爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

読書記録

「食育のウソとホント 捏造される『和食の伝統』」魚柄仁之助著

「食育」とは、食べること全体について教えるということなのでしょうが、どうもこう唱えている人の中には「伝統的な和食」推進とか、「地産地消」といったことを絡めたいということが多いようです。 こういった風潮に対し、食文化研究家として面白い視点から…

「株式会社化する日本」内田樹、鳩山友紀夫、木村朗著

内田樹さんはその著書を何冊か読んで以来、非常に的確な社会情勢の判断に感服し、その後「内田樹の研究室」というブログを常に拝読し注目しています。 今回は、その内田さんが元首相の鳩山友紀夫さん、鹿児島大学の木村朗さんと鼎談したという本をたまたま訪…

「掟破り」大下英治著

社会の様々な集団には、法律以前の「掟」と呼ばれる規律が存在し、それを破ったものに対しては厳しい処罰が下されるということがあります。 暴力団などのアウトロー集団では法律に頼るわけにはいかないのでなおさら「掟」の持つ意味が大きいのでしょうが、ア…

「地形観察 ウォーキングガイド」目代邦康著

日本は火山活動や造山運動が活発なためでしょうか、いたる所に興味深い地形があるようです。 実際にそこへ行ってみて、自分の目で観察してみたいという、「地形ファン」も多いのでしょう。 この本はそういったファン向けに、観察のガイドとして書かれたもの…

「空飛ぶ巨大技術 ジャンボ」中村浩美著

ボーイング747、「ジャンボ」という愛称が広く使われていました。 その巨大な機体で500人以上の乗客を乗せることができ、空の旅行の需要が伸び続けている時には最適の航空機として多くの路線に導入されていました。 しかし、燃費の悪さから昨今では完…

「地球的問題の政治学」中村研一著

現代の地球の懸案である問題は、どれもが地球的規模のものであり、小さな国がそれぞれ対応したとしても解決は難しいものです。 しかし、それに対して全地球的に対応しようとしてもその組織自体が存在しないことも多く、何もできていない状態であると言えるで…

「スフィンクスと日本刀」ヒシャム・バドル著

著者のバドルさんはエジプトの外交官であり、2003年から2007年の間は駐日大使でした。 この本は大使を退任し帰国した直後の2008年に書かれたものです。 2001年のニューヨークなどでの同時多発テロ以来、イスラム教徒をテロ集団と見なすよう…

「現代日本の歴史認識 その自覚せざる欠落を問う」中塚明著

1931年(昭和6年)の満州事変から日中戦争の深みにはまり、さらに各国との戦争に陥って敗戦したという、昭和の前半に時代はよほどの国家主義者でなければ「誤った時代」「軍部の暴走を招き無謀な戦争をした時代」というのが通常の認識でしょう。 しかし…

「医学探偵の歴史事件簿」小長谷正明著

神経内科医で病院長も勤められているという、小長谷さんの本は前にも1冊読んでいますが、中々の筆力と感じました。 sohujojo.hatenablog.com 前の本は病気について正面から説明するものでしたが、本書は様々な歴史上の人物の健康と病気、死についてエッセイ…

「本当にインプラントでいいの?」谷口悦子著、A歯科タニグチ会監修

「A歯科タニグチ会」というのは、本書著者の谷口悦子さんの亡くなったご主人、谷口清さんが始められた、根管治療を十分に行うと言う主義で歯科医療を改善しようという活動をされている歯科医グループのようです。 谷口清さんは、現状の歯科医療に批判を持ち…

「翻訳できない世界のことば」エラ・フランシス・サンダース著・イラスト

世界の多くの言語には、なかなか他の言語にうまく翻訳できないという言葉があるようです。 そういった言葉を、おそらく英語話者でまだ若いイラストレーターというサンダースさんが集め、それを一つ一つイラストと共に紹介しています。 なお、その言葉の意味…

「モラルの起源 道徳、良心、利他行動はどのように進化したのか」クリストファー・ボーム著

遺伝子の働きとして自らの生命を捨てても子供を守るといったことがあると言われています。 しかし、人間はどうやら自分の身を捨てても血縁外の者が危機に陥った時に助けようとするようです。 さらに、人間には「道徳、良心」というものが存在します。 「恥ず…

「トラウマ」宮地尚子著

「トラウマ」という言葉は結構広まっているようで、普通の会話の中にも出てくるほどです。 しかし、その本当の意味は非常に強いものがあり、本当にトラウマがある人は話題が少しでもそこに近づくと激しく拒絶するほどのものです。 また、「PTSD」という言葉…

「高校紛争 1969-1970」小林哲夫著

学生運動が激しく燃え上がった1960年代の最後、大学ばかりでなく高校でもバリケード封鎖などの紛争が起こりました。 その記憶は強いものがあるものの、正確な経緯はすでに風化しているようです。 それを、少し年下の世代ですが多くの人々に取材して教育…

「ことばでたどる日本の歴史」今野真二著

日本語学を専攻し、日本語と歴史について研究されている今野さんの本はこれまでも3冊読んでいますが、今回も歴史と日本語について古い時代から近代まで広く取り上げています。 歴史というものは、文字以外の考古学史料でも補強されますが、やはり文字で書か…

「日本の道路がわかる事典」浅井建爾著

道路というものはあまりにも身近なため、意外に知らないことも多いのかもしれません。 地理・地図研究家という著者が、道路に関しての豊富な知識を披露してくれます。 導入部は道路について意外な事柄、そして歴史と文化、さらに道路に関する雑学、そして道…

「いかさま、騙しの技法 詐欺賭博の研究」井上馨著

この本はかなりの珍品と言えます。 著者はあの幕末から明治にかけて活躍し政府の要職も務めた井上馨と同姓同名ですが、別人で昭和初期に検事を務め、詐欺賭博について裁判記録や犯人からの直接の聞き取りを重ね、詐欺賭博というものの解明をしたという人です…

「悪意の心理学 悪口・嘘・ヘイト・スピーチ」岡本真一郎著

コミュニケーションというものには、ダークサイドもあります。 「悪意」のコミュニケーションというものは、人間社会にはどうしても存在するもののようです。 著者の岡本さんは社会心理学がご専門の心理学者ですので、そういったコミュニケーションについて…

「家永日本史の検定」遠山茂樹、大江志乃夫編

もうすっかり忘れられているのかもしれませんが、元東京教育大学教授の家永三郎さんが執筆した歴史教科書が当時の文部省による教科書検定で不合格とされ、それに対して家永さんが提訴したという、家永教科書裁判ということがありました。 第3次訴訟まで行な…

「BC級戦犯裁判」林博史著

第二次世界大戦後に、戦勝国が敗戦国の戦争犯罪を裁くという戦犯裁判を実施しました。 A級戦犯(平和に対する罪)、B級戦犯(通例の戦争犯罪)、C級戦犯(人道に対する罪)の3種に分けられ、日本では政府や軍部の指導者などのA級戦犯を裁いた東京裁判が有名…

「双子の遺伝子 『エピジェネティクス』が2人の運命を分ける」ティム・スペクター著

遺伝子のDNAの解析技術が急激に進歩し、手軽に安価に遺伝子解析ができるようになって、一般人でも簡単に依頼できるようになり、病気の遺伝子やら何らかの能力の遺伝子があるとかないとか、話題になってきています。 しかし、本当に遺伝子ですべてが決まって…

「日米開戦の真実」佐藤優著

大川周明という思想家が戦前活躍したそうです。 そのことについてはほとんど知りませんでしたが、民間人としてただ一人A級戦犯として逮捕され、極東軍事裁判(東京裁判)で公判中に前に座った東条英機のハゲ頭をペンペンと叩いたというエピソードには聞いた…

「あのメニューが生まれた店」菊地武顕著

様々な料理の発祥の地というものは、はっきりしている場合もあり、また諸説ある場合もあります。 ものによってはほぼ同時に各地で誕生したという例もあるようで、本家争いというものが起きる場合もよくあるようです。 この本は、そういったものの中から比較…

「中国人が日本人によく聞く100の質問」張弘、納村公子著

中国人観光客が大幅に増え、各地で中国語が聞こえるようになっています。 そればかりでなく、仕事や留学などで来日する中国人も増えています。 そのためか、日本人で中国語を学ぶ人たちも多くなっているようです。 そういった日本人のために、「中国人が日本…

「ネットいじめはなぜ『痛い』のか」 原清治、山内乾史編著

学校などでのイジメ横行には歯止めがかからず、イジメ被害者の自殺により明るみに出るといった事例が頻発しています。 まあ、日本では大人社会というもの自体が大変な「イジメ社会」ですので、子供ばかりが是正されるはずもないのですが。 しかし、最近のイ…

「なぜアメリカは日本に二発の原爆を落としたのか」日高義樹著

広島の原爆死没者慰霊碑の碑文に「安らかに眠ってください 過ちは繰り返しませんから」と書かれているのに違和感を持った人は多いと思います。 原爆の投下とその被害に対して、誰の「過ち」なのか。 原爆を市民が暮らす都市に投下するということはどういう意…

「中国英雄列伝を漢文で読んでみる」幸重敬郎著

「漢文で読む」とは、言うまでもなく漢字が連なっている中国の文章を、返り点や送り仮名をつけて日本語として読む「漢文訓読」のことです。 かなり古い時代から、中国の文章をそのようにして日本語に変えて読むということが行なわれ、中国語を話すことはでき…

「『健康に良い』はウソだらけ」稲島司著

書店でも図書館でも、「食品と健康」といったコーナーは「◯◯は体に良い」とか「✕✕は健康に悪い」といった本が所狭しと並んでいます。 そのほとんどは科学的な証拠など無いものや、量的な検討を無視していたりといった論法を使い、本を売るためや商品の宣伝と…

「物語を忘れた外国語」黒田龍之助著

著者の黒田さんはロシア語が一番堪能ということですが、他にもウクライナ語、ベラルーシ語、チェコ語等多くの外国語に通じておられます。 とはいえ、チェコ語は他の言葉ほどには使えないということですが、たまたまチェコの大学での講演を頼まれ、日本語科の…

「孫の力 誰もしたことのない観察の記録」島泰三著

著者はサルの観察を長年続けてきた霊長類研究者ということです。 まだ現役で研究を続けていますが、そんな中、娘さんに子供が生まれて初孫を持つことができました。 サルの社会の観察をずっと続けてきており、サルの子供の誕生から成長といったものも様々な…