爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「女は男のどこを見抜くべきか」香山リカ著

いろいろな文化評を書いている香山さんですが、本業は精神科医ということです。この本はかなりその本業に近いところで書かれているものです。

最初の導入部では、著者が初対面の人に自分が精神科医であることを告げた場合の反応について語られています。以前は精神科にかかると言うことがタブー視されていた傾向もあったために精神科医と言う人にもなかなか素直には対せない人が多かったようですが、最近は気軽に自分の精神状態について話す人も増えてきたようです。ただし、女性の場合は。
男性の場合はなかなかそのような話をスムーズにできる人は少なく、かといって無関心というわけではなく、微妙な話し方をする人が多いということです。
こういった不自然な行動をとるというのは、やはり男性には過度のプライドがあるからではないかというのが著者の分析です。

以下、さまざまな男性特有ともいえる精神状況について記されていますが、夫婦で死を迎える際の往生際の悪さは男性の方がはるかにひどいらしく、奥さんが余命わずかと言って医者から宣告されても、奥さん本人の方がかえって冷静で、夫は狼狽してしまうということが多いそうです。そのためか、よく言われるように女性の未亡人は元気に生きていくのに、男性が残されると早死にしてしまうことも多いそうです。

その他、金のためなら何でもする男性、健康ばかり気にする男性も書かれていますが、この辺は本当に男性だけの問題でしょうか。最近は女性もかなりそういった事例になってきているようです。
本書は女性から見たちょっと変な男性の性質という観点から書かれていますのでそうなってくるのでしょうが、実は男女問わず人間共通の性格の問題なのかもしれません。