地球は、月は、そして火星や金星など他の惑星は、どのようにしてできたのか。
なんとなく、太陽系というものが数十億年かけてできてきたのだろうとは思いますが、詳しいことはあまり知りませんでした。
この本では惑星科学者のアスフォーグさんがかなり詳しい解説をしています。
ただし教科書のように時系列で何が起こりどうなったのかを示しという書き方ではなく、興味の向くままにあちこちに飛び回るような配列となっています。
お恥ずかしい話ですが、太陽系にある惑星というものはどれも同じようなものではないかと感じていましたが、水金地火までの岩石惑星と木土の巨大ガス惑星、天海の氷惑星と全くその構造も異なるということもはっきりとは理解していませんでした。
この本で、「木星には宇宙船では着陸できない」ということを読んで、ああそうなんだと感心した次第です。
木星に宇宙船で自由落下していく描写というものが描かれていますが、重力が大きいということもあり、また徐々に濃密になるガスに落ちていくということであっという間にばらばらになり消え失せるそうです。
惑星の構造の推論というものはニュートンが早くも始めており、惑星と太陽の軌道半径と周期から惑星の質量を計算しました。
さらに惑星や衛星の質量とサイズから密度を求め、その構造を推測したそうです。
すると木星は土星の1.5倍の密度があり、さらに地球は木星の3.5倍、地球が岩石と金属でできていると推論できました。
すでに惑星の組成が非常に多様であることが分かっていたそうです。
太陽系が銀河系の中で1周する期間を1銀河年と言いますが、太陽系はこれまで20銀河年が経過し、つまり銀河を20回回ったこととなります。
たまたまかもしれませんが、地球の内部でマントルがプレートテクトニクスの働きで完全にひとめぐりするのにかかる期間も1銀河年、すなわち約2.5億年だそうです。
このようなプレートテクトニクスサイクルというものは地球でしか知られておらず、他の惑星には見当たりません。
そもそもなぜプレートテクトニクスが始まったのかということは分かりません。
巨大な天体が衝突したためとか、水が大量に存在する地球の特殊性とかいった理論が出されています。
本書の主題は地球をはじめとする惑星がどのようにできたかということですが、そもそも太陽系のはじめにはガス状の物質が広がっていたものが、徐々に固まっていき多くの原始惑星となり、それが衝突と結合を繰り返して現在の惑星となっていったというものです。
地球の場合はそれで大方の構造ができた後に巨大な惑星の衝突が起き、それで月が分離するという大事件が起きました。
それがジャイアント・インパクト説という仮説で地球とテイアと呼ばれる天体が衝突したというものです。
それで吹き飛ばされたかけらが固まったのが月となったということです。
本書の題名ともなっている「月が2つ」というのもその頃にあり得たかもしれない状態です。
このために月の組成は地球と良く似ており、さらに溶解していたものが固化した証拠も得られるのだとか。
このような壮大な宇宙の話を見ていると、人間のバカな行動などは小さいものと見えてしまいます。