爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「ネット君臨」毎日新聞取材班

2007年1月から7月までの間に毎日新聞に連載された特集を単行本化したものです。

ネット社会の影響が非常に大きくなってきた中で、その負の側面も強くなっています。それについて取材し記事としたものですが、それから6年経った今、さらに問題は大きくなっているようです。

難病の子供を救うための募金を始めた両親に2chで批判が集中したと言う事件がありました。批判だけに留まらず、その両親のプライバシーなどもすべて公開されてしまうということになってしまいます。
それはすべて匿名の投稿によるものですが、それが匿名のゆえにエスカレートしていくと言う一面もあるようです。
韓国ではそのような事態を避けるために実名で登録しなければならないということになったということでしたが、その後の話は聞きません。どうなったのでしょうか。
このような記事を作成した毎日新聞の記者にも同様の攻撃がされたようです。

児童ポルノについてはその後所持も禁止と言う規制強化になっているようですが、この当時は日本では世界より規制が遅れていました。そのために世界的な批判も受けてしまいましたがその後はどのような状況かは気になります。

「ケータイを持たずに生きられますか」と題して、学生を対象に携帯電話を持たない実験をしたと言う記事もあります。ネットに依存すると言う以上にケータイを介した友人関係というのが現代の若者の交友の特色であり、これも正負いろいろの影響があるところでしょう。

一方で中国などではネットがあればこそ政府や権力者の不正を暴いたり、近親者の不当な逮捕を救ったりと言うことも可能になったという面もあります。

この本の時期以降にはネットで他人になりすまして脅迫を繰り返し、アドレスを使われた人が誤認逮捕されたという事件も起こりました。ますますネット社会は混迷を深めているようにも見えます。

このような大事な問題を取り上げ、記者の身への危険もある中で特集を組んだと言う毎日新聞も結構やるもんだと思いました。