爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

歴史

「高松塚古墳は守れるか 保存科学の挑戦」毛利和雄著

高松塚古墳の壁画は昭和47年に発見され、その当時は世紀の大発見と言われて大騒ぎだった覚えがあります。 その後、万全の保存体制が取られていると思っていたらカビが発生したと言う報道が何度かあり、2001年になって大量のカビ発生、管理体制が問題と…

「数字で読み解く日本史の謎」河合敦著

日本史を見ていると数字というものが目につくという、導入から入ります。 年号はもちろんですが、その他にも江戸の三大改革とか、憲法十七条とか、さらに三管領四職やら六分一殿やら。 そういった、「誰でも知っている語句だけどなぜそんなふうに数字を付け…

「西アジアの歴史 聖書とコーラン 新書東洋史9」小玉新次郎著

講談社現代新書で「新書東洋史」というシリーズで発売されたものの第9巻で、中東を扱ったものです。 1977年出版ということで、実に40年までの本であり現在までには相当な変化もあったと思います。 この時期はまだまだ西アジアと言う地域についての日…

「高度成長 シリーズ日本近現代史8」武田晴人著

岩波新書から出ている、シリーズ日本近現代史の全10巻の第8巻です。 このシリーズは幕末維新からポスト戦後社会という現代までを扱っており、この「高度成長」は戦後の混乱がようやく収まった1955年から、高度成長が石油危機などで終わった1980年…

「古代の福岡 アクロス福岡文化誌3」アクロス福岡文化誌編纂委員会編

アクロス福岡とは、1995年に旧福岡県庁の跡地に公民複合で建設された施設で、国際・文化交流を目的としているそうですが、文化事業もやっているそうで、文化誌編纂も3冊目となるようです。 そのためか、実際に執筆された方々の顔ぶれを見ても福岡県庁の…

「日本人はどこから来たのか?」海部陽介著

著者の海部さんは国立科学博物館で人類史を研究していらっしゃいますが、台湾から沖縄へ古代の舟で渡るという実験を企画したということでニュースにもなりました。 その実験も、この本も現生人類がアフリカで生まれそこから世界中へ広がっていった過程を明ら…

「権力に抗った薩摩人 薩摩藩政時代の真宗弾圧とかくれ念佛」芳即正著

著者のお名前は「かんばし・のりまさ」と読みます。 鹿児島県の高校校長や短大教授などを歴任、尚古集成館の館長も勤められました。 江戸時代にキリスト教を禁制とし、そのため「隠れ切支丹」という人たちが居たということはよく知られていることですが、島…

「エトロフ島 つくられた国境」菊池勇夫著

エトロフ島といえば、ロシアとの間で領土問題の焦点として意識される「北方領土」の国後・択捉・歯舞・色丹の四島の一つとして捉えられることが多いでしょうが、その実像はほとんど知られていないでしょう。 近藤重蔵の「北方探検」、ソ連の侵攻と住民引揚げ…

「ナチスドイツの実像から中東問題を読み解く」中川雅普著

著者が言いたかったのは、どうやらナチス・ドイツのユダヤ人虐殺などは必要以上に誇張されており、それはイスラエルの宣伝活動によるものだということのようです。 とは言っても、ネオナチなどのように「虐殺は無かった」とまでは言うつもりはないようです。…

「道教の世界」菊地章太著

著者の菊地さんはカトリック神学が専門と言うことですが、道教も研究していくうちにそちらの面白さに捕らえられ、現在は比較宗教学がご専門となってしまったそうです。 中国は大きく見ると3つの宗教が力を持っていますが、儒教が社会ではメインとなっていま…

「日本人と中国人」陳舜臣著

中国人貿易商の子として日本で生まれ、家庭では中国人としての教育を受けながら、学校教育は日本人として受け、日中両方の教養を深く身につけた陳舜臣さんは、その後小説家、著述家として数多くの本を出版されました。 最初の頃は推理小説などが多かったよう…

「詩経 中国の古代歌謡」白川静著

白川静さんといえば字統、字訓といった漢字学の集大成の著書で有名ですが、中国の古代の歌謡の記録である詩経の研究もされています。 この本は、中国古代でも氏族制社会が崩れていく中で多くの詩が作られ、そしておそらくは声に出して詠まれていたということ…

「日本史の一級史料」山本博文著

著者は東京大学史料編纂所教授で、近代史を専門に史料を丹念に掘り起こし研究を重ね、著書も数多く出版されています。 「一級史料」といってもどれが一級か二級かという定義もないのですが、しかし、これまでの歴史通説に変更を加えさせたという史料は確かに…

「家族と格差の戦後史 1960年代日本のリアリティ」橋本健二編著

昭和30年代を扱った映画や本、写真集などが流行っているようです。 もちろん、その最大の要因は映画「ALWAYS三丁目の夕日」の大ヒットでした。 その雰囲気が誰にも懐かしさを呼び起こすものでしたが、しかしその内容は誰にも知られることはありません。 つ…

「アジアのなかの琉球王国」高良倉吉著

かつての琉球王国はアジア各地との交易を行ない栄えていたというイメージがありますが、その具体的な中味についてはほとんど知りませんでした。 この本はその中国の明王朝への進貢を通して交易国家の繁栄を手に入れた歴史とその実態を詳細に語っています。 …

「日本列島人の歴史」斎藤成也著

歴史とはいっても、著者は国立遺伝研究所の教授で、DNAのゲノム情報からヒトの進化を考えるというのが専門ですから、そういった方向性の本です。 なお、この本は「岩波ジュニア新書」という、中高生が対象のシリーズに入っているものですが、その内容は非常…

「兵法 勝ち残るための戦略と戦術」小和田泰経著

兵法と言ってもいろいろな種類のものがあるのでしょうが、ここでは主に中国の古代の戦国時代に成立したものと、その後それから派生したものを扱っています。 本書は、兵法書と兵法家、そしてその内容をコンパクトにまとめて記しており、兵法というものを概観…

「ザ・対決 権力闘争の日本史」板垣英憲他著

歴史の中でいろいろな面を取り上げて並べたシリーズを出版元の世界文化社が企画しているようですが、その中で「日本の権力闘争」についてまとめたのが本書です。 政治権力を巡っての争いというのは古代から現代まで数限りなく行われてきました。 これが人間…

「そうだったのか 江戸時代 古文書が語る意外な真実」油井宏子著

著者は古文書研究家の方で、前に古文書解読についての本も詠ませていただいたことがあります。 本書は、古文書の読み方ということに留まらず、そこから見られる江戸時代の庶民の姿というものを描き出しています。 なお、著者は各地で古文書解読の市民講座な…

「日本語の考古学」今野真二著

考古学とは、「遺跡や遺物などの具体的なモノを通して過去の文化を考える」学問ということです。 したがって、「日本語の考古学」というと、写本や印刷物など、実際に昔から残っているものから過去の情報を取り出すということになります。 日本における最初…

「ローマ帝国の神々 光はオリエントより」小川英雄著

古代ローマの宗教というと、ギリシア神話と似たゼウスやジュノーといった神々の信仰が主であり、それに対抗しながらキリスト教が広まっていきやがて取って代わるというイメージですが、どうやらそんなに簡単なものではなかったようです。 ローマ帝国が強大に…

「DVD映画で楽しむ世界史」大串夏身著

本書あとがきにある、この本を書くようになったきっかけというのが、西部劇映画「黄色いリボン」の冒頭に、第7騎兵隊全滅の報せを各地に伝えたという場面があり、「これは史実だろうか」と感じていろいろと調べだし(著者は歴史学者です)、そうこうしている…

「戦国大名の正体 家中粛清と権威志向」鍛代敏雄著

著者のお名前は非常に難しい読み方ですが「きたい」と読むそうです。 日本中世史がご専門の歴史学者です。 戦国大名という人たちは、決して自分たちが「戦国大名」であるとは思っていませんでした。 しかし、ほぼ16世紀の100年間に国を支配していた大名たち…

「沖縄・久米島から日本国家を読み解く」佐藤優著

著者の佐藤さんはロシア語の堪能な外交官として活躍されていたのですが、鈴木宗男議員の事件に巻き込まれ500日以上の長期にわたって勾留されるという経験をされました。 その後は著述家として多くの著作を発表されています。 その独房の中で、不思議に頭に浮…

「満洲暴走 隠された構造 大豆・満鉄・総力戦」安富歩著

著者の安富さんは東京大学東洋文化研究所教授ですが、経済学博士であり、「東大話法」という言葉を編み出した方のようです。 また、最近自ら女装を選択したということで、一筋縄ではいかない人だということが分かります。 この本も、満洲国という多くの人に…

「再読:ハイブリッド日本」上垣外憲一著

この本は3年ほど前に読んだものですが、図書館の棚を見るといつも何か呼びかけているような気分にさせられ、このたび、もう一度読んで見ることにしました。 すると、結構でてきたのが「新たな発見」「前回は読み不足」といったもので、きちんと読書できてい…

「世界地図から歴史を読む方法」武光誠著

武光さんは歴史に関する読み物を多数出版されており、他にも何冊か読んだことがありますが、広く(浅く?)世界の歴史について(基本通りに)記述されており、深みは期待できないにしても多くの知識を得ることはできます。 (なんかあまり褒めていないようで…

「満州事変はなぜ起きたのか」筒井清忠著

最近読んだ本で、「大東亜戦争では中国と戦端を開いたのが間違い」という指摘を見て目からウロコという感がしたのですが、かと言って実際にそれを避ける方策があったとも思えないがという気もしていました。 sohujojo.hatenablog.com 歴史の「もしも」は無い…

「官僚亡国 軍部と霞が関エリート、失敗の本質」保坂正康著

著者はノンフィクション作家、特に昭和史の範囲をできるだけ当事者や周辺の人々にインタビューをしてそれをまとめるという手法で、「東条英機と天皇の時代」などの著書を発表しています。 本書は、それらの著書を執筆する過程での関係者への聞き取りなどにつ…

「海の向こうから見た倭国」高田貫太著

よく読ませていただいている、オヤコフンさんのブログで紹介されていた本です。 図書館に購入希望を出しても待ちきれないので、スカイツリーから飛び降りるつもりで久々に自分で買いました。 massneko.hatenablog.com 著者の高田さんは岡山大学で考古学を学…

「フランス中世歴史散歩」レジーヌ・ペルヌー、ジョルジュ・ペルヌー著

フランス歴史物は昔から好きであれこれ読んできたつもりでしたが、三銃士やああ無情など、せいぜい16世紀以降のものばかりということに、この本を読んで気付かされました。 本書は新しくても13世紀まで、中世のフランスのあれこれを現在のフランス各地の…

「日本人 祝いと祀りのしきたり」岩井宏實著

日本には全国的な年中行事、祝祭日の他にも各地に地方的な行事が多く行われています。 しかし、その詳細な点はもはやかなり忘れられているようで、私自身も知らないことが多くなっています。 そういったことをきちんと押さえられるという点でなかなか優れた…

「古代日本のルーツ 長江文明の謎」安田喜憲著

著者は環境考古学が専門ということで、さらに元々は地中海文明を研究対象としていたのだそうですが、成り行きで中国の長江流域の古代文明の遺跡発掘に携わることとなり、その成果からこの長江文明というものが大きな意味を持つことに確信を持ったようです。 …

「わかりやすい朝鮮社会の歴史」朴根鳳著

著者(「根」の字は本当は土偏)は韓国の民間の歴史研究者で、この本も韓国国内向けにあまり知られていない歴史を解説するというものになっています。 本書「はじめに」に書かれているように、韓国人が自国の歴史を振り返る時にともすると固定観念にとらわれ…

「倭国 東アジア世界の中で」岡田英弘著

この本も最初に読んだのはかなり昔になります。 昭和52年に初版発行ですので、その直後に買ったとすれば大学時代ということになります。 若い時から歴史それも特に古代に関心が深く色々と本も読んでいましたが、この本はその中でも非常に刺激的なものでし…

NHKヒストリア、日本のポンペイから探る ようやく見ました

よく読ませていただいている「オヤコフン」さんのブログで紹介されていた、NHKのヒストリアという番組の「日本のポンペイから探る」という回の再放送、それも録画したものをようやく見ることができました。 別にそれほど忙しいわけではないのですが、どうも…

「独裁者ヒトラーの全貌」荒地出版社刊

非常に多数の執筆者たちが項目別に書いたものをまとめてあるものですが、よくある本のように無名のライターが集まって書いたというものではなく、数十人に上る執筆陣はそれぞれが大学教授や評論家等、専門家が集まっているということです。 したがって、内容…

「歴史音痴が知りたい 大東亜戦争の真相」赤堀篤良著

著者の赤堀さんは歴史研究者ではありません。それどころか、歴史学教育も通常の学生並のものだけという、元土木技術者ということです。 しかし、建設会社に長年勤務され、外国での工事もしていく中で外国人との交際も多く、近代の歴史が話題となることもあり…

「ダルタニャンの生涯 史実の三銃士」佐藤賢一著

本書冒頭に書かれているように、「世界で最も有名なフランス人はダルタニャンではないかと思う」というのが多くの人の意見かもしれません。 ルイ14世などを押さえて堂々の一位となる資格はあるでしょう。 もちろんアレクサンドル・デユマの小説「三銃士」の…

「軍人皇帝のローマ 変貌する元老院と帝国の衰亡」井上文則著

歴史学者で早稲田大学教授の著者ですが、ご専門が古代ローマ帝国衰亡時ということで、まさに専門の中心のところを一般向けの書物として刊行されています。 ローマの初代皇帝アウグストゥスから、西ローマ帝国滅亡までの約500年間の間に、ローマ皇帝となった…

「幕末明治 不平士族ものがたり」野口武彦著

著者の野口さんは評論が主の著述家です。 したがって、幕末明治の歴史的なことがらを書いていますが、あくまでも物語として扱われていると感じます。 ただし、個人の感覚や言葉などは創作でしょうが、大きく歴史事実と異なるものではないと思います。 明治維…

「日本人の生命観」鈴木貞美著

本の題名を見ただけのイメージでは、歴史を振り返り日本人の生命というものについての感覚がどのように変化してきたのかということを書かれたものかと思いましたが、少し異なるもののようでした。 著者の鈴木貞美さんは近代文学の研究者で、自らも著作、評論…

「帝国王国の意外なウラ事情」祝田秀全著

「世界史がもっと面白くなる」と銘打ったものですが、至って気軽な読み物といったところでしょうか。 著者の祝田さんは出版当時は代々木ゼミナールの人気講師とあります。 研究者が知られていない歴史的事実を書いたというものではなく、周知のことをまとめ…

「”超”入門 失敗の本質」鈴木博毅著

この本は大東亜戦争戦史を扱った有名な本「失敗の本質」(1984年ダイアモンド社刊行)の解説ということを目標に書かれています。 「失敗の本質」は旧日本軍の戦史研究者の防衛大関係者などがノモンハン事件、ミッドウェー海戦、インパール作戦などの負け戦で…

「日本はなぜ開戦に踏み切ったか」森山優著

著者は歴史学者で特に日本の近現代史のなかでも太平洋戦争の開戦に至る経緯というものを一番の研究対象としてきたという、この時代の日本の政治、軍部等についての専門家です。 1941年12月8日、日本軍はイギリス領マレーシアのコタバルに上陸して戦闘…

「名字と日本人 先祖からのメッセージ」武光誠著

武光さんの本は以前にも読んだことがありますが、歴史のいろいろな話題を並べてあるといったもので、「歴史観が通説通りで面白味がない」などと失礼なことを書いてしまいました。 sohujojo.hatenablog.com しかし、この本の内容はどうも武光さんの歴史学研究…

「古代日本の気候と人びと」吉野正敏著

温暖化の影響ということが過度なほどに言われていますが、これまでも大きな気候変動は何度も起きています。 しかし、著者の筑波大学名誉教授の吉野さんによれば、歴史学者たちが歴史を研究するに際しては史実の解明・解釈において気候条件にまったく触れてい…

「周 理想化された古代王朝」佐藤伸弥著

中国古代の周王朝は紀元前11世紀後半(年代は諸説あり)に殷(商)王朝を倒して建国し、およそ800年後の紀元前256年に滅びました。 紀元前771年までの前半を「西周」と呼び、それ以降を「東周」と呼びます。 さらに東周時代を春秋時代と戦国時代に分けるのが…

「名城と合戦の日本史」小和田哲男著

日本中世史研究の第一人者という著者が、戦国時代の合戦、特に城の攻防の戦いを紹介しているものですが、有名なものばかりでなく各地方のあまり知られていないものまで取り上げています。 戦国時代と言えば信長、秀吉、家康といった天下統一を中心として武田…

「富士山噴火の歴史 万葉集から現代まで」都司嘉宣著

著者は元東大地震研の研究者で、津波がご専門ということですので、テレビでもお顔は拝見したことがあります。 そのかたわら、古い時代の地震や火山噴火の記録も古文書の中から拾い上げるということをなさっており、本書はその富士山噴火に関するものを詳細に…