睡眠について悩みを持っている人はかなりの数になるかもしれません。
しかし、多少の不眠などはこの本の睡眠障害の実例を見ていくと些細な出来事のように思えてしまいます。
著者のガイ・レシュジナーさんはイギリスの神経科学者で、臨床医でもあります。
睡眠で悩む多くの患者さんを診察してきました。
その例を挙げ、睡眠というものがどういった脳や神経の作用から影響されているかを示していきます。
扱われている例を病名で示すと、睡眠相後退症候群、ノンレム睡眠時随伴症、睡眠時無呼吸、情動脱力発作、睡眠関連摂食障害、クライン・レビン症候群、等々です。
激しいものでは通常の生活を送ることができず、仕事も辞めざるを得ないという人がいます。
夢遊病という言葉はよく聞きますが、70代の女性は歩くだけではなくバイクを運転するというものでした。
深く眠っている時に支度をしバイクの鍵を持って出て数十キロを運転し、帰ってきてまたベッドに入り、起きた時には運転したことを全く覚えていないというものでした。
幼児が眠っている時に叫んだりする夜驚症というものは多くの子どもに見られるのですが、大きくなるとそれは消滅します。
しかしごく一部に大人になっても治らず無意識のまま歩き回るということがあるようです。
バスの運転手をしているロバートという男性は年を取ってから結婚したリンダという妻がいました。
妻から、眠っている間にひどい寝言を言っていると言われたロバートは著者の診療所を受診しました。
色々と診察をしたのですが、ロバートには異常が全く見られませんでした。
仕方なく、ロバートは自分で音声作動式のレコーダーを買って枕元に置いて寝たそうです。
すると、深夜にロバートではなくリンダが叫ぶ声が録音されていました。
ロバートには異常はなく、リンダに幻想や妄想によって叫びだすという障害があったということです。
私も早く目覚めてしまい、その代わりに昼頃に眠くなるという毎日ですが、そのようなものは全く些細なものと感じられるような壮絶な睡眠障害の話でした。