料理家の瀬尾さんが、主に東京在住のいろいろな職業の方に昭和時代の食生活の思い出をインタビューし、そのメニューを作ってみたという本です。
対象は大体昭和20年代の生れの人で、子供の頃の食べ物の記憶というと昭和30年くらいでしょうか。まだまだ皆貧しかったころで、それほど豪勢な料理があるわけではなかったのですが、思い出話というとたまに食べさせてもらった食堂の料理であったり、家でよく出された母親の手料理だったり、さまざまです。
例えば金魚屋さんは母親の作ってくれた東京風のいなりずしで、大きめで少し醤油の効きすぎくらいの味付けというものです。
機械工場の大将の思い出は、中学受験が終わった後に父親が食べさせてくれたヒレカツだそうです。こういった思い出も結構だれでも持っているものでしょう。
私自身もほぼこれらの人達ど同年代ですが、母親が東京育ちではなく田舎育ちだったので家庭料理というのも田舎風だったようです。父親が好きだったのも郷里の田舎風料理でした。旨かったのは栗ご飯かな。父の誕生日が10月だったので、誕生祝は必ず栗ご飯でした。
外食で良く覚えているのは、ホットケーキ。デパートの食堂(今はほとんどなくなってしまった”大食堂”というやつです)などで頼むとちゃんとナイフとフォークが出てきて、一人前の洋食風でした。