爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

歴史

「歴史を考えるヒント」網野善彦著

網野さんは中世日本史が専門の歴史家でしたが、ほとんどが農民であったという従来の中世史観に異議を唱え、様々な職業、卑賎なものとされた人々など多くの人が形作ってきたのが日本であるという見方を提唱しました。 この本に書かれているのは、「波」という…

「世界をまどわせた地図」エドワード・ブルック=ヒッチング著

昔の地図を見ると、結構細部までびっしりと書き込まれているようですが、その中には実際の地形とはまったく関係のない想像で書かれた部分がありました。 どうせそんなところまで行く人間はいないからいいやとでもいった風に描かれていたようです。 この本は…

「仰げば尊し 幻の原曲発見と『小学唱歌集』全軌跡」櫻井雅人、ヘルマン・ゴチェフスキ、安田寛著

学校の卒業式の定番曲ともいえる「仰げば尊し」、明治時代に選定された「小学唱歌集」に掲載されているものの、その原曲は何かということはまったく知られていませんでした。 しかし、本書著者の一人櫻井雅人が、2011年に発見しました。 それは、H・S・パー…

「歴史の愉しみ方 忍者・合戦・幕末史に学ぶ」磯田道史著

著者の磯田さんは映画にもなった「武士の家計簿」の原作者ですが、古文書を発掘し解読するのが専門と言う歴史学者です。 歴史好きという人も多いのですが、多くは歴史小説で作家の作り出した像を楽しむばかりですが、磯田さんは各地に埋もれた古文書を読み解…

「恋する武士 闘う貴族」関幸彦著

武士というと闘う者、貴族はそうではなく優雅に恋など語らう人というのが普通のイメージでしょうが、その逆であった人々も数多くいました。 そのような「恋する武士」「闘う貴族」というものを取り上げています。 「恋する武士」では時代別に3つに別けてい…

「秀吉の対外戦争 変容する語りとイメージ」井上泰至、金時徳著

豊臣秀吉の命で朝鮮半島に攻め入り、明軍や朝鮮半島の人々との戦いを繰り広げた、16世紀後半の戦役は日本では「文禄慶長の役」(さすがに最近は朝鮮征伐とは言わないでしょう)、韓国では「壬申倭乱」、中国では「抗倭援朝」と呼び方も様々です。 戦争をど…

「三国志 演義から正史、そして史実へ」渡邉義浩著

著者の渡邉さんは少年の頃に吉川英治の三国志に魅せられ、そのまま学生になってからは三国時代の歴史研究へ進み今でも三国志演義や正史三国志などの研究をされているという、三国好きの方です。 中国の漢王朝の末期、西暦2世紀から3世紀にかけて、魏呉蜀の…

「千丁村史」熊本県八代郡千丁村教育長編

熊本県の八代市千丁町というところはかつては独立した自治体でした。 その千丁村が編集し発行した村史です。 一般に発売された本ではありませんので、発行、印刷等の記録を転載しておきます。 千丁村史 昭和43年11月10日発行 発行者 千丁村長 松岡保 …

「境界の日本史 地域性の違いはどう生まれたか」森先一貴、近江俊秀著

東日本と西日本の違い、特に東京と大阪の差というものは今でもかなりあるようで、数々の話題にも上がってきます。 実は、このような地域差というものは古い時代からずっと存在しており、しかも時代が下ってきて地域間の交流が多くなっても、それで差が小さく…

「幻の料亭・日本橋『百川』」小泉武夫著

江戸時代も後期になると町人文化が爛熟し、料理店も高級になっていき、「八百善」「平清」「嶋村」といった一流の料亭が栄えるようになります。 その中で、日本橋浮世小路に「百川」という料亭がありました。 明治になって忽然と消え失せてしまったので、後…

「手紙から読み解く 戦国武将意外な真実」吉本健二著

室町時代以前には、文書というものはほとんどが公文書しかありませんでした。 紙などもそれほど普及せず、字を読み書きできる人々もわずかであれば私的な通信というものも成り立ちません。 しかし、戦国時代になると戦国武将と言われる人々は私的にも文書を…

「朝鮮属国史 中国が支配した2000年」宇山卓栄著

韓国朝鮮は日本と近いところにあり、人種的にも一番関係の深いところですが、その考え方や嗜好などはかなり違うものだということは、多くの人が感じていることでしょう。 それは一般的には中国の影響が強く儒教道徳に日本より深く染められているからだと言わ…

「鉄道唱歌と地図でたどる あの駅この街」今尾恵介著

「汽笛一声新橋を」という最初の部分は誰でも知っていることでしょう。 この歌は1900年(明治33年)に大阪の三木楽器という音楽出版社から出版されました。 作曲は上真行(うえさねみち)と多梅稚(おおのうめわか)、この二人が別々の曲を作り、その…

「中世の身体」ジャック・ル=ゴフ著

人間の肉体を賛美してきたギリシア・ローマ文化から、中西部ヨーロッパに重心が移った中世になると、まるで肉体と言うものを忌避しているかのような文化に変容してしまいます。 そういった中世と人体というものについて、歴史的というよりは哲学的な考察がさ…

「世界の起源 人類を決定づけた地球の歴史」ルイス・ダートネル著

現在の人類の社会というものは、これまでの地球の歴史によりできあがっていると言えます。 それはどういうものなのか、非常に広い範囲の事柄を取り上げています。 著者のダートネルさんの専門は「宇宙生物学」 なにやら得体のしれない学問ですが、そこから見…

「朝鮮人強制連行」外村大著

太平洋戦争時に日本の植民地であった朝鮮半島から労務動員と称して多くの人々を連れてきて働かせたということは事実でした。 その補償がされているか、謝罪がされているかといったことをめぐり、日韓関係を揺るがせています。 しかし、その労務動員というこ…

「敗者が変えた世界史 上」ジャン=クリストフ・ビュイッソン、エマニュエル・エシュト著

人類の歴史が闘争の歴史である以上、必ず勝者と敗者ができますが、それで「敗者が歴史を変える」というのはどんなものでしょう。 ちょっと当たり前すぎるというか、題名に凝りすぎというか、という感じがしますが、原著の題名は「Les grands vaincus de l'hi…

「日本史 不肖の息子」森下賢一著

著者の森下さんは東京外語大を出た後会社勤めで海外派遣、その後著述家となった方ということです。 この本を書く前に、海外の人物の「不肖の息子」という本を執筆し、それが好評だったので日本版も書いてみたということです。 歴史の専門家というわけではな…

「日本の仏教を築いた名僧たち」山折哲雄、大角修編著

ドイツの哲学者ヤスパースが示した、「軸の時代」というものは、老子、孔子、ブッダ、ソクラテス、プラトンなどの宗教家、哲学者などがあちこちで出現した紀元前800年から200年までの時代を指していますが、日本にこの「軸の時代」というものがあるの…

「『平家物語』という世界文学」日下力著

軍記物語という一群の文学があります。 その中でも「平家物語」というものは広く庶民の間にも語られたものでした。 しかし、戦争というものをテーマにした文学は世界各国にもあり、「叙事詩」と言われることが多いようです。 これらの叙事詩と、日本の平家物…

「文字と組織の世界史」鈴木董著

これまでの世界史というものは、西欧で発達したということもあり、一神教的な解釈が優先したり、西欧文明の一人勝ちの歴史観が目立ったりと、偏った傾向がありました。 グローバル化が進み部分的には文化の融合も考えられますが、そのためにも世界の文明の公…

「モナ・リザはなぜルーヴルにあるのか」佐藤幸三著

題名はこうなっていますが、モナ・リザに焦点を当てて調べたという内容ではなく、ダ・ヴィンチの生涯の足跡をイタリア各地に訪ねてみようという趣旨で書かれており、ダ・ヴィンチファンの人に取っては絶好のガイドブックとなるでしょう。 著者の佐藤さんは本…

「日本語にとってカタカナとは何か」山口謠司著

現代日本語では、カタカナを使うのは外来語や擬態語、擬音語で、その他の文章では漢字混じり平仮名で書くのが普通のようです。 古墳時代から中国の漢字を受け入れてきた日本では、日本語を書き表すために漢字を万葉仮名として使うことから始まり、徐々に平仮…

「ヴェルサイユ宮殿に暮らす」ウィリアム・リッチー・ニュートン著

フランスの太陽王ルイ14世が宮廷を移し、その後ルイ16世まで使われていたヴェルサイユ宮殿といえば、優雅で華麗な宮廷生活が営まれていたというイメージですが、その実情はひどい部分もあったようです。 本書の各章の副題を見ていけばだいたい想像できそ…

歴史随想、もしも化石燃料というものが無かったら文明はどうなっていたか。

つい最近、比較文明史に関する本を読んでみましたが、その近代のキーワードのようなものが「西欧の衝撃」というものでした。 日本の例を取ってみても、戦国の世に南蛮船と呼ばれるポルトガルやその他の国の勢力と触れた時に、鉄砲というものの流入は確かに大…

「鉄学 137億年の宇宙誌」宮本英昭、橘省吾、横山広美著

鉄というものは現代社会にとって非常に重要であることは誰でも知っています。 少々古い言葉ですが「鉄は国家なり」などということも言われました。 しかし、そればかりではなく鉄は生物の体のためにも必須であり、欠乏すると貧血などの症状が出ることもあり…

「国難の正体 世界最終戦争へのカウントダウン」馬渕睦夫著

世界支配はアメリカ政府が行っているというイメージでしたが、実際はグローバル企業や軍産複合体というものが操っているということがようやく分かってきました。 しかし、実はその背後にはイギリスの金融資本家というものがずっと隠れて支配を続けているとい…

「複合不況」宮崎義一著

1980年代のバブル、そしてバブル崩壊という事態は日本にとって未経験のことであり、その後も長くその影響が続いてしまいました。 バブル自体の評価というものもその時には定まっていなかったのでしょうが、その崩壊ということも経済の専門家の間でもよく…

「日本史の論点 邪馬台国から象徴天皇制まで」中公新書編集部編

歴史というものはすでに起きたことをたどるものですが、新たな史料が出ただけでも解釈がまったく変わってきます。 日本史の古代から現代まで、現在の歴史学会での最新の論点を、時代別に専門家が解説したものです。 学校で習った日本史というものは、私など…

「聖書を読みとく 天地創造からバベルの塔まで」石田友雄著

キリスト教徒の両親の影響で幼い頃から聖書に親しんできた著者は、その後も長く聖書に親しむ会を主催していましたが、日本人の聖書というものに対する感覚はいまだに「よく分からない宗教書」と言うものです。 著者は、その後イスラエルに留学しますが、ユダ…