爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

「植物利用だから環境にやさしい」はちょっと違うのでは。

「環境に良いこと」を求めるというのが広く流行しているようですが、その意味を深く考えるということは行われているのでしょうか。

 

別にJALが嫌いだからと言った意味はありませんが、目についたので引用しておきます。

JAL機内食に、「環境にやさしい」という「植物性チーズ」やら「大豆ミート」を使うのでSDGsにも適うという話です。

 

確かに「動物肉」を食べるというのは植物資源を浪費するという面があり、「環境に悪い」ことだということは言えるでしょう。

食肉生産にどれほどの飼料が必要なのか、下記に書かれています。

www.hopeforanimals.org

牛肉の場合は11倍、豚肉で7倍、鶏肉でも4倍の飼料が必要だということです。

そしてこれは現状ではほとんどが穀物飼料です。

 

ならば肉食をやめて植物由来のものを食べれば良いのか。

 

部分的にはこれも正しいと言えるかもしれません。

ただし、「植物資源にも限度がある」ということを考えなければいけないでしょう。

 

今はなんでも植物由来への変換をすれば良いかのように言われています。

ガソリンの代替に植物由来アルコール。

石油系プラスチックの代替に植物由来プラスチック。

そして肉食の代替に植物性ミートやチーズ。

 

問題は植物資源は無限ではないということでしょう。

 

特に厳しいのは穀物で、これは人々の食料とも競合するのでアルコールなどは燃料用に大量使用するとすぐにでも食糧危機につながるでしょう。

 

またプラスチックはその使用量が莫大であるため、たとえセルロース系の資源を使用したとしても枯渇する危険性が強いでしょう。

 

大豆ミートなどの代替肉も食肉を食べるよりはマシなんでしょうが、「ならなんで大豆のまま食べないの」というのが問題点です。

大豆ミートに仕上げるためには大豆をかなり加工しなければならず、その歩留まりも低下します。

大豆そのままを食す(つまり納豆や煮豆ですね)のと比べればかなりの廃棄物量が出るのでは。

 

日本のような植物の豊富な環境にいると実感しにくいことでしょうが、「植物も有限」であることをよく理解しておく必要がありそうです。