爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

2013-07-01から1ヶ月間の記事一覧

「帝国・王国の意外なウラ事情」祝田秀全監修

予備校の講師として有名な祝田さんが古代から現代までの帝国についてそれぞれ4ページ程度にまとめたものです。 帝国と言うからには一つの文明圏をほぼまとめたものということでしょうが、それでも古代から考えると相当な数にのぼるようです。 古代オリエン…

「ダルタニャン物語1友を選ばば三銃士」アレクサンドル・デュマ著

大学の頃に購入したダルタニャン物語の再読です。ダルタニャン物語とは良く知られた三銃士のほかにその続編として「二十年後」と「鉄仮面」を含む文庫本全11巻のものですが、完訳版はこの鈴木力衛訳のもののみです。 子供の頃に他の訳本の子供向け文学全集…

「憲法論争」NHK編

NHKで1983年に当時の憲法問題論客である元内閣法制局長官林修三、専修大学教授小林直樹、東京経済大学教授色川大吉、東京工業大学教授江藤淳を集め憲法問題に関する座談会の番組を作成し放送しました。 その内容にさらに出席者のまとめの文章を追加して…

「フランスの学歴インフレと格差社会」マリー・ドュリュ・ベラ著

パリ政治学院教授で社会学者のマリーさんがフランスの教育現状について書いたもので、2006年発表当時はフランスで論議を呼んだようです。 日本でもその傾向があると思いますが、高校全入、大学進学率大幅アップとなっても就職を見ると昔の高卒・大卒と同…

「教科書が危ない」入江曜子著

これも少し前の出版ですが、新しい歴史教科書をつくる会という連中が「新しい公民教科書」「新しい歴史教科書」を発表して文部科学省の検定を通過させ、さらに文部科学省が「こころのノート」という補助教材を配布したと言うことが2001年から続いて起こ…

「改憲問題」愛敬浩二著

名古屋大学法学教授の愛敬さんが憲法改正についての様々な意見を大学学生の討論を模した様式で解説したものです。 とはいえ、この本の出版は2006年ですので、実は前回の改憲騒ぎのときのものです。しかし、騒ぎの程度はさらに大きくなってきたとはいえ、…

「海の都の物語3」塩野七生著

ヴェネツィアについての物語その3は、ライバルのジェノヴァに関する話と、ヴェネツィアの女性についての話です。 海洋交易国家はイタリアではヴェネツィア、ジェノヴァのほかにアマルフィ、ピサがありましたが、早くに没落し、長らくはヴェネツィアとジェノ…

「穂足のチカラ」梶尾真治著

これはSFと言っていいものか、救世主物です。 梶尾さんの書く人物はどれも芯からの悪人というのはいないようですが、特にこの物語では最初は主人公の一家を取り巻く人々はすべて悪意に満ちて家族皆がどうしようもない状況に落ちそうになったところで、救世主…

「日本人が知っておきたいアフリカ53カ国のすべて」平野克己監修

外務省専門調査員を経験し、ジェトロのアジア経済研究所センター長と言う平野さんが監修のアフリカ各国についての解説です。 アフリカといってもほとんどの日本人は断片的にしか知らないでしょう。普通の人で名前と位置が思い浮かぶのはエジプトと南アフリカ…

「テロリズム」チャールズ・タウンゼンド著

イギリスのキール大学の歴史学教授で、イギリス史、アイルランド史が専門のタウンゼンド教授が判りやすく?テロリズムについて解説したものです。 昨今は9.11に象徴される宗教テロ?や反体制テロだけを問題視されるような風潮ですが、歴史的には国家テロ…

「海の都の物語2」塩野七生著

ヴェネツィアについての連作その2で、いわゆるベニスの商人について、そして一貫して行われた共和政治の政体について記されています。 シェークスピアにはオセロとヴェニスの商人という、ヴェネツィアを扱った2作がありますが、どちらもヴェネツィアの実情…

「長野県人」藤森栄一著

著者の藤森栄一さんは諏訪市出身の考古学者で、長野県考古学会の発展に寄与されたということで、藤森賞という賞も作られているそうです。 この本は考古学もさることながら、有史以降の文書記録により長野県の人物について記されたものであり、著者の広い歴史…

「コラーゲンの話」大崎茂芳著

大阪大学で繊維に関する研究で博士号を取得した後、製紙会社や販売会社に勤務したあと大学に転進したという大崎さんがコラーゲンにまつわる話をまとめたものですが、非常に高度な内容をコンパクトにまとめられているもので、中公新書のなかでも相当高いレベ…

「”マンガ嫌韓流”のここがデタラメ」太田修他著

ヘイトスピーチという動きがあらわになっている状況ですが、その伏線になったかもしれない本に対して、”まじめに”反論したものです。 本当はとても”まじめ”に反論などするのもあほらしいようなものですが、一定の読者を得て力を持っているように見える状況下…

「ドキュメント道迷い遭難」羽根田治著

山岳関係のフリーライターで「山と渓谷」誌にも執筆していると言う著者が、山岳遭難の大きな部分を占めている道迷いについて、実例を挙げたものです。 遭難では滑落や雪崩といったもので亡くなる人も多いのですが、道迷いというものは登山者がそれぞれ注意す…

「黄泉がえり」梶尾真治著

あの有名な映画の原作です。最初は熊本日日新聞掲載だったとは知りませんでした。熊本の人でないと位置関係がわかりにくいところもあるかもしれません。 現象はともかく、その原因というのはSF的なものになっていたようですが、最初の新聞連載時にはぼかして…

「春秋名臣列伝」宮城谷昌光著

春秋時代とは中国の周の時代の後半、笑わぬ后を笑わせようとして国を滅ぼした幽王までを前半とすると、それから何とか国を建て直したものの、徐々に王朝の力は衰え、諸国の抗争が激しくなり、最後は秦の始皇帝が統一するまでの春秋戦国時代の前の部分に当た…

「日本人ビジネスマン”見せかけの勤勉”の正体」太田肇著

公務員など経験後、現在は同志社大学教授で、組織論や人事管理が専門の太田さんが日本の”勤勉”の正体について書かれた本です。 日本人は勤勉であるとはよく言われたことですが、その一方で特にホワイトカラーの生産性は極めて低いとも言われています。それが…

「DNA鑑定 暗殺、冤罪、浮気も暴くミクロの名探偵」櫻井俊彦著

アメリカで学び、現在は民間でありながら様々な法医学鑑定を実施している法科学鑑定研究所の研究者の櫻井さんがDNA鑑定についていろいろの方向から紹介したものです。 まずDNAというものが何かということも一般の人にはわかりづらいものですが、その辺も適度…

「海の都の物語」塩野七生著

ローマ帝国分裂後、中世から近代に至るまで地中海で優勢な地位を占めていたヴェネツィア共和国の歴史について書かれたシリーズの第1巻でした。 アドリア海の一番奥の湿地のヴェネツィアはフン族やロンゴバルト族の侵入から逃げた周辺の人々がその潟(ラグー…

「日本縦断徒歩の旅」石川文洋著

戦場カメラマンとしてベトナム戦争などの報道で活躍していた石川さんが65歳になった2003年に日本を縦断する徒歩の旅をすると決め、実行した記録です。 それは完全に徒歩と言うことにこだわり、バス電車等にも乗らずに(北海道本州間等は船は利用)すべて歩い…

「またまたサザエさんをさがして」朝日新聞be編集グループ編

朝日新聞土曜版で特集されていた、サザエさんの漫画の中で扱われていた執筆当時の事物がどうなっていたかというものをまとめたものです。 例えば、”一億総中流”今では夢物語ですが、たしかに一時はそのような時代がありました。”タロ・ジロ”というのも今では…

「きみがいた時間ぼくのいく時間」梶尾真治著

梶尾さんのタイムトラベル物を何篇か収録したもので、「美亜へ送る真珠」は作者23歳のときのデビュー作ということです。 そういえばこれまで読んだ梶尾さんの作品でも時間をテーマにしたものが多かったなと気付いたのですが、もともとそれが一番好きだったよ…

エネルギー文明論「EPR」

産総研の太陽エネルギー関連部署の解説が出ていますが、http://unit.aist.go.jp/rcpvt/ci/about_pv/supplement/EPTdefinition.html、これによると太陽光発電のEPRはすでに20以上に達しており、十分に元が取れるという主張をしています。 内容の可否は判らな…

「食糧の帝国 食物が決定づけた文明の勃興と崩壊」エヴァン・フレイザー、アンドリュー・リマス著

現在はカナダのグエルフ大で准教授を務めるフレイザー氏がジャーナリストのリマス氏とともに書いた本です。 ”食糧の帝国”とは、人類史上、すべての文明は余剰食糧のあるところにそれを用いて成立する食料システムであると言う観点から文明をそう呼んだもので…

「川と国土の危機 水害と社会」高橋裕著

河川工学が専門の東京大学名誉教授の高橋さんが治水全般について考えをまとめたものです。 防災というと川の堤防をしっかり作る方ばかりに目が向きますが、本当はそうではなく土地の利用法自体を考えていかなければならないということで、どんなに高い堤防を…

「変わる方言動く標準語」井上史雄著

前東京外語大教授の井上さんが方言について書かれたものですが、通常の方言関連本は方言地図といったような分布の調査や細かい使い方などが多いのに対し、この本は少し趣が違うものになっています。 まず、方言というものに対する態度の違いと言うものを江戸…

「”買ってはいけない”は嘘である」日垣隆著

99年に発売され爆発的な売れ行きを見せた「買ってはいけない」はその当時から多くの批判を浴びていましたが、その中でももっとも説得力がある批判であったという日垣さんのものです。この本には、その他に当時かなりの問題となっていた環境ホルモンで精子が…

「原発はほんとうに危険か?」クロード・アレグレ著

著者はフランスの科学者であり、一時は政治にも関わってきた人で、フランスで原発推進を進めてきたようです。 福島第一原発の事故のあと、世界的に原子力利用の動きにブレーキがかかってきた中で、十分に管理された新しい原発での発電が必要という立場から述…

「つばき、時跳び」梶尾真治著

今回の梶尾本はタイムトラベルものです。最初はタイムスリップかと思いましたが、結局はタイムマシンでただし主人公はその製作者ではなく第三者だったということです。 仕掛けの部分はともかく、こういったストーリーはやはりどれだけ詳細な部分にリアリティ…