爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「寄り道の多い数学」大沢健夫著

名古屋大学教授の数学者大沢先生が数学のかなり高度な内容のものを”できるだけ”一般社会の問題に寄せて解説したものです。
とはいえ、相当難しい内容を含んでいますのでおそらく相当数学に詳しい人でないとなかなか楽しめないでしょう。

土星の輪というのはちょうど垂直から見ない限りは楕円に見えますが、これは円錐を平面で切ってできる円錐曲線の一つです。楕円は実は「二点からの距離の和が一定になる点」の集まりなのですが、これが円錐曲線であるということに着目すると理解しやすいそうです。
惑星の軌道も実は楕円になっています。その焦点の一つに太陽が位置するのですが、これがなぜかということは初期の天文学者を悩ませたそうです。それを説明したのがニュートンでした。
これも含め、多面体定理が関わっていますが、カーボンナノチューブの構造というのも多面体としての性質が重要な要素になっているそうです。

メビウスの輪クラインの壷というのも数学の大きな分野の一つを現しています。直観的に立体が想像できる範囲ならまだ良いのですが、それ以上は難しいですね。

情報伝達という分野についても数学理論が大きく関わっています。このあたりは数学が実社会に強い影響を与えているところでしょう。

やはりかなり難しかった。