爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

生物

「意識の川をゆく 脳神経科医が探る『心』の起源」オリヴァー・サックス著

著者のオリヴァー・サックスさんは、脳神経科の医師で多くの患者を診察してきましたが、その症例を小説として書くということもしてきました。 「レナードの朝」や「妻を帽子と間違えた男」はかなり有名なもので、映画化などもされています。 2015年に82歳で…

「熱中症予防」のために食塩摂取するリスク

毎日非常な高温になったということもあり、テレビニュースでは熱中症により多くの人が救急搬送されたと報道されています。 熱中症になった場合には塩分摂取と言われていますが、それを「予防」のためと勘違いする人が多く、暑いというだけで塩分を含む飲料な…

「すばらしい人体」山本健人著

生物の身体の仕組みというものは知れば知るほど奇跡としか思えないほどうまくできています。 そういった仕組みについて、身体全体について様々な事例とそれにまつわる医学の発展といったことが書かれています。 著者の山本さんは現役の外科医ですが、人体全…

「カンピロバクター食中毒に注意と厚労省呼びかけ」という毎日新聞記事。記者も理解してないんだろうな。

厚労省が「カンピロバクター食中毒に注意」という呼びかけをしたという毎日新聞記事です。 mainichi.jp その趣旨自体には間違いは無いのですが、文章のあちこちに不適切な部分があり、やはりこの問題の本質は記者も理解していないのだろうなということが分か…

「人はなぜ病院で感染するのか?」太田美智男著

今回のコロナ禍でも病院内で医療関係者が感染する院内感染が多く起こりました。 しかし本書が刊行された2003年当時には別の院内感染の拡大が危惧されていました。 それがMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)などの抗生物質耐性菌によるもので、入院患者で…

動物の保護と駆除、人間の都合で勝手気まま。「かめきちの目」より。

いつも大変深いテーマで書いておられるかめきち(kame710)さんのブログで、「タンチョウと私のねじれ」と題し保護されるタンチョウと駆除されるエゾシカについて紹介されていました。 kame710.hatenablog.com このブログにはコメントなどできないように設定…

「子どもの病気常識のウソ」松永正訓著

子どもは頻繁に病気になるように感じますが、その状態の判断や対処など一般に信じられている「常識」というものが思いもよらず間違っているということが多いそうです。 著者の松永さんは大学病院の小児外科で長らく執刀にあたった後、外来の小児科を開業した…

「疫病と人類知」ニコラス・クリスタキス著

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は世界に大きな影響を残したものの徐々に落ち着いているようです。 しかしワクチンの大量接種や都市封鎖、移動制限など大変な費用と労力、社会影響を与えてしまいました。 この本は中国で発しそれが世界に広まり始めた…

「条件付特定外来生物」って、最悪最凶の外来生物は人間でしょ。

「条件付き特定外来生物」などと物々しい呼び名でアメリカザリガニなどの規制を強化するそうです。 newsdig.tbs.co.jp外来生物とは人間が持ち込んで在来生物を脅かすものということです。 しかし、3万年前には日本列島にはまったく生息しておらず、現在は1億…

ブログ「かめきちの目」より「光合成について」

kame710さんの「かめきちの目」ではさまざまな精神世界に関する深い考察がされることが多いのですが、今回は科学的な内容で「光合成について」ということが書かれていました。 kame710.hatenablog.com コメント欄がなくなってしまったため、こちらで少々考え…

「小説みたいに楽しく読める 生命科学講義」石浦章一著

本書著者の石浦さんは東京大学名誉教授ですが、東大定年後に同志社大学に移りました。 そこで担当したのが1,2年学生向けの生命科学の講義だったのですが、中には高校で生物を履修していない学生もいるということで、そういった人にも分かりやすい授業をしよ…

除草剤プロピザミドが炎症性腸疾患の原因となる?変な論文がNATUREに載ってしまったという永井孝志さんの記事。

永井孝志さんのリスク学に関するブログに掲載されていたものです。 除草剤プロピザミドは炎症性腸疾患を悪化させるという記事がなんとNATUREに掲載されてしまったというものです。 nagaitakashi.netNATUREといえばSCIENCEと並ぶ自然科学分野でも最高の権威と…

少子化対策よりやるべきは食料対策

こどもの日ということもあり、出生数の減少やら子供の数の減少などが盛んに語られ、少子化対策の必要性が叫ばれます。 このままいけば何年には人口半減などと言われますが、この「このままいけば」という言い方ほどいい加減なものはありません。 現在の比率…

NATURE誌にアフリカ大陸の樹木生育状況解析の論文が掲載

科学誌ではSCIENCEと双璧をなすNATURE誌ですが、そこにアフリカ大陸の樹木の生育状況を衛星画像から解析したという論文が載っていました。 www.natureasia.com もちろん軍事偵察衛星はかなり以前から運用されており、それに近い性能の衛星も利用可能となって…

コロナの再感染について忽那さんの解説

これまでも何回も書いていますが、コロナウイルスに再感染するかどうかは私のような感染経験者にとっては非常に大きな問題ですが、それについてはほとんど触れてあるところがありませんでした。 ようやく忽那賢志さんが書いてくれました。 news.yahoo.co.jp …

「アニサキス・アレルギー」に注意が必要か。

サバやイカなどに寄生しており、それらを生食した場合に食中毒を起こすことがあるアニサキスですが、そのアレルギーも多い可能性があるという話です。 www.sankei.com 産経新聞のサイトで平沢裕子さんという方が書いていました。 アニサキスが生きた状態で身…

「世界の植物をめぐる80の物語」ジョナサン・ドローリ著

植物は我々の生活に深く関わっています。 いろいろな植物がありますが、それについて知らないことも多いようです。 この本では植物学者でBBCの番組制作にも携わったことのあるドローリ氏が世界各国の国ごとにいくつかの植物を選び、そのエピソードを1‐2ペー…

新型コロナウイルスオミクロン株の抗体保有者は4割、忽那賢志さんの解説より

新型コロナウイルスの抗体保有者と再感染の危険性について、なかなか報告がなかったのですがようやく忽那賢志さんの記事が出ました。 news.yahoo.co.jp 抗体にもS抗体とN抗体があり、S抗体はワクチン接種で得られるもののN抗体は感染しなければ得られないと…

キウイフルーツの遺伝子解析でY染色体の機能の新たな知見が判明したか

岡山大学の研究グループの成果で、キウイフルーツの遺伝子解析をしたところ性染色体のY染色体の機能の新たな知見が得られたとして、イギリスの科学誌、Nature Plant誌に掲載されるそうです。 www.okayama-u.ac.jp 多くの動植物は雌雄の二性型の性分化をとげ…

レジオネラは「大したことない菌」か、まったく困った温泉旅館社長会見。

福岡市近郊の二日市温泉の大丸別荘という老舗温泉旅館の温泉で基準を大きく越えるレジオネラ属菌が検出されるというニュースが流れました。 その社長の会見が行われ、数々の「正直な」感想が発せられるという異例の事態で大きなニュースとなっています。 new…

国立科学博物館「毒展」について

永井孝志さんのブログから、国立科学博物館で開かれていた「毒展」についてです。 nagaitakashi.net 残念ながらすでに開催期間が終了しているようです。 最初の永井さんの感想が「”毒展”ではなく”毒を持つ生物展”だと思えば面白かった」ということで、これが…

「菌根の世界」齋藤雅典編著

菌根といってもあまり馴染みはないかもしれませんが、マツタケはアカマツと共生しているという話は誰もが聞いたことがあるかもしれません。 この植物の根とキノコやカビなどの菌類が共生している状況を菌根と言います。 実は多くの植物で菌根が形成され、そ…

「延びすぎた寿命 健康の歴史と未来」ジャン=ダヴィド・ゼトゥン著

人間の平均寿命は男性80歳、女性88歳くらいとなっています。 少し昔まではさほど長くはなく、このところどんどんと延びてきたという印象を誰もが持っているでしょう。 しかし、このところその延びる勢いが少し少なくなっているのでは。 そのような「健康」に…

「NATROMのブログ」で線虫がん検査について解説。

ニセ医学と闘う内科医NATROMさんのブログで、「線虫がん検査」について解説されていました。 natrom.hatenablog.com 「線虫がん検査」についてはこれまでもニュースなどで報道されたこともあり、知ってはいたのですがすでに検査キットとして販売されており、…

「これからの時代を生き抜くための生物学入門」五箇公一著

著者の五箇さんはダニが専門の昆虫学者ですが、国立環境研究所で生物多様性や生態学を担当しているということで、生物学と人間の生き方との関わりといった方向でも盛んに活動されているようです。 テレビのコメンテータとしても登場されるということです。 …

コロナワクチンは本当に効果があるのか。

新型コロナウイルス対応のワクチン接種は最近は追加接種の実施が滞りがちということですが、それでも日本の接種率は世界でもトップクラスとなっているようです。 しかし、このところの新規感染者数は非常に多く、こちらも世界トップクラスと言わざるを得ませ…

鳥インフルエンザが全国で発生、ニワトリの殺処分が今期1000万羽を越える。

茨城に続き宮崎でも養鶏場での鳥インフルエンザ発生、各県は殺処分を進めていますが、今期の殺処分数がもう1000万羽を越えたそうです。 news.yahoo.co.jp 養鶏場で発生した場合はその養鶏場の鳥はすべて殺処分とするようですので、大規模養鶏場などでは一か…

エーザイのアルツハイマー型認知症治療薬、アメリカで承認、日本でも申請へ。

日本の製薬会社エーザイが開発したアルツハイマー型認知症治療薬レカネマブがアメリカで承認、日本でも申請へ向かうということが報じられました。 www.nikkei.com これまで効果的な治療薬のなかったアルツハイマー型認知症ですから期待できるのなら良いので…

コロナワクチン接種が世界一となった日本でなぜ新規感染者数も世界一なのか

コロナ禍初期には出遅れた日本のワクチン接種も最近の追加接種は世界一とも言えるような状況になっているようです。 というか、いまだにせっせと接種しているのは日本くらい? その一方で新規感染者の発生も日本は世界でもトップクラス。 この一見したところ…

「図鑑を見ても名前がわからないのはなぜか?」須黒達巳著

植物や動物などに興味を覚え、自然の中からそれらを見出すことを趣味とする人たちがいます。 やはりある種の生物群を対象に見ることが多いのでしょうが、そうやって見つけた生物はいったい何という生物なのか。 それを知ることはかなり難しいことです。 そん…