爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

科学全般

「科学者の目、科学の芽」岩波書店編集部編

これは岩波書店発行の雑誌「科学」に掲載されたエッセイをまとめ再構成されたもので、著者は様々な分野の学者、研究者です。 その多くは自分たちの専門分野の知見から一般社会に広げて見る視野を紹介するというスタイルになっています。 まあすべての研究者…

まだ消え去らないサマータイム制の亡霊

私が目を覚ます時間はたいていは朝4時から5時の間です。 ちょうど夏至も間近の一番日の出の早くなる時期とは言え、九州の西端ではまだまだ明るくなる時間は遅く、4時ではまだ真っ暗。 ようやく5時過ぎになって明るくなってきます。 最近はほとんど聞かなくな…

「へんな数式美術館」竹内薫著

科学ライターの竹内さんが「数式」というものについて紹介されているものですが、扱われている数式はかなり高度なものが多く、数学や物理の専門家でなければ本当の意味はわからないものかもしれません。 しかし、あくまでも美術館ということで「見て楽しむ」…

「土の文明史」デイビッド・モントゴメリー著

最近、別のところの記事でこの本の記述について批判的に解説されているものがあり、興味を感じたのでもし行きつけの図書館にあれば読んでみようかと思って探したらありました。 sohujojo.hatenablog.com そんなわけで読んだのですが、なかなか読みにくいもの…

「環境問題を考える」近藤邦明さんが、風力発電の効率、収支についてまとめの記事

「環境問題を考える」というサイトで様々な発信をされている近藤邦明さんが、最新記事では風力発電の問題について書かれています。 http://www.env01.net/fromadmin/contents/2017/2017_03.html#n1183 風力発電装置も設置の早いものはそろそろ老朽化が進み廃…

FOOCOM.NET専門家コラムで、農業環境専門家の白井洋一さんがEUでの論争に言及

以前は農業環境技術研究所の研究者で、現在はフリーで活躍されているという白井洋一さんが、FOOCOM.NET専門家コラムの「農と食との周辺情報」で現在EUで続けられている論争について言及されています。 www.foocom.net その大きなポイントは3つ、除草剤グリ…

「福島原発事故はなぜ起こったか 政府事故調核心解説」畑村洋太郎・安部誠治・渕上正朗著

著者の御三方は東日本大震災時の福島原発事故に関する政府事故調査委員会のメンバーとして、調査し報告した方々です。 特に畑村さんはその委員長として取りまとめた方です。 「おわりに」に書かれているように、政府事故調の最終報告は2012年7月23日に公表さ…

太陽光発電のエネルギーペイバックタイムが3年とは本当か 近藤邦明さんの「環境問題を考える」で考証

エネルギーペイバックタイム(EPT) (またはEPR(エネルギープロフィットレシオ)というのは、太陽光発電のようなエネルギー変換装置の能力を評価し、その真の経済性を測るための基本的な性質で非常に重要な数値なのですが、これがどうやらいい加減な算出方…

アニサキス中毒が激増 「安心?!食べ物情報」で紹介

生魚の寄生虫による食中毒、「アニサキス中毒」が激増しているという、「安心?!食べ物情報」の紹介です。 渡辺宏さんのこのサイト、週1回の更新ですが、毎週のように参考になる記事が載っています。 http://food.kenji.ne.jp/review/review912.html サバ…

土壌学者の西尾道徳さんが、モンゴメリー「土の文明史」でのキューバの有機農業について誤りを指摘

土壌学者で環境保全型農業ということを説いていらっしゃる西尾道徳さんが、そのサイトの中でワシントン大学教授で地質学が専門のデイヴィッド・モンゴメリーが書いた「土の文明史」という本の中でのキューバの有機農業について触れた部分の誤りを指摘してい…

「6度目の大絶滅」エリザベス・コルバート著

生物の大絶滅と言う事件が、これまでに5回起きました。 その原因は様々ですが、ほとんどの生物が死滅してしまいました。 有名なものは、白亜紀末の6600万年前に小惑星の衝突で起きたと言われるもので、恐竜のほとんどが死滅しました。 そういった大絶滅と同…

築地移転問題が改めて示した「ゼロリスク」の呪縛 中西準子さんが久々にリスク問題について書いています

Wedge5月号の抜粋ということで、Wedge infinityに、今は産業技術研究所名誉フェローとなっている中西準子さんが「ゼロリスクの呪縛」という問題について書かれています。 wedge.ismedia.jp 築地市場の豊洲移転計画に対し、豊洲の地下の化学物質汚染が問題化…

「うなぎ [謎の生物]」虫明敬一編

うなぎが絶滅の恐れがあるということで様々な動きもありますが、この本はうなぎの完全養殖を目指して研究を進めている一線の研究者たちがその最先端の状況をそれぞれの専門分野で書かれているものです。 多くの魚類で養殖が行われていますが、卵子精子の採取…

「水危機 ほんとうの話」沖大幹著

東京大学生技研教授という沖さんは、水文学(スイモンガク)研究者を自称して居られます。 水文学とは、天文学や人文学と同様に、水に関するすべての事象を扱う学問ということです。 英語では、HYDROLOGYというもので、ユネスコでもその推進が定め…

再生可能エネルギーは全然「再生可能」ではない。「環境問題を考える」近藤邦明さんが簡明な解説

”環境問題を考える」というサイトを運営されている近藤邦明さんが、いわゆる「再生可能エネルギー」なるものの正体を簡明に解説されています。 http://www.env01.net/fromadmin/contents/2017/2017_02.html#n1176 私もこのブログ内で繰り返し主張しています…

「絵でわかる カンブリア爆発」更科功著

「カンブリア」というと最近ではテレビ番組の方が有名かもしれません。 「カンブリア紀」と名付けられた時代があり、5億4100万年前より始まった古生代の始めの地質時代を指します。 この時代に数多くの動物の系統(門)が出現し、それ以降のほぼすべて…

「パーフェクト図解 地震と火山 地球・大地変動のしくみ」鎌田浩毅監修

地震や火山噴火に関する本はいろいろと読んでいますが、この本は有名な地震学者の京都大学の鎌田さんが監修したもので、全ページにカラフルな写真や図版が描かれているという、非常に綺麗な出来上がりになっているものです。 火山の写真など、なかなか目にす…

「裸体人類学 裸族からみた西欧文化」和田正平著

昔の「南洋」を描いた漫画や小説などには、腰ミノを着けただけの「土人」(昔はそう言ってたんです。お許しを)が出てくるというものでしたが、いつからかそういった描写はできなくなりました。 しかし、熱帯地方を中心としてかつてはほとんど衣服を身に付け…

「活断層」松田時彦著

この本が出版されたのは1995年12月、1月に阪神淡路大震災が起きてすぐのことですので、活断層によって起きる内陸型地震の怖ろしさを知らぬままに被害を受ける人々の多いことを、活断層研究者の著者が危機感をもったのだと思います。 東日本大震災のよ…

「サナダから愛をこめて」藤田紘一郎著

藤田さんといえば有名な寄生虫博士ですが、いろいろなところで発言をして騒動となることもありました。 しかし、さすがに寄生虫などの海外病については詳しくご存知のようです。 この本はそのご専門の寄生虫病やウイルス病等、海外で蔓延している病気につい…

「太陽からの光と風」秋岡真樹編著

太陽光発電などに注目が集まっていますが、太陽というものについての知識はそれほど深く行き渡っているとも言えないのではないでしょうか。 本書は太陽に関しての様々な方面からの解説が、様々な分野の専門家によって記されています。 ただし、ちょっと詳し…

「できたての地球 生命誕生の条件」廣瀬敬著

著者の廣瀬さんは東京工業大学の地球生命研究所の所長として地球誕生や初期の地球環境、そして生命誕生について研究されているそうです。 これまでも地球科学というものに関しての本は何冊か読んできました。 「”地球のからくり”に挑む」大河内直彦著 - 爽風…

「NHKスペシャル MEGAQUAKE巨大地震」NHKスペシャル取材班、主婦と生活社ライフプラス編集部編

NHKスペシャルという番組の中で、巨大地震というものを扱ったものは何度もありますが、この本は2010年に4回シリーズで放映されたものを書籍化したものです。 したがって、まだ2011年の東日本大震災は発生する前の状況を扱ったものですが、それを警告するよう…

「数に強くなる」畑村洋太郎著

「失敗学」の方が有名な畑村さんですが、一般の人々に数学的な考え方をしてもらうということにも意欲を持っていらっしゃるということです。 以前に「直感で分かる数学」という本を出版されたのですが、これは「ヨコ書き」の本でした。 「ヨコ書き」本は一般…

「太っている人の”食べていない”はウソ?」 栄養調査の面白い話

FOOCOM.NETの専門家コラムで栄養疫学の分野での興味深い話を連載されている、児林聡美さんの記事に面白いものがありました。 www.foocom.net 現在、東京大学の公共健康医学専攻というところで栄養疫学の研究をされている児林さんですが、これまでにもFOOCOM.…

「数学まちがい大全集」アルフレッド・S・ポザマンティエ、イングマール・レーマン著

著者は長年アメリカとドイツで数学教育にあたってこられた方々です。 数学が得意という人でも基本的な間違いを犯すということは多々あるようです。 数学に拒否感を持つ人は小学校などでつまづいたまま数学を受け入れる気がなくなってしまったのかもしれませ…

「性格のパワー」村上宣寛著

心理学者村上さんのご著書は、IQに関するものと知能テストを扱ったものを読み、非常に的確な心理学的記述をされているものと感じていました。 本書は「IQってホントは何なんだ」を出版後に、出版社から現代で広く「性格」をめぐる話題を取り上げた新刊をとの…

「食卓からマグロが消える日」良永知義著

著者は水産庁での研究職を経て東京大学に戻り研究を続けている方で、専門は魚介類の病害ですが、養殖技術に関しても詳しいということです。 したがって、水産資源の減少の問題を扱っていても養殖に話題が移りがちなのも仕方のない事でしょうか。 魚種によっ…

「科学者が人間であること」中村桂子著

著者の中村桂子さんは私が大学卒業時に就職探しをしていた頃にすでに三菱化学生命科学研究所で大活躍をされていた方で、こちらの方面では有名な方でした。 その中村さんが最近取り組んでおられたのが、「生命誌」という分野だったそうです。 これは「生命科…

「フグはフグ毒をつくらない」野口玉雄著

フグはフグ毒(テトロドトキシン)を持っており猛毒ということは誰でも知っていることでしょうが、最近はこれは食物連鎖でフグが体内に取り込んでいるだけで、毒を作っているのは別の生物だということが徐々に知られてきたようです。 本書はその研究を長年や…

「IQってホントは何なんだ? 知能をめぐる神話と真実」村上宣寛著

心理学者村上さんの知能指数IQをめぐる事態についての解説です。 冒頭にあるように、「私の知能指数は150だ」といって自慢する人が居ます。 これはどうやら何重もの意味で誤ったことだそうです。 まず、最近の知能テストでは150などという指数は出るは…

「誤解学」西成活裕著

西成さんは非線形動力学がご専門という物理学者ですが、社会現象にも興味を強く持ち、「渋滞学」や「無駄学」といった分野の研究もされているそうです。 その一環として?、「誤解学」というものも取り上げて本にしてしまいました。 この経緯は本書中にも書…

「”心理テスト”はウソでした。 受けたみんなが馬鹿を見た」村上宣寛著

著者は心理学の研究者で、ご専門は認知心理学、性格測定といった分野だそうですが、コンピュータが世に出だした頃からそれを使ったデータ分析といったところにも手を広げたためか、行きがかりでロールシャッハ・テストの解析プログラムといったものをパソコ…

「いま地震予知を問う 迫る南海トラフ巨大地震」横山裕道著

著者の横山さんは1969年に毎日新聞社に入社、科学記者として活躍されていたのですが、ちょうどその時期は東海地震が迫るという危険性が唱えられ大規模地震対策特別措置法(大震法)が制定され地震予知も多くの予算をつぎ込まれて推進されていたころです…

「地図化すると世の中が見えてくる」伊藤智章著

著者の伊藤さんは高校の先生ですが、地理が専門で日本地図学会でも教育関係で活動をされているようです。 現在はインターネット上で地図ばかりでなくいろいろなデータを取得することができます。 また、地図もフリーソフトを利用して書くことができ、ネット…

「耐震、制震、免震の科学」高橋俊介監修 高層建築研究会編著

近年多くの大地震が発生し、今年に入ってからも熊本地震、鳥取地震と続いています。 そんな中、建物の地震に対する強さを求める傾向も強まっており、高層建築ばかりでなく個人住宅でも耐震性などが言われることも珍しくなくなりました。 とはいっても、耐震…

「植物が出現し、気候を変えた」デイヴィッド・ビアリング著

生物出現以降、多数の化石が残され、それを見ると今の生物とはまったく異なる形状、大きさのものがあることが分かりますし、様々な証拠からこれまでに何回もの大量絶滅という事件が起きたことも判ってきました。 こういった現象が起きた理由はこれまでは地殻…

最近ゲームサイトによく出てくるうっとうしいダイエット広告

毎日必ず遊んでいるゲームのサイトで、最近頻繁に表示されているダイエットの広告があります。非常にうっとうしく感じられるCMです。 その惹句に曰く、「1週間で6kg痩せた人もいる生酵素ダイエット」だそうです。 触るのも穢らわしい感じがしますので、これ…

「古代日本の気候と人びと」吉野正敏著

温暖化の影響ということが過度なほどに言われていますが、これまでも大きな気候変動は何度も起きています。 しかし、著者の筑波大学名誉教授の吉野さんによれば、歴史学者たちが歴史を研究するに際しては史実の解明・解釈において気候条件にまったく触れてい…

FOOCOM.NET専門家コラム 児林聡美さんの「感謝されないお医者さんとの出会い」

FOOCOM.NETに書かれている、東大の栄養疫学の研究者、児林聡美さんの今回の記事は栄養疫学というものに進もうとしたその契機について振り返られているもので、出会いとそれによる進路変更というものについて考えさせられます。 www.foocom.net 児林さんは大…

「”地球のからくり”に挑む」大河内直彦著

著者は地球科学専門ですが、その中でも特に生物関連が主のようです。 地球温暖化といった地球環境について話題が尽きないようですが、それは実は生物の活動と大きな関わりを持っています。 そもそも石油や石炭といった化石燃料も生物活動の結果生まれたもの…

「科学の落し穴 ウソでもないがホントでもない」池内了著

著者はもともとは天文学者・宇宙物理学者ですが、その後の活躍は科学哲学や科学教育といった分野に移ったようです。 また、疑似科学の批判もされています。 本書は科学というものについてあちこちに書いたエッセイをまとめたものです。 中日新聞や「グラフィ…

「つながり進化論 ネット世代はなぜリア充を求めるのか」小川克彦著

著者の小川さんは旧電電公社に入社、研究職を勤めその後慶応大学の環境情報学部に移られたそうです。 言わば、電話を通したコミュニケーションの専門家ということでしょうか。 この本は2011年3月の発行ですので、まだスマホはそこまで普及はしておらず…

FOOCOM.NET松永編集長に、受験大手Z会から取材

FOOCOM.NETの松永編集長に、通信教育の㈱Z会から取材が来たということが書かれていました。 www.foocom.net Z会といえば、40年以上前の私の大学受験当時にもその名は有名なもので、一時入会した覚えがあり、懐かしいものです。 そのZ会が会員向けの情報誌…

「こうして、世界は終わる」ナオミ・オレスケス、エリック・コンウェイ著

最初にお断りしておきます。 いつもの図書館でパラパラと内容を見て借りてきた本ですが、読み出して唖然とするものでした。 社会科学の本棚から選んだのですが、中味はSF、近未来から21世紀を振り返るという体裁のものです。それもあまり出来の良くない。 …

「富士山噴火の歴史 万葉集から現代まで」都司嘉宣著

著者は元東大地震研の研究者で、津波がご専門ということですので、テレビでもお顔は拝見したことがあります。 そのかたわら、古い時代の地震や火山噴火の記録も古文書の中から拾い上げるということをなさっており、本書はその富士山噴火に関するものを詳細に…

「世界をやりなおしても生命は生まれるか?」長沼毅著

現在の地球は生命に溢れていますが、それが奇跡的な偶然なのか物質の性質として条件が揃えば必ず生命になるものかは確実なことはわかりません。 しかし、もしも奇跡であれば宇宙には他には生命が存在する可能性は非常に低いことになりますし、必然であれば(…

「職業としての科学」佐藤文隆著

職業としての科学 (岩波新書) 作者: 佐藤文隆 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2011/01/21 メディア: 新書 クリック: 2回 この商品を含むブログ (13件) を見る 著者は理論物理学が専門の京都大学名誉教授の方です。 現在では「科学」を職業として選び生活…

中国漁船を抑えるためには 勝川俊雄さんのご意見

以前にご著書を拝見して以来、 「漁業と言う日本の問題」勝川俊雄著 - 爽風上々のブログ 公式サイトも参考にさせて頂いている三重大学の勝川さんが中国漁船の問題に関して面白いことを書いて居られます。 katukawa.com 日本ではこれまで日本漁船がさんざん乱…

「人類のやっかいな遺産 遺伝子、人種、進化の歴史」ニコラス・ウェイド著

白人、黒人、黄色人種(なぜか”黃人”とは言わない)といった「人種」には見た目の違いばかりでなく能力の差があるという議論がかつては数多くされていたのですが、最近では人種差別と見なされできるだけそれを避けるような風潮になっているようです。 しかし…