爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

科学全般

「抗生物質と人間 マイクロバイオームの危機」山本太郎著

抗生物質という薬の登場で、多くの感染症が治るようになりました。 しかし、その一方で抗生物質の使いすぎで薬剤耐性菌というものが増加し、それに感染して亡くなるという人も増えています。 巻頭には、この抗生物質により生命を左右された例として、著者の…

「マグマの地球科学 火山の下で何が起きているか」鎌田浩毅著

火山学者として有名な鎌田さんの本はこれまでにも読んでいますが、「マグマ」そのものについて詳しく説明されている本書は、非常に興味深い内容です。 別の本で、「マグマはプレート運動で海水がマントルと触れ合ってできる」ということを知り驚きました。 …

「大絶滅時代とパンゲア超大陸」ポール・B・ウィグナル著

生物の大絶滅というと、白亜紀末の恐竜を絶滅させた隕石の衝突が有名ですが、実はその前の時代のペルム紀から三畳紀にかけて起きた絶滅の方がはるかに多くの生物を死滅させました。 その原因については未だ明確となっているわけではなく、様々な学説が出され…

「ヘンテコノミクス 行動経済学まんが」佐藤雅彦、菅俊一、高橋秀明著

行動経済学ということについては、以前も何冊か本を読んだことがあります。 sohujojo.hatenablog.com 経済学の分野の中では新しく生まれたもので、経済学というよりは心理学といった要素が強いように感じました。 とはいえ、役に立つという意味では従来の経…

「東日本大震災を分析する 1地震・津波のメカニズムと被害の実態」平川新、今村文彦編著

2007年に、当時東北大学の東北アジア研究センター長であった編者の一人、平川さんは、宮城県沖地震の発生が間近に迫っていると考え、地震や津波の専門家だけでなく文系研究者も含めて地震災害全般についての研究を急ぐ必要があると考え、賛同者を得て「…

IPBES(生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム)が報告書「動植物100万種が絶滅危機」

IPBES(略称も覚えられないが、正式名称はもっと難しい)が、「動植物100万種が絶滅危機」という報告書を発表したそうです。 www.asahi.comそれによれば、人間活動で世界の海域の66%が影響を受け、湿地の85%が消滅、16世紀以降に少なくとも680…

「確率で読み解く日常の不思議」ポール・ナーイン著

日常生活で出会ういろいろな事も、確率を考えればそれがどのようになるかということがより正確に判定できるかもしれません。 そのような観点から、次のような事柄を確率論で推計してみせるという本です。 ただし、その結論として出てくるのは数式であり、そ…

長村洋一さんが「FOOCOM.NET」で書かれている、「科学立国の危機(豊田長康著)」の書評が良い。

長年、臨床検査技師教育に携わり、食品衛生などに詳しい長村洋一さんは、FOOCOM.NETの専門家コラムで記事を書いておられ、前回は「健康食品の品質の問題」と題して現在の日本の現場の品質管理技術の低落を糾弾されていたのですが、今回のコラムでは、現在鈴…

「人はなぜ集団になると怠けるのか 『社会的手抜き』の心理学」釘原直樹著

世の中の仕事や作業というものは、ほとんどが多くの人との共同作業です。 しかし、そこでは1+1=2となることはほとんど無く、大抵の場合はかなり効率が落ちるようです。 そこには「社会的手抜き」という現象が生じます。 様々な要因が関与しますが、やは…

「データ栄養学のすすめ」佐々木敏著

栄養疫学というものを広めようと奮闘されている、東京大学教授の佐々木敏さんが昨年出版された本です。 実は、出版直後から大きな話題となっており、特に栄養士さんなどの間では今でも多くのツイッターが書かれています。 私もできるだけ早く読んでみたいと…

「地形観察 ウォーキングガイド」目代邦康著

日本は火山活動や造山運動が活発なためでしょうか、いたる所に興味深い地形があるようです。 実際にそこへ行ってみて、自分の目で観察してみたいという、「地形ファン」も多いのでしょう。 この本はそういったファン向けに、観察のガイドとして書かれたもの…

「空飛ぶ巨大技術 ジャンボ」中村浩美著

ボーイング747、「ジャンボ」という愛称が広く使われていました。 その巨大な機体で500人以上の乗客を乗せることができ、空の旅行の需要が伸び続けている時には最適の航空機として多くの路線に導入されていました。 しかし、燃費の悪さから昨今では完…

「トラウマ」宮地尚子著

「トラウマ」という言葉は結構広まっているようで、普通の会話の中にも出てくるほどです。 しかし、その本当の意味は非常に強いものがあり、本当にトラウマがある人は話題が少しでもそこに近づくと激しく拒絶するほどのものです。 また、「PTSD」という言葉…

「悪意の心理学 悪口・嘘・ヘイト・スピーチ」岡本真一郎著

コミュニケーションというものには、ダークサイドもあります。 「悪意」のコミュニケーションというものは、人間社会にはどうしても存在するもののようです。 著者の岡本さんは社会心理学がご専門の心理学者ですので、そういったコミュニケーションについて…

「花粉を水に変えるマスク」は大丈夫か

「花粉を水に変える」という謳い文句のマスクというのは印象的だったので覚えていました。 最近は聞かないようですが、どうなっているのでしょうか。 それについて、ニセ医学と闘う内科医NATROMさん(名取宏さん)が書かれています。 natrom.hatenablog.com …

「双子の遺伝子 『エピジェネティクス』が2人の運命を分ける」ティム・スペクター著

遺伝子のDNAの解析技術が急激に進歩し、手軽に安価に遺伝子解析ができるようになって、一般人でも簡単に依頼できるようになり、病気の遺伝子やら何らかの能力の遺伝子があるとかないとか、話題になってきています。 しかし、本当に遺伝子ですべてが決まって…

「富士山大噴火」の被害シミュレートって、宝永噴火を想定していて良いと思ってるの。

ニュースを見ていて、「富士山噴火の被害想定」というのが出てきましたが、それが「宝永噴火」と同じ状況想定だというので驚きました。 www.nikkei.com 宝永噴火では、富士山の中腹から爆発的に火山灰が放出され、現在の静岡県東部や神奈川県西部に火山灰が…

「『健康に良い』はウソだらけ」稲島司著

書店でも図書館でも、「食品と健康」といったコーナーは「◯◯は体に良い」とか「✕✕は健康に悪い」といった本が所狭しと並んでいます。 そのほとんどは科学的な証拠など無いものや、量的な検討を無視していたりといった論法を使い、本を売るためや商品の宣伝と…

「孫の力 誰もしたことのない観察の記録」島泰三著

著者はサルの観察を長年続けてきた霊長類研究者ということです。 まだ現役で研究を続けていますが、そんな中、娘さんに子供が生まれて初孫を持つことができました。 サルの社会の観察をずっと続けてきており、サルの子供の誕生から成長といったものも様々な…

「歴史は実験できるのか」ジャレド・ダイアモンド、ジェイムズ・A・ロビンソン編著

科学の多くの分野では「実験」というものが重要です。 物理学や分子生物学では、これが最大の課題解決の手法でありそれ以外の方法がない分野も存在します。 しかし、多くの科学の分野では「実験」が不可能と考えられています。 とくに、「過去」に関わる科学…

「なぜウソをついちゃいけないの?ゴットフリートおじさんの倫理教室」ライナー・エアリンガー著

「南ドイツ新聞」というドイツの有力新聞で、「良心の相談室」というコラムを連載している著者が、その内容をまとめて倫理学というものに触れることができるような内容にしたというものです。 ただし、一問一答式で並べるといったよくあるような形式ではなく…

「再読:石油文明はなぜ終わるか」田村八洲夫著、石井吉徳監修

5年ほど前に購入し読んだ本ですが、この内容に関する考えをまとめる必要があったために、再読しました。 sohujojo.hatenablog.com 著者の田村八洲夫さんは、本書出版当時は「もったいない学会」副会長ということでしたが、現在は理事ということです。 「も…

「日本の海はなぜ豊かなのか」北里洋著

日本の沿岸は、乱獲で獲れなくなった魚種が多いのはともかく、非常に様々な生物に富んでいるらしいということは感じていました。 地中海などは海藻もあまり生えず生物に乏しいと言うことも聞いたことがあります。 しかし、本書によるとその感覚は正しく、2…

「ロボットからの倫理学入門」久木田水生、神崎宣次、佐々木拓著

今話題のロボットと言うことに寄せて、倫理学を説明してしまおうと言う本に見えます。 しかし、まえがきにもあるように、ここでロボットと倫理学を重ねると言うことには2つの意味があり、一つは確かに倫理学に初めて触れる人にも興味をもたれやすいと言う意…

NATROMのブログより、「副腎疲労」は根拠が不明確な疾患である

内科医NATROMさん(最近のペンネームは”名取宏”)のブログより、「副腎疲労」と言う疾患?についての記事が興味深いものでした。 natrom.hatenablog.com 記事の後半にあるように、「副腎疲労」とネット検索すると、その上位には多くの医者の解説や、サプリメ…

「NATROMのブログ」より、”軽症であればインフルエンザが心配だからと病院へ行くのはおすすめしない”

医学関連のニセ科学の糾弾を以前から続けておられるNATROMさんの「NATROMのブログ」に、インフルエンザについての話が書かれていました。 なお、先日あらたなご著書を出版された時から、ペンネームをNATROMから「名取宏」に変えられています。 やはり「NATRO…

「糖質オフ」の酒は飲んでも大丈夫なのか 「データ栄養学のすすめ」という本で注目の佐々木敏さんが指摘

最近、「糖質オフ」を謳い文句にしたお酒、特にビール類の発泡酒やリキュール、チューハイなどで目に付きます。 糖尿病やその予備軍の人々、ダイエットに夢中(目を覚まさずに考えていないという意味で)の人たちに人気なようですが、「データ栄養学のすすめ…

「人間と遺伝子の本当の話 ウソばっかり!」竹内久美子著

竹内さんは大学院で動物行動学を勉強したものの、研究者の道を歩まずに著述家として活躍されており、「そんなバカな!遺伝子と神について」(1991年)はベストセラーとなりました。 この本も内容はそれと同じようなもので、人間の行動というものが遺伝子…

「詭弁論理学」野崎昭弘著

論理学とは、「思考のつながりを明らかにし、論証を過不足なく行う」ことで、中国やインド、ギリシアの古代文明でもその発展が見られるほど古くから研究が重ねられてきた哲学の一分野です。 しかし、それと似て非なるものが「詭弁」(きべん)です。 一見論…

「世界一深い 100のQ」ロジェ・ゲスネリ、ジャン=ルイ・ボバン他著

色々な質問を並べてそれに答えるという本は時々見かけますが、その多くはどうでもいいようなネタや薀蓄といったものを扱う気楽な読み物です。 しかし、この本は科学の難問を次々と並べ、それに科学者たちが答えるという本格的なものです。 ただし、フランス…