脱炭素化の大合唱の元、企業だけでなく自治体なども目標を置いて「何年までの二酸化炭素排出の実質ゼロ」と言っています。
「正味のゼロ」と言うところは決してありません。
すべて「実質ゼロ」という言葉を使っています。
この「実質ゼロ」とは何か。
エネルギー源としていわゆる「再生可能エネルギー」だけでは賄えないことは明らかです。
そのためにそれを誤魔化す意味で「二酸化炭素の吸収・貯留」といったことをやって、その分を使用した化石燃料由来二酸化炭素から差し引くことで「実質ゼロ」だと称しているということです。
それではその「二酸化炭素の吸収・貯留」とは何か。
一つには森林による二酸化炭素の吸収・固定にあります。
しかし、これはあくまでもその植物体が生存し、また死滅したとしても分解されないまま残っている場合に限られます。
そこまで樹木であれば数十年から百年以上かかる場合もあるでしょうから、どうせそんなに皆生きてないもんねと言わんばかりのものです。
枯れて倒れ分解されたら元の木阿弥、いやもしもバイオマス発電などと称してすぐに燃やされたらあっという間に二酸化炭素放出です。
もう一つの「地下貯留」
二酸化炭素を地下深くに送り込んでそのまま貯めこもうという話です。
もしもそれが本当なら二酸化炭素温暖化問題は解決?
いやそんなうまい話はありません。
驚くほどのビッグプロジェクト(大きすぎるという意味で)です。
二酸化炭素を集めて純粋なものにし、超臨界状態にする。
それを地下の砂層でその上に泥状の蓋がある地層に送り込む
というものです。
北海道に実験プラントを建設し、実証実験で年間30万トンにあたる量を地下に送り込むことに成功したそうです。
しかし、日本だけでも年間1.8億トンの二酸化炭素を地下貯留しなければならないとか。
桁がかなり違います。
それに適した構造の地層もどこにもあるとは限りませんが、日本海の海底には1400億トン分の可能性があるとか。
いやはや、とんでもない技術のようです。
二酸化炭素の「超臨界状態」というのは二酸化炭素の純粋な気体を超高圧にすることで気体とも液体とも言えない「超臨界」という状態にすることです。
それだけでも莫大なエネルギーが必要なはずです。
そのエネルギーはどこから捻出するのでしょう。
化石燃料を燃やしてなどというのは当然無しです。
やはりこの技術の実現のための最大のポイントはコストだということです。
実証プラントの場合で、二酸化炭素1トンあたり7300円。
もう計算するのもバカバカしいほどの金額でしょう。
二酸化炭素の吸収・貯留を計算に入れている「排出実質ゼロ」の目標などは絵に描いた餅どころか、分かっていて無知な大衆を騙すだけのものでしょう。
こんな話が通るのも、これまで長年にわたり教育を破壊してきた成果でしょう。
バカな国民ばかりとなって、政権は安定、その代わりそのまま国の衰退と崩壊が近づきます。