爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

2013-01-01から1年間の記事一覧

「図説フィレンツェ 花の都2000年の物語」中嶋浩郎著

イタリア美術史を専攻し、現在はフィレンツェ大学講師という中嶋さんの著作で、フィレンツェの歴史を写真と絵画などのヴィジュアル資料で解説したものです。ヴェネツィアの図説を以前に読みましたが、そのシリーズではありながらフィレンツェは古代の遺物も…

「お家相続 大名家の苦闘」大森映子著

歴史学者で日本近世史が専門の湘南国際女子短期大学教授の大森さんが豊富な資料研究の成果のうち特に大名家の相続について解き明かしたものです。大名の改易は江戸時代初期には頻発しましたが、その結果浪人が増加して社会不安が増したためその後は比較的少…

「議論のウソ」小笠原喜康著

教育学者で日本大学教授という小笠原さんがよく見かける議論での恣意的、無意識両方の欺瞞について書かれたものです。 統計を使ったウソの例としては少年非行についての件が取り上げられています。他の人の著書にもありますが、最近のほんの数年のみを取り扱…

「民主党政権失敗の検証」日本再建イニシアティブ著

日本再建イニシアティブとは元朝日新聞主筆という船橋洋一さんが中心となって集まったジャーナリストや研究者のグループです。 このメンバーが民主党政権が崩壊したあとにその色々な人々にヒアリングをしてまとめたものです。政権をとった民主党が打ち上げて…

「蝦夷の古代史」工藤雅樹著

岩手県生れで東北地方の考古学、歴史学の専門家の工藤先生が蝦夷(えみし。えぞ)について古代から平安時代までの解説をされているもので、一般にはあまり知られていない細かいところまで記されているようです。蝦夷は”えみし”とも”えぞ”とも読まれますが、…

「どうして勉強しなくちゃいけないの?」藤田徳人著

医師ですが行動心理学も研究されている藤田さんの本ですが、てっきり教育論だと思いましたがそうではなかったようです。 とはいえ、市立図書館でも教育コーナーに置かれていましたので、そう思わせるようなのは確かです。現在は実際に戦闘が行われている地域…

自民党国会議員という怪

まやかしの経済政策で取った絶対多数を使った首相の政策ごり押しもその正体が誰からも分かるようになりました。 それ自体はいまさら驚くにも当たらないのですが、いつものことながらその政策に自民党の議員の誰も異を唱えず整然と賛成をしているのにはあきれ…

「迷宮レストラン」河合真理著

料理研究家の河合さんが、歴史上の人物にちなむ料理を実際に作ってみたというシリーズを単行本化したものです。歴史上といってもかなり広い時代範囲ですので、古代の人の場合はとくに正確に再現するのは難しいのでしょうが、そこまでこだわるわけではなくか…

「江戸大名のお引っ越し」白峰旬著

別府大学教授で歴史学者の白峰さんが江戸時代の大名の転封の際の城の明け渡し、引継ぎの手続き、事例を残されている文書に従って紹介したものです。引越しといっても大名家が改易(取り潰し)されて出て行く際などは場合によっては家臣が篭城などという事態…

「満州移民 飯田下伊那からのメッセージ」飯田市歴史研究所編

長野県下伊那地方から戦前の満州移民を多く出し、その多くが引き揚げの際に亡くなったと言うことは聞いたことがありましたが、詳細についてはよく判っていませんでした。それを実に細かく記されている本です。飯田市歴史研究所というのはどうやら飯田市の正…

「畜生道の地球」桐生悠々著

明治から昭和初期にかけてのジャーナリストで「関東防空大演習を嗤う」という記事を書いたことで軍部から睨まれ、圧力により当時勤めていた信濃毎日新聞をやめざるをえなくされた桐生悠々の、その記事とその後名古屋に住んで自費で出版を続けた個人雑誌「他…

「風は山河より 第5巻」宮城谷昌光著

菅沼三代を描いた風は山河よりも最終巻になりました。 徳川に仕えた菅沼定盈ですが、徳川が織田に従うことで織田の戦いにも巻き込まれていきます。姉川の戦いでも徳川軍の一員として戦います。 しかし、その後武田信玄が三河遠江への侵攻の構えを強くし、東…

「ネット君臨」毎日新聞取材班

2007年1月から7月までの間に毎日新聞に連載された特集を単行本化したものです。ネット社会の影響が非常に大きくなってきた中で、その負の側面も強くなっています。それについて取材し記事としたものですが、それから6年経った今、さらに問題は大きくなってい…

「寄り道の多い数学」大沢健夫著

名古屋大学教授の数学者大沢先生が数学のかなり高度な内容のものを”できるだけ”一般社会の問題に寄せて解説したものです。 とはいえ、相当難しい内容を含んでいますのでおそらく相当数学に詳しい人でないとなかなか楽しめないでしょう。土星の輪というのはち…

「ヨーロッパ古城物語」ジャン・メスキ著

フランスの考古学協会会長というジャン・メスキさんのヨーロッパの城について様々な観点から紹介されているものですが、内容はかなり高度です。城と言うものがヨーロッパに出現したと言うのは意外に新しく11世紀だそうです。それ以前にも戦争は数多くありま…

「食べるギリシア人」丹下和彦著

ギリシア人といっても現代のギリシア在住の人々ではなく、古代ギリシアの人々の食事の話です。 著者の丹下さんは古典が専門と言うことなので、文献上の記述によります。ホメロスの書いたトロイア戦争というのは、少なくとも数万人の戦士がトロイを攻め、何年…

「暗証番号はなぜ4桁なのか?」岡嶋裕史著

2005年の出版なので、現在では違うかも知れませんが、関東学院大助教授の岡嶋さんがネット社会のセキュリティーについて書いたものです。冒頭に書名にもなっている銀行などのカードの暗証番号について述べられていますが、それが数字4桁というのはいかにも危…

「風は山河より 第4巻」宮城谷昌光著

菅沼定村が雨村の戦いで戦死してしまい、まだ若い嫡子の定盈はすぐに父の弟たちの反逆に遭いますが、若くても抜群の人格を見せ無事に危機をくぐりぬけます。 その後は今川の勢力下で束の間の安定を見ますが、その後すぐに桶狭間の戦いを迎えてしまいます。 …

「脳は楽観的に考える」ターリ・シャーロット著

ロンドン大学の研究員で心理学と神経科学が専門のターリさんが、人間はなぜか楽観的に考えてしまうと言う点についてかなり学術的に書いています。社会がどうなるかということについてはかなり正確な予想を立てられる人でも、自分のこととなるとその予想より…

「図説ヴェネツィア 水の都歴史散歩」ルカ・コルフェライ著

ヴェネツィア生れ・育ちのジャーナリストのルカ・コルフェライさんがヴェネツィアの歴史を物語り、かつ現在の姿や絵画などをふんだんに挿入して目で見えるようにされたものです。塩野七生さんの本をいろいろと読んだこともあり、以前と比べればヴェネツィア…

「性格を科学する心理学のはなし」小塩真司著

心理学関係の本としては以前に富山大学の村上宣寛先生の心理学テストや知能テストに関するものを読みましたが、今回のものは中部大学准教授と言う小塩先生の本で、かなり新しい心理学研究の状況も紹介されています。この本の副題は「血液型性格判断に別れを…

ノーリードの犬の散歩

暇なもので、週に数回だいたい午前中に散歩に出ますが、犬の散歩をさせている人によく会います。 しかし、ド田舎のためか特に遊歩道などでは犬のリードを放してしまいう無警戒、無神経な飼い主に時折出会います。ノーリードで走らせるのは専用のドッグランだ…

「風は山河より 第3巻」宮城谷昌光著

松平三代とからめて菅沼家三代を描いた小説も、どちらも非常に厳しい時代を迎えます。 駿河の今川義元も尾張の織田信秀もどちらも国内をある程度制圧したので三河遠江に手を伸ばしてきます。そのような動きのなか、松平広忠は今川に仕えることとし、嫡子の竹…

「世界の困った人ジョーク集」モクタリ・ダヴィッド著

本には著者紹介はなかったのですが、調べてみたら元イラン国営通信の東京駐在員で、イラン情勢に不満をもち退職してそのまま日本に在住している方のようです。 モクタリさんが世界の国々のジョークを紹介しているものですが、ポピュラーなものもありまた新し…

「戦場の精神史 武士道という幻影」佐伯真一著

青山学院大学教授で中世文学が専門と言う佐伯さんが武士道というものについてどのような認識の変遷があったかを説明しています。 最初に、平家物語にある、越中前司の最後と言う場面を引いています。一の谷の合戦で戦いの帰趨はほぼ決して平家の負けとなった…

「日本型リーダーはなぜ失敗するのか」半藤一利著

文芸春秋の記者から編集者、取締役などを経て作家となった半藤さんですが、戦後いろいろな大戦時の軍人にインタビューをしたようです。 太平洋戦争時のエピソードというのはよほど興味のある人以外ではそれほど知られていないと思いますが、断片的な知識は少…

「世界のジョーク事典」松田道弘編

編者の松田さんという方はどのような経歴かということは書いてありませんが、他にマジックの本などを多数著しているようです。 ジョークに関する本はいろいろと出ていますが、それらを参考にテーマを分けて典型的なものを挙げています。たとえば、「おろかも…

「面白くて眠れなくなる物理」左巻健男著

中学高校の理科教師を務めた後、大学教授に転身し法政大学教授という左巻さんが物理学の基本と生活の中で出会うということについて例をあげて解説したものです。例えば、物が見えるということは目のレンズの働きですが、レンズというものは屈折率の違いから…

「昭和ごはん」瀬尾幸子著

料理家の瀬尾さんが、主に東京在住のいろいろな職業の方に昭和時代の食生活の思い出をインタビューし、そのメニューを作ってみたという本です。 対象は大体昭和20年代の生れの人で、子供の頃の食べ物の記憶というと昭和30年くらいでしょうか。まだまだ皆貧し…

食品表示問題頻出 報道の姿勢

このところ毎日のようにレストランやホテルなどでの食品表示に関する報道がされています。 テレビでは何故こんなに次々にという感想が述べられていますが、またまたマスコミの低脳加減を露呈するような発言で、うんざりします。このような問題が明らかになる…