爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「海の都の物語」塩野七生著

ローマ帝国分裂後、中世から近代に至るまで地中海で優勢な地位を占めていたヴェネツィア共和国の歴史について書かれたシリーズの第1巻でした。
アドリア海の一番奥の湿地のヴェネツィアフン族やロンゴバルト族の侵入から逃げた周辺の人々がその潟(ラグーナ)を防衛に活かすことで成立していきました。
最初は魚を取ったりするだけでしたが、東ローマやアジアアフリカとの焦点に位置するという利点を活かし、交易国家として栄えるようになって行きます。
そのためには、アドリア海沿岸の海賊の巣をつぶして行き、アドリア海全体を言わば海の高速道路というものにしていきます。
その動きを飛躍的に高めたのが第4次十字軍で、キリスト教国の歴史家からは最低の評価を受けていますが、これが圧倒的にヴェネツィアの力を増したのは間違いないでしょう。
これらのことをその最初から共和国という政治形態で成し遂げていったというのも興味深いところです。この先第6巻まであるようです。