爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

読書記録

「『モナリザ』の微笑み 顔を美術解剖する」布施英利著

「美術解剖学」という学問があります。 特に人間について、筋肉や骨格といった人体の内部の構造を、実際に解剖して知ることで美術表現をより正確にしようというものです。 それがいつから始まっていたのかは分かりませんが、かのレオナルド・ダ・ヴィンチが…

「よくわかるクリスマス」嶺重淑、波部雄一郎編

クリスマスといえばキリスト教の行事ですが、日本ではそれとは関係なく商業的なものとして多くの人を熱狂させています。 そのようなクリスマスというものは、歴史的にどういう経緯でできてきたのか、そして世界各地ではどのようなものとなっているのか。 さ…

「医学の近代史 苦闘の道のりをたどる」森岡恭彦著

まだまだ治療の難しい病気はいくらでもありますが、ほんの少し前の状況を考えても多くの病気が治療できるようになっており、寿命も延びています。 特に近代になってからの医学の進歩というものは、非常に大きなものがあったのでしょう。 そのような医学の近…

「家庭のフランス料理」辻静雄著

辻静雄さんは、調理師養成機関として大きな存在となっている辻調理師専門学校を設立し発展させてきた方です。 もとは新聞記者であったそうですが、その後料理の世界に転進しました。 この本は辻さんの著書の中でも非常に早い時期のもののようで、昭和42年(1…

「流言のメディア史」佐藤卓己著

「フェイクニュース」や「ポスト真実」といった言葉がクローズアップされています。 しかし、そういった事態は今になって始まったものかどうか。 実は80年前の状況をみてもそういったものがいくらでも見られます。 第二次世界大戦が始まった1939年、ドイツの…

「ニシンの歴史」キャシー・ハント著

ヨーロッパの魚食といえばタラといったイメージを持っていたのですが、どうやらそれに負けず劣らず、いや歴史的にははるかに大きい意味を持っていたのがニシンだったようです。 現在でも北欧には多くのニシン料理がありますが、かつてはその範囲はイギリスや…

「東大のディープな古文・漢文」田中照彦著

大学入試の問題とは高校での学習内容の範囲内ではありますが、各大学の入学生選抜の意図がはっきりと出ていて、受験する当人にとっては何とか高得点を取るというのが目標でしょうが、すでにすべてが終了してしまった年寄りにとっては、非常に面白いというも…

「12モンキーズ」エリザべス・ハンド著

「エリザベス・ハンド著」といっても、これは最初にテリー・ギリアム(モンティ・パイソンの)が1995年にブルース・ウィルス主演で撮った映画があり、それをSF作家のハンドがノヴェライゼーションしたものです。 そのため、本のカバーにはウィルスの映画での…

「怖くて眠れなくなる植物学」稲垣栄洋著

植物と言うものは「怖くて眠れなくなる」ものでしょうか。 植物学者である著者は、以前に同じ出版社から「面白くて眠れなくなる植物学」という本を出したのですが、その続編として「怖くて眠れなくなる」を書いてくれと頼まれました。 本人も植物はそんなに…

「事大主義 日本・朝鮮・沖縄の『自虐と侮蔑』」室井康成著

「事大主義」という言葉は、最近では韓国の政情に関わるものであるような感覚を持っていましたが、実は色々な場面で使われてきたもののようです。 「事大」つまり、「大」に「事える」(つかえる)という言葉自体は中国の古典にあるもので、孟子の一節にあり…

「農家が教える どぶろくのつくり方」農文協編

かつては農家がそれぞれ作ったと言われる「どぶろく」ですが、明治時代に酒税を取るようになりそれが重要な国家収入となったために、自家醸造を厳しく取り締まるようになってしまいました。 世界的にも販売する目的以外の自家醸造をこれほど厳しく制限してい…

「論語知らずの論語読み」阿川弘之著

「論語読みの論語知らず」というのは普通に使われる言い回しですが、それを逆転させて「俺は論語なんて知らないよ」と言いながらそれについて色々と書いてしまおうという手法を使ったエッセイです。 小説家の阿川弘之さんが、1977年に出版したもので、著者57…

「笑いのモツ煮こみ」東海林さだお著

漫画家ですが非常に多数のエッセイも書いている東海林さんのエッセイの中の一冊、1993年に出版された本です。 題名には「モツ煮込み」とありますが、内容はそれほど料理や食品に関係したものではないようです。 冒頭は「バアチャンたちの原宿」 今では知らな…

「必ず役立つ 合唱の本 ボイストレーニングと身体の使い方編」北條加奈著、相澤直人監修

歌を歌う時に気になるのは「良い声」というものです。 ただし、どんな声が「良い声」かと言われるとすぐに答えることができません。 せいぜい、誰それのような声といったことしか言えないようです。 この本では「良い声」とは「柔軟な声」だということです。…

「婦国論 消費の国の女たち」小原直花著

著者の小原さんは、伊藤忠ファッションシステムという企業戦略や商品企画といった分野でのコンサルティングを行う会社で、女性の消費行動を分析するという活動を行ないその成果をまとめたということです。 いくつかの視点から分析をしているのですが、やはり…

「シンクタンクとは何か」船橋洋一著

シンクタンクとは「政策起業家」が集まるところだそうです。 著者の船橋さんはアメリカのシンクタンクにも参加した経験を活かし東日本大震災と福島原発についての民間での事故調査を行う組織を運営するシンクタンクを立ち上げたということです。 シンクタン…

「民法改正を考える」大村敦志著

2020年4月に改正民法が施行されましたが、この本はそれが法制審議会で検討されていた2011年に民法学者の東京大学法学部教授の大村さんが、改正についてだけでなく民法というものの歴史や世界的な傾向など広く解説をしたものです。 民法とは法律の体系のなか…

「さらば、裁判員制度」西野喜一著

一般人が選ばれて裁判に参加するという裁判員制度、導入の際には様々な報道がなされましたが、このところほとんど耳にすることもなくなりました。 それなりに定着しているのかと思ったら、どうやらそうでもないようです。 著者の西野さんは、裁判官を経験し…

「鉄道快適化物語」小島英俊著

今の鉄道の旅はかなり楽になっており、ほんの数時間で東京から大阪まで、しかも苦痛もほとんどなく(まあ心理的には苦しい人もいるようですが)旅することができるようになりました。 また、何十万円もの費用で旅行をできる高級クルーズトレインなるものも出…

「アベノミクスの終焉」服部茂幸著

福井県立大学教授と言う服部さんの本は以前にも読みましたが、その鋭い見方には感心させられました。(現在は同志社大学教授になられているようです) sohujojo.hatenablog.com 本書はその本出版の直後、やはり岩波新書に書かれたもので、アベノミクスという…

「首相になれなかった男たち」村瀬信一著

政治家を志す者は誰しも夢見るのが「首相」総理大臣になることでしょう。 しかしほとんどその夢がかなうことはありません。 ところが、有力ポストを歴任し実力は認められながらもあと一歩が足らずに首相に届かなかった人たちがいます。 この本ではそういった…

「錆と人間 ビール缶から戦艦まで」ジョナサン・ウィルドマン著

人類は鉄を始めとする金属類を使いこなすことで文明を築いてきました。 しかし、その金属はすぐ「錆びる」 これをどうにかしないことには、不経済ということもありますが、直接に生命に関わることにもなります。 この本では、そういった錆をめぐる話をいくつ…

「誰が音楽をタダにした? 巨大産業をぶっ壊した男たち」スティーヴン・ウィット著

「そう遠くない昔、音楽は有料だった」 訳者あとがきにこう書かれていますが、これは私たちのような中高年にとっては言われなければ気付かない盲点のような、そしておそらく若者たちにとっては新鮮な驚きなのでしょう。 いつのまにか、「音楽は無料」になっ…

「ヒトラー演説 熱狂の真実」高田博行著

昔の資料映像などを見ると、ヒトラーが熱弁をふるいそれに聴衆が熱狂的な反応をするといった場面がしばしば出てくるようで、ナチスがドイツ国民の支持を取り付けるには重要な要素だったのかと思わせるものがあります。 著者の高田さんはドイツ語史が専門と言…

「福岡のトリセツ 地図で読み解く初耳秘話」昭文社企画編集室編

地図出版で有名な昭文社が、福岡県の様々な点について地図表示を交えながら分かり易く紹介しています。 内容は、地形地質、交通網、歴史、文化産業となっていますが、歴史の部分の比重が高いようです。 あまり若者向けの情報は入っていないようです。 私も小…

「ラグビー伝説 ひた走る闘魂の物語」スポーツグラフィック ナンバー編

昨年のラグビーワールドカップ日本大会は大会としても大成功と言えるでしょうが、それ以上に日本代表チームの躍進が素晴らしく、多くの人を魅了し「にわかラグビーファン」が続出しました。 しかし、これまでの日本のラグビーもマイナーではあるものの熱心な…

「原発プロパガンダ」本間龍著

原子力発電は安全安心でエネルギー調達の重要な手段だということを、繰り返し新聞やテレビCMで見ていた覚えはあるでしょう。 しかし、2011年の福島原発事故でそれらは一旦消え去りました。 ところが気が付けば最近はまた目にするようになっています。 「プロ…

「征夷大将軍になり損ねた男たち」二木謙一著

征夷大将軍という役職は律令体制の始めからあり、奈良時代や平安時代にも蝦夷征伐のために任命されていましたが、日本の歴史で「将軍」といえばやはり鎌倉幕府に始まる武家政権の最高位として存在感がありました。 その後、室町幕府、江戸幕府と征夷大将軍を…

「生命の星の条件を探る」阿部豊著

地球上には生命が溢れていますが、太陽系の他の星にはどうやら無いようです。 それでは他の恒星の周囲ではどうなのか、銀河系でも数千億の恒星があるという話ですから、少しはあるのじゃないかと思いますが、はっきりしたことはわかりませんでした。 その条…

「本能寺の変に謎はあるのか?」渡邊大門著

ちょうど大河ドラマでは明智光秀を主人公とした物語が放映されていますが、その本能寺の変の描き方はどうなるのでしょうか。 絶大な権力を手にした織田信長を一瞬の隙をつき打ち取った本能寺の変は、その裏に何があるのかということは多くの人々の興味をひい…