爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

歴史

「奴国がわかれば『邪馬台国』が見える」中村通敏著

著者の中村さんは大学工学部を卒業した後、ゼネコンに定年まで勤めましたが、その後古代史を趣味として研究してきたそうです。 そのように、「古代史学会」外部の目から見るとその中では権威とされる大学者でもかなり疑いを持たざるを得ないような手法で結論…

「楔形文字を書いてみよう 読んでみよう」池田潤著

「書いてみよう読んでみよう」などと言われると、まるでハウツーものの本のようですが、これは「まったく実用とは縁のない」内容です。 なにしろ、人類最古の文字と言われるメソポタミア文明が生み出した楔形文字の使い方というものです。 楔形文字は、メソ…

「論語」貝塚茂樹訳注

「論語」は名前だけは誰でも知っているでしょうし、その中の文章はいくつも通用しており、それを会話の中にちりばめることは、教養を示すことになっています。 儒学の創始者である、中国春秋時代の孔子(孔丘)がその弟子などと語り合った内容を、おそらく弟…

「合理主義 ヨーロッパと日本」会田雄次著

著者の会田さんはかなり以前に亡くなってしまっていますが、かつては保守派の論客として有名な方でした。 太平洋戦争に従軍し、連合軍の捕虜となって収容所で過ごし、帰還してからその経験を「アーロン収容所」という本に書いたそうですが、読んだことはあり…

「OL誕生物語 タイピストたちの憂愁」原克著

著者の原さんの本は、以前に「サラリーマン誕生物語」というものを読んだことがあります。 sohujojo.hatenablog.com 大正から昭和の初期にかけて、サラリーマンと呼ばれるホワイトカラー事務職員という職業が始まって、現代に通じるその歴史が始まったのです…

「読み替えられた日本神話」斎藤英喜著

日本神話を利用したと言えばもちろん、国家神道として強制的に信じ込ませた戦前の体制なのですが、昔から類することはあったようです。 古事記・日本書紀に代表される日本神話は8世紀に成立しましたが、その後そのままの形で影響を及ぼしてきたわけではあり…

「九州王権と大和王権 中小路駿逸遺稿集」中小路駿逸著

古代から中世までの文学史が専門であった中小路さんですが、中国唐代の詩人が日本からの留学生などに送った詩の言葉の意味などを考えるうちにおかしなことに気づきます。 さらに、「九州王朝説」を唱えた古田武彦氏の主張に触れ、それまでの疑問が氷解します…

「水を石油に変える人 山本五十六、不覚の一瞬」山本一生著

戦争中に、海軍を舞台に詐欺事件があったということは聞いていましたが、その詳細は知りませんでした。 著者は東大の国史を卒業したものの、石油会社に就職した経歴を持つ山本さんです。 その後大学に戻り個人の伝記などの研究に携わったものの、かつての経…

阪神淡路大震災より24年 何を教訓とするか

1月17日で神戸を中心に大きな被害を出した阪神淡路大震災より24年が経ち、様々な行事が行われたという報道もありました。 その当時、神戸気象台の予報課長をされていた饒村曜(にょうむら・よう)さんがYAHOOニュースに記事を書かれていました。 news.y…

「英国メイドの日常」村上リコ著

「メイド喫茶」なるものが、とある場所では流行っているようで、黒いドレスに白いエプロンを着け、白い帽子をかぶった女性が出没するようです。 このスタイルのメイドなるものは、実は100年ちょっと前にイギリスで活躍していました。 他人の家の家事を行…

「奥州藤原氏五代」大矢邦宣著

平安時代末期に奥州平泉を中心に華やかな文化を誇った藤原氏が勢力を持ちました。 当時は大量に産出した金と、軍馬の供給で経済力を付け、平泉の中尊寺に残る金色堂はその当時の面影をわずかながらも見せてくれます。 この本では、その藤原氏の五代の歴史に…

「唐宋伝奇集(上)」今村与志雄訳

「伝奇小説」とは、少々不思議な感を抱かされるような状況を描かれるものということで、現代でも書かれることがあるのですが、実は中国の唐宋の時代に大きく発展した様式のようです。 その前の時代の六朝時代には「六朝志怪」と呼ばれる小説の形式が流行しま…

「教科書には書かれていない江戸時代」山本博文著

著者の山本さんは歴史学者で、東京大学史料編纂所の教授ですが、長年にわたり東京書籍という教科書会社の中学社会科教科書編纂に関わってきたそうです。 教科書というものの性格上、歴史の話題でも学会でほぼ確定したことしか書けず、またあまり細部にまで筆…

「図解 関ケ原合戦までの90日」小和田哲男著

関ヶ原合戦は1600年に現在の岐阜県関ヶ原で東西両軍の合戦が行われ、これで天下の大勢が決まり江戸幕府成立へ大きく動き出したと言えます。 その合戦の様子というのも、小早川秀秋が東軍に寝返ったことで一気に決まったということは大体分かっていますが、そ…

「鬼がつくった国・日本」小松和彦、内藤正敏著

鬼という言葉は、乱暴者、悪者という意味でも使われますが、ここでは歴史の上で使われてきた、朝廷や幕府といった政府に敗れて辺境や域外へ追われた者や、主産業であった農業に従事することは許されずに差別され賤業につかされてきた人たち、(芸能も含まれ…

「ブッダの旅」丸山勇著

本職がカメラマンという丸山さんが、ブッダのゆかりの地を訪れ多くの写真を撮っています。 新書ながら多くのカラー写真でブッダの足跡をたどるというもので、非常に美しい写真を見るだけでも楽しいものです。 ブッダは紀元前5世紀に、現在はネパールとなっ…

「北方謙三の『水滸伝』ノート」北方謙三著

作家の北方謙三さんは、ある時期から中国歴史の作品を手がけるようになり、最初に「三国志」を書いたあとに、「水滸伝」を書きました。 とはいえ、水滸伝自体はすでに広く読まれており、自分独自の水滸伝を書き上げるに当たっては様々な工夫などを考え、通常…

「東方ユダヤ人の歴史」ハイコ・ハウマン著

イスラエルの地からローマ帝国によって追われたユダヤ人は、各地に散っていきました。 ローマ帝国の内部に向かい、北アフリカからスペインにかけて広がった人々はセファルディームと呼ばれ、トルコからギリシアイタリアを経由してドイツに向かった人々はアシ…

「岡田英弘著作集Ⅰ 歴史とは何か」岡田英弘著

岡田英弘さんの著作は、若い頃に「倭国」という本を読み、その東アジア全体に視線を送りながら日本の状況を見るという姿勢に大きく影響を受けました。 sohujojo.hatenablog.com その岡田さんの著作集全8巻が、いつも行く市立図書館にありましたので、その第…

「漢字と中国人 文化史をよみとく」大島正二著

漢字は中国で生まれ、その言葉を書き表すものとして発展してきました。 日本でもそれを使って言葉を書き表してきましたが、中国での状況とは違いがあります。 漢字には「形」(かたち)と「音」(読み)、「義」(意味)の三要素があります。 実は、漢字の辞…

「介子推」宮城谷昌光著

小説はあまり読まないのですが、ひさしぶりに宮城谷作品です。 内容についてあまり細かく書くとネタバレになりますので、話の背景だけにしておきます。 時代は中国古代の周王朝の後半、王朝の威厳は衰え諸侯の国がそれぞれ勢力を競っていた頃です。 中原北部…

「サピエンス全史 下」ユヴァル・ノア・ハラリ著

翻訳物の長編で、上下巻があるものはたいてい上巻だけでもういいやとなるのですが、この本は上巻の出来がかなりのものと感じたので、続けて下巻も読んでみました。 しかし、ちょっとがっかり。 人類の歴史というものを、細かな史実などは取り上げずに大きな…

「サピエンス全史 上」ユヴァル・ノア・ハラリ著

ハラリさんの本「ホモ・デウス」をつい最近読んで、この人が最近欧米で注目を集めている歴史家であり、その前著「サピエンス全史」はミリオンセラーになっているということでしたので、その「サピエンス全史」を手にとってみました。 sohujojo.hatenablog.co…

「韓国現代史 大統領たちの栄光と蹉跌」木村幹著

韓国(大韓民国)はもっとも近い国でありながらその中身を日本人はあまりよく知らないようです。 少なくともアメリカよりははるかに知識量が少ないでしょう。 朝鮮半島地域の研究が専門という著者が、その韓国の日本からの解放以降の現代史を著述する方法と…

「コロンブスの不平等交換」山本紀夫著

「コロンブスの交換」という言葉があるそうです。 それほど古いものではないそうで、アメリカの歴史学者クロスビーが1972年に発表した本の中で使った言葉だそうですが、その後他の人も使うようになりました。 確かに、コロンブスの新大陸「発見」以降ヨ…

「ゲノムが語る人類全史」アダム・ラザフォード著

DNA分析を用いる人類進化の解析は、分析技術の急速な進歩により日々新たな知見が得られるような状況となっています。 この本はイギリスの遺伝学者にしてサイエンスライターでもある著者が、2016年に出版したものですので、最新に近い内容が盛り込まれて…

「暴走する文明」ロナルド・ライト著

人類が農業を始めて以来、多くの文明を作ってきましたが、どれも永続することはなく消え去っていきました。 その場に人の姿も無くなるほどきれいに消え去ったものもありますし、人は住んではいてもかつての文明の後継者とも言えない場合もあります。 文明が…

「ホモ・デウス 上巻」ユヴァル・ノア・ハラリ著

全世界でかなり話題となっているらしい、ユヴァル・ノア・ハラリさんの新著です。 そんなことは何も知らずに、図書館で新刊書ということで見つけ、面白そうな題名だと借りてきました。 すると、ちょうどその日の夕方のテレビにハラリさんのインタビュー番組…

「さかさま世界史 英雄伝」寺山修司著

寺山修司さんといえば、天井桟敷という劇団を立ち上げ、多くの話題を振りまきながら活躍したものの、1983年に47歳の若さで亡くなられました。 そんなに前に亡くなったとは思えないほど存在感はまだ感じられるのですが、それは私達以上の年代の人たちに…

「DNAで語る 日本人起源論」篠田謙一著

DNA分析技術はすごい勢いで発展しており、一つの生物たとえば一人の人間の全遺伝子を解析することすら可能となっています。 遺伝子のDNAの分析が、人間のグループ化を可能としているということは、かなり以前から知られており、その方向での研究も多くの研究…