爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「そもそも植物とは何か」フロランス・ビュルガ著

植物には知性があるとか、木々は会話しているといった主張をする人も居ます。

しかし実際は植物には感覚も知性もなく、動物とは全く異なる存在なのだということを強烈に主張している本です。

 

その前提となる社会現象がよく分からないので、何か不思議な主張だと感じましたが、巻末に訳者の田中裕子さんが「訳者あとがき」に書かれていたものを見て少し納得できました。

 

著者のフロランス・ビュルガさんは哲学者ですが、若い頃からヴィーガン(完全菜食主義者)となったそうです。

そして「動物とは何か」というテーマで哲学的考察をずっとしてきました。

ところが、最近は菜食主義者ヴィーガンの広がりに対抗して「植物には知性がある」とかいった主張をする人が増えてきたそうです。

それに対して論陣を張ったのがこの本だということです。

 

どうも日本では徐々に増えつつあるとはいえ、まだまだ菜食主義者は珍しい存在のようですので、もちろんそれに対抗する「植物には知性がある」といった議論もそれほど広まってはいないようです。

そのためにこの本の主張もあまり頭に入らなかったのかもしれません。

 

第1部「植物をどう認識すべきか」

第2部「植物とはどのような存在か」

第3部「植物の倫理的な価値と法的な権利」

といった章立てに従い議論していますが、それは自然科学的なものというよりは哲学的なもののようです。

というわけで、内容はぼんやりとしか頭に入らないままでした。

降参。

 

なお、私は「植物には知性がある」などと言うことは考えていませんが、「植物と動物は全く違う」という考え方にも少し違和感を感じます。

たしかに「違う面も大きい」が「同じ面もある」ということだと思います。

細胞の構造は葉緑体があることを除けば類似しており、やはり同じという面が大きいようにも感じるのですが。