爽風上々のブログ

熊本の片田舎に住むリタイア読書人がその時々の心に触れたものを書き散らしています。読んだ本の感想がメインですが(読書記録)、エネルギー問題、食品問題など、また政治経済・環境問題など興味のあるものには触れていきます。

サステナブル(持続可能性)とは何か その4資源

資源についての持続可能性というのは、どうもはっきりしたものではありません。

まず「資源」という言葉で何を示すか。

鉄やアルミニウム、ニッケルなどの金属資源は確かに資源と言うべきでしょう。

しかし木材などの植物由来資源はどうするか。

同じ植物由来でも化石燃料化している有機化合物はどうするか。

 

一応、何でも資源という言葉で表しておきましょう。

 

金属資源はレアメタルも含めて元素として考えれば、地上から無くなることは考えなくて良いでしょう。

総量としては変わることはほとんどありません。

しかし、その存在の様子によって使えるかどうかは大きく異なります。

純度の高い物質として手元にあれば様々な用途に使えたとしても、それを微量ずつ使用してそれが廃棄されれば環境中に分散してしまい、それを集めて精製するということが不可能になります。

ある程度まとまって存在したとしても、その精製には多くのエネルギーを要する場合があります。

してみると、ここでも資源としてのサステナビリティはかなり限定された条件下のみで成り立つと言えるかもしれません。

例をあげれば、スマホなどに使われている貴金属やレアメタルはその廃棄に伴い都会の廃棄物捨て場に大量にあるという話がありますが、それを集めて精製しもとの金属にまでするためには多大なエネルギーを要するということです。

これも、そのように資源を分散してしまうような技術自体がサステナブルではないということになります。

 

プラスチック原料となるエチレンなどの炭化水素は主に石油や天然ガスなどの化石燃料から得ますが、これらは元素としては主に炭素と水素からできています。

これらの元素の総量はどのように使おうが変わるわけではないのですが、しかしあくまでもエチレンなどの有機化合物を資源として考えれば、それが炭素と水素に分解してしまえばもう資源としての意味はなくなります。

まあ、そのような化石燃料資源は使うこと自体がすでにサステナブルではありませんので、資源としての意味も考える必要はないのかもしれません。

 

植物由来の木材などは、確かに資源として扱わなければなりませんが、これも炭化水素同様に分解してしまえば元の木阿弥という性質を持ちます。

ただし、化石燃料と異なり植物は太陽光エネルギーを得て製造されますので、その範囲内であればサステナブルと考えることができます。

 

このように、資源のサステナビリティはその資源だけで考えられるのではなく、その利用のために必要なエネルギーによって異なるようです。

この辺の事情はいわゆる「リサイクル」にも大きく影響します。

リサイクルしさえすればサステナブルかのように考えていても全く違うということにもなります。

 

使用エネルギーが非常に少ない範囲であれば事実上サステナブルと考えられるといったことになるでしょう。

しかし、いくら少ないエネルギーで使用できるとしてもそれが大量に使用することになればエネルギー使用の限度を超えるかもしれません。

 

例としてスマホやパソコンの重要部品となる半導体のシリコンを考えましょう。

シリコン自体は地球に大量に存在する元素です。(ケイ素)

これを四塩化ケイ素やトリクロロシランとして高純度のシリコンウェハーと呼ばれるものを作り、そこから半導体としてチップを作成します。

使用して廃棄してもシリコン自体が無くなるわけではありません。

しかし、半導体として使うことを考えれば、高純度での塊となることが必須であり、そのために大量のエネルギーと多くの工程を経た製造が必要です。

ここまで考えれば、「資源としてサステナブル」と言うことはほとんど意味がありません。

エネルギー集約生成物としての意味の方が大きくなりそうです。

 

というわけで、「資源としてサステナブルかどうか」はあまり意味のないことであったようです。