爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

歴史

「ヨーロッパ異教史」プルーデンス・ジョーンズ、ナイジェル・ペニック著

原題の「A History of Pagan Europe」の”Pagan”とは、主にキリスト教から見た未開の異教と言うものを表す言葉であり、原題のキリスト教に覆われたヨーロッパの中に残るかつての様々な民族の宗教の歴史、そして現代まで残る影響を扱っています。 したがって、…

「西南戦争 民衆の記」長野浩典著

西南戦争では薩摩を出た反乱軍は熊本城に襲いかかったものの、それを落とすことができず、周辺の田原坂の戦いなどで敗れ、大分や宮崎を通って敗走し最後は鹿児島に戻って城山の戦いで敗れました。 しかし、その間現在の鹿児島、熊本、大分、宮崎の各地を転戦…

「甲骨文の話」松丸道雄著

中国古代の、漢字の原型とも言える甲骨文字について、その研究を専門として来られた著者の甲骨文字やその時代、内容などについての文章を集めて一冊の本としたものです。 すでに大学の名誉教授となられている著者ですが、その20代から現在まで書かれたもの…

「北東アジアの中の弥生文化 私の考古学講義 上」西谷正著

著者は考古学が専門で、九州大学名誉教授という方です。 この分野の研究者は、一般向けの講演を依頼されることも多く、その講演要旨も整備されていたということで、まとめて一冊の本とされました。 弥生時代から古墳時代といった古代には、一般の人々の関心…

「世界から消えた50の国」ビョルン・ベルグ著

これまでの世界で一瞬でも存在した「国」というものは多数でしょうが、この著者のベルグ氏は独自の基準で「国の存在」を決定し、その基準で一応存在したとされる50の国々(ただし、その期間は1840年から1975年まで)について記述しています。 彼の…

「全体主義の起源」ハンナ・アーレント著

かねてから名前だけは聞いていたハンナ・アーレントですが、最近その伝記を読んだこともあり、代表作の「全体主義の起源」に挑戦してみました。 sohujojo.hatenablog.com ドイツ生まれのユダヤ人であり、ナチスの迫害を際どく逃れたアーレントの著作ですので…

「関東大震災記憶の継承」関東大震災90周年記念行事実行委員会編

1923年に起こった関東大震災、それから90年が経った2013年にその記憶をまとめる活動としてまとめられた本です。 90年以上前とは言いながら、今でもホットな話題を提供してくれます。 小池都知事が追悼行事にこれまでの都知事が出してきた追悼文を拒絶したと…

「〈階級〉の日本近代史 政治的平等と社会的不平等」坂野潤治著

一億総中流という幻から目が覚めて、格差拡大と言われている今日このごろですが、しかし「階級」という言葉には現代の社会とは関係のないと感じさせる響きがあります。 しかし、紛れもなくほんの数十年前までは日本も「階級」差だらけだったわけです。 日本…

NHKの番組「ファミリーヒストリー」を見ていると日本の近代の人々の姿が見える

NHKの番組で、ファミリーヒストリーというものがあります。 www4.nhk.or.jp 芸能人などの有名人の父母、祖父母さらに先祖の調査をして、どのような人生を送ったのかを見せてくれるのですが、NHKの権威を十分に発揮して綿密な調査を行っているために、普通で…

「浄土真宗とは何か 親鸞の教えとその系譜」小山聡子著

現在では仏教各宗派の中でも最も勢力の大きい浄土真宗です。 鎌倉時代の親鸞を始祖とし、中興の祖として室町時代の蓮如が活躍したということは知っていますが、その実像はどうだったのでしょうか。 平安時代の仏教は、天台宗や真言宗がその密教の呪術で信仰…

「ハンナ・アーレント 〈戦争の世紀〉を生きた政治哲学者」矢野久美子著

「ハンナ・アーレント」という人の名前は以前に全体主義に関わる本を読んだときに目にし、いつかは読まなきゃという感覚は持っていました。 sohujojo.hatenablog.com しかし、今回はその著作ではなく、ハンナ・アーレントの伝記を読むということになってしま…

八代地方で万葉集に歌われたのはここだけ。「水島」

万葉集に長田王の歌として載せられていますが、 「聞きし如まこと貴く奇しくも神さび居るかこれの水島」(長田王 万葉集3-245収録) 「葦北の野坂の浦ゆ船出して水島に行かむ波立つなゆめ」(長田王 万葉集3-246収録) この歌に歌われているのが、今回訪れた…

「鉄道という文化」小島英俊著

著者の小島さんは、実業界で仕事をしながらも鉄道史、旅行史といった分野の著作も出版されているとのことで、筋金入りの鉄道ファンとお見受け致します。 (なお、本書中にも言及がありますが、”鉄道マニア”という言葉は諸外国では産業界での鉄道のブームとい…

「ヒトはなぜ戦争をするのか? アインシュタインとフロイトの往復書簡」アインシュタイン、フロイト、養老孟司解説

アルバート・アインシュタイン、ジグムント・フロイト、どちらも非常に有名な科学者です。 その二人が「戦争論」について往復書簡で語り合った。 この事実はほとんど知られていません。 それがなぜ広く知られていないかという問題にも、戦争とナチスドイツが…

「ポピュラー音楽の世紀」中村とうよう著

著者はすでに亡くなりましたが、音楽評論家として活躍され、「ミュージック・マガジン」という音楽誌を出版されていました。 日本の音楽ばかりでなく、アメリカはもちろん世界各国の音楽に詳しかったようです。 ちょうど、20世紀が終わろうとしていた1999年…

「ポスト西洋世界はどこに向かうのか」チャールズ・カプチャン著

近代世界を引っ張ってきたのはヨーロッパとアメリカです。 それは自由民主主義、資本主義、世俗ナショナリズムを共通に備えていました。 彼らは自国を先進国と捉え、他の国は途上国としてその状態に徐々にでも上昇し、やがてはすべての国が西洋モデルの国と…

「ルネサンスとは何であったのか」塩野七生著

古代ローマなどを描いた「ローマ人の物語」という大著を書かれた塩野さんですが、元々の興味の対象はルネサンス期のイタリアであったそうです。 大学で卒論のテーマとして15世紀のフィレンツェの美術を扱い、その後イタリアに渡ってさらに見聞を深めていき…

「サザエさんキーワード事典」志田英泉子編著

マンガ「サザエさん」は、長谷川町子により書かれたもので、昭和21年に最初は「夕刊フクニチ」に、ついで「新夕刊」「夕刊朝日新聞」を経て、昭和26年からは「朝日新聞」朝刊に引っ越し、それから昭和49年まで連載されました。 その数は全部で6477話になりま…

「ポスト戦後社会 シリーズ日本近現代史9」吉見俊哉著

岩波新書のシリーズ日本近現代史はNO8高度成長を読んだことがあります。 この「ポスト戦後社会」はそれに続くもので1970年頃から以降を扱っています。 この時期は、私にとってはようやく社会のことも分かりだした少年時代から現在までということになり、…

「竹島 もうひとつの日韓関係史」池内敏著

周辺各国との領土問題はナショナリズムを奮い起こすための道具ともなりかねず、なかなか冷静な議論はできないものとなりますが、その中でも韓国との間の竹島問題は過熱気味になっています。 本書は歴史学者で日朝の近世の関係史がご専門という池内さんが、歴…

「会津という神話」田中悟著

幕末から明治にかけての戊辰戦争で、会津藩は行きがかりから東北諸藩の盟主とされ、官軍に対する賊軍として討伐されました。 そのためか、その後も何かと差別を受け開発も遅れたということです。 しかし、会津藩士の中でも明治政府に出仕し、西南戦争時に九…

「島原・天草の諸道 街道をゆく17」司馬遼太郎著

あまり司馬さんの本は読まないのですが、この一冊だけ。 「街道をゆく」というシリーズは、数十冊も書かれており、日本国内だけでなく海外版もあるようですが、その中で「島原・天草」というこの本のみ読みました。 したがって、シリーズがどのような主題を…

「幕末・明治 偉人たちの定年後」河合敦著

幕末から明治にかけて、激動の時代には数多くの人々が活躍しました。 中にはその過程で生命を落とした人々も居ますが、生き延びて明治時代以降も過ごした人たちがいます。 この本は、そのような明治維新の偉人と言われる人々の、その後の話を集めたものです…

「日本政治とメディア テレビの登場からネット時代まで」逢坂巌著

長期化した政権のおごりからか、テレビ報道などでの政治の扱いに政権が文句をつけるといった事例が目立つようになっていますが、テレビ登場の頃にはほとんど政治に関する放送はなく大した影響もないものでした。 しかし、テレビ放送の影響力はどんどんと増し…

「スコットランド 歴史を歩く」高橋哲雄著

スコットランドと言えば、キルトやタータンチェック、イングランドと今は一つになっているとはいえ、古くからの伝統が残っているところというイメージですが、どうもそうではないようです。 あの男性がはくスカートのようなキルト、あれも中世以前に遡るよう…

「戦後日本経済史」野口悠紀雄著

第2次世界大戦で敗れた日本は、占領軍によって農地改革や財閥解体などの民主化改革を受け、軍備増強ではなく経済成長に集中することができたために、戦後の復興と高度経済成長を果たすことができたというのが、標準的な見解でしょう。 しかし、大蔵官僚とし…

「島津家の戦争」米窪明美著

薩摩を支配してきた島津家は、鎌倉時代初期に入って以来一度も離れること無く続きました。 その薩摩の島津宗家の四代当主、島津忠宗の六男、資忠が足利将軍家から日向国に所領を与えられたことにより、都城島津家という島津の分家が成立しました。 こちらも…

「ナポレオン 戦争全史」松村劭著

著者の松村さんは自衛隊で作戦幕僚などを歴任、実際に戦闘経験はないでしょうが、戦略というものを仕事にしてきた方です。 以前、現代戦の戦法について書かれた本を読んだことがあり、「これはかなりの珍品だ」という感想を持ったのですが、今度読んだこの本…

「イタリア遺聞」塩野七生著

イタリアに住み、「ローマ人の物語」などの大作を著した塩野さんですが、それらを出版する以前に書かれた小品です。 それでも、歴史上の数々のエピソードを紹介され、その後の小説につながったものも多いのではないでしょうか。 イタリアでも諸都市の間では…

「小さな大世界史」ジェフリー・ブレイニー著

人類が誕生した200万年前から現在までの人類通史というものを書いてやろうという無謀?な試みでできた本です。 著者はオーストラリアの歴史家ですが、政治的な発言も多いという、元メルボルン大学教授のブレイニー氏です。 そのためか、監訳の南塚信吾千…