爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「戦国武将の実力 111人の通信簿」小和田哲男著

戦国時代の歴史が専門の小和田さんですが、世間の歴史好きの人々の戦国武将の評判を見ても映画やドラマ、小説などの印象で言われるだけで、真実の姿は知られていないように感じていました。

 

そこで、「戦国武将の実力」というものをできるだけ客観的に判定してやろうと、「統率力」「教養」「実行力」「企画力」「先見性」の5つの基準で評定してみました。

 

なお、そもそも「戦国大名」といってもはっきりと線引きができるわけではないのですが、1480年代に出雲の守護代尼子経久戦国大名化したと認められ、またほぼ同じく北條早雲(伊勢宗瑞)が伊豆を奪取した時点で戦国時代の幕が開いたと考えられるので、それ以降の武将を扱っています。

 

最高得点を取ったのは、信長、秀吉、家康の3人は当然でしょうが、同点で北條早雲もトップとなっています。

1点差で毛利元就北条氏康が続いています。

ちなみに、最下位の111位は松平信康、一つ上が京極高次、その上が滝川一益毛利輝元といった具合です。

 

北条に甘いのは、著者の研究の専門がそこから始まったということもあるのでしょうか。

 

「教養」の評価では、一般に頭が良さそうと思われている軍師役の人々でも、山中鹿之助黒田官兵衛は低くなっていますが、細川藤孝明智光秀といった面々はさすがに満点です。

なお、信長、上杉謙信直江兼続も満点ですが、ドラマなどの印象とは少しずれるかもしれません。

 

あまり知られていない武将で評点が高かったのに、立花道雪立花宗茂が居ます。

九州の武将であまり小説などにも登場しませんが、なかなか優れた人物だったようです。

そのうちに誰か小説でも書くことがあるのでしょうか。(それともすでに書かれている?)

 

それにしても、やはり通俗的なドラマや小説にかなり影響を受けてしまうようです。

その印象ではあまり好きになれないという人でも見方を変えれば違う像が見えてくるかもしれません。

 

戦国武将の実力 - 111人の通信簿 (中公新書 2343)

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