爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

歴史

「複合不況」宮崎義一著

1980年代のバブル、そしてバブル崩壊という事態は日本にとって未経験のことであり、その後も長くその影響が続いてしまいました。 バブル自体の評価というものもその時には定まっていなかったのでしょうが、その崩壊ということも経済の専門家の間でもよく…

「日本史の論点 邪馬台国から象徴天皇制まで」中公新書編集部編

歴史というものはすでに起きたことをたどるものですが、新たな史料が出ただけでも解釈がまったく変わってきます。 日本史の古代から現代まで、現在の歴史学会での最新の論点を、時代別に専門家が解説したものです。 学校で習った日本史というものは、私など…

「聖書を読みとく 天地創造からバベルの塔まで」石田友雄著

キリスト教徒の両親の影響で幼い頃から聖書に親しんできた著者は、その後も長く聖書に親しむ会を主催していましたが、日本人の聖書というものに対する感覚はいまだに「よく分からない宗教書」と言うものです。 著者は、その後イスラエルに留学しますが、ユダ…

「人間の本能 心にひそむ進化の過去」ロバート・ウィンストン著

「本能」と呼ばれるものがあります。 頭で考えることとは違うことをやってしまう場合、それは本能だと言われることがあります。 人類は数百万年も前に他の猿たちから別れてサバンナの草原に降り立ち、二足歩行をしながら進化を続けてきました。 しかし、その…

「『移民』で読み解く世界史」神野正史著

著者の神野さんは塾の世界史講師の他、さまざまな歴史に関わる活動を幅広くされているようです。 その語り口は分かりやすく、ポイントを強調しダメを押すといった、受験生相手の授業を彷彿とさせるような印象でつながっていきます。 本書は、今の世界で非常…

「マヤ・アンデス・琉球 環境考古学で読み解く『敗者の文明』」青山和夫・米延仁志・坂井正人・高宮広士著

考古学で絶対年代を測定するということは簡単ではなく、放射性同位体を使った測定でもその同位体の比率というものが「常に一定」であることを仮定して測定していたのですが、実際はかなりずれがあることが分かってきました。 そんな中で、福井県の水月湖とい…

1160万年前にも巨大隕石衝突で生物絶滅

生物の大量絶滅は大きなものが5回あったと言われていますが、1160万年前にも鳥島付近に隕石が衝突し、生物の絶滅が起きたということが発表されました。 www.asahi.comそれまでの5回の大量絶滅ほどではないようですが、それでも当時の生物種の15%ほ…

「地球の歴史(中)生命の登場」鎌田浩毅著

「地球の歴史」三部作の中巻は、40億年前の生物の出現から、古生代末期まで、生物と地球とが相互に影響し合いながら進化していった時代を扱います。 初めの章(第5章)は「地球と生命の相互作用と共進化」とあります。 地球は大きなプラットフォームであり、…

「日本の奇僧・快僧」今井雅晴著

仏教の僧は、権力者側に立つことも多かったのですが、それにとらわれずに自由に活動したアウトサイダーも居ます。 そういった僧たちの中には「奇僧」と呼ぶべきような超能力を持つと思わせた人々や、「快僧」といったその生き方が多くの人の心を捉えた人々が…

「大逆転! 奇跡の人類史」NHKスペシャル「人類誕生」制作班著

NHKスペシャル「人類誕生」は、2018年に三回放送されました。 近年、人類の進化については相次ぐ新発見で学説が大きく塗り替えられています。 そのこれまでの通念がひっくり返ったという意味で「大逆転」と題しました。 それを、ゲームクリエーターに依…

「岡田英弘著作集Ⅱ 世界史とは何か」岡田英弘著

岡田英弘著作集全8巻の中から、すでに何冊も読みましたが、今回は岡田さんの歴史学の中でも中心となるモンゴル史に関連した分野の著作を集めたものです。 それに「世界史とは何か」という題名を付けたというところが、岡田さんの歴史観というものをよく表し…

「地球の歴史(上) 水惑星の誕生」鎌田浩毅著

火山学者として有名な鎌田さんですが、この本ではそれにとどまらず広く地球科学という観点から地球の歴史というものを説明しています。 最新の研究成果も取り入れていますので、私などまったく知らなかった最新知識も仕入れることができました。 上中下の3…

「ブルートレイン大図鑑 客車寝台特急の57年」”旅と鉄道”編集部編

1956年11月のダイヤ改正で、寝台特急「あさかぜ」が誕生、東京と博多の間を結ぶ新たな列車が登場しました。 そのときは、寄せ集めの車両をつないだものでしたが、ちょうど経済も成長し旅客の増加で人気が集中しました。 そして、2年後の1958年に…

「前方後円墳の世界」広瀬和雄著

古代の古墳の中でもその特有の形状で印象的な「前方後円墳」ですが、大阪の百舌鳥古市古墳群が世界遺産となったということもありました。 この前方後円墳は、3世紀半ばから7世紀の初めにかけての約350年間に、北海道・北東北と沖縄を除く全国各地に、約…

「お好み焼きの物語」近代食文化研究会

著者は「近代食文化研究会」と称していますが、どうやらお一人の方のようです。 これがペンネーム。 食文化の歴史研究ということは、実は意外に行われていません。 江戸時代の方がかえって研究されているようです。 明治以降の食文化というものは、「あまり…

「源頼政と木曽義仲 勝者になれなかった源氏」永井晋著

平安時代末期、藤原氏の専制は崩れ武士が権力を握り、やがて鎌倉幕府の成立につながりますが、源平の戦いと一口で言っても源氏も平氏も一つのものではなく、様々な人々がそれぞれの思惑を持って動きました。 その中で、時代の脇役としてはもっとも大きな存在…

「渡来の古代史 国のかたちをつくったのは誰か」上田正昭著

かつては、古代の日本に渡ってきた人々のことを「帰化人」と呼ぶことが普通でした。 しかし、現在であれば日本に渡ってきて条件を満たし日本国籍を取得することを「帰化する」と呼ぶのは当然ですが、まだ「帰化すべき」統一国家もあやふやで、「帰化」のあか…

「真実の仁徳天皇 倭歌が解き明かす古代史」福永晋三著

著者の福永さんは、大学で中国文学を学んだあと高校の教員をされるかたわら、古代史について研究をするという、市井の古代史家という方です。 福永さんの研究手法は、万葉集を主な対象としてその一言一句までを詳細に検討していき、そこには必ず真実の歴史の…

「再読:そして最後にヒトが残った」クライブ・フィンレイソン著 その中の「気温の歴史的変動」についての図

去年読んだ本ですが、再読です。 そして、その中のある図が非常に面白かったので紹介します。 第6章、運命のさじ加減 ヨーロッパの石器文化 という中で、気候と人類の生活環境について書かれているものですが、そこに下記のような図が掲載されていました。 …

「内田樹の研究室」より、「合従論再考」

内田樹さんの「研究室」、中国古典が好きなものにとっては非常にわかりやすい「合従論」です。 AERAに書いたそうですが、字数が少なかったので補足してここに載せました。 blog.tatsuru.com東アジアの国際協調体制として、「東アジア共同体」が必要だという…

「鬼平犯科帳の世界」池波正太郎編

「鬼平犯科帳」といえば池波正太郎さんが世に送り出した人気シリーズで、実在の人物であった火付盗賊改方長谷川平蔵を主人公に、その活躍を描いたもので、「オール読物」誌に連載、その後は単行本化され23巻にまとめられました。 そのシリーズについて、著…

「曹操墓の真相」河南省文物考古研究所編著、渡邉義浩監訳

三国志の中で有名な曹操は、その墓が見つからないままでした。 三国志演義で劉備との対比を大きくするために、悪役として描かれるようになったこともあり、曹操は自ら亡くなる時に偽墓を作るようにと命じたことにされてしまいました。 そこには、自分が他の…

「明日を拓く現代史」谷口智彦著

学校で習う歴史はどこでもせいぜい太平洋戦争までで、戦後からの現代史はほとんど触れられることがなかったようです。 50年前の私の学生時代はそうでしたが、今は少しは変わったのでしょうか。 学年も最後の方になり時間がなくなるからというのが表向き?…

宗像氏の後継は熊本へ、豊臣秀吉の文書が見つかる

全国版ではあまり大きな話題にはなっていませんが、熊本と宗像とのつながりを示す文書が見つかりました。 https://kumanichi.com/news/1191187/ 宗像氏といえば、福岡の宗像大社を創建し、あの地方の古い豪族だった人々です。 しかし、戦国時代に滅び各地に…

「沖縄返還の代償 核と基地 密使・若泉敬の苦悩」NHKスペシャル取材班

このところNHKスペシャルの番組制作の記録として作られた本を何冊か読みましたが、なかなか優れた内容であったと感じます。 こういったものばかりを見せられれば受信料を払っても良いかと思いますが、しかしこの取材に掛けられた費用などその中では微々たる…

「サピエンス異変」ヴァイパー・クリガン=リード著

現代人は腰痛、眼精疲労、坐骨神経痛などの病気に苦しんでいる人が多数です。 また、2型糖尿病は多くの患者を数え、それはすでに一つの社会問題となっています。 ホモ・サピエンスという、現生人類が種として確立されたのはおよそ30万年前と考えられてい…

「日本人の性格構造とプロパガンダ」ジェフリー・ゴーラー著

戦後すぐに出版され大きな話題となった日本人論に、「菊と刀」という本があります。 これは、ルース・ベネディクトというアメリカ人女性が書いたのですが、実はそれに先行して戦時中に書かれた日本人論がありました。 それが、このゴーラーが書いた「日本人…

「考える江戸の人々 自立する生き方をさぐる」柴田純著

1995年に起きた阪神淡路大震災の頃、テレビなどで「人を救うのは人だけだ」というフレーズが繰り返し語られるようになりました。 人々にボランティア活動への参加を呼びかけるものでした。 この言葉に接して、ボランティア活動をするかどうかというのは…

「ガリレオ裁判 400年後の真実」田中一郎著

ガリレオが地動説を唱えたことで宗教裁判にかけられ、学説を放棄させられたけれど「それでも地球は動いている」と言ったとか。 もちろん、そんな独り言を誰が記録していたのか怪しい話だとは感じますが、その背景などは知りませんでした。 この逸話は、ガリ…

「アーサー王伝説」リチャード・キャヴェンディッシュ著

アーサー王とは、紀元6世紀頃のブリテン島の王としてアングロサクソンの侵略と闘い、伝説の中では全イングランド・ウェールズを治めさらにヨーロッパ全土にまで支配を広げたことになっています。 この物語は、紀元12世紀ころにイギリスだけでなくフランス…