爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

2014-01-01から1年間の記事一覧

「サラリーマン誕生物語」原克著

サラリーマンと呼ばれるホワイトカラーの事務職員は日本では大正から昭和初期にかけて発生してきたようです。この初期のサラリーマンの生態を、早稲田大学教授の原克(はら・かつみ)さんが物語仕立てで表しています。時は昭和11年、長野の田舎から出てき…

「”原発”革命」古川和男著

原子力発電に使われる核反応には核分裂と核融合があり、核分裂反応はウラン235が中性子を発して連続的に反応するものだという知識でいましたが、それ以外にも核反応というものはあり、それを長く研究してこられた著者が今の大勢とはまったく別の原子力発…

脱石油を政治運動化

石油に依存しすぎている現代文明は危険過ぎており、できるだけ早く脱石油を果たさなければ人類社会自体の危機にもなりかねないと言うことはこれまでにも書いてきたと思います。 それは、一つの可能性にまとめて記すなら「石油の奪い合いでの超大国間の戦争勃…

「福島原発人災記 安全神話を騙った人々」川村湊著

文芸評論家で法政大学教授という著者ですが、東日本大震災の時には自宅(東京近郊?)にいて被害は無かったもののしばらく動きが取れなくなりました。 そこで、なんとかつながっていたネットを通じて原発に関する情報を探し、当時進行中であった福島第1原発…

”賀茂川耕助のブログを読んで”No.1094 TPP交渉、ISD条項

賀茂川耕助のブログ、最新のものが1094のTPPにおけるISD条項の危険性を明らかにしたものです。 これがもっともこのTPPの性質を現していると思いますが、海外からの投資家が不利益を受けた時の訴訟を定めたものと言うことです。 すなわち、海外からの出資企業…

「技術者のための経営学」大坪檀著

この本も内容の紹介の前に、本の購入から読書をめぐるあれこれから記していきたいと思います。本の中に挟んであった栞代わりのカード型カレンダーから、買ったのは1983年と考えられます。当時は結婚してすぐの30歳目前といった年頃でした。会社には入って5年…

子供の名前

例年発表されていますが、生命保険会社が子供に付けられた名前を集計したところ、蓮(れん)陽菜(ひな、はるななど)などが多かったということです。NHKの朝の番組でも取り上げられていましたが、最近の子供の名づけの特徴として、「漢字は比較的平易なもの…

「未曾有と想定外 東日本大震災に学ぶ」畑村洋太郎著

失敗学、危険学の畑村さんが、東日本大震災とそれに伴う福島第1原発の事故について、その年の7月出版と言うことですからわずかの期間で書き上げた本です。この震災の津波は「未曾有」と呼ばれることもありましたが、著者は決して未曾有などではないという…

脱石油をしなければならない理由

脱原発という声は政財界では消えているものの、一般国民の間では決して低くなることは無く、今でこそまとまったものとなることはないもののいずれ時が来れば形になって現れるものと思います。 その理由は単純なものです。「事故が起きれば怖ろしいことになる…

OPEC減産交渉不調

原油価格が続落しているために収入減を心配した産油国が生産削減をするかどうかという会議をしたそうですが、調整が付かず不調に終わったようです。 これで石油価格がさらに低下し経済成長にプラスになると喜んでいる人が多いようです。原油価格の低下につな…

再読:「医学と仮説」津田敏秀著

半年ほど前に読んだ疫学者の津田さんの本ですが、科学哲学の部分をもう少し読んでみました。なお、津田さんの名前でネット検索をするとかなり多くの記事が引っかかります。どうやら福島での甲状腺がんの発生についての発言からのようです。現状では、どちら…

「女は男のどこを見抜くべきか」香山リカ著

いろいろな文化評を書いている香山さんですが、本業は精神科医ということです。この本はかなりその本業に近いところで書かれているものです。最初の導入部では、著者が初対面の人に自分が精神科医であることを告げた場合の反応について語られています。以前…

「ああ知らなんだ こんな世界史」清水義範著

作家の清水さんがたまたまトルコを旅行し、その魅力に取り付かれてその後イスラム教の諸国を毎年旅行するようになったのですが、行った先でいろいろな歴史遺物を見学してもほとんどその歴史を知らないと言うことに気付いてしまいました。 日本では世界史とい…

「2015年の電子書籍」前原孝章、川元麻衣子、石田樹生(野村総合研究所)著

2015年というと来年ですが、これは2011年に4年後の電子書籍を予測して書かれたということです。 最近、別の電子書籍の本も読みましたが、その本と違うというところはいわゆる「ケータイ小説」というものも考察しているということです。 それを考えに入れると…

「とにかく目立ちたがる人たち」矢幡洋著

臨床心理士で作家の矢幡さんの本は以前にも読んだことがありますが、本書は「目立ちたがり」と言われる人の中でもまったく相反する二種類の性格について、アメリカのパーソナリティー障害の理論で最大と言うセオドア・ミロンという学者の説の紹介と解説を行…

「科学の未解決問題」竹内薫著 執筆協力丸山篤史

執筆協力とありますが、これは最近読んだ「ゴーストライター」についての本にあるような実質執筆者ということではないようです。丸山さんは医学者ということですので、竹内さんの専門の物理関係ではなく生物関係の話題のところの正確性付与に協力したという…

「コンピューター社会が崩壊する日 フォン・ノイマンが仕掛けた3つの罠」逢沢明著

この本はかなり昔に読んだものですが、今となっては懐かしい思い出です。 1990年発行の今は無きカッパブックスの一冊で、当時の京都大学助教授の逢沢さんが書かれたものです。ちょうどその頃は仕事で会社の一種の財産の記録の電子化ということを担当しており…

「電子書籍の衝撃 本はいかに崩壊し、いかに復活するか?」佐々木俊尚著

ダウンロードして本を取り込んで読む電子書籍や、いわゆる「ケータイ小説」など最近急激に伸びている電子書籍ですが、その解説だけかと思いましたが、著者の佐々木さんは新聞記者、雑誌編集者を経てジャーナリストとなった方ですので、現在の出版界全体の状…

総選挙の争点

いよいよ始まる衆議院議員総選挙ですが、当初首相が言っていたような「消費税増税延期の信を問う」などという謳い文句ではさすがにごまかしきれないと言うことに気付いたか、「アベノミクスの評価を受ける」といったことに変わってきたようです。よほど「ア…

「日本の”行事”と”食”のしきたり」新谷尚紀監修

日本に限らずどこの国でもさまざまな行事にはそれに特有な食というものが付き物ということはあるのでしょうが、食物というものの多様性が多いと考えられる日本というところはその結び付きが特に強いということはあるのかもしれません。 各種の年中行事、また…

「マスコミが絶対に伝えない”原発ゼロ”の真実」三橋貴明著

三橋さんは最近大売れの経済評論家で、著作は多数、またネットでも大活躍のようです。かなり刺激的な表題のものを目にします。 本書は題名からも分かるように、脱原発を目指す人々を徹底的に論駁しています。その論拠は、現在の原発停止の状況では電気料金が…

衆議院解散

ほとんど誰も予想もしていなかった時点での衆議院解散です。 消費税増税延期についての国民の信を問うと言えば真っ当に聞こえますが、実態は「このまま行けばどんどん支持率が下がるのは目に見えているのでまだ騙せる間にやってしまおう」というのが明らかで…

「道路整備事業の大罪 道路は地方を救えない」服部圭郎著

車ばかりに全てが偏重しているような社会には以前から疑問を抱いていましたが、それらの点をかなり明快に解説してくれた本です。 特に、国鉄時代の赤字ローカル線の整理が進められていた当時には、「100円稼ぐのに経費は何百円」といった論調での批判が強か…

「地図もウソをつく」竹内正浩著

著者は現在はフリーライターということですが、大学卒業後JCBに入社し旅行誌の編集を長くやってきたということで、各地への旅行は頻繁だったのでしょうが、それにも増して地図が大好きだった様子が見て取れます。地図は実際の地形の状態などを正確に記してい…

GDP速報

本日朝に出たGDPの速報値が大方の予想の2%程度のプラスではなく年率にしてマイナス1.6%ということで大騒ぎです。消費税増税がこれではできないという論調ですが、それ以前の問題でしょう。 政府と日銀が空前の金融緩和と題して行った施策がほとんど成果を…

「ビジネス書の9割はゴーストライター」吉田典史著

ゴーストライターというと、芸能人やスポーツ選手が書いたと言う本を実際に書いている人というイメージでしたが、いわゆるビジネス書というジャンルの本でもほとんどが著者は名前ばかりでゴーストライターが書いているというのはあまり認識していませんでし…

「オフィスの中の困ったひとびと」アンドリュー・ホームズ、ダン・ウィルソン著

長年の会社勤めでは、「困ったひとびと」との付き合いと言うのも多数ありましたが(お前が一番”困った人”だと言われそうですが)イギリスのオフィスにも困った人は多数出現しているようです。 そういった人々の生態をたくさん挙げているのが本書です。表題に…

「ヒューマンエラーは裁けるか」シドニー・デッカー著 芳賀繁監訳

本書あとがきに書いてあったのは、ハドソン川にエンジン停止した飛行機を無事着水させたチェズレイ・サレンバーガーという機長がニューヨーク市から表彰された際に、併せて贈られたのが事故の際に携行していたニューヨークの図書館から借りた「Just Culture…

「ウィキペディア革命」ピエール・アスリーヌ他著 木村忠正解説

ウィキペディアの解説をコピーアンドペーストでつないだだけのレポートが大学などで横行しているという話は日本でもよく聞きますが、これはフランスでの事情を書かれた本です。あちらでも状況は変わらないようです。著者らはフランスの作家・ジャーナリスト…

「ひねくれ古典”列子”を読む」円満字二郎著

著者は研究者ではなく出版社で編集の仕事をしていたそうですが、列子の面白さに惹かれこれを書いてくれる人が居ないかと探したものの専門家は誰も応えてくれず、それならと自分で書いてしまったと言うことです。列子は実在が疑われてもいますが、諸子百家の…