石川英輔さんのデビュー作です。
SF同人誌「宇宙塵」に連載されたあと、1976年に単行本として出版されました。
なかなかの売れ行きとなったようで、その後「SF水滸伝」などのSFシリーズを続けています。
その名の通り、中国の西遊記の設定をそのまま取り入れて、それにSF的な点を加えているのですが、その「科学」というものが単純な現代科学ではありません。
架空の科学である「神仙科学」を作り上げ、その世界で西遊記を繰り広げるというものになっています。
神仙科学の世界の中では10万光年先までも一瞬のうちに飛んでいけるので、話を進めるのにも楽なのかもしれません。
しかしさすがにそれだけでは済まないと感じたのか、最後の部分では光速を越えた移動で時間の経過の差ができるという、相対性理論を出してきて現代科学との差を埋める形は見せています。
さすがに力の入った文章と感じられ、その後の活躍を予想させるものであったと思います。