爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

科学全般

「ノーベル賞の真実 いま明かされる選考の裏面史」アーリング・ノルビー著

ノーベル賞に日本人が選出されるかどうか、毎年大騒ぎをしていますが、その選考ということについては日本ではほとんど話題になることもないようです。 本書著者のノルビーさんはスウェーデンのカロリンスカ研究所の教授を長く務め、ノーベル賞の生理学・医学…

「生命の数理」巌佐庸著

生物学や生命現象の中には、数理学的検討を加えるべき分野があるようです。 この本はそういった生命に関しての数理学(数式などでの解析)について、簡単に?説明しているものであり、生物学や生命科学の大学生、大学院生が学ぶ際の教科書として使えるように…

「『課題先進国』日本 キャッチアップからフロントランナーへ」小宮山宏著

著者の小宮山さんは化学工学が専門ですが、東京大学の工学部長から副学長、そして本書出版時の2007年は東京大学総長の職にあったという方です。 それだけで反発を覚える人も居るかもしれません。 しかし、まあ我慢して読み進めました。 日本は様々な課題が山…

「ノアの洪水」ウィリアム・ライアン、ウォルター・ピットマン著

キリスト教の聖書に描かれているノアの洪水については、実際に大洪水があった記憶が残っているのではないかという推測から、あちこちにその痕跡を探るということが行われてきました。 しかし、陸上でいくら探してもさほど大きな洪水の痕跡というものは見つか…

「捕食者なき世界」ウィリアム・ソウルゼンバーグ著

生物の形作る生態系というものは、それぞれの生物が密接に関係していますが、中でも最大の関係というものが「捕食」でしょう。 他の生物を食べて生きている「捕食者」は、場合によっては自分も別の生物に食べられることもあります。 しかし、最上位の捕食者…

「捏造の科学者 STAP細胞事件」須田桃子著

STAP細胞事件とは、山中教授のiPS細胞のような何にでも分化できる万能細胞ですが、それよりはるかに簡単な処理で体細胞から作り出すことができるとして、大きな注目を集めたものの、その実験についての疑いが集中し、結局は論文取り下げ、所属の理研も揺るが…

「疑似科学はなぜ科学ではないのか」チャールズ・M・ウィン、アーサー・W・ウィギンズ著、シドニー・ハリス画

占星術やUFO、超能力といったものが「科学的」ではないということは認める人が多いでしょうが、それが「なぜ」科学的ではないのかということを説明できるという人は少ないでしょう。 著者のお二人はアメリカの化学と物理の大学教授、挿絵を描いているハリス…

「バイオエシックス」米本昌平著

バイオエシックス(bioethics)は生命倫理学と訳されるようです。 生命全体を対象としますが、最近では人間の医療関連で言われる方が多いように感じます。 1970年代からアメリカで発展してきました。 日本への紹介は、この本の著者の米本昌平氏も早くか…

「金属疲労のおはなし」西島敏著

飛行機や車の大事故、発電所の事故などの時によく聞く「金属疲労」 針金などを何度も曲げたり伸ばしたりしていると、そのうちにポキっと折れるというのと同じ現象だということは聞いていて、そんなものかと納得してしまいますが、実際はかなり奥の深い問題の…

「ITリスクの考え方」佐々木良一著

ITのリスク、それは益々大きくなる一方のようです。 様々な方面にリスクが有り、外部からの攻撃・機器やソフト自体の問題・等々すでに現実化したものもあり、また大きな影響が考えられるものもありそうです。 これはすでに10年ほど前の本ですが、著者は日立…

「生命とは何だろう?」長沼毅著

生命で溢れている地球ですが、これがどのように発生し進化してきたのか、まだまだ分からないところが多いようです。 生命の発生からその進化、そして最後の人類の誕生から未来まで、生命全体を綴った生物学者長沼さんの本ですが、間違いないところを扱った教…

「飛行機をとばすコマ」森菊久著

「飛行機をとばすコマ」とはジャイロスコープのことです。 コマ(独楽)とは子供の遊びと思っていたら、それだけではなく色々な応用がされているようです。 おもちゃの中で、地球ゴマ、(あるいは宇宙ゴマ)と呼ばれる、枠の中でコマが回転するようなものが…

「人類20万年遙かなる旅路」アリス・ロバーツ著

現生人類は20万年前にアフリカで生まれ、その後世界各地に広がっていったと考えられています。 その足跡は多くの考古学者たちの発掘調査で判明してきました。 その現場、そして出土した人骨や石器などを実際に見てやろうという企画をイギリスのBBCテレビで担…

カルデラ噴火につながるのか 巨大溶岩ドームが鬼界島周辺で発見される

7300年前に巨大なカルデラ噴火を起こし、南九州の縄文文化を埋め尽くしたことが知られている鬼界カルデラで、巨大な溶岩ドームが発見されたそうです。 www.hazardlab.jp カルデラ噴火とは超大型とも言うべき噴火で、阿蘇山などを形成した形式のものですが、…

「思い違いの科学史」科学朝日編

かつて朝日新聞社から発行されていた「科学朝日」という雑誌があったのですが、そこで1970年代に連載されていたシリーズを単行本化したものです。 科学朝日はその後「サイアス」と名称変更したものの、売れ行き不調は止まらずに休刊となりました。 科学雑誌…

「恐竜はなぜ鳥に進化したのか」ピーター・D・ウォード著

ヒマラヤ山脈の頂上付近では酸素が薄くて人間は酸素マスクで吸入しなければ生きていられません。 しかし、そこで上空を見ると渡り鳥が飛び去るのが見えます。 そこは山の上よりもさらに酸素が薄いはずですが、それでも鳥たちは平気で飛行を続けています。 ど…

「ほんとうの”食の安全”を考える ゼロリスクという幻想」畝山智香子著

国立医薬品食品衛生研究所の室長をしておられる、畝山智香子さんはネット上で「食品安全衛生ブログ」という活動もされており、大変参考にさせていただいています。 以前に近著の「健康食品のことがよくわかる本」という本を読みその書評は書いています。 soh…

「寒天・ところてん読本」松橋鐵治郎著

寒天と言えばところてんにして食べたり、サイコロにしてみつ豆に入れたりというところでしょうか。 最近は健康にも良いということで食べている人もいるようです。 ただし、私達のように微生物学や生化学をやってきた者にとっては別の見方もあります。 それは…

「だまされる視覚 錯視の楽しみ方」北岡明佳著

「錯視」といえば、同じ長さの平行した直線に内向き・外向きの矢印を付けるとあたかも長さに差があるように見えるといったものです。 そのような「錯視」にも様々な種類があり、それを用いて大きな作品を作る「錯視デザイン」というものを提唱しているのが、…

「神経内科 頭痛からパーキンソン病まで」小長谷正明著

著者は大学で基礎医学研究をした後、医療現場の病院に神経内科医として転進したそうですが、そこでは看護師や保健師などの医療スタッフも神経内科の病気についてあまり理解できていないことに驚いたそうです。 ベテランの看護師でも脳血管障害とパーキンソン…

「再読:ダイエットを医学する」蒲原聖可著

ちょうど3年ほど前に読んだ本ですが、また興味を持ち読んでみました。 (というのはウソで、読んだことなどすっかり忘れて図書館で手に取ってしまいなんの疑問もなく読了し、ブログを書こうという段になってなんとなく著者名に覚えがあり、調べてみたら読ん…

伊方原発の運転差し止め判決 その理由が「阿蘇山噴火」???

四国電力伊方原発の運転差し止めを求める裁判で、広島高裁が差し止め仮処分の判決を出しましたが、その理由が「阿蘇山の巨大噴火」だそうです。 www.nikkei.com裁判官などに科学的事例についての判断などさせるから、こういった判決が出ることもあります。 …

「ブナ帯と日本人」市川健夫著

「ブナ帯」という、ブナやミズナラといった木々が自然に生育する地域は、東北地方から中部山岳地帯まで日本の東北部に広く分布しています。 日本の植生を「照葉樹林帯」と呼ぶことが多いのですが、これはあくまでも西日本から関東沿岸部までであり、ブナ帯と…

「検索の新地平 集める、探す、見つける、眺める」高野明彦監修

インターネットで代表される電子情報空間には莫大な情報が収められていますが、その中から必要なものを効果的に探し出す検索というものがなければ何の利用価値もありません。 検索と聞いてまず思い浮かべるのは、グーグルやヤフーといったウェブ検索サービス…

FOOCOM.NET専門家コラムより「低炭水化物ダイエットを通して見つめる世界の食事情」児林聡美さん

よく拝見して参考にさせていただいている、FOOCOM.NETの専門家コラムに、東大で栄養疫学を研究していらっしゃる児林さんが「低炭水化物ダイエット」にまつわる話を書いています。 www.foocom.net「低炭水化物ダイエット」とは、普通は「低糖質ダイエット」と…

いつもの「安心?!食べ物情報」より、今回はインフルエンザ異常行動

いつも参考にさせて頂いている、渡辺宏さんの「安心?!食べ物情報」ですが、今回は食べ物ではなくインフルエンザ患者の異常行動についてです。 http://food.kenji.ne.jp/review/review940.html インフルエンザ患者が走り回ったり飛び降りたりという異常行動…

「土壌汚染 フクシマの放射性物質のゆくえ」中西友子著

2011年3月の東日本大震災で起きた福島第一原発の事故による、放射性物質の放出は大きな社会問題を引き起こしました。 本書著者の中西さんをはじめとする、東京大学農学部の人々は総力をあげてその状況の調査研究を繰り広げました。 農学部には、土壌、各種農…

「健康不安社会を生きる」飯島裕一編著

世界でもトップクラスの長寿国でありながら、健康不安が増大している日本ですが、そこには巨大になった健康産業も大きく関わってきます。 このような「健康不安社会」の様相を、信濃毎日新聞社の編集委員である編著者飯島さんを中心として各分野の専門家に取…

「本当のかしこさとは何か 感情知性(EI)を育む心理学」日本心理学会監修 箱田裕司・遠藤利彦編

人間の知性を測る方法としては、知能指数(IQ)がありますが、これは知性のごく一部のみを測っているにすぎないものです。 すくなくとも心理の働きとしては、感情と理性とがあるはずですが、その両方をつなぎ合わせるものとして、感情知性(emotional intelig…

「地球の履歴書」大河内直彦著

大河内さんの本は以前にも読んだことがあり、地球科学の分野以外にもエネルギー資源等の議論も肯ける論旨と感じました。 sohujojo.hatenablog.com この本は統一したテーマというわけではなく、地球科学に関する様々な文を集めたというもののようです。 第2…