リスク学者永井孝志さんのブログはいつも興味深い内容ですが、今回は疾病のリスクというものがコロナ禍でどうなったのかということを扱っています。
nagaitakashi.netWHOを母体とする研究プロジェクトで、GBD研究というものがあります。
(世界疾病負荷(Global Burden of Disease, GBD))
ここでは疾病などのリスクの大きさを死亡率による評価だけでなく、損失余命やDALY(disability-adjusted life year:障害調整生命年)も用いて評価しています。
DALYとは、損失余命(死亡数×死亡時平均余命)と障害年数(障害を受けた人数×障害の継続年数×障害のウェイト)を併せて、死亡だけでは表現できないリスクを考慮しているというもので、生活の質を落とすような疾病などでは高く出るようです。
この取り組みは以前から続けられていますが、その最新版が2024年に発表され、そこでは2021年までの数値が出されており、コロナ禍の状況も反映されています。
この中では世界全体の数値の他に、各国別の数値も出されており、それを日本を着目して紹介しています。
この日本のデータを見ると一番多いのがガンなのですが、コロナウイルス感染はかなり小さい値となっています。
(人口10万人あたりDALY値がガンで2526、COVID-19およびこのパンデミック関連が合計107)
これは以前に死亡リスクのみを見た時のデータと比べるとかなり順位も低下しており、コロナ禍での死亡者は高齢者が多かったのに対し、自傷や交通事故というのは若年者が多く重度障害を負う人も多いためにDALY値が高くなるからということです。
世界全体の値と比較するとCOVID-19およびその関連というのが世界ではかなり高いことが分かります。
それに対して日本では低いところに留まっており、日本の感染対応が良かったのかとも見えます。
また日本では自傷行為の順位が高く、結核や対人暴力、高血圧が低いということです。
このあたりは死亡リスクの値とも似通った傾向なのではないかと思います。
COVID-19は日本では初期には患者発生、死亡率ともに世界より低いと言われ、何らかの要素があるのではと言われたのですが、その後感染者が急増したためにそういった言説は急激に静まりました。
しかしこれまでの結果を見てみるとやはり何らかの要素がありそうです。
まさか日本の医療体制が良かったためということはないでしょうから、何らかの遺伝的要素があったのかもしれません。
もうすっかり過去の事かのような雰囲気になったコロナ禍ですが、まだ軽視できないものかと思います。