爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「民主党政権失敗の検証」日本再建イニシアティブ著

日本再建イニシアティブとは元朝日新聞主筆という船橋洋一さんが中心となって集まったジャーナリストや研究者のグループです。
このメンバーが民主党政権が崩壊したあとにその色々な人々にヒアリングをしてまとめたものです。

政権をとった民主党が打ち上げて破綻して行った、マニフェスト、政治主導、経済と財政、外交と安保、子供手当、政権と運営、選挙戦略の各部について細かい検討がされています。
それぞれの理由には色々な違いがあり、一概には言えませんが、基本的に方向性が間違っていたものもあるとしても総体的に言えるのはこれまでの積み重ねが非常に重いにもかかわらず、理想とする状況に近づけるための方策がほとんど練られていなかったということです。今までに利権を吸っていた人々が多数に上るにもかかわらず、そこから取り上げることが簡単にできるような気がしていたが、決してそのようなものではなかったということです。
政権を取っただけで何でも出来るような気になったことが一番の失敗だったということでしょうか。

それにしてもそもそも自民党政権がつぶれた理由というのが決して解消していないにも関わらず、民主党の失敗のおかげで何の反省も無く、何の変化もない自民党にまた政権が戻ってしまい、旧態依然の政治になってしまった。その過程がこの後しばらくしてもまだ日本が残っていたら、その時代の歴史学者により歴史の動きの悪例として分析されるでしょう。しかし、そのようにしてしまったのは民主党自民党だけのせいではなく、一番の責任は有権者にあるということだと思います。