心理テスト”はウソでした。 受けたみんなが馬鹿を見た」村上宣寛著

著者は心理学の研究者で、ご専門は認知心理学、性格測定といった分野だそうですが、コンピュータが世に出だした頃からそれを使ったデータ分析といったところにも手を広げたためか、行きがかりでロールシャッハ・テストの解析プログラムといったものをパソコ…

「教科書の中の宗教 この奇妙な実態」藤原聖子著

2006年の教育基本法改正から、学校教育において愛国心などを扱うべきという言わば宗教教育推進派という人々の声が強まっていますが、それに反対する人たちも含めて皆が誤解していることがあるようです。 それは、現在までの教科書が「政教分離」の原則に…

「心配事の9割は起こらない 減らす、手放す、忘れる”禅の教え”」枡野俊明著

著者は曹洞宗の寺の住職でありながら、庭園デザイナーとしても活躍され大学でも教鞭を取られるという方です。 禅の教えというものは、座禅をしなければ本当のところは伝わらないのかもしれませんが、その助けとして多くの「禅問答」「禅語」といったものが残…

「いま地震予知を問う 迫る南海トラフ巨大地震」横山裕道著

著者の横山さんは1969年に毎日新聞社に入社、科学記者として活躍されていたのですが、ちょうどその時期は東海地震が迫るという危険性が唱えられ大規模地震対策特別措置法(大震法)が制定され地震予知も多くの予算をつぎ込まれて推進されていたころです…

微生物の話 第5回 Staphylococcus aureus

第5回 Staphylococcus aureus (スタフィロコッカス アウレウス) これは日本名は「黄色ブドウ球菌」です。 ラテン語でStaphylo- はぶどうの房、coccusは球菌、aureusは黄金という意味です。 まあ菌の特徴をそのまま使った名称になっています。 この学名は…

「永平寺の四季 落井俊一写真集」落井俊一著

普段は写真集を見ることはほとんどないのですが、図書館の「宗教書」のコーナーにこの本が置いてあったので借りてきました。 著者の落井さんは福井県在住の写真家、永平寺に通って四季折々の写真を撮ってきたようです。 永平寺は曹洞宗大本山、今でも常時数…

微生物の話 第4回 Tricholoma matsutake

第4回 Tricoloma matsutake (トリコローマ マツタケ) 研究所でのアルコール生産研究は成果の出ないまま無事終わりを告げ、その後なにをするのかと思えば菌株の保存管理・分離同定という業務を命ぜられました。 その研究所には当時6000株以上の保存菌…

勝川俊雄さんのサイトより マグロの国際会議で日本が「フルボッコ」

漁業資源に関する意見で見るべきところの多いと感じる勝川俊雄さんが、最近開かれたWCPFC(中西部太平洋マグロ類委員会)について書かれていますが、マグロの漁獲規制について大変なことになっているようです。 なお、この件は一般紙にはまったく無視されて…

「日本人の生命観」鈴木貞美著

本の題名を見ただけのイメージでは、歴史を振り返り日本人の生命というものについての感覚がどのように変化してきたのかということを書かれたものかと思いましたが、少し異なるもののようでした。 著者の鈴木貞美さんは近代文学の研究者で、自らも著作、評論…

「消費者の権利 新版」正田彬著

著者の正田さんは同じ岩波新書版で「消費者の権利」という本を1972年に出版されております。 それから状況も大きく変化したということで、新版を発行するということになり、準備を進めておられたのですが、2008年に草稿を仕上げたものの、2009年にお亡くなり…

「環境問題を考える」で近藤邦明さんが安倍政権の的確な批判展開

ネットで情報を集めるようになった最初の頃から大変参考にさせて頂いている、近藤邦明さんという方の「環境問題を考える」です。 地球温暖化についてや、再生エネルギーと称するものの欺瞞性など、教えられることが多かったのですが、最近は環境問題よりは政…

微生物の話 第3回 Zymomonas mobilis

第3回 Zymomonas mobilis (ザイモモナス モビリス) 工場勤務も長くなりそこで結婚したのですが、その直後に研究所に転勤となりました。 研究所での最初の仕事は「アルコール製造の効率化」というものでした。 当時はまだ石油ショックの痛手の記憶もまだ新…

住んでみたい日本の都市はどこか

日経新聞社のネットサイト NIKKEI BPに表題のような記事が載っていました。 www.nikkeibp.co.jp 日経BP総合研究所というところが、5大都市(東京、札幌、名古屋、大阪、福岡)の住人5000人にアンケートを取り、住んでみたい日本の都市はどこかを集計し…

「地図化すると世の中が見えてくる」伊藤智章著

著者の伊藤さんは高校の先生ですが、地理が専門で日本地図学会でも教育関係で活動をされているようです。 現在はインターネット上で地図ばかりでなくいろいろなデータを取得することができます。 また、地図もフリーソフトを利用して書くことができ、ネット…

「耐震、制震、免震の科学」高橋俊介監修 高層建築研究会編著

近年多くの大地震が発生し、今年に入ってからも熊本地震、鳥取地震と続いています。 そんな中、建物の地震に対する強さを求める傾向も強まっており、高層建築ばかりでなく個人住宅でも耐震性などが言われることも珍しくなくなりました。 とはいっても、耐震…

熊本県八代市からも阿蘇山は見える 思い込みはいけない

これまで、熊本県内でも熊本市などからは阿蘇山がよく見えるけれど、県南にくると八代市からは阿蘇は見えない。その代わりに雲仙岳はよく見えると思っていました。 しかし、昨日の散歩の途中で北東方向にかなり遠くの山影が見えることに気づき、今朝もまた少…