爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「2015年の電子書籍」前原孝章、川元麻衣子、石田樹生(野村総合研究所)著

2015年というと来年ですが、これは2011年に4年後の電子書籍を予測して書かれたということです。
最近、別の電子書籍の本も読みましたが、その本と違うというところはいわゆる「ケータイ小説」というものも考察しているということです。
それを考えに入れると日本でも電子書籍のコンテンツの数は非常に多くなり、すでにアメリカを数では越えていたということです。
ただし、それが他の一般書の電子化と関わるかというとそうでもなく、これも「ガラパゴス」の一種なのかもしれません。

また、新聞における電子化ということは日米で比較するとその新聞市場の状況の差がそのまま現れており、アメリカと比べて非常に発売部数が多く、かつほとんどが宅配であるという日本ではなかなか電子化は進みにくいようです。
その中では宅配依存率が比較的低い日本経済新聞のみは電子化がある程度進んでいるようですが、他の新聞ではそれを進めるとこれまでの長いビジネスパートナーである販売店を大きく損なうことになるために難しいようです。

電子書籍は教育分野での普及が期待されており、韓国ではすでに実証実験も行われていますが、いろいろな課題が見えてきているようです。タブレット端末を利用するのですが、まだ子供が持つには重く壊れやすいようで、値段もかなり高いために難しい面も多いようです。

最近の電子書籍販売においては、日本ではコミックの販売というものが非常に大きく先行しており、一般書をはるかに引き離しているようです。これが一般書に波及するのかどうかは不明です。
電子書籍化は出版社にとっては有害ではなく、かえってこれまで売れ行き不透明で手を付けられなかった冒険的な作品も出版可能になるということですが、取次と言われる卸業者や書店などは相当売り上げに影響が出るのは避けられないところです。とはいっても、当面は電子書籍購入の意向が強いのはこれまでも通販で書籍を購入していた層がほとんどなので、さほど大きな影響はないのではないかと言う見込みもあるようです。

まだ急激な普及には間がありそうですが、書籍をめぐっては激動がありそうです。