川柳というものは江戸時代に生まれて大流行をしたのですが、現代でも作られています。
新聞には読者の作った川柳投稿のコーナーもありますし、保険会社が募集する「サラリーマン川柳」といったものもありました。
そういった流れのもとには専門家として作句している人たちもいるということがあるのでしょう。
そこでは、一般人が楽しむような「遊びとしての川柳」とは異なり、文芸性を志向するものが作られていたようです。
そういった現代川柳の作者35人の作品を収録しています。
なお、第1章、第2章には現代川柳を牽引してきた作者を、第3章には現代川柳の源流としての戦後川柳の作者を、そして第4章には次世代の活躍が期待される作者を収録したということです。
まあ、これまでほとんど知らなかった世界であり、作者のお名前もすべて初見です。
新たな経験となりました。
佐藤みさ子さんの作品として収録されているものにはかなり不思議な雰囲気のものがあります。
空席にくうせきさんがうずくまる
作者の目には「くうせきさん」が見えているのでしょうか。
きかんこんなんくいきのなかの「ん」
佐藤さんは宮城県在住ですので、東日本大震災とそれに続く原発事故のすぐそばでその事態に触れてきたのでしょう。
丸山進さんは1943年生まれ、53歳から川柳を始めたそうです。
父みたい言われて消える下心
これはかなり面白味を残し、文芸性というよりはサラ川風の雰囲気を持っているようです。
なかはられいこさんは1955年生まれ、川柳誌を創刊したり、句会を開催したりと広く活動されているようです。
次は2001年のアメリカの同時多発テロの後に作られたものです。
ビル、がく、ずれて、ゆくな、ん、てきれ、いき、れ
サラリーマン川柳などとは全く別の世界があるということが分かりました。