爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

歴史

「世界全戦争史」柘植久慶著

世界の歴史とは戦争の歴史であると言えるでしょう。 戦争のことを考えずにいるのは危険なことだということです。 そこで、歴史上の「全」戦争を紹介しようということなのでしょうか。 「全」という割には取り上げられていないものもあるようです。 最初の戦…

「殉教 日本人は何を信仰したか」山本博文著

戦国時代末期に伝来したキリスト教は、多くの信者を獲得しましたが、秀吉や江戸幕府により死刑をもって禁止されました。 そのために、多くの殉教者が出たのですが、実はこれほどまでに多数の殉教者が出たというのはキリスト教の長い歴史の中でも珍しいことの…

「九州のなかの朝鮮 歩いて知る朝鮮と日本の歴史」九州の中の朝鮮文化を考える会編

九州と朝鮮半島の距離はわずかなものであり、福岡から東京に行くよりは釜山に行くほうがはるかに近いものです。 古代から近代まで、朝鮮半島から日本へは多くの人間、事物が流れ込みましたが、そのほとんどは九州を経由していきました。 また、国家体制が緩…

「知れば知るほどおもしろい 琉球王朝のすべて」喜納大作、上里隆史著

現在は沖縄県となっていますが、かつては琉球王国という独立国でした。 中国の王朝に冊封され、東南アジアから朝鮮まで広く交易を行い栄えていたのですが、17世紀には薩摩の島津氏の支配を受け、明治維新後の日本に併合されて王朝は滅びました。 部分的に…

「知識ゼロからの 浮世絵入門」稲垣進一著

浮世絵は世界的にも人気が高く、多くのヨーロッパ近世の画家に影響を与えたということは知ってはいても、実際にどのようなものか知識があるという日本人はあまり居ないでしょう。 中学高校の美術の授業でも、ゴッホやモネは教えてもあまり浮世絵の画家のこと…

「百済の王統と日本の古代」兼川晋著

かなり時代が下っても九州に王朝が存在したという、九州王朝説は正統派学界からはほとんど無視されているような状況ですが、民間の古代史愛好家が集う九州古代史の会などで活動は続けられているようで、本書著者の兼川さんも活躍されています。 本書の冒頭に…

「日本人の源流 核DNA解析でたどる」斎藤成也著

国立遺伝学研究所の斎藤さんの本はこれまでにも2冊読んでいますが、最新のDNA解析技術を用いた検討で日本人の遺伝的構造を探るという、最新の情報を基に一般向けに分かりやすい内容となっています。 この本も2017年10月の出版というもので、最近急激に進歩し…

「侠骨記」宮城谷昌光著

宮城谷さんの本は以前は読んでいましたが、このところ少しご無沙汰していました。 久しぶりに手に取ったこの本は、1991年に著者が「夏姫春秋」で直木賞を受賞した頃に出版された初期の作品群の一冊です。 著者の作品には、中国古代を扱ったもの、著者故郷の…

「古代国家はいつ成立したか」都出比呂志著

著者の都出さんは、考古学者で「前方後円墳体制論」という初期国家論を提唱されている方ということです。 どうも古墳の形式の伝播を見ていけば当時の体制が理解できるという主張のようですが、それを調べていると本書の記載について強烈に批判してあるサイト…

「ダ・ヴィンチ絵画の謎」斎藤泰弘著

ルネサンス絵画の巨匠レオナルド・ダ・ヴィンチの絵画は、その最高傑作のモナリザを始めとして多くの謎を秘めています。 それについて数多くの研究が為され、様々な学説も発表されています。 そういったことについて、ダ・ヴィンチ研究の専門家である著者が…

「北陸の縄文世界 御経塚遺跡」布尾和史著

新泉社から出版されている「シリーズ遺跡を学ぶ」という本の中の一冊です。 まあそれほど実際の遺跡というものに興味があるわけでもないのですが、この遺跡には関わりがあったために読んでみました。 少し前に仕事で金沢に行っていたのですが、その際に住ま…

「ラテン語の世界 ローマが残した無限の遺産」小林標著

ラテン語は古代ローマの言葉であり、ヨーロッパでは古典として学ばれ近代までは学術用語として使われていたというイメージです。 しかし、現代の世界語とも言うべき英語の中にはラテン語から直接続いている言葉も多く、また新たに作られる言葉もラテン語の法…

「筑紫政権からヤマト政権へ 豊前石塚山古墳」長嶺正秀著

新泉社から出版されている「遺跡を学ぶ」シリーズの中の一冊で、福岡県京都郡苅田町にある「石塚山古墳」の詳細を、苅田町教育委員会の長嶺さんが豊富な図版とともに解説しています。 石塚山古墳は北部九州で最大最古の前方後円墳ということで、紀元3世紀後…

「中国正史 倭人・倭国伝全釈」鳥越憲三郎著

倭人といえば、中国古代に日本人を指して読んだ呼称であると言うのが一般的な解釈でしょうが、実はそれよりはるかに古い時代から中国南部などに住んでいた人々をも指していたようです。 それらの人々と日本人との関係というものはよく分からないのですが、鳥…

「日本霊異記の世界」三浦佑之著

日本霊異記とは平安時代の初期に仏僧であった景戒(きょうかい)がまとめた、日本で最初の仏教説話集であり、その話は主に8世紀の奈良時代に都周辺で語られていたものが中心となっています。 それ以前にも神話から来たような物語は数多く存在していたのです…

「中国の故事寓話」鈴木亨著

著者の鈴木さんは出版社の編集長などを経て著述業をされていたということで、知人友人なども実業界に多く、さまざまな話を聞いてきたようです。 現代においても仕事の上での問題点というのは、古代とあまり変わらないようで、昔の知恵がいっぱいに詰まった故…

「中国列女伝」村松暎著

昔から持っていた本でかなり古いものですが、その題名についてはこれまでまったく誤解していました。 「列女伝」をてっきり「烈女伝」だと思いこんでいたのです。 それでいて、中で描かれている女性たちは孝女あり、貞女ありだったのですが、おかしいとも思…

「ペストの歴史」宮崎揚広著

人類の歴史には疫病による大きな災害が何度も起きていますが、中でもペストによるものはその死亡率の高さでも、中世ヨーロッパの社会に与えた影響でも、最も厳しいものだったと言えるでしょう。 この本は近世フランス史がご専門の歴史学者の宮崎さんが、主に…

「古代遺跡を楽しむ本」吉村作治著

著名な考古学者の吉村さんが、世界各国の古代遺跡を紹介するという本で、一箇所ごとにその場所の思い出と行き方、注意などがガイドブック風に付けられているものです。 まあこういった旅行ガイドに一々文句を言っていてもしょうがないのですが、ちょっと気に…

「アーリア人」青木健著

「アーリア人」と聞くとどうしてもナチス・ドイツが利用した人種論を思い出してしまいますが、実際にアーリア人と言うべき人々はイランからインドにかけて住んでいた牧畜民で、その後は様々な方面に散っていきました。 他の民族と同化したものもあります。 …

「英国流立身出世と教育」小池滋著

「身を立て名を挙げ」と言えば「仰げば尊し」の一節とすぐ分かるのはある程度の年齢の人だけで、最近はあまり卒業式でも歌われなくなっているとか。 そいうった「立身出世」というものが最近の先生方に不評だからではないかということですがどうでしょう。 …

「”日本スゴイ”のディストピア」早川タダノリ著

21世紀に入って以来「世界が尊敬する日本人」とか「本当はスゴイ日本」などと題されたおびただしい数の書籍が刊行されています。 最近はテレビ番組にもそういった類のものがはびこっており、辟易する思いですが、実はかつても「日本スゴイ」という本が次々…

「海賊の世界史 古代ギリシアから大航海時代、現代ソマリアまで」桃井治郎著

「海賊」といえば一番イメージしやすいのは「カリブの海賊」といったところかもしれませんが、副題にあるように歴史の最初から最後まで、つまりいつでも海賊というものはあちこちに出没していたようです。 文明というものが興ると人や物資の移動が盛んとなり…

「歴史に気候を読む」吉野正敏著

歴史の多くの展開に気候というものが大きな影響を及ぼしたということは、容易に想像できますが、実は歴史学ではあまりそれを取り上げることはなかったようです。 これまでにその観点から論じたのは、1940年代に西岡秀雄氏が、1983年に原田常治氏が発…

「海賊がつくった日本史」山田順子著

放送作家などを経てテレビドラマの歴史考証をやるようになったという、山田さんですが、あとがきに書かれているようにどうやら先祖は海賊の末裔であったということで、その歴史というものにも非常な思い入れがあったようです。 そこで、古代から江戸時代まで…

「暴走する文明」ロナルド・ライト著

歴史家にして小説家、エッセイストでもある著者が、これまでの暴走し衰退した文明の例をあげ、そしてそれ以上に暴走している現代文明に警鐘を鳴らしています。 そのもっとも危険な状況は「温暖化」であるということです。 シュメール、ローマ、マヤ、イース…

「聖書考古学 遺跡が語る史実」長谷川修一著

キリスト教の旧約聖書というものは、ユダヤ民族の歴史を語っています。 聖書全体を真実と考えるのが宗教としてのキリスト教であり、教徒は程度の差はあれそう信じているのでしょうが、実際にはとても史実とは考えられないような話もあるのは確かです。 一方…

「日米地位協定入門」前泊博盛著

最近またも在日米軍の兵士の関係する事件が相次いでいます。 そこで必ず出てくるのが「日米地位協定」というものであり、そこに問題があるということもなんとなくは感じていました。 図書館でたまたまこの本を見かけ、きちんと内容を知っておく必要もあるか…

「朝鮮通信使 江戸日本の静信外交」仲尾宏著

つい先日、ユネスコの世界記憶遺産に登録されたことで話題となった朝鮮通信使ですが、その全体像を10年前に日朝の関係史が専門の著者が著していました。 江戸時代には国同士の対等な関係の外交というものは、朝鮮との間にのみ存在しました。 そしてそれは…

「外邦図 帝国日本のアジア地図」小林茂著

「外邦図」とは、明治の初期から太平洋戦争期にかけて日本がアジア・太平洋地域について作製した地図を指します。 それは植民地支配や戦争遂行のために必要なものでした。 こういった地図は他のヨーロッパ諸国にとっても最重要のものであり、偵察使命をおび…