爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「原発はほんとうに危険か?」クロード・アレグレ著

著者はフランスの科学者であり、一時は政治にも関わってきた人で、フランスで原発推進を進めてきたようです。
福島第一原発の事故のあと、世界的に原子力利用の動きにブレーキがかかってきた中で、十分に管理された新しい原発での発電が必要という立場から述べられています。
確かにフランスのような場所で定期的に更新される最新の装置で動かしていけば危険性は相当小さくできるようです。その観点から言えば日本で古い原発を動かし続けるというのは最悪なのではないでしょうか。
ただし、フランスでもどうやら放射性廃棄物の処理に関してはいまだにきちんと確定した方法で行われているわけではないようで、その点が大きな問題点でしょう。

なお、同じようなものであっても高速増殖炉はほとんど不可能、核融合は夢物語という点は主張されており、原発に対する姿勢というのはかなり現実的なものかも知れません。

その他のエネルギーでも太陽光発電風力発電は補完的、地域的なものにはなっても、主流にはなりえないという常識的な理解です。

ただし、経済成長は犠牲にしてもエネルギー依存を減らすべきというセルジュ・ラトゥーシュなどのエコロジストにははっきりと反対ということで、これは立場上仕方の無い態度でしょうか。