爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

歴史

「内田樹の研究室」より、「廃仏毀釈について」

内田樹さんは合気道道場を開く傍ら、「寺子屋ゼミ」という活動もされているそうですが、先日のゼミで「廃仏毀釈」というものが話題となり、そこで話したことを記録しておこうということです。 blog.tatsuru.com もちろん、内田さんも専門の歴史研究者ではあ…

「失われた日本の風景 都市懐旧」薗部澄写真、神崎宣武文

写真を撮影した薗部さんは、戦争中より写真に関わり戦後からは写真家として主に民衆の光景を撮影する活動を続けていたということです。 この本は、その薗部さんが昭和20年の戦後すぐから、昭和30年代まで撮影してきた写真をまとめたもので、民俗学者の神崎さ…

「フランス史10講」柴田三千雄著

岩波新書でシリーズ化されている、「各国史10講」というものでは、以前に「イギリス史10講」という本を読みました。 「イギリス史10講」近藤和彦著 - 爽風上々のブログ 新書版で各国の古代から現代までの歴史をまとめてしまうというもので、詳しいとこ…

「仏教史研究ハンドブック」佛教史学会編

インド文化圏で生まれた仏教がアジア各地に伝わり、その後日本にも到達し広まったということは、学校でも習う歴史として意識されており、すでにほとんどが解明されていると思ったら、まだ相当わからない点が数々あるようです。 この本は、仏教史を研究されて…

「ペルシア王は『天ぷら』がお好き? 味と語源でたどる食の人類史」ダン・ジェラフスキー著

「天ぷら」という食物はポルトガル人によって日本にもたらされ、その言葉は「tempero(調味料)」というポルトガル語に由来するといった程度の、食物とその言葉に関する知識は、その辺の普通の辞書などにも書かれていることですが、それがさらに遡るとどうな…

「【図説】ゲルマン英雄伝説」アンドレアス・ホイスラー文、マックス・コッホ挿画

本書は日本語訳本として出版されたのは2017年ですが、ドイツで原著が出版されたのは1904年です。 著者のホイスラーは1865年生まれ、挿画のコッホは1859年生まれと、19世紀の人々と言えるでしょう。 ゲルマン民族の英雄伝説というものは、北欧神話などと比べ…

八代市立博物館特別講演「郷土の名陶八代焼」聞いてきました

八代市立博物館の前副館長でこの前退職された福原透さんが講演をされたので聞いてきました。 福原さんは長らく博物館学芸員として八代焼(高田焼)を研究してきた方で、おそらく八代焼研究の第一人者と思います。(一人しかいないかも) 八代焼は高田焼(こ…

「ローマ貴族9つの習慣」マルクス・シドニウス・ファルクス著、ジェリー・トナー解説

古代ローマ帝国の貴族の生活や習慣などについて、帝政ローマで執政官も務めたという上流貴族のマルクス・シドニウス・ファルクスさんが、現代人向けに書いたということになっていますが、そんなはずはなく、実際に書いているのは当然ながら解説者として登場…

「日本の死活問題 国際法・国連・軍隊の真実」色摩力夫著

著者の色摩さんは外務省に入省し外交官も務め、1970年代に赤十字国際委員会で戦時法規の改定作業というものをやった時には日本政府代表として参加したそうです。 (といってもその時にその分野の専門家であったというわけではなく、他の部署からの参加者…

「大絶滅時代とパンゲア超大陸」ポール・B・ウィグナル著

生物の大絶滅というと、白亜紀末の恐竜を絶滅させた隕石の衝突が有名ですが、実はその前の時代のペルム紀から三畳紀にかけて起きた絶滅の方がはるかに多くの生物を死滅させました。 その原因については未だ明確となっているわけではなく、様々な学説が出され…

「後醍醐天皇」兵藤裕己著

鎌倉幕府の滅亡と南北朝の騒乱、それを引き起こした要因の一部は、後醍醐天皇という天皇家史上稀な存在にあります。 「賢才」か「物狂」か。その評価は大きく別れます。 この時代は、古代からつながっていた社会構造を一変させ、それまでの血縁や地縁が深か…

「内田樹の研究室」より、「憲法の日に寄せて」

いつもお世話になっております、「内田樹の研究室」今回は「憲法の日に寄せて」と題されています。 blog.tatsuru.com内田さんは、加藤典洋さんという方の書かれた「九条入門」という本を読み、非常に感銘を受け、それに自論を付け加えて書かれたということで…

「発掘された聖書」I.フィンケルシュタイン、N.A.シルバーマン著

以前にもその名もずばり「聖書考古学」という、日本人の研究者の方が書かれた本を読みました。 sohujojo.hatenablog.com 今度は、本場テル・アビブ大学の考古学者フィンケルシュタインさん等の書いたものです。 考古学というものが発達してきた時代の始めの…

「資料で読む 世界の8月15日」川島真、貴志俊彦編

終戦記念日といえば「8月15日」というのが当然のように感じますが、実はこの日を第二次大戦の日本戦が終わった日として認識しているところはあまり多くはありません。 それはこの日の意味を考えてみると分かります。 1945年8月15日に、前日にポツ…

「現代日本の歴史認識 その自覚せざる欠落を問う」中塚明著

1931年(昭和6年)の満州事変から日中戦争の深みにはまり、さらに各国との戦争に陥って敗戦したという、昭和の前半に時代はよほどの国家主義者でなければ「誤った時代」「軍部の暴走を招き無謀な戦争をした時代」というのが通常の認識でしょう。 しかし…

「医学探偵の歴史事件簿」小長谷正明著

神経内科医で病院長も勤められているという、小長谷さんの本は前にも1冊読んでいますが、中々の筆力と感じました。 sohujojo.hatenablog.com 前の本は病気について正面から説明するものでしたが、本書は様々な歴史上の人物の健康と病気、死についてエッセイ…

「高校紛争 1969-1970」小林哲夫著

学生運動が激しく燃え上がった1960年代の最後、大学ばかりでなく高校でもバリケード封鎖などの紛争が起こりました。 その記憶は強いものがあるものの、正確な経緯はすでに風化しているようです。 それを、少し年下の世代ですが多くの人々に取材して教育…

「ことばでたどる日本の歴史」今野真二著

日本語学を専攻し、日本語と歴史について研究されている今野さんの本はこれまでも3冊読んでいますが、今回も歴史と日本語について古い時代から近代まで広く取り上げています。 歴史というものは、文字以外の考古学史料でも補強されますが、やはり文字で書か…

「いかさま、騙しの技法 詐欺賭博の研究」井上馨著

この本はかなりの珍品と言えます。 著者はあの幕末から明治にかけて活躍し政府の要職も務めた井上馨と同姓同名ですが、別人で昭和初期に検事を務め、詐欺賭博について裁判記録や犯人からの直接の聞き取りを重ね、詐欺賭博というものの解明をしたという人です…

「家永日本史の検定」遠山茂樹、大江志乃夫編

もうすっかり忘れられているのかもしれませんが、元東京教育大学教授の家永三郎さんが執筆した歴史教科書が当時の文部省による教科書検定で不合格とされ、それに対して家永さんが提訴したという、家永教科書裁判ということがありました。 第3次訴訟まで行な…

「BC級戦犯裁判」林博史著

第二次世界大戦後に、戦勝国が敗戦国の戦争犯罪を裁くという戦犯裁判を実施しました。 A級戦犯(平和に対する罪)、B級戦犯(通例の戦争犯罪)、C級戦犯(人道に対する罪)の3種に分けられ、日本では政府や軍部の指導者などのA級戦犯を裁いた東京裁判が有名…

「内田樹の研究室」より「憲法について」

昨年のことになりますが、内田さんが日仏会館で開かれた「憲法講演会」で、なぜ日本国憲法の護憲派と言う人々は「弱い」のかということを話されたそうです。 聴衆の中に憲法学の泰斗、樋口陽一さんがいらしたので、内田さんも相当緊張されたということですが…

「日米開戦の真実」佐藤優著

大川周明という思想家が戦前活躍したそうです。 そのことについてはほとんど知りませんでしたが、民間人としてただ一人A級戦犯として逮捕され、極東軍事裁判(東京裁判)で公判中に前に座った東条英機のハゲ頭をペンペンと叩いたというエピソードには聞いた…

「内田樹の研究室」より、「比較敗戦論のために」

内田樹さんは、「寺子屋ゼミ」という活動をやってらっしゃるということですが、今年は「比較敗戦論」というテーマを扱われるそうです。 これについて、姜尚中さんと対談したものが掲載されています。 blog.tatsuru.com このテーマを取り上げようとしたのは、…

「なぜアメリカは日本に二発の原爆を落としたのか」日高義樹著

広島の原爆死没者慰霊碑の碑文に「安らかに眠ってください 過ちは繰り返しませんから」と書かれているのに違和感を持った人は多いと思います。 原爆の投下とその被害に対して、誰の「過ち」なのか。 原爆を市民が暮らす都市に投下するということはどういう意…

「ヒト 異端のサルの1億年」島泰三著

新人類、ホモ・サピエンスの誕生から今までの20万年については、色々な本を読んできましたが、それに先立つ霊長類はどのように進化してきたかということについては、あまり知ろうという思いが湧きませんでした。 様々な霊長類の研究をされてこられた著者の…

「歴史は実験できるのか」ジャレド・ダイアモンド、ジェイムズ・A・ロビンソン編著

科学の多くの分野では「実験」というものが重要です。 物理学や分子生物学では、これが最大の課題解決の手法でありそれ以外の方法がない分野も存在します。 しかし、多くの科学の分野では「実験」が不可能と考えられています。 とくに、「過去」に関わる科学…

「逆転の大中国史 ユーラシアの視点から」楊海英著

著者の楊さんは、中国内モンゴル自治区のオルドスの出身、モンゴル民族の血を引くということですが、北京で日本語を学んだ後、日本に留学、そして歴史を学びそのまま日本で研究を続けます。 中国国内ではできない歴史研究を日本から行なうということで、本当…

「会津落城 戊辰戦争最大の悲劇」星亮一著

一般に、戊辰戦争時の会津での戦いといえば、少年兵たちが自害した白虎隊の悲劇や、城下の戦いとなったときの婦女子の自害が有名で、会津を悲劇のヒーローと見る見方が多いようです。 しかし、歴史の動きをしっかりと見ていくと、幕府瓦解の時にあたり奥羽越…

「球技の誕生」松井良明著

球技と呼ばれるスポーツ、サッカーやテニス、野球といったものは、多くの人に好まれ、実施され、また観客を集めての試合が行われています。 その多くはヨーロッパ、特にイギリスで発祥したと考えられています。 サッカーとラグビーの起源についてはいろいろ…