爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

紅麹サプリ事件、原因物質候補としてプベルル酸が浮上

小林製薬の紅麹サプリによる薬害(薬じゃないけど)事件の原因物質特定には長期間かかると言われてきましたが、突然「プベルル酸」という名前が上がってきました。

そんな化合物など聞いてこともないという人がほとんどでしょう。

もちろん、その化合物が腎障害を起こすなどと言う証拠はまだ何もなく、真因かどうかも不明ですが、興味深いことには違いありません。

 

プベルル酸という名で調べると7員環という構造でそこにCOOHが付いたもののようです。

jglobal.jst.go.jp骨格となる炭素7個からなる環というのは珍しいもので、これが6であればありふれたものです。

二重結合が入った6員環はベンゼン環と呼ばれるもので、多くの有機化合物が含まれます。

二重結合が一つ置きに配置されますので安定します。

 

7員環化合物はトロポノイドというそうですが、あまり聞いたことがありません。

 

プベルル酸が最初に報告されたのは1932年ということですから歴史だけはかなり古そうです。

抗菌性をもつので抗生物質と考えられますが、グラム陽性菌に効果があるもののグラム陰性菌には効果なし。

またマラリア原虫にも効果あるということです。

また毒性が強くマウス試験で急速に死亡したという結果は報告されています。

ただしその詳細は調べられていないようです。

また、この化合物を化学合成で作り出すということも1954年に報告されているということです。

どうやら化学構造的な興味で細々と研究は続けられているようですが、あまり実用的な興味は引かなかったようです。

 

これが本当に腎障害を引き起こすのかどうか、まったく分かっていないようですが金さえかければ試験は可能ではないでしょうか。

ただしこれと決めつけるのも危ないかもしれません。

他の原因可能性も調べるべきでしょう。

 

なお、この物質の生合成がアオカビ(Penicillium)によって行われたということから、紅麹に含まれるのはアオカビの混入(コンタミネーション)ではないかといった話も出ています。

しかし、いくらいい加減な設備で製造したといっても、何か月も同じ菌が同じようにコンタミしていたというのはありそうもないことと思います。

コンタミネーションを防ぐこともかなり難しい技術なのですが、「毎回同じようにコンタミさせる」などと言うことがあり得るとは到底考えられません。

その辺のところも現役バリバリの科学者たちが解明していくのでしょうか。