埼玉県の中学校で給食を食べた生徒や教諭など700人が多数食中毒症状となったという報道がありました。
これはウェルシュ菌によるものと見られているそうです。
ウェルシュ菌とは、細菌の学名でいえば Clostridium perfringens (クロストリジウム パーフリンジェンス)で、土壌や水中にも多くまた動物の体内にも多いという嫌気性桿菌です。
その食中毒発生の起き方は、調理後に残った菌がある程度の温度(生育至適温度は40℃以上)で長時間放置された場合にその中で増殖し、かなりの菌数となったものが食べられて体内に入る。
そして体内で腸管などに入り込みさらに増殖する際にエンテロトキシンを作って放出しそれにより食中毒を起こすというものです。
このような菌の性質(嫌気性、生育温度、毒素産生)のため、カレーや煮込み料理などを大量に作り、その後時間をおいて喫食する場合に食中毒が起きやすいようです。
今回の給食では、メニューは広東麺、シュウマイ、スイートポテトということで、どれが原因かはちょっと分かりにくいようですが、発生状況からこの中にあるのは間違いないのでしょう。
調理時に長時間煮込むから大丈夫と思われがちでしょうが、クロストリジウム属細菌は納豆菌などのバチルス属と同様に芽胞菌と言って非常に耐熱性の強い芽胞という状態になると通常の加熱では死滅しませんので、注意が必要です。
それよりも、調理後もしも時間を置く場合には、加熱後に速やかに冷却し、菌の増殖が盛んな温度(40℃台)をなるべく短時間にすることが有効かと思います。
こういう時節柄、下痢などもウイルス感染の影響とみられることもあるかもしれません。
他の原因もいつもと同じにあることも忘れてはいけないのでしょう。