爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

読書記録

「だまし食材天国」武井義男著

食品の世界では表示が中身と違うといったことはよくあることで、それが安い食材を高級品と偽るのがはなはだしければ問題ともなりますが、そこまで行かずとも目に余るということもしばしばです。 こういった、「だまし食材」というものについて書かれているこ…

「間違いだらけのビール選び」清水義範著

清水さんは小説家としてデビューされていますが、その後はエッセイや評論などの活躍が多いようで、実際に私が読んだ本も小説というのはありませんでした。 そのため、本書を手に取った時もてっきりエッセイで「ビールの選び方」について語っているものと思い…

「歴史を考えるヒント」網野善彦著

網野さんは中世日本史が専門の歴史家でしたが、ほとんどが農民であったという従来の中世史観に異議を唱え、様々な職業、卑賎なものとされた人々など多くの人が形作ってきたのが日本であるという見方を提唱しました。 この本に書かれているのは、「波」という…

「今どきの教育を考えるヒント」清水義範著

作家の清水さんですが多くのエッセイも書いています。 今回はそのテーマに「教育」を取り上げています。 というのも、清水さんは「教育」についてことのほか思い入れが強いようです。 清水さんは愛知県のお生まれですが、高校生の頃から小説家になりたいとい…

「論争・東大崩壊」竹内洋、中公新書ラクレ編集部編

東大、東京大学は日本でも随一の大学と言われていますが、最近ではその研究能力が低下しており、世界的な大学ランクでも下落しているということが言われています。 本書ではそういった研究力という話ではなく、「東大生・東大卒」の人々の能力低下が著しいと…

「踊る『食の安全』」松永和紀著

科学ライターとして活躍しておられる松永さんの、これは早い時期の著作です。 2006年という時期は農薬に関しても色々な動きがあったころで、中国産の農産物に過剰な農薬が残留しているとして大きな問題にもなったことがありました。 また、農薬の規制が…

「人類の進化が病を生んだ」ジェレミー・テイラー著

人類が進化し、かつて苦しんだ病とはまったく異なる病にかかりやすくなっているようです。 よく「文明病」などと言うことがありますが、どうやらそれとは違って意味で現代の病の特徴と我々の進化とは関係しているようです。 著者のジェレミー・テイラーさん…

「転変する東アジアのなかの日本」荒井利明著

著者の荒井さんは新聞社の特派員などを歴任、現在は主に中国関係の分析をされているようです。 本書は2014年の刊行、まだBRICSの上り調子が続いていたころの話で、それ以降の変化は計算に入っていないことは割り引いて考えなければいけないでしょう。 冒…

「嫌いなのに離れられない人」加藤諦三著

夫婦・恋人、親子など最も親しいはずの関係でも「相手を嫌い」という人がいます。 そして、嫌いなら別れればよいのにそれができない人が多いようです。 そこには、相手に依存しながら相手に失望し、そのために嫌いになってしまっても別れることは考えられな…

「新聞報道と顔写真 写真のウソとマコト」小林弘忠著

新聞には多くの写真が掲載されています。 しかし、そういえば最近は少なくなっているのかなと、改めて気づかされました。 こういった、「新聞と顔写真」の関係について、長く新聞社に勤められてきた著者が写真使用の歴史からそこに含まれる様々な意味まで詳…

「コピペと捏造」時実象一著

コピペすなわちコピーアンドペースト、それと捏造というのは必ずしも同じ程度の不正とは言えませんが、種々の「表現」という行為に付随して現れてくるものです。 著者の時実さんは、化学系の学術研究に関する不正行為の調査を進めてこられたそうですが、この…

「『日本国語大辞典』をよむ」今野真二著

日本語学がご専門の今野さんの本はこれまでも何冊か読んでいますが、今回の本は「日本国語大辞典」という現在日本で刊行されている国語辞書の中でも最大規模のものを「全部」読んでみましたというものです。 これには先行する事例があり、「そして、僕はOED…

「70年代と80年代 テレビが輝いていた時代」市川哲夫編

戦後を出発点とすると、70年代と80年代とは人生で言えば25歳から45歳まで。 青年期、壮年期に当たります。 まさに70年代は「戦後」の青春期であったと言えます。 そして80年代は「働き盛り」の時代でしょうか。 それ以前の復興から高度成長期、そしてそのあ…

「世界をまどわせた地図」エドワード・ブルック=ヒッチング著

昔の地図を見ると、結構細部までびっしりと書き込まれているようですが、その中には実際の地形とはまったく関係のない想像で書かれた部分がありました。 どうせそんなところまで行く人間はいないからいいやとでもいった風に描かれていたようです。 この本は…

「海外暮らし こんなはずじゃなかった! 働く編」トラベルヴォイス新聞社編著

日本国内で閉塞感が強まっているためか、多くの人が海外で働こうとしています。 そんな人たちの参考になるように、実際に世界各地に渡りその国で働いている日本人たちにアンケートを行い、そのための費用、現地の言葉の習得、注意点などを聞いて特に「大失敗…

「仰げば尊し 幻の原曲発見と『小学唱歌集』全軌跡」櫻井雅人、ヘルマン・ゴチェフスキ、安田寛著

学校の卒業式の定番曲ともいえる「仰げば尊し」、明治時代に選定された「小学唱歌集」に掲載されているものの、その原曲は何かということはまったく知られていませんでした。 しかし、本書著者の一人櫻井雅人が、2011年に発見しました。 それは、H・S・パー…

「美しい生物学講義」更科功著

副題には「若い読者に贈る 感動する生命のはなし」とあります。 もうまったく「若くはないが」と思いましたら、まえがきには「自分が若いと勝手に思っている読者に」だそうです。 安心して読み進められました。 著者の更科さんは「分子古生物学」がご専門と…

「歴史の愉しみ方 忍者・合戦・幕末史に学ぶ」磯田道史著

著者の磯田さんは映画にもなった「武士の家計簿」の原作者ですが、古文書を発掘し解読するのが専門と言う歴史学者です。 歴史好きという人も多いのですが、多くは歴史小説で作家の作り出した像を楽しむばかりですが、磯田さんは各地に埋もれた古文書を読み解…

「恋する武士 闘う貴族」関幸彦著

武士というと闘う者、貴族はそうではなく優雅に恋など語らう人というのが普通のイメージでしょうが、その逆であった人々も数多くいました。 そのような「恋する武士」「闘う貴族」というものを取り上げています。 「恋する武士」では時代別に3つに別けてい…

「人はなぜ過ちを犯すのか」マイケル・カプラン、エレン・カプラン著

人間は過ちばかりを犯しているように見えます。 きちんと考えればより良い選択があるはずのところで、とんでもない悪手を取ってしまいます。 そこには、脳の働きや人類が進化してきた経緯から仕方のないものもあるようです。 そういった様々な事柄を説明して…

「秀吉の対外戦争 変容する語りとイメージ」井上泰至、金時徳著

豊臣秀吉の命で朝鮮半島に攻め入り、明軍や朝鮮半島の人々との戦いを繰り広げた、16世紀後半の戦役は日本では「文禄慶長の役」(さすがに最近は朝鮮征伐とは言わないでしょう)、韓国では「壬申倭乱」、中国では「抗倭援朝」と呼び方も様々です。 戦争をど…

「三国志 演義から正史、そして史実へ」渡邉義浩著

著者の渡邉さんは少年の頃に吉川英治の三国志に魅せられ、そのまま学生になってからは三国時代の歴史研究へ進み今でも三国志演義や正史三国志などの研究をされているという、三国好きの方です。 中国の漢王朝の末期、西暦2世紀から3世紀にかけて、魏呉蜀の…

「バカボンのママはなぜ美人なのか 嫉妬の正体」柴門ふみ著

数多くのヒット作を作り出した漫画家の柴門ふみさんのエッセイですが、題名に「バカボンのママ」が登場するといってもその漫画の話ではありません。 「嫉妬」というものをかなり本格的に論じたものです。 「バカボンのママ」もあんなに美人なのになぜ嫉妬さ…

「千丁村史」熊本県八代郡千丁村教育長編

熊本県の八代市千丁町というところはかつては独立した自治体でした。 その千丁村が編集し発行した村史です。 一般に発売された本ではありませんので、発行、印刷等の記録を転載しておきます。 千丁村史 昭和43年11月10日発行 発行者 千丁村長 松岡保 …

「女性のいない民主主義」前田健太郎著

著者の前田さんは大学で政治学の講義もされているということですが、最初に担当することとなった時に28回の講義予定のうち1回をジェンダーと政治というテーマで行おうと思い立ったそうです。 そのために色々と調べ直しているうちに、このテーマを1回だけ…

「民族の世界地図」21世紀研究会

民族というものが世界情勢に大きな影響を与えています。 日本人は「日本民族」というものだというのがおおかたの認識でしょう。(実際はそれだけではありませんが) しかし、世界の国では一つの国が一つの民族などというところの方が少なく、多くの民族が混…

「境界の日本史 地域性の違いはどう生まれたか」森先一貴、近江俊秀著

東日本と西日本の違い、特に東京と大阪の差というものは今でもかなりあるようで、数々の話題にも上がってきます。 実は、このような地域差というものは古い時代からずっと存在しており、しかも時代が下ってきて地域間の交流が多くなっても、それで差が小さく…

「幻の料亭・日本橋『百川』」小泉武夫著

江戸時代も後期になると町人文化が爛熟し、料理店も高級になっていき、「八百善」「平清」「嶋村」といった一流の料亭が栄えるようになります。 その中で、日本橋浮世小路に「百川」という料亭がありました。 明治になって忽然と消え失せてしまったので、後…

「手紙から読み解く 戦国武将意外な真実」吉本健二著

室町時代以前には、文書というものはほとんどが公文書しかありませんでした。 紙などもそれほど普及せず、字を読み書きできる人々もわずかであれば私的な通信というものも成り立ちません。 しかし、戦国時代になると戦国武将と言われる人々は私的にも文書を…

「朝鮮属国史 中国が支配した2000年」宇山卓栄著

韓国朝鮮は日本と近いところにあり、人種的にも一番関係の深いところですが、その考え方や嗜好などはかなり違うものだということは、多くの人が感じていることでしょう。 それは一般的には中国の影響が強く儒教道徳に日本より深く染められているからだと言わ…