爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

FOOCOM.NET専門家コラムより、「食品添加物リン酸塩はどれくらい危ないの」森田満樹さん

いつものネタ元、FOOCOM.NETの専門家コラムで森田満樹さんが恒例のマスコミの食品添加物叩き、「リン酸塩」について書かれています。

www.foocom.net

食品添加物が危ないというのは時折出て来る論説ですが、政局も落ち着いてしまい他に記事のネタがなくなったのでしょうか。

 

記事中にもあるように、食品添加物「リン酸塩」はハムなどの結着剤、乳化剤、PH調整剤等々、様々な用途で使われていますが、そもそも食品そのものにも多く含まれている成分です。

豆類や魚類に多いようですが、他の食品にも含まれています。

 

リンの最大耐容一日摂取量(MTDI)は体重1kg当たりの量で70mg/kg体重/日、これは体重50kgの人で3,500mgに当たります。(3.5gのこと)

 

ここで間違えないでほしいのは、MTDIの値を「越えたら害が出る」ということではないということです。

最大耐容一日摂取量とは、「摂取し続けても健康への悪影響がないと推定される一日当たりの量」で、過剰摂取で有害な影響が出るという量よりははるかに低い値です。

 

実際に人々が摂取していると考えられるリン量は、厚生労働省の調査結果によると、

 2013年度調査結果

 を見ると、総リン酸塩類のリンとしての一日摂取量は、265.6mg(20歳以上の平均値)と見積もられています。この量は、食品由来のリンの平均摂取量(男性1063mg、女性で925mg)よりも、少ない量です。ここに加算しても、耐容上限量の3000mg/日までにはかなり余裕があります。

 つまり、人々の一日あたり摂取量はリンとしてだいたい1000mg程度であり、そのうちの食品添加物由来の量は265mgであるということになります。

 

記事の最後には、

週刊現代の記事では、サンドイッチのハムをリン酸塩不使用して取り組んでいる大手コンビニの事例を紹介して「消費者の健康を気遣い、リン酸塩を減らそうとしている企業があるのも事実だ」とほめています。しかし、サンドイッチのハム1枚をリン酸塩不使用にすることで、1日のリン摂取の減少量はどの程度か、その点も冷静に判断したいものです。」

相も変わらず、大したこともない事例に「取り組んでいます」というポーズを見せて消費者に媚びる企業が出ているようです。それに簡単に騙される週刊誌記者も科学知識の程度があまりにも情けないようです。

 

食品のリスクは「ハザード(危害)×量」で決まります。

このことをきちんと考えてもらいたいものです。