爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「ヨーロッパ古城物語」ジャン・メスキ著

フランスの考古学協会会長というジャン・メスキさんのヨーロッパの城について様々な観点から紹介されているものですが、内容はかなり高度です。

城と言うものがヨーロッパに出現したと言うのは意外に新しく11世紀だそうです。それ以前にも戦争は数多くありましたが、古代には砦はあっても城と言うものはなかったようです。
それが本拠として守るものができたことで、モットという盛り土を高く積み上げてその上から矢を射掛けたりする形式ができてきました。
そしてそのモットの上に石造りの壁や塔を作るということでさらに防御の性能を高めていったわけです。

その後は戦争のためばかりではなく権威を示すための城作りという観点からも立派な外見のものが作られるようになったようです。

しかし、居住者の快適性というものはかなり後の時代まで無視されていたようで、住みやすい部屋と言うものが作られるようになったのも後代になってからのことでした。

いろいろと知らなかったことを教えてくれた本で、毎ページにイラストや写真が挿入され、見た目にも情報が満載なんですが、本文以外に写真の説明と言うのが相当大きな部分を占め、本文がどこに飛んでいるのか分からなくなるような箇所が多く、ちょっと読みにくかったのも事実です。メスキさんの原書もこのような作りなのでしょうか。和訳のせいではないでしょうね。