爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

読書記録

「シーア派 台頭するイスラーム少数派」桜井啓子著

イスラム教にはスンニー派とシーア派があり、イランがシーア派。相互にテロをしたりしている。といった状況についてや、「シーア」とは党派という意味であり、最初は「アリの党派」と言うように呼ばれていたのが「シーア」と略されて呼ばれるようになった。…

「高松塚古墳は守れるか 保存科学の挑戦」毛利和雄著

高松塚古墳の壁画は昭和47年に発見され、その当時は世紀の大発見と言われて大騒ぎだった覚えがあります。 その後、万全の保存体制が取られていると思っていたらカビが発生したと言う報道が何度かあり、2001年になって大量のカビ発生、管理体制が問題と…

「遺言 ”財界の良心”から反骨のジャーナリストへ」品川正治、斎藤貴男

品川正治さんは、日本火災海上保険の社長・会長を勤められ、経済同友会の理事なども歴任されましたが、その言葉は普通の会社経営者などとはまったく異なるものです。 その品川さんが残り少ない人生を自覚したのか、後の世代に言い残したいことがあるとして、…

「森を食べる植物 腐生植物の知られざる世界」塚谷裕一著

腐生植物というと、なにか字面からの印象で動植物の死体などの腐った物に生えているというイメージが強いかと思います。 実際にかつての植物図鑑などにはそのように書かれているものもあるようですが、実際はそうではなく、「生きているカビやキノコから栄養…

「へんな国会 国会議員の迷言議事録99」のり・たまみ著

著者の「のり・たまみ」さんは「へんなもの」をこよなく愛するという方で、特に政治関係の「へんなもの」を取り上げては著書を書かれているようです。 毎日、国会の委員会での議員の発言をチェックしているとか。 まあ、国会でも本会議などはほとんど面白み…

「数字で読み解く日本史の謎」河合敦著

日本史を見ていると数字というものが目につくという、導入から入ります。 年号はもちろんですが、その他にも江戸の三大改革とか、憲法十七条とか、さらに三管領四職やら六分一殿やら。 そういった、「誰でも知っている語句だけどなぜそんなふうに数字を付け…

「西アジアの歴史 聖書とコーラン 新書東洋史9」小玉新次郎著

講談社現代新書で「新書東洋史」というシリーズで発売されたものの第9巻で、中東を扱ったものです。 1977年出版ということで、実に40年までの本であり現在までには相当な変化もあったと思います。 この時期はまだまだ西アジアと言う地域についての日…

「高度成長 シリーズ日本近現代史8」武田晴人著

岩波新書から出ている、シリーズ日本近現代史の全10巻の第8巻です。 このシリーズは幕末維新からポスト戦後社会という現代までを扱っており、この「高度成長」は戦後の混乱がようやく収まった1955年から、高度成長が石油危機などで終わった1980年…

「古代の福岡 アクロス福岡文化誌3」アクロス福岡文化誌編纂委員会編

アクロス福岡とは、1995年に旧福岡県庁の跡地に公民複合で建設された施設で、国際・文化交流を目的としているそうですが、文化事業もやっているそうで、文化誌編纂も3冊目となるようです。 そのためか、実際に執筆された方々の顔ぶれを見ても福岡県庁の…

「外来種は本当に悪者か?」フレッド・ピアス著

環境保護、自然生態というと人間の手の入らなかった頃の本来の環境に戻すのが当然というのが多くの人の観念であろうと思います。 その点について大きな疑問を投げかけたのがこの本で、なんと巻末の解説は自然保護派とも言うべき慶応大学名誉教授の岸由二さん…

「だまし犯罪百科」間川清著

オレオレ詐欺といった特殊詐欺と言われる犯罪の被害は減るどころかいつまでも増え続けているようです。 その被害者のほとんどは高齢者ですが、ニュースなどで被害事例が報道されてもいつもの「母さんオレオレ」だろうくらいの認識であり、実際に現在の最新の…

「日本人はどこから来たのか?」海部陽介著

著者の海部さんは国立科学博物館で人類史を研究していらっしゃいますが、台湾から沖縄へ古代の舟で渡るという実験を企画したということでニュースにもなりました。 その実験も、この本も現生人類がアフリカで生まれそこから世界中へ広がっていった過程を明ら…

「権力に抗った薩摩人 薩摩藩政時代の真宗弾圧とかくれ念佛」芳即正著

著者のお名前は「かんばし・のりまさ」と読みます。 鹿児島県の高校校長や短大教授などを歴任、尚古集成館の館長も勤められました。 江戸時代にキリスト教を禁制とし、そのため「隠れ切支丹」という人たちが居たということはよく知られていることですが、島…

「ゲノム革命 -ヒト起源の真実-」ユージン・E・ハリス著

著者は化石の形態観察という方法で進化をたどるという分野から研究を始めたものの、遺伝子解析による霊長類起源探求という方向に転換しその草分けの一人となったという研究者です。 その最先端の研究者が一般向けにゲノム解析による霊長類進化の過程の解明状…

「波よ鎮まれ 尖閣への視座」沖縄タイムス「尖閣」取材班編

石原東京都知事が尖閣諸島購入を打ち上げ、それに慌てた民主党政権が国有化を進めたことで、中国や台湾の猛反発を食ったのが2012年ですが、そのような動きが地元の意向を無視した対応であるとして、沖縄の新聞社沖縄タイムスが尖閣諸島の地元と言うべき…

「エトロフ島 つくられた国境」菊池勇夫著

エトロフ島といえば、ロシアとの間で領土問題の焦点として意識される「北方領土」の国後・択捉・歯舞・色丹の四島の一つとして捉えられることが多いでしょうが、その実像はほとんど知られていないでしょう。 近藤重蔵の「北方探検」、ソ連の侵攻と住民引揚げ…

「文化の戦略 明日の文化交流に向けて」加藤淳平著

著者は外務省に入省し各国大使館勤務を経て、国際交流基金に勤務したという、この本の内容に沿って仕事をしてきたような方です。 世界各地にそれぞれ異なる文化が存在しますが、現代ではそれらが否応なしにふれあい、こすれ合い、場合によってはつぶしあいを…

「グレーな本」高城剛著

高城さんという方は全然存じ上げなかったのですが、世界で活躍されるクリエーターということです。 この本は、高城さんが毎週発行されているメールマガジンの中で、読者の質問に答えるというコーナーを再構成したものということです。 これを最初は「白本」…

「ナチスドイツの実像から中東問題を読み解く」中川雅普著

著者が言いたかったのは、どうやらナチス・ドイツのユダヤ人虐殺などは必要以上に誇張されており、それはイスラエルの宣伝活動によるものだということのようです。 とは言っても、ネオナチなどのように「虐殺は無かった」とまでは言うつもりはないようです。…

「現代数学小事典」寺坂英孝編

かなり古い本で、1977年出版ですが、大阪大学などで数学教授を歴任した寺坂さんが編者となり多くの数学者を著者として、現代数学のほぼすべての分野を解説しています。 もちろん、記述はほんのサワリだけであり、せいぜい術語の解説くらいまでしかできません…

「地理 8月号」古今書院編

また貰い物の雑誌「地理」の8月号です。 この号の特集は「◯◯マップを読む・活かす」と題し、6編の記事。 その他に「1967年の神戸土石流災害から50年」「学術用語と教育用語どうちがう?」、「鳥の目で地形や風景を見てみよう」といった記事が並んでいます。…

「道教の世界」菊地章太著

著者の菊地さんはカトリック神学が専門と言うことですが、道教も研究していくうちにそちらの面白さに捕らえられ、現在は比較宗教学がご専門となってしまったそうです。 中国は大きく見ると3つの宗教が力を持っていますが、儒教が社会ではメインとなっていま…

「博多祇園山笠大全」西日本新聞社、福岡市博物館編

博多祇園山笠といえば、博多総鎮守の櫛田神社への奉納神事で、毎年7月1日から始まり15日明け方の「追い山」でクライマックスを迎える祭として有名です。 その起源は800年近く前の鎌倉時代に遡るという記録もあるそうですが、その後さまざまな変遷を辿り現在…

「〈見た目〉で選ばれる人」竹内一郎著

「人は見た目が9割」という本が結構話題になりましたが、これはその著者が書いた続編のような本です。 前作はその題名からの印象で、「美人は得だね」というだけの本かと思い、まったく触れても見なかったのですが、実は「非言語コミュニケーション」と言う…

「日本人と中国人」陳舜臣著

中国人貿易商の子として日本で生まれ、家庭では中国人としての教育を受けながら、学校教育は日本人として受け、日中両方の教養を深く身につけた陳舜臣さんは、その後小説家、著述家として数多くの本を出版されました。 最初の頃は推理小説などが多かったよう…

「ウイルスと地球生命」山内一也著

著者はウイルス研究に長年携わってきた方ですが、その最初の研究対象が天然痘ウイルスであり、その後もずっと病原体としてのウイルスに関わってきました。 一線を退かれた後は一般向けにウイルスについて啓蒙活動をしてきたのですが、その中で読者から「細菌…

「さすらいの仏教語 暮らしに息づく88話」玄侑宗久著

今、普通に使っている言葉で、その起源は仏教語であるというものがかなりあるということは知ってはいました・。 しかし、その意味が本来の仏教でのものと相当変化して現在使われていると言うものが多いようです。 それを著述をしながらも臨済宗住職である著…

「日本を再生! ご近所の公共哲学」小川仁志著

著者の小川さんは商社勤務やフリーター、市役所勤務を経て高等専門学校の教授となったという、変わった経歴の方です。 現在は、高専で教えながら地域での活動ということで「哲学カフェ」なるものを開いて、自分たちの周囲に密接に関係のある問題を自ら考える…

「吟醸酒への招待」篠田次郎著

吟醸酒というと、日本酒の高級なものといったイメージでしょうが、実際は正確な定義で決まっており、精米歩合が吟醸酒では60%以下、大吟醸で50%以下というものです。 精米歩合というのは、原料米を精米した時の歩留まりで、60%と言えば元の米の40…

「デフレの正体 経済は〈人口の波〉で動く」藻谷浩介著

経済学者ではなくエコノミストですが、なかなか面白い見方をされている藻谷さんの、やや以前の2010年出版の本です。 一言でいえば(とあとがきに書いてあります)この本に書かれていることは、 経済を動かしているのは、景気の波ではなくて人口の波、つまり…

「面白くて眠れなくなる元素」左巻健男著

PHPエディターズ・グループより出版されている「面白くて眠れなくなる」シリーズは相当数になりますが、左巻さんはその幾つかを担当されているようです。 これは、「元素」それぞれについて幾つかのエピソードを書いていくというもので、まあ「眠れなくなる…

「なぜ人は【売れ筋商品】を買ってしまうのか」おもしろ心理学会編

「おもしろ心理学会編」とありますが、そこまで学究的内容ではなく、まあ普通のサラリーマンが読めばすぐに納得できるという程度のものになっています。 だからと言って、レベルが低いということはなく、ある程度は心理学の知見を基にされているのは事実のよ…

「誰も戦争を教えてくれなかった」古市憲寿著

本書の外装に書かれている書名は「誰も戦争を教えてくれなかった」なのですが、一枚めくるとその裏には「だから僕は、旅を始めた」と続いています。 その通り、自分で探して歩き、世界中の戦争博物館と平和博物館をめぐる旅をして、そうして書いた本です。 …

「人間を考える経済学 持続可能な社会をつくる」正村公宏著

書名副題の「持続可能な社会」に反応して手に取ってしまいました。 たいていの経済学者の方々は「持続可能社会」ということを誤解していると思っていましたが、本書著者の正村さんはきちんと資源エネルギーの限界も踏まえての論議をされていました。 ただし…

「たまたま 日常に潜む偶然を科学する」レナード・ムロディナウ著

「たまたま」とは、英語で言うところのRandomness ということです。 偶然性とか、乱雑性とか訳されますがばらばらに出てくるようなものといったことでしょうか。 物理学や数学で様々な事例が挙げられます。 ここでは、もともとは理論物理学者であった著者の…

「格差と序列の心理学 平等主義のパラドックス」池上知子著

格差や不平等といった問題については、多くの人々の関心を呼び特に経済学や社会学の研究者たちが数々の意見を発表していますが、この本では心理学の立場から格差や平等といった問題を人々がどのように認識し、その背後にはどのような心理が隠れているかとい…

「詩経 中国の古代歌謡」白川静著

白川静さんといえば字統、字訓といった漢字学の集大成の著書で有名ですが、中国の古代の歌謡の記録である詩経の研究もされています。 この本は、中国古代でも氏族制社会が崩れていく中で多くの詩が作られ、そしておそらくは声に出して詠まれていたということ…

「九州男児の解説書」九州男児を愛する会著

まあ、まったく他愛のない内容の本でして、出張帰りの新幹線などでビール片手に読むのに最適といった本でしょう。 ただし、そのわりには税抜き1000円というのはやや高めかも。 想像ですが、この本は博多駅や福岡空港の売店で売ることを想定していたので…

「日本史の一級史料」山本博文著

著者は東京大学史料編纂所教授で、近代史を専門に史料を丹念に掘り起こし研究を重ね、著書も数多く出版されています。 「一級史料」といってもどれが一級か二級かという定義もないのですが、しかし、これまでの歴史通説に変更を加えさせたという史料は確かに…

「くらべる時代」おかべたかし文、山出高士写真

以前に「くらべる東西」という本を読みましたが、その同じメンバーで今度は「昭和と平成」の比較です。 平成もすでに29年になりましたが、まだ人生の半分以上は昭和という私にとっては、昭和の風景というものは子供時代、青春時代、新婚時代のすべてを含む…

「みんなで決めた 日本一の朝ごはん」美味しい朝ごはん調査隊編

実は最近、本の書評を紹介するというサイトに参加しているのですが、そこでは出版社から貰った本をタダで配布しその書評を書くということもしています。 この本はそれで貰って書評を書いたものです。(そちらの書評と、ここで書くものとは別です。こちらはよ…

「その〈脳科学〉にご用心」サリー・サテル&スコット・O・リリエンフェルド著

脳科学という分野が発達し、色とりどりの脳画像と称する絵をあちこちで目にするようになってきました。 リアルタイムで画像が見られるために、いろいろな質問をしたり、映像を見せたりした場合の脳の反応といったものを得られるようになり、それを様々な分析…

「時を刻む湖 7万枚の地層に挑んだ科学者たち」中川毅著

考古学的な時間の計測のために、炭素のアイソトープ14Cというものが使われますが、そこにはどうしても誤差が付き物でした。 大気中の14Cの濃度が一定であると仮定し、それが動植物に取り込まれると徐々に崩壊していくためにその濃度が減っていくのでその動植…

「日本の大問題 現在をどう生きるか」養老孟司、藻谷浩介著

最初の「長いプロローグ」というものを養老さんが書かれており、そこでは「教育論」というものが扱われています。 その後は、養老さんと藻谷さんの対談で進行していきますが、話題は必ずしも教育論のみに留まらず、社会情勢や人の生き方まであちこちに飛び回…

「右翼と左翼」浅羽通明著

右翼と左翼という言葉は、現在でも度々聞かれます。 最近ではカタカナで「ウヨクとサヨク」などと書かれることも多いようですし、派生して「ネトウヨ」などと使われることもあります。 しかし、実際に「何が右で何が左か」ということはそれほどはっきりとし…

「年代で見る 日本の地質と地形」高木秀雄著

日本列島は火山や断層の上に乗っているようなもので、地震や噴火の脅威を常に受け続けているようなものですが、それらは非常に美しい風景ともなっており、観光資源としても重要なものです。 地球の歴史の中で生まれてきた地質や地層などの典型を見られるとい…

「日本は、」G.D.グリーンバーグ著

著者のグリーンバーグさんはアメリカ出身で大学で経済学を教えていたそうですが、詳細は自分でも明らかにしていないものの40年ほど前に大学を追われ日本にやってきたそうです。 それからずっと日本の大学で教えて過ごしてきたそうですが、日本に来て感じた日…

「禅の教室 坐禅でつかむ仏教の真髄」藤田一照、伊藤比呂美著

曹洞宗僧侶ですが、その経歴はいろいろとあったという藤田さんが、詩人でありながら最近は仏教関係の書籍も多数出版されている(ただし、坐禅には挑戦はしたものの上手く行ったことがない)伊藤さんと、坐禅や仏教そのものについて対談したという、会話記録…

「家族と格差の戦後史 1960年代日本のリアリティ」橋本健二編著

昭和30年代を扱った映画や本、写真集などが流行っているようです。 もちろん、その最大の要因は映画「ALWAYS三丁目の夕日」の大ヒットでした。 その雰囲気が誰にも懐かしさを呼び起こすものでしたが、しかしその内容は誰にも知られることはありません。 つ…

「人類とカビの歴史 闘いと共生と」浜田信夫著

著者の浜田さんは大阪市環境科学研究所に長く勤務され、その間住民からのカビなどの相談を数多く受けてきたそうです。 自分でも疑問を持った点など、すぐに実際に実験してみて解答を得るといったことに務められていた様子が、この本の記述からもよくわかりま…