ウソや騙しというと悪いことのようですが、動物が生き残るための技術であるとも言えます。
この本は科学ジャーナリストの日垣隆さんが、このテーマについて様々な方面の専門家たちと対談した記録をまとめたものです。
この対談はTBSラジオのサイエンス・サイトークという番組で行われたもので、日垣さんの相手は池田清彦(山梨大学)、中谷陽二(筑波大学)、千石正一(自然環境研究センター)、守一雄(信州大学)という面々です。(所属は当時)
中谷さんは精神鑑定も多く実施しているという精神科医ですが、心理面での騙し・ウソというものはかなり難しいもののようです。
1980年代に起きた連続幼女誘拐殺人事件、宮崎勤事件というものがありましたが、その精神鑑定は3回行われたものの結果は全く分かれました。
本職の精神科医であっても、判定は困難でありそれでも結果を出さなければならないということで厳しいもののようです。
千石さんは爬虫類などの研究者ですが、動物や昆虫では擬態というものをするものがかなり多く居ます。
枯れ葉や枝に似せることで天敵からの攻撃をかわすナナフシといった昆虫のようなものがいる一方、非常に強力な毒を持つヘビに身体の模様だけ似せる無毒のヘビもいるそうで、なぜそのような進化をすることができたのかが不思議なところです。
騙し・騙されということは、犯罪以外にも多くの要素を含んでいるようです。