爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

歴史

「外邦図 帝国日本のアジア地図」小林茂著

「外邦図」とは、明治の初期から太平洋戦争期にかけて日本がアジア・太平洋地域について作製した地図を指します。 それは植民地支配や戦争遂行のために必要なものでした。 こういった地図は他のヨーロッパ諸国にとっても最重要のものであり、偵察使命をおび…

「教科書では学べない世界史のディープな人々」鶴岡聡著

著者の鶴岡さんは歴史の専門の研究者というわけではなく、塾の講師などをされているようですが、この本で取り上げられている人々はあまり有名であるわけではないものの、こうやってその人生を描くとそれぞれがまた独自の輝きを持つように思えます。 「あまり…

「なぜ大国は衰退するのか」グレン・ハバード、ティム・ケイン著

大国の興亡というものについては、これまでも様々な人々によって分析され記述されてきました。 この本はアメリカの二人の経済学者が、歴史上および現代の大国の興亡を、行動経済学、制度経済学、政治学の知見をもとに読み解き、経済的不均衡が文明を崩壊させ…

「古文書はいかに歴史を描くのか」白水智著

著者は歴史学の中でも各地に残る古文書をフィールドワークで探し出し解析し各地域の歴史を新たに再発見していくという研究方法を取っている歴史学者です。 この本では各地の旧家の蔵から古文書を発見してきた実話や、その詳細な方法、また記録のまとめ方など…

「朝鮮王朝”儀軌” 百年の流転」NHK取材班編著

2010年に当時の菅総理大臣が韓国に日本にある「朝鮮王朝儀軌」を引き渡すと突然のように発表したことは社会に驚きをもって迎えられました。 それがどういうものかという認識もほとんどの人が持っていなかったはずです。 実はそれは韓国国内でも同様の状況だ…

「戯作者銘々伝」井上ひさし著

戯作者とは、江戸時代後期に流行した洒落本、人情本などの通俗小説の作者を指します。 為永春水、山東京伝、十返舎一九といった人々が有名ですが、他にも多くの人々が執筆していたようです。 この本は、そういった戯作を書いていた人々の周辺を短編小説とし…

「古道 歴史の道百選」森田敏隆著

平成8年に文化庁によって、「歴史の道百選」の第一次選定が行われ、78箇所が選ばれました。 本書はその78にそれ以外の9箇所を加えた87箇所の古道を写真家の森田さんが撮影した写真で紹介しています。 取り上げられている道は、東海道や中山道など有名な街道…

「倭人への道 人骨の謎を追って」中橋孝博著

著者は人骨を専門とする考古学者ということです。 したがって、DNA分析が主流の現代の進化学界とは少々捉え方が異なっているようで、新人(ホモ・サピエンス)のアフリカ起源説がほとんど主流となっているのですが、著者はネアンデルタール人と新人との混血…

「現代の地政学」佐藤優著

非常に印象的な活動を続けられている佐藤優さんが、池袋コミュニティ・カレッジというところで地政学というものについて講義をした、その記録をまとめています。 地政学というものは、最近は非常に注目されているようで、「地政学リスク」といった言葉は一人…

「〈鬼子〉たちの肖像 中国人が描いた日本人」武田雅哉著

〈鬼子〉には「グイヅ」とフリガナが振ってあります。 中国人がかつて日本との戦争の頃に日本人を指して呼んでいた言葉です。 鬼子とは人間とは見なされないものです。 日本でも「鬼畜米英」などと言っていたものです。 戦国時代のように相手も同類と知って…

「修己治人の学『大学』を読む」守屋洋著

中国の古典として四書五経というものがあるというのは知ってはいても、またその四書の書名が大学・中庸・論語・孟子であることを知ってはいても、その内容まではまったく分からないままでした。 その一つ「大学」を読むという本を中国文学者の守屋さんが書き…

「ふたつの故宮博物院」野嶋剛著

故宮といえば中国の昔の王朝の宮殿ということですが、故宮博物院とは清王朝の紫禁城に旧王朝の文物を収めたところを言います。 しかし、現在は故宮博物院といえば台湾の台北の「国立故宮博物院」、中国北京の「故宮博物院」の2つが存在します。 これには、…

「歴史のなかの大地動乱 奈良・平安の地震と天皇」保立道久著

最近も日本列島では各地で地震が相次ぎ、また火山噴火も起きていますが、歴史の中では今よりもさらに地震や火山噴火が連続して、しかも大規模に起きていた時代がありました。 奈良時代から平安時代にかけての頃ですが、ちょうどその当時は天皇家や藤原氏をは…

「サラダの歴史」ジュディス・ウェインラウブ著

サラダは現在では全世界に広まっており、健康的なイメージ(中身とドレッシングによればかなりな高カロリーにもなりますが)で好感をもって見られているようです。 しかし、かつては生で野菜を食べるというのは逆に健康に悪いというように思われていた時代も…

「戦国の日本語 五百年前の読む・書く・話す」今野真二著

戦国時代と言えば歴史小説やドラマなどにもよく登場する時代ですが、その当時にどのような言葉が話され、書かれていたのかということはあまり実感されないものでしょう。 日本語は古代から続いていた「古代語」というものが平安時代あたりまで、そして「近代…

「高松塚古墳は守れるか 保存科学の挑戦」毛利和雄著

高松塚古墳の壁画は昭和47年に発見され、その当時は世紀の大発見と言われて大騒ぎだった覚えがあります。 その後、万全の保存体制が取られていると思っていたらカビが発生したと言う報道が何度かあり、2001年になって大量のカビ発生、管理体制が問題と…

「数字で読み解く日本史の謎」河合敦著

日本史を見ていると数字というものが目につくという、導入から入ります。 年号はもちろんですが、その他にも江戸の三大改革とか、憲法十七条とか、さらに三管領四職やら六分一殿やら。 そういった、「誰でも知っている語句だけどなぜそんなふうに数字を付け…

「西アジアの歴史 聖書とコーラン 新書東洋史9」小玉新次郎著

講談社現代新書で「新書東洋史」というシリーズで発売されたものの第9巻で、中東を扱ったものです。 1977年出版ということで、実に40年までの本であり現在までには相当な変化もあったと思います。 この時期はまだまだ西アジアと言う地域についての日…

「高度成長 シリーズ日本近現代史8」武田晴人著

岩波新書から出ている、シリーズ日本近現代史の全10巻の第8巻です。 このシリーズは幕末維新からポスト戦後社会という現代までを扱っており、この「高度成長」は戦後の混乱がようやく収まった1955年から、高度成長が石油危機などで終わった1980年…

「古代の福岡 アクロス福岡文化誌3」アクロス福岡文化誌編纂委員会編

アクロス福岡とは、1995年に旧福岡県庁の跡地に公民複合で建設された施設で、国際・文化交流を目的としているそうですが、文化事業もやっているそうで、文化誌編纂も3冊目となるようです。 そのためか、実際に執筆された方々の顔ぶれを見ても福岡県庁の…

「日本人はどこから来たのか?」海部陽介著

著者の海部さんは国立科学博物館で人類史を研究していらっしゃいますが、台湾から沖縄へ古代の舟で渡るという実験を企画したということでニュースにもなりました。 その実験も、この本も現生人類がアフリカで生まれそこから世界中へ広がっていった過程を明ら…

「権力に抗った薩摩人 薩摩藩政時代の真宗弾圧とかくれ念佛」芳即正著

著者のお名前は「かんばし・のりまさ」と読みます。 鹿児島県の高校校長や短大教授などを歴任、尚古集成館の館長も勤められました。 江戸時代にキリスト教を禁制とし、そのため「隠れ切支丹」という人たちが居たということはよく知られていることですが、島…

「エトロフ島 つくられた国境」菊池勇夫著

エトロフ島といえば、ロシアとの間で領土問題の焦点として意識される「北方領土」の国後・択捉・歯舞・色丹の四島の一つとして捉えられることが多いでしょうが、その実像はほとんど知られていないでしょう。 近藤重蔵の「北方探検」、ソ連の侵攻と住民引揚げ…

「ナチスドイツの実像から中東問題を読み解く」中川雅普著

著者が言いたかったのは、どうやらナチス・ドイツのユダヤ人虐殺などは必要以上に誇張されており、それはイスラエルの宣伝活動によるものだということのようです。 とは言っても、ネオナチなどのように「虐殺は無かった」とまでは言うつもりはないようです。…

「道教の世界」菊地章太著

著者の菊地さんはカトリック神学が専門と言うことですが、道教も研究していくうちにそちらの面白さに捕らえられ、現在は比較宗教学がご専門となってしまったそうです。 中国は大きく見ると3つの宗教が力を持っていますが、儒教が社会ではメインとなっていま…

「日本人と中国人」陳舜臣著

中国人貿易商の子として日本で生まれ、家庭では中国人としての教育を受けながら、学校教育は日本人として受け、日中両方の教養を深く身につけた陳舜臣さんは、その後小説家、著述家として数多くの本を出版されました。 最初の頃は推理小説などが多かったよう…

「詩経 中国の古代歌謡」白川静著

白川静さんといえば字統、字訓といった漢字学の集大成の著書で有名ですが、中国の古代の歌謡の記録である詩経の研究もされています。 この本は、中国古代でも氏族制社会が崩れていく中で多くの詩が作られ、そしておそらくは声に出して詠まれていたということ…

「日本史の一級史料」山本博文著

著者は東京大学史料編纂所教授で、近代史を専門に史料を丹念に掘り起こし研究を重ね、著書も数多く出版されています。 「一級史料」といってもどれが一級か二級かという定義もないのですが、しかし、これまでの歴史通説に変更を加えさせたという史料は確かに…

「家族と格差の戦後史 1960年代日本のリアリティ」橋本健二編著

昭和30年代を扱った映画や本、写真集などが流行っているようです。 もちろん、その最大の要因は映画「ALWAYS三丁目の夕日」の大ヒットでした。 その雰囲気が誰にも懐かしさを呼び起こすものでしたが、しかしその内容は誰にも知られることはありません。 つ…

「アジアのなかの琉球王国」高良倉吉著

かつての琉球王国はアジア各地との交易を行ない栄えていたというイメージがありますが、その具体的な中味についてはほとんど知りませんでした。 この本はその中国の明王朝への進貢を通して交易国家の繁栄を手に入れた歴史とその実態を詳細に語っています。 …