まだ確定情報ではないようですが、島根県浜田市と姫路市で起きた恵方巻による集団食中毒の原因が、浜田市のものはノロウイルス、姫路市は黄色ブドウ球菌であったようです。
どちらも非常に発生頻度の多い食中毒菌ですが、恵方巻という異常な状況下での発生としては原因となるべくしてなったというような典型的な発生例かと思います。
ノロウイルスは有名なところでは生ガキによる食中毒発生ですが、現在では調理者などから食品を通して感染することが多いようです。
これはウイルスですから人体の外では増殖はしません。
それでもごく微量のウイルスを摂取することで体内で急速に増殖して症状が出ます。
感染源は無症状の調理者であることが多いようで、体内に大量のウイルスを持っておりそれが排泄時に出たものに手指等が汚染され、その後の手洗いが不十分だった場合に調理する食品を汚染し、それを食べた人に感染することになります。
調理者には講習などで繰り返し説明されているはずですが、行き届いていない可能性があります。
今回の恵方巻騒動のように製造能力がぎりぎりとなった場合に対策が不十分であったりしたということが起こりやすいのかもしれません。
黄色ブドウ球菌は細菌でありどこでも繁殖する危険性がありますので、食中毒も頻繁に起きます。
人体にも普通に存在していることが多く、手足などに付着して住み着いていることもよくあります。
それがいつも食中毒を起こすとは限らないのは、他の細菌などと競合しながら棲み分けているために極端な増殖をすることがないからです。
今よく聞かれるような「除菌」を中途半端に行った場合、細菌類のバランスが崩れてたまたま病原菌などが増殖しやすくなることもあり得るところです。
黄色ブドウ球菌は増殖するためには栄養豊富であることが必要であり、食品などに付着すると急激に増える危険性があります。
その増殖至適温度は37℃程度と考えられますが、30℃以下でも増殖します。
今回の恵方巻も製造後に室温で放置されていたようで、20℃台の温度でも徐々に菌が増殖していた可能性があります。
黄色ブドウ球菌の毒性は菌が作り出す毒素であることが多いようです。
そのため、食品中で菌が増殖するとともに毒素を作り出していた可能性があります。
このため黄色ブドウ球菌食中毒は摂取後、あまり時間をかけずに発生することもあります。
この例に限らず、製造能力を越えた製品数が求められた場合に通常の取り扱いと異なることをしてしまい、それが原因となって食中毒を起こしてしまうことがあるようです。
当事者にとってはあまりにも痛すぎる教訓となったでしょうが、自分の事として振り返ることが必要なのでしょう。