爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

生物

微生物の話 乳酸菌 その2

乳酸菌の話といってまず思い浮かぶのは「健康効果」でしょう。 昔から整腸作用があると言われていますし、最近ではいろいろな研究が進み、免疫力増強効果があるとか、内臓脂肪を減らすとか、甚だしいのは制ガン効果があるといった話まであります。 昔からの…

微生物の話 乳酸菌 その1

しばらくぶりに「微生物の話」です。今回は乳酸菌。 なお、以前に微生物の話として「Lactobacillus plantarum」のことを書きましたが、今回はより広く乳酸菌全体の話とします。 sohujojo.hatenablog.com 乳酸菌は食品にはおなじみの微生物で、酒類でも日本酒…

ニュージーランドで牛を多数殺処分。マイコプラズマ・ボビスの感染症

「安心?!食べ物情報」で紹介されていましたが、ニュージーランドで病原菌マイコプラズマ・ボビスの牛への感染が明らかになり、多数の牛が殺処分されるそうです。 http://food.kenji.ne.jp/review/review967.html その数は12万頭に上りますが、この菌は非…

「生命の数理」巌佐庸著

生物学や生命現象の中には、数理学的検討を加えるべき分野があるようです。 この本はそういった生命に関しての数理学(数式などでの解析)について、簡単に?説明しているものであり、生物学や生命科学の大学生、大学院生が学ぶ際の教科書として使えるように…

「そして最後にヒトが残った ネアンデルタール人と私たちの50万年史」クライブ・フィンレイソン著

ネアンデルタール人(ホモ・ネアンデルターレンシス)と現生人類(ホモ・サピエンス)は50万年前に分離し、その後は地理的に隔絶して暮らしたために徐々に様々な部位に差ができたと言われています。 そして、ネアンデルタール人の絶滅は意外に最近のことで…

「イワシはどこへ消えたのか 魚の危機とレジーム・シフト」本田良一著

様々な魚の漁獲高というものを見ていると、乱獲により資源が枯渇してしまうということがこれまでに何度も起きていますが、そればかりでも無いということがあるようです。 たとえば、1990年代までに非常に大量に取れたマイワシが、90年代以降は激減して…

「捕食者なき世界」ウィリアム・ソウルゼンバーグ著

生物の形作る生態系というものは、それぞれの生物が密接に関係していますが、中でも最大の関係というものが「捕食」でしょう。 他の生物を食べて生きている「捕食者」は、場合によっては自分も別の生物に食べられることもあります。 しかし、最上位の捕食者…

「強い者は生き残れない 環境から考える新しい進化論」吉村仁著

「素数ゼミ」という生物を研究したことで知られる吉村さんですが、昆虫学が専門ではなく生物の進化というものを研究しています。 ダーウィンの進化論は生存競争を勝ち残る適者が進化の主役であるとしていますが、それは間違いであるとしています。 それより…

「生命とは何だろう?」長沼毅著

生命で溢れている地球ですが、これがどのように発生し進化してきたのか、まだまだ分からないところが多いようです。 生命の発生からその進化、そして最後の人類の誕生から未来まで、生命全体を綴った生物学者長沼さんの本ですが、間違いないところを扱った教…

勝川俊雄さんのツイッターで知りましたが、シラスウナギの壊滅的不漁の対策として、なんと高知県はシラス漁の延長を実施とか。 元記事はこちら www.nikkei.com 勝川さんのツイッターでも(リンクの仕方がわからないので引用します) 普通の国では魚が減った…

「人類20万年遙かなる旅路」アリス・ロバーツ著

現生人類は20万年前にアフリカで生まれ、その後世界各地に広がっていったと考えられています。 その足跡は多くの考古学者たちの発掘調査で判明してきました。 その現場、そして出土した人骨や石器などを実際に見てやろうという企画をイギリスのBBCテレビで担…

「知っているようで知らない免疫の話」西村尚子著

免疫力がガンになりやすいかどうかに関わるとか、乳酸菌が免疫アップとか、IgEがどうのこうのといった、断片的な言葉は知ってはいても、たしかに本当に免疫とはどういうものかということは、知らなかったようです。 免疫の最初から、現状の高レベルの話まで…

「恐竜はなぜ鳥に進化したのか」ピーター・D・ウォード著

ヒマラヤ山脈の頂上付近では酸素が薄くて人間は酸素マスクで吸入しなければ生きていられません。 しかし、そこで上空を見ると渡り鳥が飛び去るのが見えます。 そこは山の上よりもさらに酸素が薄いはずですが、それでも鳥たちは平気で飛行を続けています。 ど…

微生物の話 番外編 Corynebacterium ulcerans

www.sankei.com人と動物で共通に感染する「人畜共通感染症」という病気があることがクローズアップされており、少し前の死亡例ですがペットから感染した女性が死亡していたということが発表されました。 その病原菌が「Corynebacterium ulcerans」でした。 C…

「倭人への道 人骨の謎を追って」中橋孝博著

著者は人骨を専門とする考古学者ということです。 したがって、DNA分析が主流の現代の進化学界とは少々捉え方が異なっているようで、新人(ホモ・サピエンス)のアフリカ起源説がほとんど主流となっているのですが、著者はネアンデルタール人と新人との混血…

「ゲノム編集を問う 作物からヒトまで」石井哲也著

「遺伝子組み換え」という技術は実用への応用が広がり農産物の種類によってはそのほとんどが組み換えによる種子から作られているという状況になっていますが、最近ではそれをさらに高度にしたような「ゲノム編集」という技術が急速に発達しようとしています…

「遺伝子改造社会 あなたはどうする」池田清彦、金森修著

ゲノム編集と言うことがここ数年急激に発展しているようですが、この本は2001年出版でありながらこういった事態を予測しそうなったらどうなるかということを取り上げています。 池田さんは有名な?生物学者で、金森さんは哲学出身の科学史専攻の方です。…

渡辺宏さんの「安心?!食べ物情報」で食中毒頻発のニュース 

いつも参考にさせて頂いている、渡辺宏さんの「安心?!食べ物情報」は毎週日曜に更新されますが、今週の記事では食中毒関連のニュースが盛り沢山です。 http://food.kenji.ne.jp/review/review931.html 群馬や埼玉などで病原性大腸菌O157の食中毒の原因が疑…

漁業資源問題でフォローしている勝川先生の意見 サンマよりホッケが問題

漁業資源問題に関する著書を読ませていただいて以来注視している、勝川俊雄さんがtwitterで話されていた内容です。 サンマは20~30万トンの漁獲が11万トンに減って大騒ぎ。ホッケは20万トンの漁獲がほぼゼロ。ホッケの減少は国内問題なので都合が悪い人が沢…

「森を食べる植物 腐生植物の知られざる世界」塚谷裕一著

腐生植物というと、なにか字面からの印象で動植物の死体などの腐った物に生えているというイメージが強いかと思います。 実際にかつての植物図鑑などにはそのように書かれているものもあるようですが、実際はそうではなく、「生きているカビやキノコから栄養…

「外来種は本当に悪者か?」フレッド・ピアス著

環境保護、自然生態というと人間の手の入らなかった頃の本来の環境に戻すのが当然というのが多くの人の観念であろうと思います。 その点について大きな疑問を投げかけたのがこの本で、なんと巻末の解説は自然保護派とも言うべき慶応大学名誉教授の岸由二さん…

「ゲノム革命 -ヒト起源の真実-」ユージン・E・ハリス著

著者は化石の形態観察という方法で進化をたどるという分野から研究を始めたものの、遺伝子解析による霊長類起源探求という方向に転換しその草分けの一人となったという研究者です。 その最先端の研究者が一般向けにゲノム解析による霊長類進化の過程の解明状…

もしも葉緑体が無かったら、生命の星地球は無かったかも

今ちょうど「森を食べる植物」という本を読んでいまして、(読み終えたら書評を書きますが)そこでは、葉緑体を失った”腐生植物”というものを扱っていました。 森を食べる植物 - 岩波書店 これは、自ら葉緑体で光合成を行うという働きを放棄して、森のなかで…

「ウイルスと地球生命」山内一也著

著者はウイルス研究に長年携わってきた方ですが、その最初の研究対象が天然痘ウイルスであり、その後もずっと病原体としてのウイルスに関わってきました。 一線を退かれた後は一般向けにウイルスについて啓蒙活動をしてきたのですが、その中で読者から「細菌…

「人類とカビの歴史 闘いと共生と」浜田信夫著

著者の浜田さんは大阪市環境科学研究所に長く勤務され、その間住民からのカビなどの相談を数多く受けてきたそうです。 自分でも疑問を持った点など、すぐに実際に実験してみて解答を得るといったことに務められていた様子が、この本の記述からもよくわかりま…

「分類思考の世界」三中信宏著

ここで言う「分類」とは生物種の分類のことを指します。 私もかつての会社勤め時代の研究所在籍時には、微生物の分類同定ということをやっていたということがあり、生物の種の分類というものがどういう状況になっているかということには興味があるのでこの本…

微生物の話 番外編 Clostridium botulinum

”微生物の話シリーズ、番外編”としてつい最近乳児ボツリヌス症で亡くなった赤ちゃんが出たということで、クロストリジウム・ボツリヌムを取り上げます。 Clostridium botulinum (クロストリジウム・ボツリヌム) グラム陽性偏性嫌気性菌、耐熱性の芽胞を形…

「絵でわかる カンブリア爆発」更科功著

「カンブリア」というと最近ではテレビ番組の方が有名かもしれません。 「カンブリア紀」と名付けられた時代があり、5億4100万年前より始まった古生代の始めの地質時代を指します。 この時代に数多くの動物の系統(門)が出現し、それ以降のほぼすべて…

「食卓からマグロが消える日」良永知義著

著者は水産庁での研究職を経て東京大学に戻り研究を続けている方で、専門は魚介類の病害ですが、養殖技術に関しても詳しいということです。 したがって、水産資源の減少の問題を扱っていても養殖に話題が移りがちなのも仕方のない事でしょうか。 魚種によっ…

「科学者が人間であること」中村桂子著

著者の中村桂子さんは私が大学卒業時に就職探しをしていた頃にすでに三菱化学生命科学研究所で大活躍をされていた方で、こちらの方面では有名な方でした。 その中村さんが最近取り組んでおられたのが、「生命誌」という分野だったそうです。 これは「生命科…