爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

歴史

「図説 テューダー朝の歴史」水井万里子著

河出書房新社から出版されている「図説」シリーズの一つで、イギリスのテューダー朝の時代の歴史を詳説しています。 テューダー朝は15世紀にヨーク家とランカスタ家が争ったばら戦争の後、ランカスタ家の傍流の出であったヘンリ7世がイングランド王として即…

「食の人類史」佐藤洋一郎著

人が生きるために一番大事なことは「食べる」ことですが、地球上一杯に広がってしまった人類はその地域に合わせた食をするようになり、それぞれ特有の「生業(なりわい)」を繰り広げるようになりました。 人類の歴史から語り始め、特徴的な3地域についてそ…

「賊軍の昭和史」半藤一利、保阪正康著

「勝てば官軍」などと言いますが、こういった「官軍・賊軍」という考え方が広く行き渡ったのは幕末維新の戊辰戦争の頃からだそうです。 しかし、その後は「勝った官軍」側の特に長州閥が明治政府などを支配してきました。 特に顕著だったのが軍隊で、長い間…

「大英帝国は大食らい」レジー・コリンガム著

16世紀ころから徐々に力を蓄え、パックス・ブリタニカと呼ばれるような世界の覇権をものにした大英帝国は、その経済力、軍事力、政治力を語られることは多いものの、本書のように「飲食物」という点から見たものは珍しいでしょう。 しかし、著者レジー・コ…

「海から読み解く日本古代史」近江俊秀著

歴史的な海上交通と言えば、江戸時代の北前船の印象が強すぎるためか、日本海がほとんどのように思えます。 しかし、海岸線沿いの交通は海運の方が圧倒的に有利だったはずで、太平洋も無かったはずはありません。 著者の近江さんは日本古代史の特に交通史が…

「大絶滅時代とパンゲア超大陸」ポール・B・ウィグナル著

生物の大量絶滅と言うと、恐竜が死滅した6600万年前の白亜紀末のものが有名ですし、現在も人類によるものが急速に進行しているという話もありますが、大量絶滅で最も激しかったものはペルム紀ー三畳紀境界大量絶滅という、2億5100万年前のものでした。 さら…

靖国神社に祀られている人たち

また終戦の日に合わせて靖国神社を参拝する現役閣僚が出て、それに対し中韓などから反発されたりと騒がしいことになっています。 中韓は、A級戦犯が合祀されていることを問題視し、国内でもそれを言う声がありますが、それについてはここでは触れません。 今…

今年も「戦争はいけない」の言葉が空虚に飛び交う季節となりました。

今年も太平洋戦争の敗戦の日となり、「戦争はいけない」という言葉が響くことが多くなっています。 しかしその言葉の中身を考えようともせず、かつての戦争被害者(もう今では戦争経験者のほとんどが”被害者”ばかりとなっていますが)たちの悲惨な体験を紹介…

「飼いならす 世界を変えた10種の動植物」アリス・ロバーツ著

人類は農耕と牧畜を始めたことで地球上のすみずみまでも広がるほど繁栄することができました。 そこには多くの生物の中から農耕と牧畜に適した種を選び、それを飼いならしてきたという歴史が存在します。 この本ではそのような観点から「ヒトに飼いならされ…

「歴史のなかの地震・噴火」加納靖之、杉森玲子、榎原雅治、佐竹健治著

地震や噴火はある間隔で繰り返し起きるということが分ってきましたが、まだその方面の研究は十分に進んでいるとは言えません。 その研究の進め方には文理双方からのアプローチがあり、理科系で言えば断層の構造や堆積物の観察を行うということですし、文科系…

「地形と歴史で読み解く 鉄道と街道の深い関係」内田宗治著

東京と近郊の鉄道路線は、地下鉄を除けば割と整然と配置されているようにも感じていましたが、その歴史はそう単純なものではなかったようです。 さらに、山手は実際にはかなりの高低差があり今のように土木工事の大型機械が普及しているならともかく、人力で…

「三国志入門」宮城谷昌光著

宮城谷さんは中国の春秋戦国時代などを題材とした小説で活躍されてきましたが、若い頃の読書は三国志演義から始まったそうです。 しかし小説と実際とは違うと思い三国志の正史を読むようになり、さらに時代を遡って春秋左氏伝へと移り、長い間三国志の時代か…

「通勤の社会史」イアン・ゲートリー著

世界で毎日5億人の人が通勤をしているそうです。 そのような「通勤」ということはそれほど昔から行われていたわけではありません。 イギリスで19世紀に鉄道が広く普及しだしてからのことです。 鉄道ができるまではどんなに不潔で乱雑であっても都会に皆住…

「甲骨文の話」松丸道雄著

甲骨文字は中国古代の殷王朝で占いに使われた骨にその占いの結果を彫り込んでいたもので、19世紀末になって偶然に発見され、その後文字の解析も行われたというものです。 甲骨文字が発展して漢字になったものですが、これを詳しく見ていくことで現在の漢字の…

「細川ガラシャ キリシタン史料から見た生涯」安廷苑著

明智光秀の娘として生まれ、細川忠興に嫁ぎ、その後キリシタンとなり最後は関ヶ原の戦いに先立ち石田三成に人質とされようとして非業の最後を遂げた、細川ガラシャという名は有名でしょう。 キリシタンとなった女性としては最高位の一人であったことで、イエ…

「図説 スイスの歴史」踊共二著

スイスの歴史と言ってもあまり印象が無いのですがウィリアム・テル、スイス人傭兵、永世中立国といったところでしょうか。 また、機械工業が盛んとか言語も複雑と言った話は聞きますが。 そういったスイスの歴史について、ローマ時代から現代までを多くの図…

「旧約聖書の謎 隠されたメッセージ」長谷川修一著

長谷川さんの前著「聖書考古学」は読みましたが、この本はその姉妹編にあたるということです。 前著でも旧約聖書の有名な話、出エジプトやエリコの城壁などは考古学的には何の証拠も残っていないということが語られていましたが、この本ではそういった話に留…

「100のモノが語る 世界の歴史1」ニール・マクレガー著

歴史は文字に残されたものを見なければ分かりにくいものですが、文字だけを見ても分からないものもあります。 その時代を表す「モノ」を見るということも重要なことです。 かつて、世界を制覇したイギリスは世界各地の文物を持ち帰りました。 その行為は今日…

「経済ニュースの『なぜ?』を読み解く11の転換点」田村賢司著

色々な経済ニュースが飛び交っていますが、現役バリバリの経済人でもその本当の意味がわかっていないことは多そうです。 その深いところを理解するためには少なくとも戦後の日本および世界の動向を知らなければなりませんが、ご承知のように日本の歴史教育で…

「環境と文明の世界史」石弘之、安田喜憲、湯浅赳男著

人類の歴史には環境と言うものの影響が非常に強いということは、特に環境激変と言われている現在では共感する人も多いのでしょうが、これまでの歴史学界ではそれをあまり意識されることが無かったようです。 しかし、どう見てもそれを考えて行かなければ歴史…

「傭兵の二千年史」菊池良生著

傭兵と言って何を思い浮かべるでしょうか。 もっとも華やか?だったのは中世末期から近世にかけての時代でしょうが、現代でも外人部隊と言われるものもあり、またバチカンなどでのスイス人傭兵というのも目にします。 また、最近では民間軍事会社というもの…

湘南地方の鉄道 3駅の記憶 3,辻堂駅

辻堂駅は茅ヶ崎・藤沢と比べると最初の頃は縁が無かったのですが、その後は一番身近になります。 ja.wikipedia.org 辻堂はこの辺でも今昔の差が一番激しいところかもしれません。 かつては北側の駅近くまで大きな工場があり、町は南側に少しあるばかりでした…

湘南地方の鉄道 3駅の記憶 2,藤沢駅

藤沢に初めて行ったのは、茅ヶ崎に転居してからすぐのことだったのでしょう。 昭和41年(1966年)まだ小学6年生ですので、自分であちこち出かけることはなく、おそらく母の買い物についていったと思います。 ja.wikipedia.org 当時はまだ藤沢駅は南北口とも…

「ことばでたどる日本の歴史 幕末・明治・大正篇」今野真二著

今野さんは日本語学が専門ということですが、歴史にも深い造詣がおありということで、歴史を「ことば」すなわち文献や史料で詳細にたどるということをされています。 歴史を簡潔に記載するなら不要なのですが、やはり原資料を基に示すとまた新たな発見ができ…

湘南地方の鉄道 3駅の記憶 1,茅ヶ崎駅

また若い頃に戻った夢を見まして、高校の同窓生と修学旅行に出かけるというものですが、「夢の話」で書くにもあまりにも荒唐無稽な内容なのでちょっと控えておきます。 しかし、その中で「藤沢駅に集合」というところがあり、そこに出てきた駅は若い頃の駅で…

「傑物が変えた世界史 上」アラン・ドゥコー著

歴史と言うものは大きな流れというものはあるものの、変革の時には並はずれた個人の働きが作用することもあります。 その意味では「傑物が変えた」ということもあるのかもしれません。 この本は歴史家でテレビプロデュ―サーでもあるという、フランス人のドゥ…

「偽書が揺るがせた日本史」原田実著

現在進行の事実でもいくらでもフェイクがあるということが明らかになっていますが、歴史を文字で記録するということが始まってすぐに「偽物の歴史」を書いた「偽書」というものが現れました。 何らかの思惑や個人的な目的で偽書を作るという行為は数限りなく…

「日本植民地探訪」大江志乃夫著

歴史学者で日本近代史が専門の大江志乃夫は、1995年日本敗戦から50年が経過したころにその機会にかつての日本の植民地を回って見ることを思い立ちます。 その時大江は60代後半でした。 1945年の敗戦時にはまだ学生でしたので、戦前の植民地時代には訪れたこ…

「だから拙者は負けました」本郷和人監修

図書館の本の借り出しがネット予約になり、実物を見ないで借りるようになりましたので、手に取っていれば読むはずのないような本を読む事態になっています。 この本も子供から若者向きで、マンガも取り入れており若者言葉満載のものです。 しかし、一応歴史…

八代市立博物館で開催予定だった「松井家の武器と武具」展が休館のため、ウェブ開催になっちゃいました。

八代市立博物館では、5月から「八代城主松井家の武器と武具」という展示を公開する予定だったのですが、コロナ禍のため休館せざるを得ず、公開予定だった文物をウェブ公開することとなってしましました。 www.city.yatsushiro.kumamoto.jp 松井家とは、肥後…