爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

いわゆる「脱炭素化」技術のどこがおかしいのか。 その2

結局、連続した長編記事になってしまいそうです。

 

2,移動手段

2-1 電動自動車(蓄電池を積んだもの)

 いわゆるEVというのですね。ヨーロッパがお気に入りのようで内燃車を早く廃止し切り替えようとしていますが、そのほとんどの生産国は中国、アメリカの敵視政策は邪魔でしょう。

この問題点は1で述べた蓄電池のものと重なります。

資源の要求量が非常に多いことと中でもレアメタルなどの希少資源を必要とすることです。

世界の自動車(四輪)の総台数は約15億台ということです。

それに対し2022年のEV(PHEVなども含む)が2600万台とか。

まだ2%程度ということでしょう。

必要な資源量を考えるということは、保有台数すべてがEVに代わったとしてそれを賄えるかどうかということです。

とても可能とは思えないのですが。

現在でもガソリン車と比べて非常に価格も高いのですがその大半は蓄電池価格のようです。

今後さらに製造が集中した場合、大量生産で価格が下がるという安易な伝説を信じている人もいますが、それは鉄やアルミなど資源の制約のない原料を使用している場合だけであり、資源供給がネックとなれば逆に価格は高騰するでしょう。

このような高価格にBRICS諸国以下グローバルサウスの国々が追随するわけもなく、彼らは安価なガソリン車を使い続けるはずです。

結局は欧米日の自己満足を充たし、中国に生産対価を払い続けて中国の国力を増すだけのことになります。

なお、EVの欠点として重量が重いということもあるようで、道路の損傷が激しくタイヤの減耗も速いということがあります。

交通事故の場合の衝撃も強く被害も大きくなるとか。

まあ無視できる問題ではないのでしょうが、上記の問題点が大きすぎます。

 

2-2 水素燃料電池

水素の問題点は3の方でまとめますが、それでも水素にこだわるというのはEVの立ち遅れを取り返したいという焦りがあるからでしょうか。

すでに実用化していますが、市中の水素ステーションも増えず今後の先行きは暗雲がかかっています。

化石燃料からの水素製造、いわゆるグリーン水素なるものが出てきてもそれはとんでもない価格になるでしょう。

それを使わせるのにただ「使用時には二酸化炭素を発生せずただ水が排出されるだけ」でこれを買おうという気にはならないでしょう。

水素を酸化することによって電気を発生させそれでモーターを回すという不自然な動きを強いるものですが、電気自動車に比べれば水素タンクと反応装置、モーターだけと小さいのは有利かもしれません。

 

2-3 水素エンジン車

水素燃料電池だけでよいかと思っていたら何やらトヨタを中心に出してきたのが水素エンジンです。

これはモーター車ではなくエンジンなのでこれまでの石油系内燃機関と同様の構造でできるという利点があるのでしょう。

また流通も既存のガソリンスタンドの系列が使える可能性があるということかしれません。

しかしこれも水素自体が使い物になるかどうかにかかっています。

 

(キリがいいのでここで止め、最後の第三回につづく)