爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「図説フィレンツェ 花の都2000年の物語」中嶋浩郎著

イタリア美術史を専攻し、現在はフィレンツェ大学講師という中嶋さんの著作で、フィレンツェの歴史を写真と絵画などのヴィジュアル資料で解説したものです。

ヴェネツィアの図説を以前に読みましたが、そのシリーズではありながらフィレンツェは古代の遺物もあり、また数々の美術品も残っていてさらに目で見るには楽しいものです。

フィレンツェ古代ローマが絶頂期を迎えた紀元前1世紀ごろに建設され、その後ずっとトスカナ地方の中心として栄えた都市です。中世期にはヴェネツィアとともにイタリアの諸都市の中ではもっとも栄えた都市でした。ヴェネツィアは海運と商業でしたが、フィレンツェは金融と工業というように若干の違いはあったようです。

しかし、政治的には常に党派対立が激しく、武力闘争や追放といった事件が連続していました。ダンテも追放され、マキアヴェッリもそうでした。
政治の混乱もさることながら、ルネサンス期の文化の中心として、レオナルド、ミケランジェロラファエロがすべてフィレンツェより出たというのは大きなことでしょう。
その意味でも建築・絵画・彫刻などの紹介というつもりで読んでいっても十分な書籍でした。