中学高校の理科教師を務めた後、大学教授に転身し法政大学教授という左巻さんが物理学の基本と生活の中で出会うということについて例をあげて解説したものです。
例えば、物が見えるということは目のレンズの働きですが、レンズというものは屈折率の違いから成り立っているもので、透明人間というものが存在したとしても目を持っていたらその部分は屈折率が違うので透明とは言えないということになります。見ようとするなら他からも見られるという大変哲学的な状況になってしまいます。
また、水蒸気というとお湯を沸かす時の湯気をイメージしますが、実際は気体状の水ということで、温度も何度にも成り得るので高温蒸気というのは危険なものです。可燃物に当たると発火する可能性もあります。
地球を回る宇宙船の中でふわふわ浮いているのを「無重力状態」と言ってしまいますが、本当はわずか数百キロ上空になっただけで無重力になるわけがありません。実は高速で地球を回っているので連続して落下している状態だということです。
物理が分からなくて困っている?という人が読むと分かりやすい本だと思いますが、そういった人はこの本は読まないんだろうな。