爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

2014-11-01から1ヶ月間の記事一覧

OPEC減産交渉不調

原油価格が続落しているために収入減を心配した産油国が生産削減をするかどうかという会議をしたそうですが、調整が付かず不調に終わったようです。 これで石油価格がさらに低下し経済成長にプラスになると喜んでいる人が多いようです。原油価格の低下につな…

再読:「医学と仮説」津田敏秀著

半年ほど前に読んだ疫学者の津田さんの本ですが、科学哲学の部分をもう少し読んでみました。なお、津田さんの名前でネット検索をするとかなり多くの記事が引っかかります。どうやら福島での甲状腺がんの発生についての発言からのようです。現状では、どちら…

「女は男のどこを見抜くべきか」香山リカ著

いろいろな文化評を書いている香山さんですが、本業は精神科医ということです。この本はかなりその本業に近いところで書かれているものです。最初の導入部では、著者が初対面の人に自分が精神科医であることを告げた場合の反応について語られています。以前…

「ああ知らなんだ こんな世界史」清水義範著

作家の清水さんがたまたまトルコを旅行し、その魅力に取り付かれてその後イスラム教の諸国を毎年旅行するようになったのですが、行った先でいろいろな歴史遺物を見学してもほとんどその歴史を知らないと言うことに気付いてしまいました。 日本では世界史とい…

「2015年の電子書籍」前原孝章、川元麻衣子、石田樹生(野村総合研究所)著

2015年というと来年ですが、これは2011年に4年後の電子書籍を予測して書かれたということです。 最近、別の電子書籍の本も読みましたが、その本と違うというところはいわゆる「ケータイ小説」というものも考察しているということです。 それを考えに入れると…

「とにかく目立ちたがる人たち」矢幡洋著

臨床心理士で作家の矢幡さんの本は以前にも読んだことがありますが、本書は「目立ちたがり」と言われる人の中でもまったく相反する二種類の性格について、アメリカのパーソナリティー障害の理論で最大と言うセオドア・ミロンという学者の説の紹介と解説を行…

「科学の未解決問題」竹内薫著 執筆協力丸山篤史

執筆協力とありますが、これは最近読んだ「ゴーストライター」についての本にあるような実質執筆者ということではないようです。丸山さんは医学者ということですので、竹内さんの専門の物理関係ではなく生物関係の話題のところの正確性付与に協力したという…

「コンピューター社会が崩壊する日 フォン・ノイマンが仕掛けた3つの罠」逢沢明著

この本はかなり昔に読んだものですが、今となっては懐かしい思い出です。 1990年発行の今は無きカッパブックスの一冊で、当時の京都大学助教授の逢沢さんが書かれたものです。ちょうどその頃は仕事で会社の一種の財産の記録の電子化ということを担当しており…

「電子書籍の衝撃 本はいかに崩壊し、いかに復活するか?」佐々木俊尚著

ダウンロードして本を取り込んで読む電子書籍や、いわゆる「ケータイ小説」など最近急激に伸びている電子書籍ですが、その解説だけかと思いましたが、著者の佐々木さんは新聞記者、雑誌編集者を経てジャーナリストとなった方ですので、現在の出版界全体の状…

総選挙の争点

いよいよ始まる衆議院議員総選挙ですが、当初首相が言っていたような「消費税増税延期の信を問う」などという謳い文句ではさすがにごまかしきれないと言うことに気付いたか、「アベノミクスの評価を受ける」といったことに変わってきたようです。よほど「ア…

「日本の”行事”と”食”のしきたり」新谷尚紀監修

日本に限らずどこの国でもさまざまな行事にはそれに特有な食というものが付き物ということはあるのでしょうが、食物というものの多様性が多いと考えられる日本というところはその結び付きが特に強いということはあるのかもしれません。 各種の年中行事、また…

「マスコミが絶対に伝えない”原発ゼロ”の真実」三橋貴明著

三橋さんは最近大売れの経済評論家で、著作は多数、またネットでも大活躍のようです。かなり刺激的な表題のものを目にします。 本書は題名からも分かるように、脱原発を目指す人々を徹底的に論駁しています。その論拠は、現在の原発停止の状況では電気料金が…

衆議院解散

ほとんど誰も予想もしていなかった時点での衆議院解散です。 消費税増税延期についての国民の信を問うと言えば真っ当に聞こえますが、実態は「このまま行けばどんどん支持率が下がるのは目に見えているのでまだ騙せる間にやってしまおう」というのが明らかで…

「道路整備事業の大罪 道路は地方を救えない」服部圭郎著

車ばかりに全てが偏重しているような社会には以前から疑問を抱いていましたが、それらの点をかなり明快に解説してくれた本です。 特に、国鉄時代の赤字ローカル線の整理が進められていた当時には、「100円稼ぐのに経費は何百円」といった論調での批判が強か…

「地図もウソをつく」竹内正浩著

著者は現在はフリーライターということですが、大学卒業後JCBに入社し旅行誌の編集を長くやってきたということで、各地への旅行は頻繁だったのでしょうが、それにも増して地図が大好きだった様子が見て取れます。地図は実際の地形の状態などを正確に記してい…

GDP速報

本日朝に出たGDPの速報値が大方の予想の2%程度のプラスではなく年率にしてマイナス1.6%ということで大騒ぎです。消費税増税がこれではできないという論調ですが、それ以前の問題でしょう。 政府と日銀が空前の金融緩和と題して行った施策がほとんど成果を…

「ビジネス書の9割はゴーストライター」吉田典史著

ゴーストライターというと、芸能人やスポーツ選手が書いたと言う本を実際に書いている人というイメージでしたが、いわゆるビジネス書というジャンルの本でもほとんどが著者は名前ばかりでゴーストライターが書いているというのはあまり認識していませんでし…

「オフィスの中の困ったひとびと」アンドリュー・ホームズ、ダン・ウィルソン著

長年の会社勤めでは、「困ったひとびと」との付き合いと言うのも多数ありましたが(お前が一番”困った人”だと言われそうですが)イギリスのオフィスにも困った人は多数出現しているようです。 そういった人々の生態をたくさん挙げているのが本書です。表題に…

「ヒューマンエラーは裁けるか」シドニー・デッカー著 芳賀繁監訳

本書あとがきに書いてあったのは、ハドソン川にエンジン停止した飛行機を無事着水させたチェズレイ・サレンバーガーという機長がニューヨーク市から表彰された際に、併せて贈られたのが事故の際に携行していたニューヨークの図書館から借りた「Just Culture…

「ウィキペディア革命」ピエール・アスリーヌ他著 木村忠正解説

ウィキペディアの解説をコピーアンドペーストでつないだだけのレポートが大学などで横行しているという話は日本でもよく聞きますが、これはフランスでの事情を書かれた本です。あちらでも状況は変わらないようです。著者らはフランスの作家・ジャーナリスト…

「ひねくれ古典”列子”を読む」円満字二郎著

著者は研究者ではなく出版社で編集の仕事をしていたそうですが、列子の面白さに惹かれこれを書いてくれる人が居ないかと探したものの専門家は誰も応えてくれず、それならと自分で書いてしまったと言うことです。列子は実在が疑われてもいますが、諸子百家の…

エネルギー文明論「経済成長とは」

エネルギー依存と言える状態になってからの人類の文明は大きく発展してきました。当然ながらその間の「経済成長」というものも大きなものでしたが、その当時の感覚のまま今でも経済成長至上の考え方が広く世界全体を覆っているようです。 経済成長は資本主義…

「勘違いの日本語、伝わらない日本語」北原保雄著

著者は国語学者で筑波大学の元学長という方です。 とは言っても難しい言語の話ではなく一般向けに良くある言い間違い、勘違いといった例を挙げている本です。 著者はこういった教養書も数多く書かれているようです。敬語は誰にも難しく感じられるようで、特…

「原子力と環境」中村政雄著

二酸化炭素による温暖化を防ぐためには原子力発電が必要と言う意味での「環境」ですので、当然のことながら2011年福島原発事故以前の本であり、それ以降はこのようなことは言っていないだろうと思ったのですが、この著者はそうでもないようです。調べてみる…

「真実のビートルズ・サウンド」川瀬泰雄著

著者は音楽プロデユーサーとして井上陽水、松田聖子などの曲を作ってきたということですが、それ以上に非常なビートルズ・マニアということでビートルズの曲の細部にわたるまでを検討したそうです。 職業柄、すべての製作技術に通じていますのでビートルズが…

「イスラム過激原理主義」藤原和彦著

イスラム教徒という人々のほとんどは平和を愛するということは言われていますが、一部の過激派のためにキリスト教徒を中心とする欧米諸国からはテロ集団のように見られがちです。 この本は、新聞社のエジプト支局長などを長く務められ、イスラム教の情報には…

エネルギー文明論「エネルギー依存文明の終焉と現代資本主義の暴走」

これまでも現代の文明がエネルギーに過度に依存しており、エネルギー供給の不安により極めて不安定になり文明の破綻も有得るという話は何度もしてきたかと思います。 日本におけるバブル破綻のあともアメリカのサブプライムローン破綻、リーマンショックなど…

「日本宗教史」末木文美士著

仏教学が専門の末木さんが仏教だけに留まらずすべての宗教の日本の歴史総観を新書で解説というものですので、一つ一つについては語り足りない部分はあるのでしょうが、概観を見ると言うことではよくまとまっていると言えるでしょう。明治時代には国家神道と…

「トリビアな疑問」エンサイクロネット編

編者と言われるエンサイクロネットというものが、どのようなものか全く不明ですが、さまざまな読み物を書いているようです。 人物なのかグループなのかも分かりませんが、扱っているものが多岐にわたりますので、一人ですべてをカバーするのは難しいでしょう…

「幼稚化する日本社会 拝金主義と反知性主義」榊原英資著

著者は1941年生まれで東京大学卒後大蔵省入省、アメリカ留学などを経て局長まで勤め、退官後は大学教授と言う方です。 まあ誰もが認めるエリートでしょうが、その本人がエリート養成して知性を磨けと言われると反発もあるでしょう。なにより御本人の自分の知…