メガソーラーなどという大規模な太陽光発電設備が日本のあちこちに設置されて異様な光景を形作り、そればかりかがけ崩れや洪水といった災害すら引き起こしています。
そのようなおかしな状況がなぜ作られてしまったのか。
キャノングローバル戦略研究所の杉山大志さんが主となり多くの現状に通じた人たちが著者として報告しています。
東京都が実施しようとしている新築住宅への太陽光発電パネル設置の義務化については杉山さんは強い反対運動を展開していますが、それについての記述から始まります。
現在は太陽光発電パネルはほとんどが中国製となっています。
なぜかと言えば圧倒的に安い価格だからなのですが、その低価格の要因としてそれが中国の新疆ウイグル自治区で作られており、現地住民を非常な低賃金で強制的に労働させているということが言われています。
さらにその製造には大量の電力が使われるのですが、その発電も安価な石炭火力発電で賄われています。
このような不当に安いコストとされている中国製パネルを強制的に東京都の新築住宅に使わせようとしているのですから、それが何のためかということを問い直すことは必要でしょう。
また太陽光発電システム設置の費用は「6年で元が取れる」などと宣伝されています。
これには高額となっているFIT(再生エネルギー賦課金)の資金が投入されることもあるのですが、さらに「撤去費用や廃棄費用などは含まれていない」という欺瞞があります。
そこまで考えるととても採算が合うわけがないということは施工業者も認識しています。
環境原理主義者ともいうべき連中がこの脱炭素化の方針を引っ張っていますが、その最たるものがドイツの緑の党です。
しかしその現実はすでに破綻しかけています。
石炭火力は目の敵にして廃止を迫りながらロシア産の天然ガスを頼りにしていたのですが、ウクライナ戦争の結果ロシアの経済制裁で天然ガスの輸入も禁止に向かいますがそうなればもはやエネルギー調達もできません。
一方で現実路線を突き進む中国はエネルギー基本計画として石炭火力と原発の大増設を目指しており、脱炭素化で再エネ路線にこだわるヨーロッパや日本を置いていこうとしています。
再エネ賦課金は民主党政権時代の2011年に導入され、当時の菅首相は一般家庭の負担は一月コーヒー一杯程度と説明しましたが、多くの事業者が参入して賦課金も跳ね上がり、すでに月1000円以上の負担となっています。
これは企業にとっても大きな金額であり、鉄鋼業の購入電力費は2019年で6700億円に上るのですが、このうち1000億円程度が再エネ賦課金の負担額です。
他にもセメント、紙パルプ、化学などのエネルギー多消費型産業では賦課金の負担が重くなっており、経営に大きな影響を与えています。
これはスーパーやデパートなどの小売業でも同様です。
こういった賦課金は電力消費をするすべての人に掛けられます。
一方、電力事業者だけでなく一般家庭でもパネル設置者はそれを貰える立場であり、一般的にはこういった設備を設置できるのは富裕者が多く、彼らのために多くの窮乏者の電力料金に加えられた賦課金が投入されるという事態になっています。
他にも多くの興味深い事例が報告されていました。