爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

生物

丸山ワクチンへの期待はまだ続いているのか。NATROMさんが指摘。

NHKの朝ドラ「あんぱん」はなかなかの好評で話題を集めましたが、その最後に主人公であるやないたかしの妻のぶが乳がんにかかり、余命3か月と言われたものの5年間生きられたということが描かれました。 これはモデルとなったやなせたかし氏の妻暢さんの実…

「今 地球は?人類は?科学は?」中村桂子著

中村桂子さんは生命科学研究者として有名な方ですが、このところご自分の研究分野を「生命誌」として、地球全体の生命を考える活動を続けられています。 そのような中村さんが、これまで半世紀にわたって読んできた本の書評を集めたのが本書です。 おおまか…

「歴史から読み解く ワクチンのはなし」中山哲夫著

新型コロナウイルス感染ではワクチンが大きな話題になりました。 新たなワクチンであるmRNAワクチンが導入されたことで、非常に短期間の間に大量のワクチンが供給されましたが、その安全性や有効性には疑問の声も多くあがりました。 しかしその他のワクチン…

「ミトコンドリア・ミステリー」林純一著

ミトコンドリアは生物の細胞内の器官で、エネルギー生産に関わる働きをしています。 しかし遺伝子の研究が進むにつれその独自の遺伝情報が注目されるようになりました。 それは古代に別の生物であったミトコンドリアが他の生物の細胞内に取り込まれ(あるい…

畝山智香子さんの「野良猫通信」で、「世界は基準値でできている」の紹介

このブログでも頻繁に取り上げている永井孝志さんなどが執筆しブルーバックスで出版された「世界は基準値でできている」という本が畝山智香子さんの「野良猫通信」で紹介されました。 foocom.net 永井さんのブログでも出版の報せがあり、そのうちに買ってみ…

「進化論の進化史」ジョン・グリビン、メアリー・グリビン著

進化論というものについて一般的な印象は、本書末尾に訳者の水谷淳さんが書いているように「古来生物のことを何一つ知らなかった人類の中でただダーウィンだけが真理を見抜きひそかに壮大な思索を巡らせ、そして突如として世界中の人々に生物は進化するとい…

なぜ「鶏肉の生食」は法律の規制がないのか。

鶏肉の生食(刺身、生つくね、半生チャーシューなど)による主にカンピロバクターによる食中毒は頻繁に発生しています。 しかし牛豚の生食、生レバーは法律で禁止されているのに、鶏肉生食はそういった規制がありません。 それはなぜかという記事がありまし…

「脳と音楽」伊藤浩介著

音というのは空気の振動であり物理現象です。 しかし人間が聞く「音」というのは決してそれだけに止まるものではなく、人間の脳が深く関与して受け取っているもので、物理現象の音波そのものとは異なります。 そうして、その音を使って組み立てる音楽という…

アニサキス中毒について注意点

アニサキスという魚類に寄生する線虫による食中毒が急増しているということです。 これについて成田崇信さんという管理栄養士の方がPresidentOnlineで注意喚起の記事を書いておられました。 president.jpアニサキスはサバ、カツオ、イカなど多くの魚類に寄生…

「人類存続に必要な出生率は女性一人あたり2.1人ではなく2.7人」?頓珍漢な「研究成果」

人口の増減なく持続するための女性一人あたりの出生率、人口置換水準はこれまで考えられていたように2.1人ではなく2.7人だったという研究成果を発表されたということです。 diamond.jpフィリピンの大学の研究者がPLOS ONEという科学誌に発表したという…

アメリカのヒ素報道について、畝山智香子さんのFOOCOM.NET記事

アメリカのCNNでコメなどの食品中のヒ素の有害性について報じられたことを畝山智香子さんがFOOCOM.NET内の記事で取り上げていました。 foocom.net アメリカで市販されているコメから危険水準のヒ素とカドミウムが検出されたというものですが、この記事内には…

「人工光合成」が”夢の技術”でも”脱炭素の切り札”でもない理由

植物の機構を真似して、太陽光のエネルギーを用いて物質を作り出す「人工光合成」の開発研究が進められています。 確かに植物は太陽光のエネルギーと水と二酸化炭素、そして地中の栄養成分を使って身体を作り種を作って繁殖しています。 それと「人工光合成…

IQは何の指標なのか。まだ世間的には評価されているのかも。

IQ(知能指数)と呼ばれる数字はまだまだ世間ではのさばっているのでしょうか。 そういった記事が出ていたので驚きます。 studyhacker.netお茶の水女子大助教という毛内拡さんという方の説明を清家茂樹さんというライターが記事にしていました。 IQでは本当…

「地図とデータで見る 生物多様性の世界ハンドブック」サラ・ボルトラミオル、エルヴェ・プレディフ、ローラン・シモン著

生物多様性が失われていると言われていますが、その実情はというとなかなかイメージしにくいものでしょう。 それを豊富な実例のデータと世界全体の地図で示そうという本で、見ると分かりやすいと感じさせられます。 本書の著者はフランスの研究者ですが、世…

またも「老化細胞を取り除く」今度はグリコから

少し前に「老化細胞を取り除く成分」がファンケルにより発見されそれを使った健康食品が発売されるという件について書きました。 sohujojo.hatenablog.com 同じようなことが今度はグリコがネムノキで見つけたということです。 www.nikkei.com どうやらこの実…

グリホサート多使用地域で出生時体重が減少?という論文について、リスク学者永井孝志さんのブログより

永井孝志さんのブログで、「グリホサート多使用地域では乳児の出生時体重が減少している」という論文が掲載されたということが紹介されていました。 nagaitakashi.net PNAS誌という論文誌がどのようなものかは知りませんが、あまり程度の高いものではないよ…

「人類の祖先に会いに行く」グイド・パルブイアーニ著

我々人類が徐々に進化してきましたが、そこには学名だけで伝えられてきたかのような先祖たちがいます。 ホモ・エレクトゥス、ホモ・ハイデルベルゲンシスなどという学名は聞いたことがありますが、その人々がどのような暮らし方をしていて、どういった見かけ…

日本人のDNAの90%は弥生人由来。国立科学博物館館長の篠田謙一さんの話。

最近の遺伝子DNA解析は技術的にも進歩しその範囲も増えているために色々な事が明らかになってきているようです。 国立科学博物館館長の篠田謙一さんは、これまでも著書を拝読したこともありますが、今回プレジデントオンラインの方がインタビューをしてその…

「放っておくとこわい症状大全」秋津壽男著

多くの致命的な病気は現在の医療技術によって救うことが可能となってきました。 ただし、そこで絶対的に必須となるのが早期に対処することであり、そのためにはいろいろな症状から危険な病気の前触れとなるものを見分け、専門医に診察してもらう必要がありま…

アニサキス、日本海側でも劇症を引き起こす種類が増えている。

サバやイカなどの魚類に寄生し生で食べると体内で暴れまわり激痛を発するアニサキスはこれまでは太平洋側では劇症発生の種類が多かったものの、日本海側ではその種類は少ないと言われていました。 しかし日本海側でも劇症発生の種類が増えているという話です…

〇〇酵素は体に良い、というCMにはどうも違和感ばかり。

テレビなどのCMで目にするのが「何とか酵素は健康に良い」といった言葉です。 どうやら「酵素」という言葉は「良い」というイメージに感じる人が多いのでしょう。 そういった製品は、私から見ればよくこんな気持ち悪いもの飲めるなといったものですが。 この…

老化細胞を取り除く?なにか危険なことになりませんか。

老化細胞を取り除く作用を持つものが発見されたというニュースです。 news.goo.ne.jp健康食品のファンケルが開発した実験方法により、血液中の老化細胞を有意に減少させる物質が植物「キンミズヒキ」から発見されたとか。 これで老化が食い止められるのか。 …

「PFOAの発がん性とは」畝山智香子さんの「野良猫通信」より。

PFASと呼ばれる有機フッ素化合物が水道水などに含まれると大騒ぎになっていますが、その報道の中でほとんど必ず触れられるのが「発がん性が疑われるPFOA、PFOS」という言葉です。 その内容がどんなものなのか、それすらおそらく分からないまま報道しているの…

「どうしてそうなった!? いきものの名前」丸山貴史著、岡西政典監修

生物の名前には一般的な和名、そして学名というものがあります。 そのどちらも詳しく見ていくと興味深いことが含まれているようです。 和名というものは日本で普通に見られる生物には付けられていることがありますが、それでも広く知られている生物以外はあ…

「ファーブルと日本人」養老孟司、奥本大三郎著

ファーブルは昆虫記を書きましたが、それはヨーロッパ人としては珍しいともいえることであり、今でもファーブルという名前もヨーロッパではそれほど知られていないようです。 昆虫に幼い頃から興味を持つ子どもが多いというのは日本人の特性のようです。 ヨ…

「〈運ぶヒト〉の人類学」川田順造著

「ヒト」を人類学的に見た場合どうとらえるかという見方は色々あります。 動物学的に見た学名の「ホモサピエンス」のサピエンスは「賢い」という属性をとらえたものですし、ホモ・ルーデンスのルーデンスは「遊ぶ」という面を強調して唱えらたものです。 こ…

「絶滅危惧種ビジネス」エミリー・ボイド著

熱帯の淡水魚アロワナは観賞魚として非常に人気が高く、高値で取引されます。 しかし絶滅危惧種であることから、アメリカなどでは輸入が禁止されています。 ところが養殖は可能であることから多くの国でその業者が生産しており、それがほとんど流通していま…

「あつまる細胞」竹市雅俊著

動物の細胞は独立の構造をしており、そのままではバラバラになりそうです。 しかしそれがしっかりと一つにまとまり、さらに臓器や器官に分化していくというのは何らかの機構があるはずです。 それを研究して細胞間接着分子であるカドヘリンというタンパク質…

ドクダミ茶も危険な場合がある。健康食品の問題点。

健康食品は体に危険な作用は少なく健康に良いといったイメージがあるのかもしれませんが、実際にはそうではない場合も数多くあります。 紅麹事件は混入したアオカビが生成した毒物ということで片付いたようですが、ドクダミ茶などはそのものの成分が悪さをす…

「Y=男 の悲劇」黒岩麻里著

題名はちょっとひねってあるもので、「Yの悲劇」という大きな活字の横に「Y=男」という文字が入り込んでいるものです。 この「Y」はY染色体、すなわち男を意味するということです。 とはいえ、内容は軽いものではなく非常に高度な科学的なものとなっていま…