爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「図説ヴェネツィア 水の都歴史散歩」ルカ・コルフェライ著

ヴェネツィア生れ・育ちのジャーナリストのルカ・コルフェライさんがヴェネツィアの歴史を物語り、かつ現在の姿や絵画などをふんだんに挿入して目で見えるようにされたものです。

塩野七生さんの本をいろいろと読んだこともあり、以前と比べればヴェネツィアについての知識はあれこれと積み重なってきましたが、残念ながらそのような本は挿絵があったとしても数少なく、また現在の旅行者向けの観光本ではその歴史的価値についてそこまで詳しい解説があるわけではないので、このような本は貴重かと思います。

もちろん、非常に狭い区域のなかで現在も多くの人が生活しているところのため、昔のものがそのまま残っている場所と現在のものが混在しているでしょうから、漫然と見ていては何も分からないかも知れません。
特に、さすがに古い時代のものはそのままあるわけでは無いようで、古代遺跡というものもあまりないのでしょうか。

サンマルコ寺院もヴェネツィアが始まってさほど経っていない頃から存在するわけですが、現在でも重要な寺院ですので単なる観光地ではないわけです。建物自体もなんども火災で焼け現在のものは11世紀から立て直されたものとか。天井のモザイクは13世紀のものだそうです。

11世紀から15世紀にかけ、ヴェネツィアが海上の商業で支配的な権力を誇ってきた時代のものは相当残っているようです。当時の商館、造船所など現在でも見ることができるものについてはきれいな写真が載っています。

その後、経済力は低下してしまいますがその代わりに芸術の中心地として栄えました。その遺物は今でも見られます。一般の観光客はこちらの方が目当てなのかも知れません。

ヴェネツィアというところに一度は行ってみてもいいかなと思わせてくれるような本でした。