爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

2017-01-01から1年間の記事一覧

「土壌汚染 フクシマの放射性物質のゆくえ」中西友子著

2011年3月の東日本大震災で起きた福島第一原発の事故による、放射性物質の放出は大きな社会問題を引き起こしました。 本書著者の中西さんをはじめとする、東京大学農学部の人々は総力をあげてその状況の調査研究を繰り広げました。 農学部には、土壌、各種農…

「健康不安社会を生きる」飯島裕一編著

世界でもトップクラスの長寿国でありながら、健康不安が増大している日本ですが、そこには巨大になった健康産業も大きく関わってきます。 このような「健康不安社会」の様相を、信濃毎日新聞社の編集委員である編著者飯島さんを中心として各分野の専門家に取…

「本当のかしこさとは何か 感情知性(EI)を育む心理学」日本心理学会監修 箱田裕司・遠藤利彦編

人間の知性を測る方法としては、知能指数(IQ)がありますが、これは知性のごく一部のみを測っているにすぎないものです。 すくなくとも心理の働きとしては、感情と理性とがあるはずですが、その両方をつなぎ合わせるものとして、感情知性(emotional intelig…

「横浜黄金町パフィー通り」阿川大樹著

私は小説は原則として読まない、特に現代小説は。と言っていたんですがちょっと関わりがあって阿川大樹氏の「横浜黄金町パフィー通り」を読んでみました。 横浜の中区黄金町とは、京浜急行で横浜から逗子方面に3つめの黄金町駅周辺ですが、つい最近まで違法…

不毛なCOP23

COP23,国連気候変動フィジー会議といっても、フィジーでは会場も無いためにドイツで開かれているという会議が開かれています。 パリ協定の具現化を目指しルール作りを行うということですが、アメリカがしゃしゃり出てきて化石燃料の重要性をアピールする…

「地球の履歴書」大河内直彦著

大河内さんの本は以前にも読んだことがあり、地球科学の分野以外にもエネルギー資源等の議論も肯ける論旨と感じました。 sohujojo.hatenablog.com この本は統一したテーマというわけではなく、地球科学に関する様々な文を集めたというもののようです。 第2…

「日本の火山 ウォーキングガイド」火山防災推進機構編

著者は特定非営利活動法人火山防災推進機構のメンバーで、各火山の研究者が主ということです。 そのため、各地の火山をできるだけ歩いて見てもらいたいと思いながらも、決して事故があってはいけないということから諸注意もあちこちに書かれています。 全国…

「内田樹の研究室」より サンデー毎日ボツ原稿北朝鮮と安倍政権

内田樹さんのブログが面白くいろいろと読ませていただいています。 これは最近のものから、「サンデー毎日」に掲載予定で9月中旬に書き上げて10月初めに出版予定だったのですが、衆議院解散などですっかり空気が変わってしまいボツにしたものだそうです。 取…

FOOCOM.NET専門家コラムより、「食品添加物リン酸塩はどれくらい危ないの」森田満樹さん

いつものネタ元、FOOCOM.NETの専門家コラムで森田満樹さんが恒例のマスコミの食品添加物叩き、「リン酸塩」について書かれています。 www.foocom.net 食品添加物が危ないというのは時折出て来る論説ですが、政局も落ち着いてしまい他に記事のネタがなくなっ…

「教科書では学べない世界史のディープな人々」鶴岡聡著

著者の鶴岡さんは歴史の専門の研究者というわけではなく、塾の講師などをされているようですが、この本で取り上げられている人々はあまり有名であるわけではないものの、こうやってその人生を描くとそれぞれがまた独自の輝きを持つように思えます。 「あまり…

内田樹さんの研究室より、「大学教育は生き残れるのか」

内田さんはこれまでも何冊かの著書を読み、その論旨には共感を感じることが多い方です。 ご本人が書かれているブログ「内田樹の研究室」も興味深い内容が多く、教えられることばかりですが、この11月3日付の記事「大学教育は生き残れるのか」も面白いもので…

これが一番やりたかったのね。アメリカの兵器購入。

世界でも稀に見るようなトランプ歓迎の中で、F35やイージスアショアなど、高価なおもちゃをアメリカから購入することをあたかも当然のことのように発表しています。 www.asahi.com 上記記事には、自分たちの取り分だと思っていた軍事費をアメリカに掠め取ら…

「”科学的”って何だ!」松井孝典、南伸坊著

科学全般を誰にも分かりやすく説明しようとして、科学にはまったく素人と見える有名人と、科学者とが対談をして行くという、よくある作りの本です。 素人として出場してきているのが、イラストレーターの南伸坊さん。 科学者の方が、東大の惑星物理学の教授…

「なぜ大国は衰退するのか」グレン・ハバード、ティム・ケイン著

大国の興亡というものについては、これまでも様々な人々によって分析され記述されてきました。 この本はアメリカの二人の経済学者が、歴史上および現代の大国の興亡を、行動経済学、制度経済学、政治学の知見をもとに読み解き、経済的不均衡が文明を崩壊させ…

「偽装死で別の人生を生きる」エリザベス・グリーンウッド著

偽装死、すなわち自殺や事故、殺人被害者などとなって死んだと見せかけ別の人間になりすまして生きていくということです。 日本でもあることなのかもしれませんが、アメリカでは結構あることのようで、事件として有名なものもいくつもあるようです。 著者の…

「欲望の資本主義 ルールが変わる時」丸山俊一(NHK”欲望の資本主義”取材班)著

NHKの「欲望の資本主義」という番組の取材として、ノーベル賞受賞者のコロンビア大学教授のジョセフ・スティグリッツ、チェコ出身の異色の経済思想家であるトーマス・セドラチェク、元ゴールドマン・サックス社員の投資家スコット・スタンフォードを迎えて、…

「酸素のはなし 生物を育んできた気体の謎」三村芳和著

酸素は大気中に21%含まれておりそれは簡単に変わるものではないような気になってしまいますが、地球の成り立ちを考えるとそれはほんの偶然にすぎなかったようです。 本業はお医者さんですが、山登り好きがこうじて酸素について考えることも多くなってしま…

「日本の年金」駒村康平著

経済学者ですが、社会保障や年金が専門で、政府の顧問や有識者検討会の委員も勤められたという著者が、年金問題について詳細に説明されていると言う本です。 年金というものは、誰もが大きく関わるはずであるのに、あまりまともに考えたことがないという、困…

新聞記事より 誰が負担をするのか

毎日新聞11月1日の紙面に、首都大学東京の阿部さんが書いていた記事が興味深いものでした。 https://mainichi.jp/articles/20171101/ddm/016/070/002000c 子供の貧困対策などで財政出動の議論が為されます。 しかし、そこには必ず税負担の増加や財政支出…

夢の話「ハーレムの女性」

またなんとも不思議な夢を見てしまいました。 自分自身がその女性です。 ハーレムの主の男性はまったく出てきません。 しかし、どうやら自分に男の子供が居て、それが長子のようです。すなわち、嫡子。 するとナンバー2の女性が懐妊したというご注進が。 慌…

「あやしい健康法」竹内薫、徳永太、藤井かおり著

健康法については様々な俗説が出回っていますが、それらについて有名なサイエンスライターの竹内さんが、医師の徳永さん、ヨガインストラクターの藤井さんとともに、指摘しています。 それぞれの専門分野で健康法を取り上げて評し、それについてあとの2人が…

夢の話「微生物の凍結乾燥アンプルを作る」

まだまだ仕事をしている夢は見るようです。 「凍結乾燥アンプル」というのは、微生物(細菌とかカビとか)を保存するために凍結乾燥(インスタントコーヒーのような)するもので、さらに保存性を高めるために細いガラスアンプルに入れて真空にして溶封するも…

「男と女のトラブル相談室」大渕愛子著

テレビ出演も多い弁護士の大渕愛子さんが、特に男女関係のトラブルについて、結婚、離婚、ストーカー、DV、セクハラといった事例と対処法を書いています。 活字も大きく言葉も簡単なものを選んでいるようで、あまり活字慣れしていない人にも読んでもらいたい…

「古文書はいかに歴史を描くのか」白水智著

著者は歴史学の中でも各地に残る古文書をフィールドワークで探し出し解析し各地域の歴史を新たに再発見していくという研究方法を取っている歴史学者です。 この本では各地の旧家の蔵から古文書を発見してきた実話や、その詳細な方法、また記録のまとめ方など…

交通事故対策 自分を目立たせることが重要

よく拝見している方のブログで、「目立つ色の車にした」と言う記事をみて考えさせられました。 私の息子も最近自動車を購入したのですが、目立つ色ということでシルバーにしたそうです。 しかし、どうも「目立つ」ということを意識している人はあまり多くな…

「朝鮮王朝”儀軌” 百年の流転」NHK取材班編著

2010年に当時の菅総理大臣が韓国に日本にある「朝鮮王朝儀軌」を引き渡すと突然のように発表したことは社会に驚きをもって迎えられました。 それがどういうものかという認識もほとんどの人が持っていなかったはずです。 実はそれは韓国国内でも同様の状況だ…

「日本飛び出しくん図鑑」関将著

「飛び出しくん」とは、狭い通学路など子供が飛び出してくることがありそうなところに、ドライバーに注意を喚起するために設置されているもので、単なる看板様式のものではなく、人形(二次元・三次元)となっているものです。 一般的には「飛び出し人形」と…

「サンドイッチの歴史」ビー・ウィルソン著

よく知られているサンドイッチの起源と言われているものは、サンドイッチ伯爵がギャンブル好きで夜通しカードゲームにのめり込み、食事をする間もないので片手で食べられるようにパン2枚に肉を挟んで持ってこさせたというものです。 この通説も含めサンドイ…

「日本は戦争をするのか」半田滋著

安倍内閣は支持しない(支持率が不支持率を下回る)けれど、投票は自民党という、とても信じられない投票行動で、自民党圧勝という結果に終わった衆議院選挙ですが、その安倍内閣の目指す安全保障(なにが「安全」やら、「暗然」としていまいます)がどのよ…

「宗教聖典を乱読する」釈徹宗著

著者の釈さんは浄土真宗如来寺住職であり、さらに大学教授も勤められ、認知症患者支援のNPOも運営されているという方です。 この本は、関西地方で開かれたカルチャースクールで講演された内容に加筆された宗教全般について広く知識を得ることができるといっ…