爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「日本に栄養疫学を学べる場はない」児林聡美さんの指摘より。

「栄養疫学」という学問について興味があり、その研究者である児林聡美さんの書く文章を拝見したりしていましたが、それについてこのようなちょっとがっかりする現状が書かれていました。

hers-ms.com

「疫学」とは医学の研究分野の一つですが、臨床医学基礎医学のようなものとは少々異なり、多くの人々の身体の状況を調べてその原因を探っていくというものです。

それを栄養学分野に広げたものが栄養疫学で、一つ一つの事例を細かく見ていくのとは違う方向からのアプローチであるからこそ明らかになる真実も多いものと思います。

 

ただし、現在の日本では栄養疫学を研究している人は少なく、また大学などでこれを学べるところもほとんどありません。

その状況について述べているのが上記の文章です。

 

結論は、児林さんの出身研究室の東京大学社会予防防疫分野というところしかないということです。

ただし、ここの指導教授である佐々木敏さんが2023年に退官されるということで、新入生の受け入れももう行っておらず、存続が危ぶまれているそうです。

(佐々木さんは数々の栄養学の著書があり栄養士の方々などには大きな影響を持っています)

 

なお、栄養疫学分野の論文などを発表している研究者は他にも居るのですが、それでも児林さんが「学べる研究室は他にない」と判断している理由は、上記の文章の中に書かれているのですが、次のような条件が欠けているからだということです。

 

条件1:栄養疫学の調査方法論から介入研究にわたるすべての研究分野に精通している専門家から指導を受けられる。

条件2:栄養疫学を体系的に学ぶ機会がある。

条件3:周囲に同じく栄養疫学を学んでいる仲間がいる。

 

なかなか厳しい条件のようです。

やはり「栄養学」の研究者は多くても「栄養疫学」を専門とする人はほとんどいないということでしょう。

それでも重要な分野だと思うのですが。