爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

読書記録

「山は市場原理主義と闘っている」安田喜憲著

歴史学者とはいっても古代ギリシアなどが対象であった著者が、勤務の関係で中国古代文明の発掘にあたり、梅原猛氏などとともに長江周辺の遺跡発掘を行い、現在では長江文明として認められている文明の発見に寄与したと言うことは、本書でもふれられ、また他…

「女性労働と企業社会」熊沢誠著

女性の労働は、かつては非常に差別的な制度の中で低賃金で補助的な仕事に限定され、結婚退職が普通のこととされていたのですが、制度としては急速に改善されてきているようです。 それが、実際に公平に運営されているかどうかは問題が残るところでしょうが。…

「ヨーロッパ異教史」プルーデンス・ジョーンズ、ナイジェル・ペニック著

原題の「A History of Pagan Europe」の”Pagan”とは、主にキリスト教から見た未開の異教と言うものを表す言葉であり、原題のキリスト教に覆われたヨーロッパの中に残るかつての様々な民族の宗教の歴史、そして現代まで残る影響を扱っています。 したがって、…

「西南戦争 民衆の記」長野浩典著

西南戦争では薩摩を出た反乱軍は熊本城に襲いかかったものの、それを落とすことができず、周辺の田原坂の戦いなどで敗れ、大分や宮崎を通って敗走し最後は鹿児島に戻って城山の戦いで敗れました。 しかし、その間現在の鹿児島、熊本、大分、宮崎の各地を転戦…

「サツマイモの世界 世界のサツマイモ」山川理著

著者の山川さんは農林省の農業試験場にてサツマイモの品種改良などにあたり、多くの業績をあげた方です。 サツマイモはかつては「ホクホク」のものがほとんどであったと思いますが、現在では特に焼き芋には「ねっとり」とした食感のものが多くなっています。…

「その死に方は、迷惑です 遺言書と生前三点契約書」本田桂子著

有名人が亡くなった後に様々なトラブルが起きて話題になることがよくあります。 きちんとした遺言書を作っておけばそれは防げるはずです。 しかし、そう言われても「まだ若い」とか「そんなに財産もない」と言って対策をしようとしない人がほとんどのようで…

「通勤電車のはなし 東京・大阪、快適通勤のために」佐藤信之著

通勤電車といえば、ラッシュアワーのぎゅうぎゅう詰めというイメージですが、実は通勤に電車を利用する人が多いというのは、東京と大阪の都市圏が突出している状況です。 地方では車を使う人の割合が多くなります。 また、三大都市圏と言いますが、名古屋圏…

「官愚の国 なぜ日本では政治家が官僚に屈するのか」高橋洋一著

著者の高橋さんは、東京大学数学科出身の異色のキャリア官僚として大蔵省に入省し、長く勤めましたが退職しました。 そのため、「官僚」というものの裏表まで熟知しており、それがどのように日本の政治を動かしているか、また欠点や汚点までよく分かっていま…

「甲骨文の話」松丸道雄著

中国古代の、漢字の原型とも言える甲骨文字について、その研究を専門として来られた著者の甲骨文字やその時代、内容などについての文章を集めて一冊の本としたものです。 すでに大学の名誉教授となられている著者ですが、その20代から現在まで書かれたもの…

「宅配がなくなる日 同時性解消の社会論」松岡真宏、山手剛人著

「同時性」という言葉はいろいろな場合に使われており、アインシュタインも使っていますが、ここでは「同時に同じ所にいるということ」を問題として、経済現象を取り扱うという意味で使われています。 アマゾンなどのネット販売品の配達が急激に増加し、ヤマ…

「3D地形図で歩く日本の活断層」柴山元彦著

内陸型の地震の多くは活断層付近で起きるということは知られてきましたが、そんな活断層というものが実際にどこにあって、どのようなものかということはまだそれほど一般に知られているものではないかもしれません。 活断層の分布というものを見れば、日本中…

「80年代SF傑作選 上」小川隆、山岸真編

私も高校生大学生であった1970年代にはよくSF小説を読んだのですが、それから就職、結婚と続いたので80年代にはあまりSF(というか、どういった本であっても)を読む機会が無くなりました。 だからというわけでもないのですが、こういったアンソロジー…

「世論調査とは何だろうか」岩本裕著

内閣支持率というものが時々発表され、どうやら政権もそれをかなり気にしているようです。 また、「憲法改正について」とか、「自衛隊派遣について」とか、何か政治上の問題があるとそれに対する国民の意見を知るためと称し世論調査が実施され発表されます。…

「外来種のウソ・ホントを科学する」ケン・トムソン著

ユーモアとウイットに満ちた文章から、著述家かと思いましたが、著者のトムソン教授はイギリスのシェフィールド大学の生物学者ということです。 世界のあちこちで、外来種の生物が在来種を脅かし滅亡させているといったことが話題になります。 しかし、本当…

「北東アジアの中の弥生文化 私の考古学講義 上」西谷正著

著者は考古学が専門で、九州大学名誉教授という方です。 この分野の研究者は、一般向けの講演を依頼されることも多く、その講演要旨も整備されていたということで、まとめて一冊の本とされました。 弥生時代から古墳時代といった古代には、一般の人々の関心…

「世界から消えた50の国」ビョルン・ベルグ著

これまでの世界で一瞬でも存在した「国」というものは多数でしょうが、この著者のベルグ氏は独自の基準で「国の存在」を決定し、その基準で一応存在したとされる50の国々(ただし、その期間は1840年から1975年まで)について記述しています。 彼の…

「ワタクシ、直木賞のオタクです。」川口則弘著

直木賞といっても、あまり文学に興味のない私にとっては、時々ニュースになる「芥川賞直木賞受賞者発表」でしか名前を聞くこともなく、当然ながら受賞者に誰が居たのかというこのもあまり記憶にありません。 しかし、自ら「直木賞のオタク」であることを広言…

「全体主義の起源」ハンナ・アーレント著

かねてから名前だけは聞いていたハンナ・アーレントですが、最近その伝記を読んだこともあり、代表作の「全体主義の起源」に挑戦してみました。 sohujojo.hatenablog.com ドイツ生まれのユダヤ人であり、ナチスの迫害を際どく逃れたアーレントの著作ですので…

「関東大震災記憶の継承」関東大震災90周年記念行事実行委員会編

1923年に起こった関東大震災、それから90年が経った2013年にその記憶をまとめる活動としてまとめられた本です。 90年以上前とは言いながら、今でもホットな話題を提供してくれます。 小池都知事が追悼行事にこれまでの都知事が出してきた追悼文を拒絶したと…

「〈階級〉の日本近代史 政治的平等と社会的不平等」坂野潤治著

一億総中流という幻から目が覚めて、格差拡大と言われている今日このごろですが、しかし「階級」という言葉には現代の社会とは関係のないと感じさせる響きがあります。 しかし、紛れもなくほんの数十年前までは日本も「階級」差だらけだったわけです。 日本…

「ドライブマップの旅」生内玲子著

著者の生内さんは、年齢ははっきりはしませんが、私よりかなり年上のようです。 若い頃、というとおそらく高度成長時代の日本に自動車時代がやってきたあたりから、カーライフを満喫し、新聞記者であったのがやがて交通旅行評論家として活躍するようになった…

「ズルい食品ヤバい外食」河岸宏和著

こういった題名の本では、単に食品添加物を使ってあるだけでダメとか、残留農薬は何でも危険といった、ほとんど読む価値もないものが多いのですが、パラパラとページをめくってちら見をしてみたら、結構面白いことが書いてあると感じ、読んで見ることにしま…

「〈石油〉の終わり エネルギー大転換」松尾博文著

著者の松尾さんは現在は日本経済新聞の編集委員兼論説委員、東京外語大アラビア語科を出て日経新聞社入社、中東での勤務も経てエネルギー問題の専門家という人です。 石油の行末はやはり縮小に向かうという判断でしょうか。 その代りが、シェールオイル、天…

「ひとり親家庭」赤石千衣子著

著者の赤石さんは、ご自身もシングルマザーとして生活しながら、苦しい人々の支援活動を続けられ、現在はしんぐるまざーず・ふぉーらむ理事長をされています。 2011年の推計で、母子家庭は124万世帯、父子家庭が22万世帯、推計値で40年で2倍にな…

「フェアトレード学」渡辺龍也著

「フェアトレード」とは、これまでの通常の商取引で農産物などの途上国の生産物を安く買い叩くことで、生産者が窮乏の度合いを強めていったことに歯止めを掛けるために、フェアな条件での取引をすることを意味します。 ネオリベラリズムの主張する市場原理主…

「浄土真宗とは何か 親鸞の教えとその系譜」小山聡子著

現在では仏教各宗派の中でも最も勢力の大きい浄土真宗です。 鎌倉時代の親鸞を始祖とし、中興の祖として室町時代の蓮如が活躍したということは知っていますが、その実像はどうだったのでしょうか。 平安時代の仏教は、天台宗や真言宗がその密教の呪術で信仰…

「ハンナ・アーレント 〈戦争の世紀〉を生きた政治哲学者」矢野久美子著

「ハンナ・アーレント」という人の名前は以前に全体主義に関わる本を読んだときに目にし、いつかは読まなきゃという感覚は持っていました。 sohujojo.hatenablog.com しかし、今回はその著作ではなく、ハンナ・アーレントの伝記を読むということになってしま…

「登山入門」高須茂著

著者は明治41年生まれ、大正末期から登山を始め、昭和初期から活躍されていたという方で、60歳を越えた昭和45年(1970年)にこの本を出版されています。 昭和時代前半の頃から登山に関わる書籍は何冊も出版したそうですが、その最後にこの本を出したというこ…

「知らないと恥をかく世界の大問題2」池上彰著

2009年に出版した「知らないと恥をかく世界の大問題」が大ヒットをしたということで、続編として書かれたのが2011年出版の第2巻です。 2月に書き上げたということで、東日本大震災と原発事故については取り上げていませんが、それは次のお楽しみと…

「正しく理解する気候の科学」中島映至、田近英一著

地球温暖化ということをめぐっては、多くの論争がされていますが、公式にはIPCCの見解を日本政府も採用していることになっています。 この本は、東京大学のお二人が地球環境について古代の歴史からごく近い時代の変動まで、様々な面から解き明かしています。…