力学とは物理学の一部門ですが、感覚としては物理の主要な部分であると感じます。
しかし中高でごく基礎を学び、大学でも教養でわずかに学んだだけでとても十分に理解できているとは言えませんでした。
それでこの本を読んでみたのですが、やはり理解しづらいと感じてしまいます。
微分積分方程式やベクトル、行列式など、数学で跳ね返されたように感じるものが続々と出てきます。
まあ重要であることは分かるのですが、やはり難しいというものです。
あとがきに記されていた「力学の基本の要約」というのを引用しておきます。
1力学の主要な理論はニュートンの3つの運動の法則と万有引力の法則だが、これらと共に物理量の性質を知る必要がある。
2力学の基本的な対象は質点の並進運動と剛体の回転運動である。
3これらの運動は力や力のモーメント(トルク)が関係する部分と関係しない部分とに分けられる。その各々とダイナミクスとキネマティクスという。
4並進運動のダイナミクスの基本はニュートンの運動方程式である。力がゼロである場合は運動量保存の法則が成立する。
5実際に働く物理的な力には性質の違う2種、すなわち普通の力と万有引力がある。
6並進運動の物理量はスカラーとベクトルだけなので3次元の運動は3つの座標軸成分に分解して計算できる。
7回転運動のダイナミクスの基本はオイラーの運動方程式である。トルクがゼロの場合は角運動量保存の法則が成立する。
83次元の回転運動のダイナミクスでは慣性テンソルが3つの成分を持つためトルクベクトルと角加速度ベクトルの方向は一致しない。またトルクがゼロの場合でも角速度は保存されない。さらに高速回転している剛体についてジャイロ効果という現象が起きる。
93次元の回転運動のキネマティクスに関係する姿勢はベクトルではなく直交テンソルのため、平行四辺形の法則を使って合成できない。また各軸成分の運動が独立でないために、コーニング効果という現象が起こる。
引用しましたが、これらを理解できているというわけではありません。
なお著者の長谷川さんは大学終了後に宇宙開発にも従事したという経験があり、この本でもロケットや宇宙といった例を使っての説明が多かったようです。
それはそれで分かりやすくなっていたのではないでしょうか。