爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

歴史

「中国化する日本 日中『文明の衝突』一千年史」與那覇潤著

いささかぎょっとするようなタイトルですが、著者の與那覇さんもその効果を十分に考えて付けているようです。 「はじめに」に書かれ、その後もたびたび触れてあるように、次の考えによります。 「尖閣諸島から始まり中国軍の侵略が始まり日本が占領される」…

「知れば知るほど面白い 朝鮮王朝の世界」康煕奉著

韓国の歴史ドラマは人気があり、現在でも数々のドラマが放映されています。 その多くは朝鮮王朝(1392年から1910年)を舞台としたものであり、登場人物も実在のものが多いようです。(ただし、内容はすべて史実というわけではなく、かなり自由に創造…

終戦の日に

このところ毎年8月15日周辺に戦争というものについて書いていますが、今年はまたガラリと様相が変わってきましたので、一言だけ。 sohujojo.hatenablog.com 本日は台風の来襲で、戦没者追悼集会が開けないところも出ているようです。 東京では開かれるでしょ…

「修道院の歴史 聖アントニオスからイエズス会まで」杉崎泰一郎著

キリスト教の修道院、今でも多くのものがあり、修道士という人々が居ます。 仏教でも修行僧という人々がいますので、それと同じような存在かと考えてしまいますが、どうなのでしょうか。 キリストの弟子たちが財産を放棄し世俗から離れた生活をしたという伝…

「ハガルとサラ、その子どもたち ユダヤ教、キリスト教、イスラム教の対話への道」Ph.トリブル、L.M.ラッセル編著

旧約聖書で、ユダヤ人のはるかな祖先の族長としてアブラハムが登場します。 彼は妻のサラとの間にイサクという息子をもうけ、それが代々つながってユダヤ民族となっていくということになるのですが、実は聖書にはそこに関わるエピソードが書かれています。 …

「人名ではない人名録」小林祥次郎著

人を指す人名というものを使い、「弘法麦」や「弥助」といった物事を表す言い方があります。 また、「権助」という名は江戸時代の特定の立場の人に共通の呼び名でした。 他にも「でれすけ」といった、物事を人名になぞらえた「擬人名」というものがあります…

「納豆の起源」横山智著

民俗学者で東南アジアの焼畑農業などを調査研究していた著者は、2000年の冬に訪れていたラオスで「トゥアナオ」と呼ばれる納豆に出会います。 それから調査に出かけるたびに現地の市場などで納豆を探すようになり、結局はそちらの調査の方が主となってし…

「プロテスタンティズム 宗教改革から現代政治まで」深井智朗著

キリスト教のプロテスタントといえば、マルティン・ルターが当時のカトリック教会の腐敗に異議を唱え、新たな一派を起こしたものの、それから長らく新旧両派の対立が続いたというイメージです。 また、イギリス国教会もプロテスタントに入ると聞き違和感も感…

「隠された物部王国『日本(ヒノモト)』」谷川健一著

著者の谷川さんは、専門の歴史研究者ではなく、出版社で企画編集などの仕事をされたあと退社して執筆活動をされたという、在野の歴史ファンと言うべき方のようです。 しかし、どうもこの古代史と言う分野では、専門家よりアマチュアの方が素直な解釈ですっき…

「『スイス諜報網』の日米終戦工作 ポツダム宣言はなぜ受けいれられたか」有馬哲夫著

第二次大戦の終戦間近には、日本からもアメリカからも終戦に向けての交渉を模索する動きがあったようです。 特に、中立国スイスを舞台とする接触があったということは間違いないようです。 このあたりの事情について、取り上げて発表されたものがいくつかあ…

「子産 (上)(下)」宮城谷昌光著

宮城谷昌光さんは、はじめは「夏姫春秋」「重耳」といった中国古代に題材をとった作品で数々の文学賞をとりました。 その対象とする時代は、周王朝末期の春秋戦国時代から秦漢にかけてが多く、以前から史記や春秋左氏伝といったものを愛読書としていた私にと…

「壱人両名 江戸日本の知られざる二重身分」尾脇秀和著

「壱人両名」、すなわち一人の人間が2つの名前を持つということです。 江戸時代も中期を過ぎると社会の変化が大きくなってきますが、その頃に農民と町人、町人と士分といった2つの身分を持つという人々が数多くなっていました。 商人の活躍が大きくなって…

「東大のディープな日本史2」相澤理著

「東大のディープな日本史」という、東大の日本史入試試験を解説した本の第1巻を読み非常に面白かったので、その続巻も読んでみました。 続巻も第1巻と同様の作りとなっており、これまでの東大の日本史の入試問題の中から選んだ問題について、詳細な解説か…

「シャーロック・ホームズの科学捜査を読む ヴィクトリア時代の法科学百科」E.J.ワグナー著

シャーロック・ホームズの捜査というものは、もともとは科学的なものであることが売り物でした。 「緋色の習作」では死体の死後硬直の状況を調べたり、「海軍条約文書事件」では科学実験装置で事件の遺留品を調べたりと、当時の最先端の科学捜査を描いていま…

「教科書が載せられない名文」棚橋正博著

江戸時代には本というものが庶民にまで広く普及しました。 彼らがもっとも興味を示したのは、硬い内容のものではなく、笑いあり色恋ありといったものでした。 特に、色事に関わるものは多くの人に愛好されました。 それを書く側も教養ある人々であることが多…

「遊楽としての近世天皇即位式」森田登代子著

ちょうど天皇の譲位があり、即位式などが話題となっている時ですが、本書はそれには関係なしに江戸時代の天皇の即位式について書かれているものです。 著者の森田さんは、江戸時代の明正天皇の「御即位行幸図屏風」に出会ったときに衝撃を受けます。 その図…

「世界が動いた『決断』の物語 新・人類進化史」スティーブン・ジョンソン著

「人類進化」という文字に惹かれて読みましたが、あまり進化には関係ないようです。 最後の章に書かれているように「学校で過ごした長い期間で、意思決定そのものを教える授業はひとつも記憶にない」そうです。 アメリカでもそうでしょうが、日本でもまった…

「東大のディープな日本史」相澤理著

この著者の本では、一橋大学の日本史入試問題についてのものを読んで非常に面白かったのですが、こちらの東大の入試に関する本の方が先に出版されており、続けて読んでみました。 おそらく、著者の相澤さんとしては一橋の問題の方がお好みのようなのですが、…

「再読:畜生道の地球」桐生悠々著

この本は蔵書の中の一冊で、以前にも読んで書評を書いていますが、このブログ開設早々のことだったので、まだほとんど読者も居なかったと思います。 sohujojo.hatenablog.comというわけで、著者紹介から何から重複を恐れずに書いていきます。 著者の桐生悠々…

「英語の歴史 過去から未来への物語」寺澤盾著

英語は世界標準言語としての座を獲得し、インターネット普及でさらにその立場を強めているようです。 しかし、その成立の複雑さからいろいろな点で矛盾点や問題点も多いことは確かです。 この本では英語の歴史から現代の世界中への広がり、そして今後の予測…

「地図で読む日本の歴史」、「歴史ミステリー」倶楽部著

文庫サイズの本で、いろいろな話題が書かれている本といえば、出張帰りの電車や飛行機の中で読むのに最適ですが、この本もそういった作りで、見開きの2ページに一つの話題をコンパクトに書いてあるといったものです。 ただし、この本で扱っている「地図で読…

「ディープな戦後史 歴史が面白くなる」相澤理著

著者は有名な予備校東進ハイスクールで日本史を担当しており、前著で東大の日本史の入試問題を分析したのですが、それよりはるかに面白いという一橋大学の日本史を扱ってみようというものです。 東大の入試問題は、他の大学も同じような傾向でしょうが、戦後…

「絵図に見る 東海道中膝栗毛」旅の文化研究所編

十返舎一九の「東海道中膝栗毛」は、滑稽本のヒット作として有名となり、名前だけは誰でも知っているようですが、その中味はあまり知られていないところもあるようです。 中には内容を大幅に改変して児童書としている場合もあるようですが、実際にはとても子…

「内田樹の研究室」より、「廃仏毀釈について」

内田樹さんは合気道道場を開く傍ら、「寺子屋ゼミ」という活動もされているそうですが、先日のゼミで「廃仏毀釈」というものが話題となり、そこで話したことを記録しておこうということです。 blog.tatsuru.com もちろん、内田さんも専門の歴史研究者ではあ…

「失われた日本の風景 都市懐旧」薗部澄写真、神崎宣武文

写真を撮影した薗部さんは、戦争中より写真に関わり戦後からは写真家として主に民衆の光景を撮影する活動を続けていたということです。 この本は、その薗部さんが昭和20年の戦後すぐから、昭和30年代まで撮影してきた写真をまとめたもので、民俗学者の神崎さ…

「フランス史10講」柴田三千雄著

岩波新書でシリーズ化されている、「各国史10講」というものでは、以前に「イギリス史10講」という本を読みました。 「イギリス史10講」近藤和彦著 - 爽風上々のブログ 新書版で各国の古代から現代までの歴史をまとめてしまうというもので、詳しいとこ…

「仏教史研究ハンドブック」佛教史学会編

インド文化圏で生まれた仏教がアジア各地に伝わり、その後日本にも到達し広まったということは、学校でも習う歴史として意識されており、すでにほとんどが解明されていると思ったら、まだ相当わからない点が数々あるようです。 この本は、仏教史を研究されて…

「ペルシア王は『天ぷら』がお好き? 味と語源でたどる食の人類史」ダン・ジェラフスキー著

「天ぷら」という食物はポルトガル人によって日本にもたらされ、その言葉は「tempero(調味料)」というポルトガル語に由来するといった程度の、食物とその言葉に関する知識は、その辺の普通の辞書などにも書かれていることですが、それがさらに遡るとどうな…

「【図説】ゲルマン英雄伝説」アンドレアス・ホイスラー文、マックス・コッホ挿画

本書は日本語訳本として出版されたのは2017年ですが、ドイツで原著が出版されたのは1904年です。 著者のホイスラーは1865年生まれ、挿画のコッホは1859年生まれと、19世紀の人々と言えるでしょう。 ゲルマン民族の英雄伝説というものは、北欧神話などと比べ…

八代市立博物館特別講演「郷土の名陶八代焼」聞いてきました

八代市立博物館の前副館長でこの前退職された福原透さんが講演をされたので聞いてきました。 福原さんは長らく博物館学芸員として八代焼(高田焼)を研究してきた方で、おそらく八代焼研究の第一人者と思います。(一人しかいないかも) 八代焼は高田焼(こ…