古代ローマは国を建てた当初は王制、それから共和制へと移行し、カエサルの跡を継いだオクタウィアヌスがアウグストゥスとして皇帝位についたとされるのが紀元前27年で、それから東ローマ帝国が滅亡する1453年まで、約1500年がローマ帝国として続いたことになります。
ローマ帝国史というものは他にも本がまとめられていますが、この本は副題にもあるように「絵で見る」ということで、毎ページにその人物や事件を描いた絵画(彫刻も含む)が掲載されており、そのイメージを掴みやすいものとなっています。
もちろん絵画はローマ帝国当時に描かれてたものであるはずもなく、ヨーロッパ中世から近世にかけて多くの画家たちによって描かれたものであり、細部まで正確ということはないはずで、さらに人物の容貌も実際であるわけもないのですが、それでも何らかの根拠があって描かれているのでしょう。
例えばユリウス・カエサルはルーベンスの描いた肖像が載せられていますが、同時代のポンペイウス・マグヌスが彫刻が掲載されています。
当時の彫刻であれば人物の風貌などは写実で映されていたものでしょうか。
ただし彫刻でも後代のものが選ばれている場合もあり、ユニウス・プルトゥス(暗殺首謀者の一人)はミケランジェロの作のものでした。
帝政といってもローマの皇帝は万世一系などとは程遠く、初期こそ安定化のために血筋を重視することもあったものの、中期以降は軍人出身の実力者が皇帝となりました。
ローマ帝国では元老院、都市民衆、近衛隊、軍団という四つの要素の支持が必要であり、それに失敗すれば内乱となりました。
元老院はその構成員が時代と共に変化していきます。
共和制期から続く名門貴族は徐々に没落していき、二世紀にはほとんど存在しなくなりました。
代わって元老院に席を占めるようになったのが、まずイタリア地方都市出身者、続いてヒスパニア、ナルボネンシス(南フランス)などのローマ化の進んだ西方属州出身者でした。
皇帝の出自を見ても、ユリウス家、クラウディウス家は建国以来の名門家系ですが、フラウィウス家はイタリア地方都市、トラヤヌスはヒスパニア出身、さらにその後はガリアなどからも出ました。
文章を読んでいるだけではイメージをつかみにくいローマ帝国史ですが、正確ではないにしても絵で見ると感覚的に捉えられるようです。