爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

歴史

「漢字と中国人 文化史をよみとく」大島正二著

漢字は中国で生まれ、その言葉を書き表すものとして発展してきました。 日本でもそれを使って言葉を書き表してきましたが、中国での状況とは違いがあります。 漢字には「形」(かたち)と「音」(読み)、「義」(意味)の三要素があります。 実は、漢字の辞…

「介子推」宮城谷昌光著

小説はあまり読まないのですが、ひさしぶりに宮城谷作品です。 内容についてあまり細かく書くとネタバレになりますので、話の背景だけにしておきます。 時代は中国古代の周王朝の後半、王朝の威厳は衰え諸侯の国がそれぞれ勢力を競っていた頃です。 中原北部…

「サピエンス全史 下」ユヴァル・ノア・ハラリ著

翻訳物の長編で、上下巻があるものはたいてい上巻だけでもういいやとなるのですが、この本は上巻の出来がかなりのものと感じたので、続けて下巻も読んでみました。 しかし、ちょっとがっかり。 人類の歴史というものを、細かな史実などは取り上げずに大きな…

「サピエンス全史 上」ユヴァル・ノア・ハラリ著

ハラリさんの本「ホモ・デウス」をつい最近読んで、この人が最近欧米で注目を集めている歴史家であり、その前著「サピエンス全史」はミリオンセラーになっているということでしたので、その「サピエンス全史」を手にとってみました。 sohujojo.hatenablog.co…

「韓国現代史 大統領たちの栄光と蹉跌」木村幹著

韓国(大韓民国)はもっとも近い国でありながらその中身を日本人はあまりよく知らないようです。 少なくともアメリカよりははるかに知識量が少ないでしょう。 朝鮮半島地域の研究が専門という著者が、その韓国の日本からの解放以降の現代史を著述する方法と…

「コロンブスの不平等交換」山本紀夫著

「コロンブスの交換」という言葉があるそうです。 それほど古いものではないそうで、アメリカの歴史学者クロスビーが1972年に発表した本の中で使った言葉だそうですが、その後他の人も使うようになりました。 確かに、コロンブスの新大陸「発見」以降ヨ…

「ゲノムが語る人類全史」アダム・ラザフォード著

DNA分析を用いる人類進化の解析は、分析技術の急速な進歩により日々新たな知見が得られるような状況となっています。 この本はイギリスの遺伝学者にしてサイエンスライターでもある著者が、2016年に出版したものですので、最新に近い内容が盛り込まれて…

「暴走する文明」ロナルド・ライト著

人類が農業を始めて以来、多くの文明を作ってきましたが、どれも永続することはなく消え去っていきました。 その場に人の姿も無くなるほどきれいに消え去ったものもありますし、人は住んではいてもかつての文明の後継者とも言えない場合もあります。 文明が…

「ホモ・デウス 上巻」ユヴァル・ノア・ハラリ著

全世界でかなり話題となっているらしい、ユヴァル・ノア・ハラリさんの新著です。 そんなことは何も知らずに、図書館で新刊書ということで見つけ、面白そうな題名だと借りてきました。 すると、ちょうどその日の夕方のテレビにハラリさんのインタビュー番組…

「さかさま世界史 英雄伝」寺山修司著

寺山修司さんといえば、天井桟敷という劇団を立ち上げ、多くの話題を振りまきながら活躍したものの、1983年に47歳の若さで亡くなられました。 そんなに前に亡くなったとは思えないほど存在感はまだ感じられるのですが、それは私達以上の年代の人たちに…

「DNAで語る 日本人起源論」篠田謙一著

DNA分析技術はすごい勢いで発展しており、一つの生物たとえば一人の人間の全遺伝子を解析することすら可能となっています。 遺伝子のDNAの分析が、人間のグループ化を可能としているということは、かなり以前から知られており、その方向での研究も多くの研究…

「歴史の使い方」堺屋太一著

堺屋太一さんといえば、数々の業績もあり、著作も多い方です。 最初は通産省の官僚となり、大阪万博の開催や沖縄海洋博なども担当しましたが、その後退職し、作家や評論家として活躍したものの、小渕内閣で経済企画庁長官として入閣と、様々な活躍をされまし…

韓国最高裁で、日本による徴用被害者に対する補償を認定 日本は国際法に則り猛反発 どういうことか考えを整理

戦時中の日本企業による韓国人徴用工に対する補償を求めた裁判で、韓国最高裁は請求権を認めて日本企業に支払うよう命じました。 これに対し、日本政府は韓国人の徴用等の被害者の損害賠償請求権は1965年に失われており、日韓両国で解決済みというこれまでの…

「悪と日本人」山折哲男著

オウム事件では、「悪」と宗教の関係がクローズアップされました。 どの宗教でも「悪」と言うものは大きなテーマであり、それに対する態度はキリスト教などと日本の宗教ではかなり違っているようです。 こういった難しいテーマを、宗教学者の山折さんが数々…

「日米同盟と原発」中日新聞社会部編

世界でも有数の原発大国となり、福島原発事故により大きく見直しをされている日本ですが、原子爆弾で世界最初の被害を受けたのも紛れもない事実です。 その被爆国を原発国に変えるにあたっては、アメリカと日本の関係、日米同盟が大きく関わっていたのは間違…

「ヨーロッパ異教史」プルーデンス・ジョーンズ、ナイジェル・ペニック著

原題の「A History of Pagan Europe」の”Pagan”とは、主にキリスト教から見た未開の異教と言うものを表す言葉であり、原題のキリスト教に覆われたヨーロッパの中に残るかつての様々な民族の宗教の歴史、そして現代まで残る影響を扱っています。 したがって、…

「西南戦争 民衆の記」長野浩典著

西南戦争では薩摩を出た反乱軍は熊本城に襲いかかったものの、それを落とすことができず、周辺の田原坂の戦いなどで敗れ、大分や宮崎を通って敗走し最後は鹿児島に戻って城山の戦いで敗れました。 しかし、その間現在の鹿児島、熊本、大分、宮崎の各地を転戦…

「甲骨文の話」松丸道雄著

中国古代の、漢字の原型とも言える甲骨文字について、その研究を専門として来られた著者の甲骨文字やその時代、内容などについての文章を集めて一冊の本としたものです。 すでに大学の名誉教授となられている著者ですが、その20代から現在まで書かれたもの…

「北東アジアの中の弥生文化 私の考古学講義 上」西谷正著

著者は考古学が専門で、九州大学名誉教授という方です。 この分野の研究者は、一般向けの講演を依頼されることも多く、その講演要旨も整備されていたということで、まとめて一冊の本とされました。 弥生時代から古墳時代といった古代には、一般の人々の関心…

「世界から消えた50の国」ビョルン・ベルグ著

これまでの世界で一瞬でも存在した「国」というものは多数でしょうが、この著者のベルグ氏は独自の基準で「国の存在」を決定し、その基準で一応存在したとされる50の国々(ただし、その期間は1840年から1975年まで)について記述しています。 彼の…

「全体主義の起源」ハンナ・アーレント著

かねてから名前だけは聞いていたハンナ・アーレントですが、最近その伝記を読んだこともあり、代表作の「全体主義の起源」に挑戦してみました。 sohujojo.hatenablog.com ドイツ生まれのユダヤ人であり、ナチスの迫害を際どく逃れたアーレントの著作ですので…

「関東大震災記憶の継承」関東大震災90周年記念行事実行委員会編

1923年に起こった関東大震災、それから90年が経った2013年にその記憶をまとめる活動としてまとめられた本です。 90年以上前とは言いながら、今でもホットな話題を提供してくれます。 小池都知事が追悼行事にこれまでの都知事が出してきた追悼文を拒絶したと…

「〈階級〉の日本近代史 政治的平等と社会的不平等」坂野潤治著

一億総中流という幻から目が覚めて、格差拡大と言われている今日このごろですが、しかし「階級」という言葉には現代の社会とは関係のないと感じさせる響きがあります。 しかし、紛れもなくほんの数十年前までは日本も「階級」差だらけだったわけです。 日本…

NHKの番組「ファミリーヒストリー」を見ていると日本の近代の人々の姿が見える

NHKの番組で、ファミリーヒストリーというものがあります。 www4.nhk.or.jp 芸能人などの有名人の父母、祖父母さらに先祖の調査をして、どのような人生を送ったのかを見せてくれるのですが、NHKの権威を十分に発揮して綿密な調査を行っているために、普通で…

「浄土真宗とは何か 親鸞の教えとその系譜」小山聡子著

現在では仏教各宗派の中でも最も勢力の大きい浄土真宗です。 鎌倉時代の親鸞を始祖とし、中興の祖として室町時代の蓮如が活躍したということは知っていますが、その実像はどうだったのでしょうか。 平安時代の仏教は、天台宗や真言宗がその密教の呪術で信仰…

「ハンナ・アーレント 〈戦争の世紀〉を生きた政治哲学者」矢野久美子著

「ハンナ・アーレント」という人の名前は以前に全体主義に関わる本を読んだときに目にし、いつかは読まなきゃという感覚は持っていました。 sohujojo.hatenablog.com しかし、今回はその著作ではなく、ハンナ・アーレントの伝記を読むということになってしま…

八代地方で万葉集に歌われたのはここだけ。「水島」

万葉集に長田王の歌として載せられていますが、 「聞きし如まこと貴く奇しくも神さび居るかこれの水島」(長田王 万葉集3-245収録) 「葦北の野坂の浦ゆ船出して水島に行かむ波立つなゆめ」(長田王 万葉集3-246収録) この歌に歌われているのが、今回訪れた…

「鉄道という文化」小島英俊著

著者の小島さんは、実業界で仕事をしながらも鉄道史、旅行史といった分野の著作も出版されているとのことで、筋金入りの鉄道ファンとお見受け致します。 (なお、本書中にも言及がありますが、”鉄道マニア”という言葉は諸外国では産業界での鉄道のブームとい…

「ヒトはなぜ戦争をするのか? アインシュタインとフロイトの往復書簡」アインシュタイン、フロイト、養老孟司解説

アルバート・アインシュタイン、ジグムント・フロイト、どちらも非常に有名な科学者です。 その二人が「戦争論」について往復書簡で語り合った。 この事実はほとんど知られていません。 それがなぜ広く知られていないかという問題にも、戦争とナチスドイツが…

「ポピュラー音楽の世紀」中村とうよう著

著者はすでに亡くなりましたが、音楽評論家として活躍され、「ミュージック・マガジン」という音楽誌を出版されていました。 日本の音楽ばかりでなく、アメリカはもちろん世界各国の音楽に詳しかったようです。 ちょうど、20世紀が終わろうとしていた1999年…