爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

読書記録

「モラルの起源 実験社会科学からの問い」亀田達也著

直接本書の内容とつながるものではないのですが、冒頭に2015年に文科省から出された大学の組織改革についての通知について書かれています。 そこには人文社会科学系の学部は再編、削減すべしという趣旨が書かれていました。 理系の学部に比べて社会のために…

「『殺しあう』世界の読み方」田原総一朗、佐藤優、宮崎学

ジャーナリストというよりその他の活動がありそうな田原さんが、「日本を代表する論客」とする佐藤優さん、宮崎学さんを招いて鼎談した記録です。 出版は2015年6月ですので、ピケティの「21世紀の資本」が話題となっており、またIS(イスラム国)のテロも頻…

「クラシック名画のトリビア的楽しみ方」北島明弘著

映画の人気もかなり高いようで、新作も次々と作られていますが、「クラシック名画」とでも言うべきかつての映画もまだまだ人気があるようです。 そう言った名画についての、トリビア。 ちょっと前の言葉で言えば「こぼれ話」「逸話」というべきでしょうが、…

「病院で受ける検査がわかる本」高木康、田口進著

健康診断やどこか調子が悪い時に病院受診の際に受ける「検査」 それはどういうものか、何を調べるのか、その際の注意点は、その結果はどう見るか そういったことをまとめた、実用書です。 まあ正座して全部を読み通すといった本ではありません。 しかし、今…

「歴史の証人 ホテル・リッツ」ティラー・J・マッツェオ著

パリのヴァンドーム広場にあるホテル・リッツは最高級ホテルの一つとして最上級の宿泊客たちが次々と名を残してきました。 この本は、その中でも特に第2次大戦前後のナチスドイツのパリ占領時の周辺での、ホテル・リッツで起きた数々の出来事を記しています…

「東京大学のアルバート・アイラ― 東大ジャズ講義録・キーワード編」菊地成孔・大谷能生著

菊地成孔さんが大谷能生さんとともに東京大学教養学部で1年間の講義を行いました。 その前期の記録が「東大ジャズ講義録・歴史編」だったのですが、その後期の記録、2004年10月から2005年2月まで行われたものです。 後期ではジャズに関する「キーワード」を…

「最後の晩餐の真実」コリン・J・ハンフリーズ著

およそ2000年前のある春の日、ナザレのイエスと言うユダヤ人が十字架にかけられて磔にされました。 「イエスが死に至るまでの最後の週は世界史上、特筆すべき一週間だと言ってよいだろう」 と本書冒頭に書かれています。 しかし、それが現在の暦を使って表記…

「楽器学入門」守重信郎著

現代のオーケストラを見ていると、その起源も発達段階もまったく異なる楽器が一堂に会して一つの曲を作り上げていくということに感動を覚えます。 しかし、楽器それぞれを細かく見ていくと、現代の形にたどり着いたのがかなり前のものもあり、ごく最近のもの…

「戦国武将の実力 111人の通信簿」小和田哲男著

戦国時代の歴史が専門の小和田さんですが、世間の歴史好きの人々の戦国武将の評判を見ても映画やドラマ、小説などの印象で言われるだけで、真実の姿は知られていないように感じていました。 そこで、「戦国武将の実力」というものをできるだけ客観的に判定し…

「昭和の尋ね人 アウトサイダー列伝」西日本新聞社文化部編

ほんの一瞬、社会の脚光を浴びたもののその後どこでどうしているのか、消えてしまったような人はたくさんいます。 福岡の新聞社、西日本新聞では1995年当時に昭和の時代に一瞬光輝に満ちたがその後埋もれてしまったという人の中で九州を中心に西日本に縁があ…

「太宰府・宝満・沖ノ島 古代祭祀線と式内社配置の謎」伊藤まさこ著

著者の伊藤さんは、小学校の教員を退職した後に歴史を再度勉強しなおそうと思い立ち、様々な方向から歴史の謎を解明しようと工夫されているということです。 古代には人々の住む平地を囲む山には神秘的なものを感じ、祭りの対象とされていました。 そして、…

「16歳のデモクラシー」佐藤優著

なかなか骨のある文を書く方とお見受けする佐藤さんですが、高校生などに講演をするという活動もされているようです。 そこから発展し、現役高校生に「光の子と闇の子」というラインホールド・ニーバーの書いた本を読ませるという集中講義をやったという記録…

「行動経済学の使い方」大竹文雄著

伝統的経済学では、ホモエコノミカス(合理的経済人)という存在を前提に経済学を構築してきました。 合理的経済人は、利己的で高い計算能力を持ち、すべての情報に通じて合理的意思決定を行うというものです。 しかし、どうも現実の人間はそういった行動を…

「三國志逍遥」中村愿著、安野光雅画

安野光雅さんが2005年から四度の三国志の旅に出かけ、そこで93枚の絵を描いたということは有名かもしれません。 しかし、その一度に本書の本文を書いた中村さんが同行し、三国志について深く考えていたということは知られていないことでしょう。 その紀行に…

「世界の魚をおいしく食べる」野村祐三著

現在では食卓にのぼる魚のほとんどは輸入したものだということはよく知られていることでしょう。 その魚種は日本で知られていたものと少し違うということも以前から問題になることもあり、分類上は少し違うものを日本名に合わせて表示してしまったということ…

「選挙の基礎的研究」宮野勝編著

選挙というもので政治体制が決まるという、民主主義の大本とも言えるのですが、その実効性、公正さなどなど、はっきりしているとは言えないと感じています。 そういった点を描いている本かと思いましたが、この本は中央大学の政治学の教授である宮野さんとお…

「『戦争体験』の戦後史」福間良明著

「戦争体験」といっても現在では高齢者でも戦争時にはせいぜい子供だったということで、戦争の全体像を掴むことは難しくなりました。 しかし、戦後すぐから戦争体験を語る人は居たものの、やはり様々な要因でそこには人により大きな違いがあり、また周囲の想…

「ビジュアル パンデミック・マップ」サンドラ・ヘンペル著

今回のコロナウイルス感染の広がりも世界に大きな影響を与えていますが、人類の歴史ではこれまでにも何度も社会を揺るがすような感染症の広がり、パンデミックというものが起きていました。 そのパンデミックを記した書物は数多いのですが、本書の目新しいと…

「富士山の光と影」渡辺豊博著

富士山などが世界文化遺産に登録されたのが2013年、しかしその時にはクリアすべき条件が付けられていたということはあまり知られていないでしょう。 そして、その条件が守られなければ「危機遺産」入り、そして登録抹消ということも言われていました。 この…

「日本の大和言葉を美しく話す」高橋こうじ著

最近では特に政治家などに英語由来のカタカナ言葉を連発しているのが多いようですが、それではどうであれば良いのか。 カタカナ言葉はダメでも、漢語なら良いのか。 漢字を音読みで使った言葉と言っても、中国由来ではないものもありますが、一応それも含め…

「新版 環境被害のガバナンス」永松俊雄著

著者の永松さんは公共政策学の教授として熊本の崇城大学で教えておられますが、かつては熊本県庁でも仕事をしていたそうです。 そのため、現在でも熊本県の大きな業務として存在し続けている水俣病にも通じています。 その著者が東日本大震災の時に起きた福…

「男が女を盗む話 紫の上は『幸せ』だったのか」立石和弘著

結婚の形態は、平安時代までは妻問い婚、それが徐々に嫁取婚に変化していったと言われています。 しかし、それ以外に「嫁盗み婚」というものがあり、これが結構重要であったということは間違いないことでしょう。 この様子は源氏物語や伊勢物語などにも描写…

「東京大学のアルバート・アイラ― 東大ジャズ講義録・歴史編」菊地成孔・大谷能生著

ジャズミュージシャンの菊地さんは、2004年度の1年間、東京大学教養学部で非常勤講師としてゼミを持ちました。 この本はその前期の部分の10回の講義をそのまま記載したものです。 まあ、多少は編集はされているでしょうが、ほとんど話したままを文章にしたか…

「なぜ 無責任な建築と都市をつくる社会が続くのか」中崎隆司著

その後の政権に比べれば、まだマシとも見える小泉純一郎政権でしたが、そこで行われた構造改革・規制緩和という政策は社会のあちこちに軋みをもたらしました。 特に、建築関係では耐震強度偽装事件などが起こり、建物の安全性をないがしろにしても利益を求め…

「白川静読本」平凡社編

漢字の起源、甲骨文字の研究を通して中国古代の社会を描き出し、2006年に亡くなった白川静さんについて、身近な方々の追悼文や思い出、さらに多くの世間に衝撃を与えた著書発表時の感想など、いろいろな文章をまとめて白川静に関する社会の姿勢といったもの…

「十字軍全史」新人物往来社編

十字軍については学校での世界史には必ず出てくるもので、誰も少しは記憶にあるものでしょう。 しかし、その細かいところまでは知らないことが多いのでは。 まあ、普通にはそれほど知る必要もないのかもしれませんが。 この本では、十字軍の始めから終わりま…

「食品添加物はなぜ嫌われるのか」畝山智香子著

国立医薬品食品衛生研究所で、安全情報部長という要職にある畝山さんは、ながらく「食品安全情報ブログ」というサイトで食品安全情報を発信し続けておられます。 著書も何冊か出され、これまでも読んだ感想を何回か書いています。 今回は、畝山さんの最新刊…

「『法の支配』とは何か」大浜啓吉著

「法の支配」という言葉を聞くことがあります。 為政者の恣意的な行動を防ぐため、きちんと決められた法律に従って政治をしていくことだろうなといった程度の認識だったのですが、法学の理論的には色々な問題があるようです。 そういった点について、行政法…

「韓国の自己批判」崔青林著

昔から買って読んだ本はほとんど捨てないということをしており、時々かつて読んだ本を再読するということをします。 この本も1986年出版ということで、そのころに買ったものでしょう。 ただし、文芸書や歴史書などはそれほど価値が変わることはないでしょう…

「中世災害・戦乱の社会史」峰岸純夫著

著者は1932年生まれの中世日本史を専門とする歴史家です。 自然災害などの影響を重く見る史観で歴史を研究してきましたが、かつての日本の歴史学界ではそのような史観は「自然決定論」と決めつけられ、一段低いものかのように言われてきたそうです。 しかし…